【連載】早慶定期戦直前特集 第5回 藤中優斗主将×伊藤祥樹主将

男子バレーボール

 早慶定期戦(早慶戦)、トリを飾るのは男子主将対談。早大からは藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)、慶大からは伊藤祥樹主将(総4=大阪・清風)に話を伺った。主将としてチームをまとめる立場になって春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)が始まり、どんな苦労を感じたのか。そして最後の早慶戦にかける思いとは。チームのために様々なことを考えている両主将にご注目ください!

※この取材は4月14日に慶応スポーツ新聞会と合同で行われたものです。

お互いの面識

――もともと面識はありますか

藤中 お互い知っていますが、話したことは・・・

伊藤 話したことはないですね。

――それぞれの大学に知り合いはいらっしゃいますか

伊藤 小林光輝(スポ4=長野・創造学園)とはドリームマッチで一緒のチームだったので知り合いです。

――お話はされますか

伊藤 会ったら挨拶くらいはしますが、とくにめちゃめちゃ仲がいい、というわけではないですね(笑)。

――それぞれ早大・慶大に進学した理由を教えてください

伊藤 僕は学生主体でやっているというのに魅力を感じたのと、勉強も頑張りたいという風に思っていたので、両立できる慶大を選びました。

藤中 僕は、監督から声を掛けてもらって行きたいなって思ったのと、1個上の喜入さん(祥充、平30スポ卒=現サントリーサンバーズ)とか憧れの先輩とかがいたので、その人たちと一緒にやってみたいなという思いもあって、入学を決めました。

――それぞれ部活の特徴はどのようなところでしょうか

伊藤 慶大は、先生が何も言ってこないっていうところもそうですけど、自分たちで考えて練習に取り組むっていうところが特徴だと思います。

藤中 僕らも学生主体ということで取り組んでいて、僕ら4年生中心に練習メニューとか全部考えて。松井さん(平3人卒=千葉・八千代)があんまり来られないときが多いので、それでも自分たちでやってっていう感じで。とりあえず全体で仲が良いです。

伊藤 松井さん、来ないんだ。

藤中 あんまり。学校始まったらもう火曜日は会議で来られないとか、水・木・金はちょっと来れるとか。木曜日は絶対来れる。結構忙しくて。

伊藤 へー。松井さんって教授?

藤中 准教授だったと思います。

チームをうまく回すことについて

――主将に就任されたのはいつごろでしょうか

藤中 全カレ(全日本大学選手権)が終わってからすぐですね。

伊藤 (慶大も)そうですね。

――どのような経緯で

藤中 同期の話し合いでした。僕とかじゃなくて光輝(小林)とかでも全然できるんですけど、色々同期と話し合って、僕になって・・・。頑張っていこうと思いました(笑)。

伊藤 僕は、OB会と監督(宗雲健司監督、昭62日体大卒)が決めました。

――いつごろから「主将」や「最上級生」を意識し始めましたか

伊藤 僕はずっと入学してきてから、このチームの在り方とかについて、自分なりに変えてみたいと思っていて。4年生になったら絶対に変えてやろうって。3年生からもそうですけど、変えてやろうっていう気持ちはすごいあって。そこから、後輩たちや同期にアプローチしてっていう感じでしたね。

藤中 1年のときは自分の仕事でいっぱいいっぱいで、2年のときは1年生を見るっていう感じで、3年生になってから4年生の手助けっていうか、下も見るけど上と一緒に頑張っていこうって。僕らのスタイルでもあるので、3年生になったときに、4年生と一緒に、来年僕たちの代だからっていうので、ちょっと準備とかしていこうと思っていました。

――実際に主将として春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)を戦ってみて

藤中 チームを上手く回すことや声掛けなどをより意識するようになりました。チームのことをしっかり見ていかないといけないですが、自分のプレーもしっかりやらないといけない。それから、負けたり上手く回らなかったりすると責任を感じてしまうので、そういったところがちょっと大変かな。

