日本学生対校選手権1日目、2日目 9月5日~6日 神奈川・日産スタジアム

全国から実力者が集う日本学生対校選手権(日本インカレ)が、今年は日産スタジアムで行われた。この時期らしからぬ寒さと雨に見舞われた大会1日目、2日目だったが、多くの選手たちが活躍。女子1500メートルでは始関千華(政経3=北海道・札幌南)が2度自己記録を更新し、早大記録も打ち立てた。女子走高跳では矢野夏希(スポ4=愛知・時習館)が悲願の早大記録更新を果たし、5000メートル競歩でも中島橙子(スポ3=群馬・前橋女)、高橋優喜(スポ4=静岡・浜松北)がそれぞれ早大記録を塗り替え、記録ラッシュの前半戦となった。
★矢野が早大記録を更新し、2年ぶりに優勝!(女子走高跳)
女子走高跳には2年ぶりの王座奪還、そして早大記録の更新を目指す矢野と、初の日本インカレに挑む星野紗菜(スポ1=長野・佐久長聖)が登場。矢野は目標通り、悲願の早大記録更新を果たし、堂々の優勝に輝いた。

1メートル84の跳躍を成功させ、ガッツポーズをする矢野
最初の高さである1メートル65に挑んだのは星野。1度目、2度目の試技ではともに足がバーに当たってしまう。悪い流れを断ち切りたかったが、3度目もクリアすることができず、惜しくも記録なしで競技を終えた。矢野は1メートル65をパスし、1メートル70から競技を開始する。この高さを1発で決めると、続く1メートル75、1メートル78も全て1度で成功させた。ここまでで1度もバーを落としていないのは矢野ただ1人と、調子の良さがうかがえた。バーの高さは1メートル81に上がり、これに挑むのは矢野と前西咲良(筑波大)の2人だけに。最初の跳躍は足がバーに当たり失敗となったが、2度目の跳躍でしっかりと成功させた。前西がこの高さをクリアできなかったため、矢野の優勝が決まり、いよいよ高さは早大記録更新となる1メートル84へ。2回とも惜しくも失敗に終わるも、「今日は絶対に跳ぶ」と決めた矢野は諦めない。そして、その言葉通り、3度目の跳躍でついにこの高さを跳び越えた。会場からはどよめきが起こり、矢野は笑顔で何度もガッツポーズ。応援席の部員たちは、肩を組んで「紺碧の空」を歌った。今シーズン何度も口にしてきた「早大記録の更新」という目標を、矢野は日本インカレの晴れ舞台で見事に達成してみせた。

表彰式で笑顔を見せる矢野
初めての日本インカレは記録なしに終わったものの、1年生で大舞台を経験した星野。矢野は、最後の日本インカレを早大記録の更新という最高のかたちで締めくくった。今後は「1メートル90を狙って頑張りたい」と、さらに高みを目指すという。矢野はこれからも、美しく跳び続ける。
(記事、写真 川田真央)
★始関が18年ぶり早大記録更新! 岩下も意地の8位入賞(男女1500メートル)
晴天がのぞく9月の日産スタジアム。女子1500メートルには東京六大学対校を制した始関が、男子1500メートルには今大会が最後の日本インカレとなる岩下和史(スポ4=神奈川・神大附)が出場。始関は予選、決勝と2度の自己記録更新を果たし、決勝では18年ぶりに早大記録を樹立。一方の岩下も意地の入賞を果たし、2人は檜舞台でそれぞれ存在感を示した。

レースを走る始関
1日目の午前に行われた女子1500メートル予選。始関を含む3組目の選手たちは、互いにけん制しながら1つの大集団を形成し、1000メートル過ぎまで大きな動きがないままレースを進めた。勝負が動いたのは、残り1周。始関が一気にロングスパートを仕掛けると、集団から抜け出し、独走状態を築く。最終コーナーでこそ他選手の猛追を受けるも、始関は0秒12差で振り切って1着でフィニッシュ。自己記録を更新する力強い走りで、決勝進出を決めた。

レースを終えた始関
同日午後の女子1500メートル決勝では、始関は序盤から集団後方につき、前方の動きを冷静に見極めた。700メートルを過ぎると、田島愛理(順大)ら3人が抜け出し、先頭集団と始関らの第2集団に分かれる。1000メートル通過を境に第2集団のペースが上がると、始関は前を行く選手を1人ずつ確実にかわし、順位を押し上げていった。終盤の激しい競り合いの中でも粘り強く走り切り、始関は10着でフィニッシュ。4分23秒73をマークし、予選で打ち立てた自己記録を3秒以上も更新するとともに、早大記録を打ち立てる驚愕の走りを見せた。

