秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)優勝から一夜明け、天皇杯全日本選手権(天皇杯)の関東ブロックラウンドに出場した。この大会で関東代表の座を勝ち取ることによって、12月中旬から行われる天皇杯ファイナルラウンドに駒を進め、V.LEAGUE1(旧V・プレミアリーグ)に所属するチームなどと日本一の座を懸けて対戦する。早大は、初戦でライフバル千葉、次戦で東海大と対戦。試合中盤まで一進一退の攻防が続く接戦となったものの、ライフバル千葉にセットカウント2-0(25-21、25-17)で勝利。続いて行われた東海大戦ではブロックポイントを量産し、東海大を圧倒。セットカウント2-0(25-14、25-15)で勝利し、3年ぶりとなる天皇杯ファイナルラウンドへの進出が決定した。
★ライフバル千葉にストレートで快勝!
初戦の相手は初対戦となるライフバル千葉。第1セットは宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)のスパイクなどが決まり、3連続得点を取り試合が始まる。ところが、逆に相手のスパイクやブロックも決まり、なかなか点数をリードできない早大。9-10と一時はリードを許される展開となる。直後、武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)や鵜野幸也(スポ4=東京・早実)が観客席に届くほどの強烈なスパイクを相次いで決め、早大も流れに乗り始めた。4連続得点などを取り、差を着実に広げていく。途中出場の上條レイモンド(スポ1=千葉・習志野)がフェイントを決める場面もあった。このままリードを保ち、25-21で第1セットを先取することに成功。続く第2セットで光ったのは村山豪(スポ2=東京・駿台学園)のブロックだ。第1セットではブロックミスもあり、「まだブロックには課題がある」と語る村山だったが、第2セットでは3点をブロックで取る活躍で、ライフバル千葉との点差をどんどん広げていく。さらには武藤のクイックや、藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)のブロックが決まる。「第2セットは楽にできた」と村山が振り返るように終始スムーズに試合を運んだ。最後は3連続得点を取り試合終了。結局、早大は25-17でこのセットを取り、ストレートで勝利した。
トスを上げる小林(左)とスパイクを打つ武藤
試合こそストレートで勝利したものの、サーブミスや、ブロックミスなど、自分たちのミスが目立った試合でもあった。しかし「敗戦してから、みんなの気持ちが1つになってチームの雰囲気が良くなった」と村山が語るようにチームの雰囲気がとても良い。点を取った時はコートを選手たちが駆け回り喜び、チーム内で声をしっかり掛け合う姿を見せ、次戦へ向け弾みをつけた。
(記事 萩原怜那、写真 松谷果林)
セットカウント | ||||
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早大 | 2 | 25-21 25-17 |
0 | ライフバル千葉 |
レフト 藤中優斗(スポ4=山口・宇部商) レフト 鵜野幸也(スポ4=東京・早実) センター 武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園) センター 村山豪(スポ2=東京・駿台学園) ライト 宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西) セッター 小林光輝(スポ4=長野・創造学園) リベロ 村本涼平(法3=京都・洛南) |
★ブロックポイントを量産して東海大に勝利!
続く関東A代表決定戦では東海大と対戦した。秋季リーグ戦ではフルセットまでもつれ込む激戦を見せた相手だが、今回は早大が1枚上手だった。筑波大戦同様に宮浦のスパイクや村山のブロックで6-3といきなりの4連続得点で流れに乗る。11-7とリードを4点に広げると、今度は藤中のサーブから東海大のスパイクを2本仕留めて14-7とダブルスコアに。東海大の速いスパイクにも正確な位置取りのブロックでワンタッチをかけ、コートの穴をねらったスパイクという切り返しでブレークポイントを量産。特に19点目は激しいラリーとなるも、小林光輝副将(スポ4=長野・創造学園)の速いレフトへのトスから、東海大に守備隊形に戻らせる暇もなく鵜野がスパイクを決め、ベンチもコートも一気に盛り上がった。2点目以降東海大に1度もブレークを許さずに25-14で第1セットを先取すると、続く第2セットも早大ペース。1-2の場面から鵜野、宮浦、村山のスパイクや相手のスパイクミスなどで5連続得点で6-2と大幅なリードを奪ってすぐに東海大にタイムアウトを取らせた。序盤はクロスにスパイクを打ち込んでいた宮浦がストレートコースにも打つようになり、東海大のブロックを翻弄(ほんろう)した。さらに、何度もスパイクを決めている村山に東海大のブロックを引きつけ、バックセンターから鵜野がバックアタックを決め、攻撃を読ませない。試合終盤は小林のサーブから6連続得点で一気に10点差をつけ24-14。ここで第1試合同様、宮浦に代わり中野博貴(教4=東京・早実)がコートへ。小林が中野へとトスを上げると中野がきっちり25点目をスパイクで獲得。25-15と大差でこのセットも獲得し、天皇杯ファイナルラウンドへの切符を手に入れた。
