遂に11月7・8日に控えた秋季野球早慶戦を前に早大応援部の山口和真代表委員主将(政経4=東京・早大学院)と慶大應援指導部の坪井樹音代表(4年)のお二人に対談を行っていただいた。大所帯のトップとしての意識や、応援に関して。ここでしか聞くことのできない二人の思いをぜひご覧ください。

ーー野球経験や高校でのチームメイトが試合に出てることは応援にもいきていますか
山口:野球経験の話だと、こういう展開で選手はこういう気持ちなんだろうなとか、この場面でこういう応援をされたら嬉しいだろうなとか。あとは展開に合わせてこの場面ではもっと応援から押していかなきゃいけないとか、そういうのは結構わかるので応援にもつながってくるのかなと思います。
坪井:そこに加えて、自分は選手との交流が深い分、応援のことについても聞けるというか、実際に「届いているよ」「聞いているよ」という声をもらったり、応援に対して感謝してくれたりとか。そういうのは特に交流がある自分だからこそ、やっぱり部員に還元していきたいなと思っていますし、そこはすごく応援にも身が入るし、一緒に戦っている感覚がすごくあります。
ーー(坪井)応援指揮(テク)はいつから
坪井:僕は1年生から2年生への代替わりぐらいなので、1年生の12月くらいから始めています。それこそ他大学でテクを振る子たちには思いとか覚悟とかそういった部分含めてやっぱり遅れている自覚はあったので、そこに負けないように、ここから上げていかないとなというのと、そこへのリスペクトを持ってやらないとなというのはずっとあります。きっかけになったのが、高校時代に見に行った早慶戦でメイン台に立っている人が、負けた瞬間に涙を流していて、かつ、その後にはエールを振っていて。すごく悔しいけど、相手校へのリスペクトを全うする姿であったり、あとは応援席全体を引っ張るというものへの憧れがあったので、自分も演奏以外で貢献したいなと思って始めました。

ーー主将/代表としてのお互いの姿をどのように見ていますか
坪井 山口は主将もやっているし、連盟委員長もやっているというところで、早稲田の応援部だけでも200人を超える人数と、連盟では何百人という存在がいる中での、プレッシャーもあるだろうし、責任感も必要とされる中で本当に堂々とやっているなというイメージです。あとはエールの声が格好いいんですよ。すごい発声が良いし、息が長く続くし。いろんな場面でエール交換をやりますけど、山口と対岸でやる時が一番熱くなるというか。改めてリスペクトです。
山口 自分とは違うリーダー像だとは思っていて。それは部の雰囲気の違いとかからも来ているのだろうけれども、早稲田は伝統的な応援部・応援団の雰囲気がまだあると思っていて。主将としてはそれに応じた主将像を自分で演じてきた部分はあるけれども、慶応はもっと新しい風を感じるというか。外から見ている話だけれども、部員同士の距離が近くて風通しが良いという印象があります。そういうところだからこそ、代表としてはコミュニケーションだとか自分の持っているもので勝負していく必要があるんだろうなということを感じていて、そういうところで学ぶものがあると思っています。

ーーお互いの応援や応援席についてどのように見ていますか
坪井 恐怖でしかない。野球において言うと、『紺碧の空』で対岸が揺れて地鳴りのように聞こえてきます。早稲田の得点時は慶應の失点時なので、それが慶応の得点時より記憶に残るくらい印象的ですし、凄まじいなと思っています。とにかく勢いがあって、一瞬の隙を逃さないという印象です。
山口 早稲田と慶應の応援は結構違うよね。早稲田は『コンバットマーチ』のように短い発声を全員で大きな声で出すという形が多いですが、慶應の『ダッシュケイオウ』などの曲は歌に近いような長いフレーズの応援だと思うので、切れ目なくプレッシャーが来るなといつも思っています。うねりのようにずっと続く応援というか、流れを持っていって離さないという応援が慶應にはあると思いますし、怖い部分ですね。
ーー逆に負けない自信がある部分はありますか
山口 やはり声ですね。同期の応援企画責任者が声をテーマに応援を作るというのをずっとやってきていて。ここぞの場面でいかに声を出してもらえるかということにこだわって応援方法や観客へのアプローチを1年間追求してきたので、早慶戦では声で慶應を圧倒できるように仕上げていきたいと思います。
坪井 怖いな笑。慶應は応援席に来てくださる方一人一人がしっかりと楽しんで馴染みやすいような、応援席の一体感を作る応援というのは意識しています。應援指導部として「應援指導」という部分に全て懸けて馴染みやすい応援をしたいなと思っているのと、あとは応援席からチャンスを作るというか。チャンスになったらこの曲というのはある程度セオリーみたいなものはありますが、その状況や選手の調子などによってはランナーがいなくてもチャンスっぽい曲に入って応援席からチャンスに入るというような意識を持ってやっています。

