リーグ戦3連敗 関東学院大に敗れ昇格争いから一歩後退

ア式蹴球男子
関東大学サッカーリーグ戦 2部 第8節
早大 1-1
0-1
関東学院大
【得点】
(早大)29’成定 真生也  
(関東学院大)23’長嶋 風太 64’堀金 峻明 

  前節、駒大に敗れ、今季初の連敗となり順位も6位まで落とした早大。上位争いに食らいつくためにもこれ以上足踏みはしたくない。そんな中、今節は5位・関東学院大の敵地に乗り込んでの一戦となった。早大は序盤から両サイドを使った攻撃でチャンスをつくるがものにできずにいると、23分に失点。それでも、29分にMF成定真生也(スポ3=神奈川・日大藤沢)のリーグ戦初ゴールで同点に追い付く。1-1で迎えた後半。相手が戦い方を変えてきたこともあり、手を焼く展開に。そして64分に追加点を許してしまう。その後は交代カードを切りながら最後まで相手ゴールへと迫るがゴールネットは揺らせず。1-2で敗れ、リーグ戦3連敗となった。

 

 リーグ戦初先発となった鈴木。惜しいシュートシーンもあるなど、1トップとして存在感を発揮した

 前半はサイドを起点に攻める早大と後ろから繋ぐ関東学院大の一進一退の攻防が繰り広げられる。早大は16分、高い位置でボールを奪ったMF本保奏希(スポ2=JFAアカデミー福島)が敵陣中央まで持ち込むと、最後は成定がシュートを放つがこれはGK正面。すると23分、右サイドからのクロスをファーサイドで折り返されると、最後はペナルティエリア手前からシュートを決められ失点。前節と似たようなやられ方で失点を許してしまう。それでも29分、スローインからゴール前で混戦ができると、こぼれ球に反応した成定が右足を振り抜く。これがゴールネットを揺らし、試合は振り出しに戻る。成定にとってはうれしいリーグ戦初ゴールとなった。その後は早大が攻め込む時間が続く。42分には、今季初先発となったFW鈴木大翔(スポ1=ガンバ大阪ユース)が強烈なミドルシュートを放つも、これは惜しくも枠の外へ。直後にも左サイドDF森璃太(スポ4=川崎フロンターレU18)のクロスに再び鈴木が合わせるが、これは枠を捉えられず。前半はそのまま1-1で折り返した。

 

 クロスをあげるDF佐々木奈琉(社2=新潟・帝京長岡)

 迎えた後半、前半の流れのまま早いうちに追加点を奪いたい早大であったが、「自分たちの良いところが消された」(兵藤慎剛監督、平20スポ卒=長崎・国見)こともあり、なかなか攻撃の糸口を見出せない。すると64分、相手のテンポの良いパス回しで左サイドを崩されると、クロスから失点を喫する。再び追いかける展開となった早大は、MF安斎颯馬(社3=青森山田)やMF光田修人(スポ3=名古屋グランパスU18)といった攻撃のカードを切り、まずは同点弾を奪いにいく。78分にはその安斎が相手DFをちぎり、一気に左サイドを突破する。クロスは阻まれるが、こぼれ球を光田が拾い角度のないところからシュート。しかし、これは惜しくも枠を外れる。88分には森のフリーキックから、ファーサイドで待っていたFW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)がヘディングで合わせるが、これも枠を捉えられず。アディショナルタイムにはクロスがこぼれたところにいた光田が、ペナルティエリア手前から右足を振り抜くがこれもわずかに枠の外へ。終盤に訪れた好機も生かすことができず、1-2のまま試合は終了した。

 

 昨季最終節以来のリーグ戦出場を果たした光田。途中出場でチームに勢いをもたらした

 これでリーグ戦は3連敗。順位こそ6位のままだが、首位・立正大との勝ち点差は7、自動昇格圏の2位山梨学院大との勝ち点差は6まで広がった。この3連敗はいずれも実力や順位が近しい相手との一戦。兵藤監督も「実力が均衡してくるような試合になってきた時の勝ち癖が、今年の早稲田にはまだない」と、実力伯仲の相手との試合でいかに勝ちを持ってくるかを課題に挙げている。加えて「自分たちのできるという段階は、ある程度レベルが上がってくるとできていないという見積もりの甘さ」も味わい、2部を戦い抜く上での力がまだまだ足りていないというところも実感することとなった。ここからリーグ戦はアミノバイタルカップ(アミノ杯)などが行われるため、約1カ月の中断期間に入る。アミノ杯では1部のよりレベルの高い大学と当たる可能性ももちろんある。2部を含めそういった相手に対し勝利を収めるべく、「トレーニングからちょっとしたところでサボらない。1メートルや数センチ単位のところを全員がこだわれるように」と兵藤監督。早大としては3連敗を喫し、今がまさに正念場。これから始まるアミノ杯を勝ち上がり総理大臣杯で日本一を達成するため、2部という厳しいリーグを勝ち抜き1年での1部昇格を成し遂げるため、この逆境をチーム全体で乗り越えていってほしい。