予選のレースで首位争いをする岩下
「チームへの恩返しとして、表彰台を目指したい」。そう決意をした岩下は、男子1500メートル予選2組に出場。序盤からハイペースのレースとなる中、岩下は先頭の背後に位置取り、様子をうかがう。400メートルを58秒で通過すると、縦長の集団の中で徐々に位置を上げていく。1200メートルを3分02秒で通過すると、ラスト1周は中川拓海(順大)らと熾烈(しれつ)な首位争いを繰り広げ、組2着でフィニッシュ。危なげなく決勝進出を決めた。

レースを走る岩下
決勝でもスタート直後から集団前方に位置取った岩下。1周目を66秒で通過するスローペースの中、2周目以降は他選手のペースアップにも対応。そのまま1000メートル過ぎまでは5番手を走る。ラスト1周を知らせる鐘が鳴ると、岩下も前を追ってスパートを開始。その後も最後まで粘りの走りを見せ、最終的には8着でフィニッシュ。見事入賞を果たした。

レースを終えた岩下
日本インカレという大舞台で2度の自己記録更新、そして早大記録樹立という金字塔を打ち立てた始関。そして「チームのため」という志を据え、早大に得点をもたらした岩下。2人は臙脂(えんじ)の誇りを胸に、さらなる高みを求め、新たなステージへと歩を進める。
(記事 平川陸、写真 川田真央、田邉桃子)
★中島と高橋が早大記録を樹立!(男女5000メートル競歩)
本対校戦でも競歩勢が大きく躍動した。女子5000メートル競歩には中島、広瀬夏希(社4=東京・富士)、金野真綾(スポ2=茨城・日立第一)の、関東学生対校選手権(関東インカレ)10000メートル競歩でトリプル入賞を果たした3名が出場。なかでも中島が終始粘りの歩きで自己記録を50秒近く更新し、準優勝に輝いた。一方、男子5000メートル競歩に出場した高橋も高速レースに食らいつき、自己記録を1分半以上更新する大健闘で6位入賞。また、中島と高橋はそろって男女の早大記録を塗り替え、早大競歩の歴史に新たに名を刻んだ。

レースを歩く中島
曇り空が広がり、涼しさも感じられる絶好のコンディションの中、女子5000メートル競歩決勝の号砲が鳴った。序盤から先頭集団で歩を進める中島。レースが進むにつれて集団の人数が徐々に絞られていくが、「絶対に先頭集団から離れない」と前方に食らいついた。実は中島はジストニアを発症し約1カ月間休部しており、練習に復帰したのは大会のわずか10日ほど前。それでも「誰にも周りに期待されていないからこそ、ここで勝った方がかっこいい」と、気持ちは前向きだった。残り1000メートルで堀伊吹(新潟食料農業大)との一騎打ちになったが、「ラスト100(メートル)まで、とにかく絶対に離れない」と懸命に追走。最後の直線まで優勝争いを繰り広げたが、わずか0秒47差で惜しくも頂点には届かず。自己記録を50秒近く更新する好タイムで準優勝に輝き、早稲田記録を塗り替えてもなお、中島は悔しさをにじませた。

表彰式で笑顔を見せる中島
一方、広瀬と金野も先頭集団から離れながらも懸命に前を追い、共に自己記録を更新した。最後の全日本インカレとなった広瀬も、4年間の集大成となる舞台で最後まで堂々たる歩きを見せた。エンジを背負って戦い続けた4年間。その歩みは、中島や金野ら後輩たちへとつながっていく。

レースを歩く高橋
女子競歩勢の奮闘に続き、男子でも最終学年の高橋が意地を見せた。夕焼けに染まった空からこぼれる金色の光にトラックが包まれる中、行われた男子5000メートル競歩決勝。高橋は7月初めに肺炎を患い、一時期は大きく体力を落としたものの、8月には順調に練習を積み今大会に照準を合わせてきた。「優勝」を目標に掲げ、スタートから積極的に前方につけると、2000メートル付近では2位まで順位を上げた。しかし、2600メートル過ぎから徐々に後退。一時は8位まで順位を落とし「心が折れそうだった」と話すが、家族や仲間の声援や雪辱への思いを力に変え、最後は意地で6位入賞をつかんだ。早大記録を12年ぶりに塗り替える18分台でのフィニッシュに「優勝を狙って攻めたレースができたので、総じて後悔はない」と振り返った。

