【連載】競走部 東京箱根間往復大学駅伝(箱根)前特集 『UPSET』 第16回 和田悠都

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 学業を理由にせず、4年間愚直に練習を積み重ねた和田悠都(先理4=東京・早実)。ついに、悲願のエントリー入りを果たした。幼少期から憧れ続けた東京箱根間往復大学駅伝(箱根)出走を目前に控える今、今シーズンの振り返りと募る箱根への思いを伺った。

※この取材は12月13日にオンラインで行われたものです。

「もう少し良い記録が出せた」トラックシーズン

日体大競技会1万メートルを走る和田

――最高学年で迎えたシーズンですが、どのような思いで1年をスタートさせましたか

 前回の箱根ではエントリーから外れてしまったので、次こそは絶対に出場したいという思いでスタートさせました。

――最高学年としてチーム内でどのような役割を担っていこうと思っていましたか

  率先して前で引っ張るなど、練習の際はお手本となる選手をこの1年間目指してきました。

――チームの雰囲気を良くするために、後輩の方と積極的にコミュニケーションをとったりしましたか

 それは積極的に行っていました。関わりが少ない後輩とも何かしら話をしようとは思っていました。

――理工学部であるということを言い訳にしたくないと部員日記でおっしゃっていました。4年間を振り返って一番競技との両立が大変な時期はいつでしたか

 部内の仕事もあり、授業数が多かったので1年生のときが一番大変でした。

――まずは春シーズンについてお伺いします。トラックシーズンでの目標をお聞かせください

 5000メートルでは14分1桁台のタイムを、1万メートルでは28分台を目標にしました。また、関東インカレ(関東学生対校選手権)出場も目標にしました。

――4月の日体大記録会で1万メートルの自己記録を更新されましたが、練習を積む中で手応えはありましたか

 その前の記録会で3000メートルと5000メートルの自己記録を更新していたので、手応えはありました。なので、もう少し良い記録を出せれば良かったなと思いました。

――次の早大競技会でも目標通り、5000メートルの自己記録を更新しましたが、振り返っていかがですか

 やはりもう少し良い記録を出せたかなという思いはありました。しかしベースの力が上がって、安定感が出てきたかなと思いました。

――トラックシーズンで得た課題や収穫はありましたか

 収穫は1キロあたり2分50秒前後のペースへの壁がなくなってきたことです。一方で、ラストで勝ちきれなかったことやスピード面が課題だったなと思います。

――次に、夏合宿以降についてお伺いします。夏合宿ではどんなことを重点的に練習されましたか

 例年以上に走りこもうとは意識していました。走りこむ中でも特にロングインターバルなどの強度の強い練習をしっかりこなしていこうと意識していました。

――練習の消化率はどのくらいでしたか

 9割ほどでした。

――夏合宿以降のコンディションはいかがですか

 9月、10月は夏合宿の疲労が取れず、あまりコンディションが上がらない状態が続きました。今も若干コンディションは上がりきっていないのですが、徐々に良くなっていると思います。

「最初で最後のエンジ」

箱根前合同取材で意気込みを語る和田

――次に駅伝シーズンについてお伺いします。駅伝シーズンに入ってからの競走部内の雰囲気はいかがですか

 いよいよ始まったなという感じはあります。4年生に関しては、僕も含めて最後だなと感じています。主力となる下級生は、出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)、全日本(全日本大学駅伝対校選手権)と下級生の活躍が目立ったこともあって頼もしく感じます。

――全日本では16人に選ばれたものの、続く13人のエントリーには選ばれませんでした。振り返っていかがですか

 記録会でのタイムが良くなかったので、順当な結果だと思いました。悔しい気持ちはありましたが、13人に選ばれなかったことで次の箱根に向けて早めに切り替えられました。

――チームとして出雲は6位、全日本は5位という結果に終わりましたが、選ばれなかった中でチームとしての結果はどのようにとらえていますか

 戦えなかったという悔しい思いはあります。総合3位以内を目標にしている以上、走っている選手はもちろん、僕もこの結果は悔しかったです。

――続いて箱根に向けてお伺いします。初のエントリー入りということで率直な感想を教えてください

 少しドキドキはしていましたが、初めて入れたので素直にうれしいです。

――長らくレースには出られていないですが、練習のできや達成度としてはいかがですか

 練習はぼちぼちできている感じです。状態はあまり良くないのですが、11月はつらい時期もあったので、そこと比べると上がってきていると思います。

――箱根に出走する上での強みはありますか

 あまり強みはないですが、4年生として最後のレースになるので意地は見せられると思います。

――幼少期から抱いていた箱根への思いはありますか

 昔から箱根駅伝は毎年見ていました。高校で早実に入ったのも早大で駅伝を走るというのを目標にしていたので、そういう面では箱根を走りたいという思いは強いと思います。

――石塚陽士選手(教4=東京・早実)とは7年の付き合いになりますが、エントリーメンバーに選ばれてから、何か一言ありましたか

 特になかったですね(笑)。

――箱根で走りたい区間はありますか

 上りが得意だと思うので、上りがある区間では勝負ができると思います。

――出走することになったら、個人としての目標はありますか

 チームとしての目標が総合3位以内なので、それを考えると区間5位以内が目標になってくると思います。

――箱根を走っている姿を見せたい方はいらっしゃいますか

 4年間支えてきてくれた家族に一番見せたいです。精神的につらい時期も家族に助けてもらったので、恩返しができる走りが見せられたらなと思います。

――最後にはなりますが、箱根に向けて意気込みを教えてください

 最初で最後の箱根駅伝、最初で最後のエンジのユニホームを着ることになるので、4年生として、意地のある最後まで諦めない走りができたらなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 牧咲良)

◆和田悠都(わだ・ゆうと)

2002(平14)年9月14日生まれ。162センチ。東京・早実高出身。先進理工学部4年。特技は野球モノマネ。しかし、ほとんど披露したことはないと恥ずかしそうに語った和田選手。プロ野球は横浜ベイスターズが好きで、最近は牧選手のモノマネを練習しているそうです。