6月上旬の関東大学戦では準優勝に輝いた早大。下馬評は決して高くなかったものの、日体大や白鷗大学を撃破する躍進を見せた。新人インカレ開幕直前の今、この快進撃の正体を各種スタッツから分析する。
本記事で扱う各種アドバンスドスタッツの解説
USG%:プレイヤーがチームのオフェンスにどれだけ関わっているかを示す指標。高いほどチームの中心選手であることを示す。
ORtg:100回攻撃した際の得点数。高いほど得点効率の良いチームとなる。
TS%:2Pシュート、3Pシュート、フリースローを総合的に考慮した真のシュート効率指標。
AS/TO:アシストとターンオーバーの比率。ゲームメイクの上手さを示す。
※スタッツはベスト16以降の4試合を参照
数字が示す大エース・松本の存在感

今大会の早大を語る上で、松本秦(スポ2=京都・洛南)は外せない存在だ。松本は平均31.3得点で得点王、3P王を獲得。リバウンドも大会3位の平均12.8本を記録した。このエースの圧倒的な存在感は、アドバンスドスタッツにも色濃く現れている。
ボールの占有率を示すUSG%という指標がある。その選手のプレーでオフェンスが終わった割合を示し、30%を超えると「絶対的エース」とされる。このUSG%で松本は33.9%を記録しており、チームの大黒柱であったことがうかがえる。
一般的にUSG%が高まるほど、その選手の得点効率は落ちるとされている。しかし、松本は50%以上で効率的なオフェンスと言われるTS%で、平均を大きく上回る57.3%を記録した。試投数の多かった3Pシュート成功率は35.2%に留まったが、その分警戒が薄れる2Pシュートを64.3%の高確率で沈めた。

チームのファーストオプションであり、タフショットを任せられることも多かった松本。その中でも試投数と効率の両面を維持し、早大のオフェンスを土台として支えた。
決勝の東海大戦は試合中に脳震とうを起こし、第3Qにファウルアウトで退場する不完全燃焼となった。互いに勝ち進めば新人インカレ準決勝で実現する東海大との再戦では、万全の状態となった松本のプレーに注目だ。
覚醒の「一般組シューター」
シューターとして存在感を発揮したのは一般組のG木村魁斗(スポ2=茨城・下妻第一)だ。今大会の3P成功率は48.8%と圧巻の数値。平均20得点超の活躍を見せ、一気に頭角を表した。エースの松本に相手ディフェンスが集中する中、空いた隙を着実についたのが木村だった。
純粋なシューターのUSG%は15%程度が平均的な一方、木村のUSG%は20%に迫る19.7%。シュートへの警戒を逆手に取り、カウンタードライブからの得点も木村の魅力だ。

また、3Pシュートが武器の早大であるが、2Pシュートの成功率も57.8%で1位だった。この立役者は、F南川陸斗(文2=京都・東山)とF今村優志(スポ2=東京・東海大高輪台)だろう。南川は2P成功率62.8%、今村に至っては85.7%の高確率を見せた。
二人に共通していたのはオフボールでの動きだった。G宮本耀(スポ1=福岡第一)や松本のペイントタッチに合わせ、簡単なゴール下でのシュートを決める場面が目立った。ボールを積極的に持つタイプでは無いロールプレーヤーが随所に存在感を見せ、決して松本のワンマンチームとならなかったことが早大の強さだろう。
飛躍が求められるルーキー
一方で、1年生の宮本とF野津洸創(スポ1=静岡・藤枝明誠)はやや課題が残った。
宮本は平均7.5アシストでアシスト王を獲得。2.0を超えると優秀とされるAS/TOも2.3を記録し、PGとしての実力を見せつけた。
しかし、得点面では6.3得点と低迷。TS%も目安の50%を下回る40.6%と苦しんだ。福岡第一高時代はSG寄りの選手として起用されただけに、本来は得点力のある選手だ。新人インカレではスコアリングとアシストの両立で、さらなる活躍を目指したい。

怪我明けでの出場となった野津も関東新人戦は悔しい大会となった。TS%は39.7%とシュートタッチに苦しみ、ファウルトラブルも多発。さらに準々決勝の中大戦では膝を再度痛め、負傷退場に瞳が潤んだ。
それでも決勝の東海大戦は15得点でチームをけん引するなど、内に秘めるポテンシャルは疑いようがない。新人インカレではファウル数の削減が求められるところだ。
大エース・松本が大黒柱としての活躍を見せた他方、その他の選手もそれぞれの強みを発揮したことが快進撃につながった。早大が「日本一」を目指す新人インカレは7月7日から、愛媛にて繰り広げられる。
(記事 石澤直幸)