レースを終えガッツポーズをする高橋
意志あらば道あり。競歩と長距離、どちらも諦めず二刀流を貫いてきた高橋。競歩で早大の歴史を塗り替えた男が、次に目指すは箱根路だ。その強い意志で、夢舞台への道を切り開いてほしい。
(記事 鈴木拓紀、写真 石本遥希)
★下級生2人が未来につながるスローを披露(男女やり投)
男子やり投げには、関東インカレで8位入賞を果たした、髙木敬太(スポ1=大阪・春日丘)が登場し、女子やり投げには、同じく関東インカレに出場した松永成美(基理2=埼玉・早大本庄)が登場。下級生の2人は順位こそ上位ではなかったが、これからの未来へとつながる試技を披露してくれた。

投てきに臨む髙木敬
男子やり投げの髙木敬は2投目に67メートル08の記録をマークし、上位進出へと望みをつないだが、続く3投目は66メートル44の記録となった。これによって、4投目以降の試技に進めるトップエイトには残れず、16等で競技を終了した。

投てきに臨む松永
女子やり投げの松永は最初の1投目は記録なしとなったが、続く2投目は42メートル12、13投目では43メートル33と記録を伸ばした。しかし、全体で22等という結果で日本インカレでの競技を終えた。
男女ともにトップエイトに進むことはできなかったが、日本インカレという舞台の経験が下級生2人を大きく成長させるだろう。
(記事 永尾早渡、写真 石本遥希、田邉桃子)
★松田が決勝に進み、7位入賞を果たす! 相場も1年生で準決勝に進む(女子100メートルハードル、男子110メートルハードル)
女子100メートルハードル、男子110メートルハードルどちらも関東インカレと同じ顔ぶれの選手が登場。女子100メートルハードルでは、松田晏奈(スポ2=長崎日大)が関東インカレに続いて入賞を果たす。男子110メートルでは、相場遥心(スポ1=長野・佐久長聖)が準決勝に進むなど、全国の大学生相手に堂々たる走りを見せた。

レースに臨むイベル
大会初日、午前中の曇り空から晴れ間が広がってきた頃、女子100メートルハードルの予選がスタート。早大からは、3組目に松田、5組目に谷中天架(スポ2=大分雄城台)、イベル聖羅(商3=京都橘)の3人が登場した。予選1組目の松田はスタートから飛び出し、3台目のハードルを越えたところでトップに立つ。松田は勢いそのままに、1着でフィニッシュ。タイムも13秒73と危なげなく準決勝進出を決めた。予選2組目は混戦の展開となった中、谷中は序盤から鮮やかなハードリングを見せる。谷中はゴール手前で混戦から抜け出し、3着でゴール。順位での準決勝進出を果たした。予選3組目のイベルはスタートからハードルの5台目を越えるまで先頭争いに食らいついていたが、他の選手のラストスパートについていけず、惜しくも4着となった。

ハードルを越える谷中
小雨が降りしきる中、大会2日目に開催された準決勝2組に谷中が登場した。レース序盤は谷中を含む7人が横並びとなる接戦に。しかし、中盤以降に井上凪紗(青学大)や中村真琴(日体大)らの力のある選手たちが一気に加速。谷中も必死に食らいつくが、追いつくことができず、組8着という結果に終わった。準決勝3組に登場した松田は見事なスタートダッシュを決め、2台目のハードルを越えたところで首位に躍り出ると、他の選手をぐんぐん引き離していく。ハードルを10台飛び越えたところで小寺彩貴(順大)にかわされたものの、2着でフィニッシュ。向かい風が吹いていた中で、13秒64の好タイムで決勝の切符を手にした。

ハードルを越える松田
猛威を振るう雨天の中、女子100メートルハードルの決勝が幕を開けた。松田は選手紹介でWポーズをし、笑顔で決勝を迎えた。松田は勢いよくスタートしたが、関東インカレで同種目の優勝者である髙橋亜珠(筑波大)、準決勝でもしのぎを削った小寺らに先行されてしまう。松田も巧みなハードルさばきでハードルを越えていくが、先頭との距離を詰めることができずに、13秒92のタイムで7位となる。決勝は松田を含めた13秒台が7人というハイレベルな争いとなった。
雨が強まる中で行われた女子100メートルハードル。特に、松田はタフな環境となった決勝の舞台でも懸命な走りを見せた。谷中、イベルも全国の大学生と争い、現在地を確認した今大会。スピードを磨き、ハードルを越え、それぞれの目標へと突き進む。