ーー主将/代表としてこの1年心掛けていることは何ですか
山口 早稲田は「不易流行」を年間目標に1年間やってきて、伝統と変革の両立というか残すべきところを見極めて、変えるべきところを変えてというような、時代に合わせて価値を発揮出来る応援部を目指して来ました。それは応援でも同様のことが言えると思っています。今年に入って古い応援歌や応援形式を復活させたり、色々取り組んでいる中でちゃんと変えるべきところは変えるというところに力を入れて取り組んできた1年ではあったと思います。
坪井 慶應は「誠心誠意」というスローガンを掲げています。色んな体育会に応援に呼んでいただいていますが、応援できる機会は普通ではないというか、コロナ禍では今させていただいている応援が当たり前ではなかったので、そこに感謝すべきだし、応援席に来てくださる方々がいるから応援できるというのもあるので、感謝や敬意を忘れずに応援として思いを届けるというところを考えてスローガンにしました。日頃から周りや部内のお互いにもリスペクトを持って感謝を伝えようということと、学年を超えて意見を交わせるような風通しの良さを持って、全体でいい部にしていこうというところでミーティングの機会を設けたりしています。
ーーこの1年間で印象的だったこと
山口 秋季リーグ戦の明治大学戦は印象に残ってますね。香西(一希主将、スポ4=福岡・九州国際大付)と飲みに行ったことがあって、本当に彼はいい人で。香西を勝たせたいと思ってやっていたんだけど、なかなか結果がついてこない中、野球部が強敵明治に勝ってくれたということで、格別の喜びがありました。応援部としても、あの明治大学戦で今年の応援の完成形にぐっと近づいたというか、応援の力が求められる僅差の、それも大一番の試合で良い応援ができたのではないかと感じています。
坪井 自分は春季リーグ戦の優勝の瞬間と優勝パレードです。優勝パレードは自分が1年生の時にやったんですけど、コロナ禍で完全体ではなく別日に短い距離で開催という形だったので、なんとか完全体として復活させたいという思いで、優勝が見えていくにつれてより準備を重ねてきました。しかもそこには1個上2個上の先輩たちが完全体に近づけていくために積み重ねている姿があったので、絶対に実現させたいと思っていましたし、野球部も優勝パレードというのがモチベーションだったと聞いていたので、野球部にしっかりと華を持たせるためにもやりたいなと思い、優勝準備委員会の人たちといろいろ考えながら、実際にできたというのが、もう本当に4年間で一番の印象的な出来事でした。

ーー夏季合宿はいかがでしたか
坪井 石川県の小松市で、練習環境も良くてご飯も美味しくて最高な環境でやらせてもらったのですが、160人くらいの人数で共同生活となると大変で。練習の中でも練習外でも色々なことが起きますが、それでも最後の総合練習では「応援」という点で一つになれた感じがすごくしました。多様な考え方や価値観がある中でも応援で一つになり、ラストシーズンを全力で駆け抜けようという意識の作り方ができたかなと思っています。
山口 合宿は応援の技術的にも体力的にも成長するということももちろんですが、部の一体感を作っていくということをもう一つのテーマとしてやってきました。普段なかなか別のパートと過ごすこともないですし、厳しい練習に加えてミーティングなどをやりました。練習最終日の総合練習については早スポの動画を見ればわかるかもしれないけれど、皆で同じ経験をして、同じことについて考えて、きついことを乗り越えて、合宿前と比べて一体感が高まった状態で帰京することができたのではないかなと思います。
ーー合宿、今季を経て早慶戦に向かいますが、その意気込みを教えてください
坪井 慶應は優勝がかかっていますが、毎年早慶戦は別物になるというか。リーグ戦はリーグ戦なのですが、それまでの下馬評とかは何も関係しないような結果が毎年起こりうることもあって、応援席の一人一人の声とか応援というのが絶対に選手に届くので、慶應の応援席が一体となって力強い声援を届けたいです。満員で最高の応援を選手に届けて勝って優勝したいという思いが強いので、ぜひ一緒に応援をお願いしたいです。
坪井 あと、自分はお守りを服の中に入れていて、浅草寺のおみくじで早慶レガッタの後に引いたのですが大吉だったんです。しかも内容の一つに「鎌を用いて稲刈りをするように実りを得て、幸せが自然と来るでしょう」とあって、もう運命を感じて内ポケットにしまってやっていて、それで春も勝ったので最後は神頼みで。全てを信じて頑張りたいと思っています。

山口 早稲田は優勝自体はなくなってしまったけど、早慶の両校の間には早慶戦優勝といういい言葉があって。そこの優勝を目指して、代表は神頼みと言っていましたけど、我々は徹底して人の声と拍手で
坪井 ずるいな笑。後出しじゃん笑
山口 そういったところで早慶戦では慶應を圧倒して、何がなんでも2連勝してしっかり最後勝って終わりたいと思います。
(取材・編集 早稲田スポーツ新聞会 土橋俊介、鳥越隼人、慶応スポーツ新聞会 小野寺叶翔)

◆山口和真(やまぐち・かずま)
東京都・早大学院高出身。政治経済学部4年。早稲田大学応援部代表委員主将兼連盟委員長。試合前のルーティンは赤飯を食べること。慶大の好きな応援曲は『朱雀』。一塁側応援席を一つにして打倒慶応を果たします!
◆坪井樹音(つぼい・じゅのん)
神奈川県・慶應義塾高出身。法学部政治学科4年。慶應義塾体育会應援指導部代表。吹奏楽団に所属し、楽器はトランペットを担当。春秋連覇、そして日本一へ。勝利を信じ、「誠心誠意」応援を届けます!