【男子バスケ】なぜ「大穴」早稲田が準優勝? スタッツから「超攻撃的バスケ」を紐解く/チーム成績編

男子バスケットボール

 6月上旬の関東大学新人戦(新人戦)は、東海大の3連覇により幕を閉じた。王者が前評判通りの強さを見せつけた一方で、バスケファンの間で多くの話題を生んだのが、準優勝に終わった早大だ。大会前は東海大と白鷗大の「2強」と見られる中、早大は優勝候補と見られていなかった。ロスターを満たすほどの部員がいない状況の中、どのように選手層の厚い日体大や白鷗大を撃破し、準優勝に輝いたのか。新人インカレ開幕直前の今、快進撃の正体を各種スタッツから分析する。

本記事で扱う各種アドバンスドスタッツの解説

PACE:1試合での平均攻撃回数。高いほどアップテンポなスタイルと推察できる。

ORtg:100回攻撃した際の得点数。高いほど得点効率の良いチームとなる。

TS%:2Pシュート、3Pシュート、フリースローを総合的に考慮した真のシュート効率指標。

被ORB%:ディフェンスリバウンドの機会で相手にオフェンスリバウンドを取られた割合。相手のオフェンスリバウンド獲得数÷(自チームのディフェンスリバウンド獲得数+相手のオフェンスリバウンド獲得数)で求められる。

※スタッツはベスト16以降の4試合を参照

超ハイペースな高速バスケ

 早大の武器は得点力だった。今大会の平均得点は驚異の100.4点(1位)。大量得点の目安と呼ばれる「100点ゲーム」を平均値でたたき出している。

 この攻撃力の背景にあるのが、異常なまでの高速オフェンスだ。オフェンスの速さを示すPACEで早大は89.2(1位)を記録した。2番目の東海大は80.4、新人戦の平均(ベスト8以上のチームを対象)は77.2に留まる。昨年のリーグ戦の早大も、その値は81.0だ。計4試合のスモールサンプルではあれど、異様なまでの高速オフェンスがくり広げられていたことが分かる。

 では、早大はなぜここまでのハイペースを追求したのだろうか。そこには、新人戦と早大ならではの二つの理由が考えられる。

 一つはサイズの小ささだ。早大で最も身長の高い選手は、192センチのF野津洸創(スポ1=静岡・藤枝明誠)。推薦枠が他大に比べ少ない早大は、ビッグマンが不在だった。サイズで劣る反面、機動力とシュート力に優れていたからこそ、ハイテンポなバスケットを選んだと言える。

 二つ目の理由は準備期間の少なさだ。早大が大会前に新人戦用のメンバーで練習を行った日は0日。Aチームに所属する5人の下級生で試合形式の練習を行ったことはあったものの、Bチームの選手とプレーする機会は一切なかった。1年生PGのG宮本耀(スポ1=福岡第一)は、F今村優志(スポ2=東京・東海大高輪台)やG木佐貫凌汰(社2=東京・早実)といったBチームの選手たちと「初めて一緒にバスケをした」と振り返る。

 だからこそ、早大はよりシンプルな「走る」バスケットを全面に押し出した。準備が必要なセットプレーはほぼ使わず、リバウンドを取ったら前へ走る。スペースが空いたら積極的にシュートを放ち、ハイペースで得点を積み重ねた。

得点効率も圧巻

 ではそのハイペースの「効率」はどうだったのだろうか。100回攻撃した際の得点数を示すオフェンシブレーティングから考察する。

 早大のオフェンシブレーティングは今大会トップの112.3。大会平均値である101.2を大きく上回る数値だ。この要因は高いシュート確率だったと言えるだろう。総合的なシュート効率を表すTS%で早大は57.6%で1位。平均の48.7%を大きく上回った。今大会で50%を超えたチームは早大と東海大の2チームのみだ。

 選手個々のシュート能力の高さや、簡単なシュートが増える速攻の多さがオフェンス効率を引き上げた。平均31.3得点の大エース・松本秦(スポ2=京都・洛南)の存在も大きかっただろう。

 チームの強みである「機動力」と「シュート力」を早稲田バスケのスタイルに落とし込み、攻撃力を発揮したことがうかがえる。

リバウンドが改善

 さらに、早大の課題として語られるリバウンドでも及第点の数値が出ている。リバウンドの指標としては被ORB%(オフェンスリバウンドを獲得される確率)を用いる。 

 今大会の被ORB%の平均は32.4%。対して早大は29.4%と、平均を下回っている。留学生を有せず、「リバウンドが弱点」とされる早大であるが、優秀な値だった。ディフェンスリバウンドの獲得は速攻につながるため、オフェンスのペースの速さにもつながったと言えるだろう。

リバウンドランキング3位に輝き、チームを支えた松本

 一方、準決勝の白鷗大戦は48%の被ORB%で25本のオフェンスリバウンドを許すなど、課題も残っている。リバウンド改善の糸口は見えているからこそ、さらなる徹底が求められる。

 早大の快進撃の要因には「ペースの速さ」、「シュート精度の高さ」、「リバウンドの改善」があると考えられる。次回は選手個人のスタッツから、さらに早稲田バスケを紐解いていく。

(記事 石澤直幸)