ハードルを越える酒井
男子110メートルハードルの予選1組には酒井が登場。スタートから勢いよく飛び出し、ハードルを越えていったが、ゴールライン手前でスパートをかけきれずに失速してしまい、5着でのフィニッシュとなった。予選2組目は前半から混戦の展開となり、相場は中盤以降での抜け出しを図ったが、ほぼ横一線のまま4着でゴール。14秒12のタイムをマークし、準決勝進出を決めた。

ハードルを越える相場
相場は準決勝2組目に登場した。同組には古賀ジェレミー(順大)など実力者たちが集結。スタート前には深呼吸をし、集中力を高めた相場は好スタートを決める。だが、古賀ら実力者たちのスピードについていくことができずに、8着でゴールした。
1年生2人が日本インカレに挑んだ、男子110メートルハードル。本大会で優勝した同学年の古賀など、全国の実力者たちとの差を感じさせられた2人は、この経験を糧にさらなる進化を遂げてくれるだろう。
(記事 永尾早渡、写真 川田真央、田邉桃子)
★関口、水野が準決勝進出も決勝には届かず(男子100メートル)
男子100メートルには、関口裕太主将(スポ4=東京学館新潟)、由井響(スポ4=山梨・都留)、水野琉之介(スポ3=北海道・立命館慶祥)が出場。今季飛躍を遂げた水野を筆頭に3人での決勝進出を目指したが、由井は予選敗退、関口と水野は準決勝敗退となり悔しさが残る結果となった。

レースに臨む由井
初日の昼に行われた予選。2組に登場した由井は、スタート時につまずき、序盤から遅れをとってしまう。そのまま他の選手の加速についていくことができず、5着となった。続く関口は仲間からの力強い声援を背に受けてスタートすると、中盤までほとんど横一線の接戦を繰り広げる。後半やや伸びを欠き4着でフィニッシュしたが、タイムで拾われ準決勝進出を決めた。6組の水野はスタートダッシュを決めると、強みとする中盤からの加速を見せ他の選手を引き離し、見事トップでゴール。関口と共に準決勝に駒を進めた。

予選を通過した水野
同日に行われた準決勝。2組に登場した関口は好スタートを決めるが、予選と同様に50メートル付近まで横並びの状態が続く。しかし大石凌功(東洋大)、山本匠真(広島大)らのラストスパートで距離をつけられるかたちとなり、6着に終わった。また、3組に出場した水野はスタートで出遅れる厳しい展開に。中盤から巻き返したいところであったが、西岡尚輝(筑波大)、黒木海翔(中大)に先着を許し3着。タイムでの決勝進出も逃し、決勝に進むことはできなかった。

レースを走る関口
目標であった決勝には届かなかったものの、おのおのが意地の走りを見せた男子100メートル。関口と由井にとっては今大会が最後の日本インカレであったが、水野にはもう1回戦うチャンスが残されている。次の舞台では、さらなる高みへ。彼らはここからまた走り出す。
(記事 田邉桃子、写真 石本遥希、田邉桃子)
★山本が準決勝で自己記録を大幅更新し7位入賞!(女子400メートル)
4年生の意地ーー。これをまさに体現したのは、山本真菜(スポ4=三重・伊勢)であった。山本の同級生で女子主将である上島周子(スポ4=東京・富士)や、関東インカレで共に入賞を果たした木下晏里(商2=徳島文理)が予選で敗退する中、山本は準決勝で渾身(こんしん)の走りを見せ、自己記録を更新。翌日の決勝は、苦しい展開となったが、7位入賞を果たした。

レースに臨む上島
女子400メートル予選1組には、上島が姿を見せた。上島は、日本学生個人選手権でハムストリングスの肉離れを発症し、苦しい前半シーズンを過ごした。ケガを乗り越え、最後の日本インカレで有終の美を飾るため、スタートから勢いよく飛び出した。積極的な走りで勢いに乗り、先頭との差を縮め、ホームストレートへ。準決勝へ進出するため、懸命な走りを見せるも、及ばず6着。決して納得のいくようなレースではなかったかもしれないが、女子主将として魂のこもった走りを貫いた。