伊藤 逆に、今僕はコートに入っていないので、外からサポートできる範囲が限られていて、コートの中でどういう風に彼らが主体的に動けるかというのをサポートすることが大変ですね。

――やりがいを感じるときはどのようなときでしょうか

伊藤 新しく色々な仕事を割り振ってみて、コートの中の人間もコートの外の人間もみんなが自分の責任を果たそうとしている姿を見ると、やりがいを感じますね。ただ、(春季)リーグ戦が始まってからは、やっぱり上手くいかないことが多くて、そこに対しては責任も感じています。

藤中 雰囲気が悪いときでも、上手く練習メニューを考えてチームが円滑に回るようにということを、僕ら4年生が主体となって考えていかなくてはいけない。チームが上手く回らなかったら、ということを3年生までは全く考えていなかったので、そういうことを任されたときに、やりがいを感じます。

――主将としてのモットーは

伊藤 僕は「個性を活かすこと」を大事にしています。色々な部員がいて、色々な価値観の人がいて、それを一つの部としての方針で押さえつけてしまうのはもったいないので、1年生であろうが4年生であろうが、発信し続ける姿勢は大事だと思いますし、その中で良い意見を採用するというのは、学年問わずやってきていることなので、個性を活かすということを僕は大事にしています。

藤中 僕自身がガツガツ言うタイプではないので、みんなの意見を尊重するようにしています。「4年生が絶対」みたいなところはありますが、下の意見もしっかり聞く、独りよがりにならないようにチームをしっかり見る、ということを自分の中で大事にしています。

――同じ主将という立場で、お互いに聞いてみたいことは

伊藤 聞いてみたいことというか、やっぱり早大は、4年生が最後はどうにかするっていうのを3年間これまで見てきて。そういうスタイルがあって、負担大きそうだなって。逆に僕たちは4年生がコートの中に1人も入っていないので、それよりもどっちかっていうと「下をどう生かせるか」っていう感じなので。違いあるのかなーって。

藤中 やりながら、僕らがグチグチ言うだけではちょっとチームも微妙かなと。たしかにプレーで引っ張っていかないとっていう部分では、僕ら4年生はまだまだです。あ、光輝は多分大丈夫だと思うんですけど。僕と幸也(鵜野、スポ4=東京・早実)に関してはまだまだだと思ってるので、そこは大変かなって。

――藤中選手からは何かありますか

藤中 今、実際に下の学年が出ているっていう形で、どういう風にやっているかをやっぱ参考にしたいなって。なんかその、自分が出てない立場としても、でも言うときはしっかり言わなくちゃいけないっていう。どういうふうにメリハリつけてるのかなって。

伊藤 あー。それは後輩たちに役割を与えて、色々な意見を出してもらう。ただ、最終決定権は自分にあって、色々な意見は聞くけど、自分の軸はぶらさないっていうのが、自分では大事なのかなと。やっぱり、聞いてそれに流されていうるような主将だと、チームもまとまらないと思いますし、自分の中で軸を作って、それに対して良い意見だったら採用していくっていうのが大事なのかな。

藤中 すぐぶれちゃうの(笑)。「その意見良いね」みたいな感じで、すぐふらーっといっちゃう(笑)。

伊藤 (笑)けど、それが体現できないっていうのがなかなか厳しいですね。自分の頭で思い描いているイメージとかあるじゃないですか。それがこう、表現できないっていうのが難しくて。表現させるために、キーマンを一人作って、その選手にこういうイメージでやるっていうのを刷り込んで、それを体現してもらう。もう一人の身代わりみたいなやつをつくって、それをやらせるっていうことを今やろうかなって思います。

――身代わりできそうですか

藤中 身代わりか・・・。できるかな・・・。

伊藤 彼は自分のプレーで表現できるので大丈夫だと思います(笑)。

「チームでぎゅっとまとまりたい」(藤中)「コートの中で実力を出す」(伊藤)