中野の活躍でコートに笑顔があふれた
東海大のエース新井雄大(2年)の不在もあったが、3セットマッチのなかでブロックポイントを12本決められたことは非常に価値のあることだ。「(秋季リーグ戦での)筑波大との試合や今回の東海大との試合は今年の中でもベストゲーム」と松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)が振り返るように、早大は確実に強くなっている。全カレまであと約1カ月。このチームで最高の結果を見せるため、きょうも練習に励んでいる。
(記事、写真 松谷果林)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 2 | 25-14 25-15 |
0 | 東海大 |
スタメン | ||||
レフト 藤中優斗(スポ4=山口・宇部商) レフト 鵜野幸也(スポ4=東京・早実) センター 武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園) センター 村山豪(スポ2=東京・駿台学園) ライト 宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西) セッター 小林光輝(スポ4=長野・創造学園) リベロ 村本涼平(法3=京都・洛南) |
コメント
松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)
――敗戦からの4試合はとても良い試合ができているように感じます
そうですね、あの負けてしまった試合は僕も含めてやるべきことができていませんでした。ひとつは負けて重荷が下りたということで、自分たちの良さを追求しよう、というバレーボールができていたので非常に良かったです。ですから、きのうの(秋季リーグ戦の)筑波大戦、そしてきょうの東海大戦はことしのベストゲームと言えるぐらい、とてもいい試合ができていたのではないかと思います。
――きょうの初戦の入りについては
違う大会の初日というのはどうしても慣れないところがあるので、少し上手くいかなかったところがあったかなとは思いますね。緊張、というよりかは体育館に慣れていないだとか、そういった部分も大きかったと思います。
――選手の皆さんの調子については
間違いなく上がってきていると思います。みんな本当によく頑張っているなと感じています。
――あえて全日本大学選手権(全日本インカレ)までに向けた酒精店を挙げるとすれば
1つはサーブレシーブの精度、そしてもう1つはブロックですね。ブロックが機能してくると抜けてきたボールは拾えると思っています。そこだけ確認していきたいですね。また、最後に得点を取るのは攻撃なので、そこの精度もしっかり上げていきたいと思っています。
――秋季リーグ戦全体の総括をしていただけますか
やっぱり4年生の頑張りが良く目立っていました。特に負けてからは、自分たちらしさが良く出てきていましたね。これが本来の姿であると思いますし、春リーグ(春季関東大学リーグ戦)に近い形になってきました。後半戦の順大、中大、筑波大、東海大とこの良さを出していけたことで良い試合ができていたと思います。
鵜野幸也(スポ4=東京・早実)
――初戦の緊張などは
きのうときょうで会場も大会も違って少しやりづらい部分はありましたね。きのうは優勝でかたちで終わったので、気持ち的にも少し作りづらい部分もあって、少し上手くいかなかったです。徐々に慣れていって、自分たちの形を出すことができました。
――第2試合でのブロックシステムについて
エースがいなかったぶん他の所にマークを厚くすることができたかなと思っています。それがブロックでうまく出せました。レフトやセンターへのブロック自分もヘルプとして参加できました。
――全日本インカレに向けて
自分たちの中で劣勢の時に我に返れていない、というか。自分たちのバレーボールができないということがあります。それに気づくのがちょっと遅いのでまずはそういった部分をもう少し修正したいですね。
村山豪(スポ2=東京・駿台学園)
――今日の試合を振り返ってみて
昨日のリーグで優勝して嬉しい気持ちもありましたが、天皇杯に出る気持ちに切り替えて良い試合ができたかなと思います。
―どのような気持ちで試合に臨みましたか
色々な人から楽にやりなさいと言われたので2セット目からは楽にできたかなと思います。
――ブロックでたくさん点を取れている印象を受けました。ご自身のプレーを振り返ってみてどう思いますか
まだまだブロックは課題がたくさんあるので良いとは言えないですが、ブロックで少しでもチームに貢献できれば良いなといつも思っているので頑張りたいです。
――一度敗戦してからチームの雰囲気が良くなっているように感じたのですがチームの雰囲気はいかがですか
1回日体大に負けて、そこから全カレで1位を取るという目標をもう1回みんなで意識して、まずは秋リーグを優勝しようという目標を持ってやっていたので、そこでみんなの気持ちが1つになって良い雰囲気になったと思います。
――最後に全カレまで1ヶ月ちょっとです。修正点などあれば教えて下さい。
まずはここで一区切りなのでしっかり休みたいです。またもう1回全日本インカレで日本一を取るということを常に練習からイメージしながら残り1ヶ月しかないですが、しっかりやりきりたいと思います。