レースを走る木下
予選5組に出場したのは、山本。昨季思うようなシーズンを送れなかった山本であったが、関東インカレに続き予選から好走を見せた。スタートして間も無くトップスピードに乗り、100メートル付近で先頭に躍り出る。調子の良さをうかがわせる軽やかな走りで、最後の直線へ。ラストは青木アリエ(日体大)に先着を許すも、2着で準決勝へと駒を進めた。一方、予選7組に出場した木下は、混戦の中で準決勝進出が可能となる3着以内を目指すも、あと一歩及ばず4着。関東インカレに続いての入賞とはならなかった。

決勝のレースに臨む山本
予選と同日に行われた準決勝。女子総合3位獲得に向け、何としてでも決勝進出を果たしたい山本は、予選を上回る攻めの走りを見せる。号砲とともに猛烈な勢いで走り出し、逃げ切りを図った。前半から自己記録を上回る走りを披露するも、ホームストレートで斎藤朱里(立命大)ら有力選手が猛追を見せる。斎藤との激しい2位争いには敗れたものの、54秒84で自己記録を大幅に更新。タイムで拾われ、見事決勝進出を果たした。

決勝のレースを走る山本
勝負の決勝は、大会2日目に開催された。激しく雨が降りしきる中、チームの期待を背負った山本は、2レーンでのスタートとなった。3レーンの選手が欠場し、レースメイクが難しい展開となるが、山本はとにかく前へ突き進む。1点でも多くチームに得点を持って帰るために、顔をしかめながら懸命に前を追う。ホームストレートで先行するライバルたちに追いつくことはできなかったが、7位入賞。チームに大きく貢献した。
昨年苦しんだ山本が見せた4年生としての意地。山本が今大会で見せた気迫あふれる走りは、間違いなく大会後半の種目に出場する選手たちに勢いをもたらしたであろう。次は、国立(国立競技場)の地で頂点へ。日本選手権リレーでの大いなる飛躍を誓う。
(記事 石本遥希、写真 石本遥希、田邉桃子)
★副将森田が最後の日本インカレに挑む(男子400メートル)
4年間で一番思い出に残っているレースは「昨年の日本インカレ」。今大会前の対談でそのように語った森田陽樹(創理4=埼玉・早大本庄)は、今年も表彰台に上がるため、膝裏のケガを克服し、最後の日本インカレに挑んだ。

レースに臨む権田
男子400メートル予選4組に出場した権田浬(スポ3=千葉・佐倉)もまた、森田同様今シーズンはケガに苦しんだ。関東インカレはケガの影響もあり、「何もできず悔しい結果」に終わった。日本インカレは、チャレンジ精神を持って戦うと誓った権田は、8レーンからスタート。好スタートを決め、バックストレート中盤で前を走る選手をかわす。最終コーナーを抜け、6レーンを走る服部悠(日体大)と激しい3着争いを繰り広げる。ゴール直前まで競り合うかたちとなったが、執念のトルソーを見せ3着でゴール。準決勝進出となった。一方、森田は予選6組でのレースに。前半は落ち着いたレース運びを見せ、後半での追い上げを図る。最終コーナー手前でトップに立つと、勢いそのままに組トップを獲得。権田と共に準決勝進出を果たした。

スタンドからの声援に応える森田
迎えた準決勝。先に姿を現したのは、権田であった。準決勝2組でのレースとなった権田は、前半を抑え気味に入り、後半勝負へ。しかし、レース後半でタイムを上げ切ることができず、組6着。決勝進出を逃した。予選最終組での登場となった森田。前半シーズンからさらに引き締まった体からは、闘志がみなぎっていた。スタートからものすごいスピードで走り出した森田は、攻めの走りを展開し、決勝進出に向け、一心不乱に走る。仲間のすさまじい声援が険しい表情を見せる森田の背中を押す。森田もそれに応えるようにもがくような走りでタイムを必死に削りだす。最後の最後まで力を絞り出した森田は、3着でのフィニッシュ。タイムでの決勝進出に、望みを託したが、あと約0・2秒及ばず。悔しさの残る準決勝敗退となった。