――きょう(4月14日)対戦してみて、お互いの印象はいかがでしたか

伊藤 まあ、今日に関してはクイックがずっと通されてしまいました。そのためのサーブカットとか、ディフェンス面が良いなっていうふうに思いました。

藤中 慶大のサーブは強いので、サーブで攻められてこちらのレシーブが乱れたら厳しいと意識、警戒していました。今回も富澤太凱くん(経3=神奈川・慶応)のサーブでやられてしまったので、僕らもサーブレシーブを頑張りたいと思いました。しかも前衛が高かったので、ちょっと注意したいです。

――今のコメントを聞いてみて

伊藤 高いのはそうですね。実際に今日も崩しているボールとか、段トスになるボールとかは仕留められていた部分もあって、そこは利なのかなって思いますけど、そこに持ち込む展開が難しいというか。やっぱりレセプションにやられたっていうイメージですね。

藤中 まあレセプションが安定しているっていう感じは少しありましたが、きょうも崩されるときもあって。フローターはぼちぼち、まだ合格点はあげられないですけどね。ですが、ジャンプサーブに対してまだ全然対応できませんでした。僕らの中でも、きょうの慶大の富澤くんのサーブのような強いサーブが来たときに、って今日も課題が見つかったので、頑張らなくちゃいけないなって思います。

――お互いに警戒したい選手は

藤中 富澤選手を乗らせちゃうとちょっと怖いかなっていうのはあります。

伊藤 いやもう全員警戒しなきゃいけないですね(笑)。イメージ的に誰か一人が強いっていうバレースタイルではなくて。全員で上手く短所やできないところを補っていくっていうのがあると思うので、誰か一人を警戒したところで勝てるという風には思っていなくて。まずは警戒というよりも自分たちのプレーをすることが大事なのかなと思います。

笑顔で話す藤中(左)と伊藤

――春季リーグ戦3試合が終了した現時点で、今後のチームの修正点はどのようなところでしょうか

藤中 プレー面で言うと、まだ僕らもコンビ力があんまり発揮されていないのと、レセプションをしっかり出すっていう2点ですね。春リーグ(春季リーグ戦)はファーストブレイクを僕らは意識しているんですけど、そこの部分も修正していけたら良いかなと思います。それから、今日の・・・何度も申し訳ないですけど(笑)、富澤くんのサーブで攻められたときにちょっとチームがバラバラになっていたので、そこでとチームでぎゅっと、サーブを切ろうっていう感じになれるように。僕のそこはスキルだと思うんですけど、そこを課題として修正していけたら良いなと思います。

伊藤 まずは、コートの中でまとまって、実力が出せることが第一だと思います。細かいプレー面では、サイドアウト側もブレイク側もまだまだ精度が荒いというか、調子の波とかに左右されてしまうことが多いので、それが少なくなると良いのかなと思います。

――部内で対立などが起こった場合、どうしますか

伊藤 えー、どうだろう。

藤中 難しいですね。

伊藤 これまでは、介入してきたんですけど、これからは自分で考える力がちょっと足りないって気づいたので、そういうのも増やしていこうかなと。きょうも、今ミーティングやっているんですけど、僕はもう何も言わないよって言って、ミーティングをさせています。

藤中 そうですね、僕もそんな感じで、考えさせるっていう感じ。最初は極端な話放置しておいて、変な方向にずれてたりとか、おかしいなって思ったら、僕らも助言っていうかヒントっていうか(をあげます)。僕らが正解っていうわけではないですけど、そういう助言をして介入してあげますね。

――調子の悪い選手、うまくいっていない選手にはどのような対応をするでしょうか

藤中 ほめて伸ばすタイプですかね。まあ基本はほめて伸ばす。プレー以外とか仕事の面とかでできてなかったら、そこはしっかり厳しいことは言いますけど、プレーに関して、スパイクミスとかに関してであれば「気にすんなー」であったり、「まあ次も攻めろよ!」みたいな感じで、ポジティブになるように声を掛けるようにしています。