レースを走る森田
下級生の頃から早大短長ブロックを支え続けてきた森田。エンジを背負い続けた副将の400メートルの物語は幕を閉じた。ただ、チームとしてのリベンジの機会はまだ残されている。日本選手権リレーでこの雪辱を果たすため、力を振り絞り最後の戦いへと向かっていく。
(記事 石本遥希、写真 石本遥希、田邉桃子)
★豪雨の中、3位表彰台を獲得!(男子4×100メートルリレー)
男子4×100メートルリレー(4継)には、髙須楓翔(スポ4=千葉・成田)、水野琉之介(スポ3=北海道・立命館慶祥)、由井響(スポ4=山梨・都留)、関口裕太主将(スポ4=東京学館新潟)が登場。昨年の日本インカレ、今年の関東インカレはともに2着と、悔しさを味わってきた。2年ぶりの日本一を目指し挑んだ早大は、タイムで予選を突破。決勝では惜しくも3位に終わったが、チームに得点を持ち帰った。

関口(写真手前)にバトンを渡す由井
予選は髙須、水野、由井、関口のオーダーで臨んだ。1走の髙須は安定したスタートを決め、水野にバトンパス。水野は爆発的な加速力を見せ、自慢の俊足で順位を押し上げる。バトンを受けた3走の由井も位置を上げ、東洋大に次ぐ2位でアンカーの主将関口へ。関口も懸命な追い上げを見せたものの、惜しくも東洋大には届かず2位でフィニッシュ。着順では決勝進出を逃したものの、39秒13のタイムで拾われて決勝へ駒を進めた。

決勝のレースに臨む髙須
決勝は2日目の夜、強い雨が降りしきる中で行われた。予選と同じオーダーで決勝の舞台に立った早大。髙須が好スタートを決め、良い位置でバトンを渡す。2走の水野も、後続を寄せつけることなく逃げていく。3走の由井にバトンが渡ると、中大がじわじわと由井に迫る。中大とほぼ同時にバトンパスをするも、東洋大が驚異のスパートを見せ、4走の関口に差をつけていく。関口は懸命に食らいつくも、中大にもかわされてしまい、3位でフィニッシュした。

3位を獲得し、笑顔を見せる4人(写真左から関口、由井、水野、髙須)
優勝には届かなかったが、それぞれが力を発揮し6点を持ち帰った4継勢。しかし、彼らが目指すのは日本一だ。1カ月後に控える日本選手権リレーで、この悔しさを晴らせるか。彼らの挑戦は終わらない。
(記事 川田真央、写真 石本遥希、田邉桃子)
男子結果
▽男子100メートル
予選(7組3着+3)
2組(+0・1)
由井響 10秒66(5着)
3組(ー1・9)
関口裕太 10秒56(4着)準決勝進出
6組(ー0・4)
水野琉之介 10秒50(1着)準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
2組(+0・3)
関口裕太 10秒39(6着)
3組(+0・6)
水野琉之介 10秒34(3着)
▽男子400メートル
予選(7組3着+3)
4組
権田浬 46秒88(3着)準決勝進出
6組
森田陽樹 46秒81(1着)準決勝進出
準決勝(3組2着+2)
2組
権田浬 47秒14(6着)
3組
森田陽樹 46秒55(3着)
▽男子1500メートル
予選(3組4着+3)
2組
岩下和史 3分45秒21 (2着)決勝進出
決勝
岩下和史 3分48秒85(8着)
▽男子110メートルハードル
予選(5組3着+1)
1組(ー0・1)
酒井大輔 14秒49(5着)
2組(+0・7)
相場遥心 14秒12(4着)準決勝進出
3組
濱崎秀馬 DNS
準決勝(2組3着+2)
2組(-0・8)
相場遥心 14秒46(8着)
▽男子5000メートル競歩
決勝
高橋優喜 18分57秒43(6着)自己新 早大新
▽男子4×100メートルリレー
予選(5組1着+3)
3組
早大(髙須-水野-由井-関口) 39秒13(2着)決勝進出
決勝
早大(髙須-水野-由井-関口) 39秒24(3着)
▽男子やり投
決勝
髙木敬太 67メートル08(16等)
女子結果
▽女子400メートル
予選(7組3着+3)
1組
上島周子 56秒56(6着)
5組
山本真菜 55秒73(2着)準決勝進出
7着
木下晏里 56秒66(4着)
準決勝(3組2着+2)
3組
山本真菜 54秒84(3着)決勝進出 自己新
決勝
山本真菜 56秒06(7着)
▽女子1500メートル
予選(3組4着+3)
3組
始関千華 4分27秒08(1着)決勝進出 自己新
決勝
始関千華 4分23秒73(10着)自己新 早大新
▽女子100メートルハードル
予選(7組3着+3)
1組(ー0・7)
松田晏奈 13秒73(1着)準決勝進出
2組(ー1・3)
谷中天架 14秒01(3着)準決勝進出
3組(ー0・6)
イベル聖羅 14秒09(4着)
準決勝(3組2着+2)
2組(+0・6)
谷中天架 14秒42(8着)
3組(-0・7)
松田晏奈 13秒64(2着)決勝進出
決勝(-0・9)
松田晏奈 13秒92(7着)
▽女子5000メートル競歩
決勝
中島橙子 21分44秒85(2着)自己新 早大新
広瀬夏希 22分51秒61(12着)自己新
金野真綾 23分31秒73(18着)
▽女子4×100メートルリレー
予選(5組1着+3)
1組
早大 DNS
▽女子走高跳
決勝
矢野夏希 1メートル84(1等)自己新 早大新
星野紗菜 NM
▽女子やり投
決勝
松永成美 43メートル33(21等)
コメント
矢野夏希(スポ4=愛知・時習館)
ーー今日の跳躍を振り返っていかがでしたか
自己記録と早稲田記録を更新し、2年ぶりに王座奪還ができたので、納得の跳躍ができたと思います。
ーー自己記録更新と早稲田記録の更新について、今の率直な気持ちを教えてください
めちゃくちゃ嬉しいです(笑)。
ーー1メートル84に挑んだ時の心境を教えてください
(1メートル)81センチを跳んだ時点で優勝は決まっていましたが、早稲田記録が仲野春花(平31卒=福岡・中村学園女子)さんの持っている(1メートル)83センチでしたので、(その高さまでを)順調に行って、今日は絶対(1メートル)84センチの高さを跳ぶと集中していました。
ーー競技の序盤は関東学生対校選手権(関東インカレ)のような寒さでしたが、寒さ対策などはされていましたか
めちゃくちゃしていました(笑)。具体的にはベンチコートにカイロを多く貼りました。関東インカレでは低温に対応できず失敗してしまいましたが、今回は同じく気温が低い曇り空だったものの、その対策が功を奏したと思います。
ーー最後に今後の目標などがあれば教えていただきたいです
今は何も考えていませんが、84センチの次に今シーズンの日本人女子最高記録の(1メートル)87センチに向けて頑張っていました。今回は跳べなかったですが、今後は87センチとは言わず、(1メートル)90センチを狙って頑張っていきたいと思います。
中島橙子(スポ3=群馬・前橋女)
ーー調子やコンディションはいかがでしたか
ジストニアを発症してしまい、ぬけぬけ病で足に力が入らない状態で、部活を1カ月ほど休部していました。10日前ぐらいから(競技に)復帰したので、余裕はありませんでしたが、逆にあまり期待されていないからこそ、ここで勝ったらかっこいいなという気持ちだけは強くて、メンタルの調子はとても良かったです。
ーー徐々に先頭集団の人数が絞られていきましたが、その時の心境はいかがでしたか
練習を積めていませんでしたが、優勝しようと決めていたので、どちらかと言えば、(先頭集団に)何人残ってるかというよりも、絶対に自分が先頭集団に居たいという気持ちが強かったです。
ーーラスト1000メートルでペースが上がって、堀伊吹(新潟食農大)と一騎打ちになりましたが、どのようなことを考えていましたか
相手が世界でも活躍している選手であると分かっていたので、ラスト100メートルまではとにかく絶対に離れないように、気持ちだけで歩いていました。
ーー関東インカレに引き続き、自己記録を更新しての準優勝でしたが、その点について今のお気持ちを教えてください
悔しいという思いが一番強いです。全国大会などでも2位や3位には入れますが、まだ勝ち切れたことがないので、そこは自分に何かが足りなかったのだと感じています。
ーー今後の目標を教えてください
トラックシーズンに関しては、国スポ(国民スポーツ大会)があるので、国スポの1万メートル競歩で44分台を出したいです。ロードでは日本選手権が大きな大会なので、日本選手権で(FISU)ワールドユニバーシティゲームズの出場権を獲得して、世界大会に初出場できるように頑張りたいと思います。