伊藤 僕も褒めるタイプですかね。まあ選手によって違うんですけど、最終的にはプラス思考になったほうが、伸び伸びとできる選手が多いので。本当に悪いときは、活は入れます。そのうえで、ただ言うんじゃなくて、なんで悪かったのかを後から考えさせるようにします。

――早慶戦、それぞれキーマンとなる選手は

藤中『鵜野幸也』 伊藤『吉田祝太郎』

伊藤 やっぱりセッターっていうポジションで、ゲームコントロールしなくちゃいけないので、吉田(祝太郎、法2=神奈川・慶応)。良くも悪くも現状波があるチームなので、それをコントロールして、上手く調子のよい選手を活かしてくれるんじゃないかなって思います。

藤中 まあこの選手が鍵になります(笑)。理由としては、下の選手、村山(豪、スポ2=東京・駿台学園)とか宮浦(健人、スポ2=熊本・鎮西)とか、正直言って強いので、やってくれるので。まあ波があるっていったら、正直僕とか幸也かなって思ってて。去年から変わったのも幸也だけですし、まあこの子が、この人が(笑)、しっかりやってくれれば、大丈夫だと思うので、その思いを込めてこの人にしました。

――今年の早慶戦の見どころは

伊藤 早慶戦自体をビックイベントにしようとしていて、試合以外の他のイベントとかもありますし、楽しんでいただくっていうのが一番のコンセプトなので、そういったところにも注目していただきたいです。試合に関しては、ケイオーがワセダを食うか、っていうそこですね。そこが見どころだと思います。

藤中 例年以上にビックイベント的な感じで早慶戦を行うと思うので、例年以上に観客が入って、盛り上がりが必ずあると思います。お客さんに楽しんでいただくっていうコンセプトの中で、僕らもしっかり盛り上げていけるようにっていうのを意識してやっていきたいと思います。

――ご自身最後の早慶戦に向けて意気込みをお願いします

藤中 毎年行っている定期戦なので、いつもと違う、リーグとかとは違う雰囲気の中でできるのもすごい楽しみですし、その伝統っていうか、歴史の中で、堂々とプレーできるように、頑張っていきたいと思います。

伊藤 今年は例年以上に大々的に開催されるので、それだけ準備も多くの人が時間をかけてやってきていますし、また入場料もとるということで、見に来てくださった方々に喜んでいただけるように、感動を与えたられるように、というのを心がけ、来てよかったと思っていただける試合にしたいと思います。

――お忙しい中、ありがとうございました!

(取材・編集 早稲田スポーツ新聞会 松谷果林/慶応スポーツ新聞会 藤澤薫)

主将として、チームを引っ張るふたりに注目です!

◆藤中優斗(ふじなか・ゆうと)(※写真右)

1996年(平8)4月20日生まれ。身長183センチ。山口・宇部商業高出身。レフト。スポーツ科学部4年。バレー一家に育った藤中主将。兄の藤中謙也選手(サントリーサンバーズ)はVプレミアリーグで活躍を見せ、さらに弟の藤中颯志選手(専修大1年)も春季関東大学2部リーグ戦にて守備の要として成長中です。兄弟対決が実現する日が楽しみです!

◆伊藤祥樹(いとう・しょうき)(※写真右)

1996年(平8)9月18日生まれ。身長190センチ。大阪・清風高出身。センター。総合政策学部4年。常にチームがどうするべきか、どうあるべきかを考えながら後輩や同期に的確な指示を出している伊藤主将。後輩からもとても慕われていて、1年生の選手からも「僕たちが4年生のときもずっと主将をやっていてほしい」と言われているそうです。

★早慶戦の場所と日程

場所

神奈川・とどろきアリーナ

日時

6月10日(日)

タイムスケジュール

11:00 会場

11:30 開会式

12:00 女子戦開始

14:30 男子戦開始(予定)

試合終了後、閉会式