(記事 髙田凜太郎 写真 板東萌、廣野一眞)

 

★Column/コラム  司令塔

味方にパスを出す成定

 前半29分、スローインからMF平野右京(人4=兵庫・滝川)がワンタッチでボールをディフェンスラインの背後に送ると、走り込んだ鈴木が混戦の中ボールをキープし、ペナルティエリア内手前に落とす。ここにいたのは成定。「相手が前にいたので、どうなるかは分からなかったが、とりあえずゴールに向かって打った」と、迷わず左足を振り抜き、ボールはゴールへと吸い込まれた。これはチームの貴重な同点ゴールになったのと同時に、成定にとっては自身リーグ戦初ゴール。「個人としてはゴールを決めることができてすごくうれしかった」と言うが、結果1-2と敗れてしまったため、「それが帳消しになるくらい悔しい」と舌をかんだ。今季は2試合前に途中出場を果たすと、ここ2試合はトップ下としてスタメンを張っている成定。少ないタッチでテンポよくパス回しを行い、左へ右へボールをはたくのことができるのが成定の特徴だ。兵藤監督からも「少ないタッチでパスコースをつくりながらリズムをつくることを意識しろと言われている」という。この試合では特に前半、早大が細かいパスワークで相手を崩すシーンが多く見られた。その中心の一人であったのが成定だ。ディフェンスライン付近でボールを回している時も、積極的にボールの受け手として顔を出しに行き、高い位置ではターン一つで前を向き、早大の攻撃にリズムを生み出していたことが間違いない。ボールタッチの回数も多くなり、今日の早大の攻撃の中心にいた。これで3連敗となってしまった早大だが、ここからアミノ杯、早慶戦と重要な試合が続く。毎試合そうだがもちろん簡単に負けるわけにはいかない。早大の新たな司令塔が、勝利を手繰り寄せることができるか注目だ。

 

早大スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ3 鹿児島城西
DF 29 佐々木 奈琉  社2 新潟・帝京長岡
DF ◎平松 柚佑  社4 山梨学院
DF 中谷 颯辰 基理4 静岡学園
DF 森 璃太 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 10 植村 洋斗  スポ4 神奈川・日大藤沢
MF 24 伊勢 航 スポ3 ガンバ大阪ユース
→81分 小倉 陽太 スポ4 横浜FCユース
MF 22 平野 右京   人4 兵庫・滝川
→72分 38 光田 脩人 スポ3 名古屋グランパスU18  
MF 23 成定 真生也 スポ3 神奈川・日大藤沢
→69分 安斎 颯馬 社3 青森山田  
MF 17 本保 奏希 スポ2 JFAアカデミー福島
→69分 30 藤本 隼斗 スポ4 柏レイソルU18
FW 26 鈴木 大翔  スポ1 ガンバ大阪ユース
→63分 18 駒沢 直哉 スポ3 ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)

関東大学サッカーリーグ戦2部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
立正大 20 16 11
山梨学院大 19 17
日体大 17 15
関東学院大 16 17 11
駒大 13 17 14
早大 13 15 14
産能大 13 12 14 ー2
順大 12 14 16 ー2
青学大 11 11 11
10 立大 10 17 ー7
11 作新学院大 19 ー12
12 亜細亜大 17 ー13
第8節終了時点
コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

――今日の試合を振り返っての感想をお願いします

 自分たちのアップがすごくいいなと思ったので、前半の入りから仕留められるかなと思ったのですが、良い流れのところで自分たちが仕留め切れず、失点してしまうといったところから1-1までは持っていけました。ただ、後半のスタートから自分たちの良いところが消されて相手の時間が長くなってしまったのかなというのはあります。やはりサッカーにおいて一番大事なところはどこかというと、自分たちのゴール前と相手のゴール前でどれだけパワーを出せるかところだと思います。そこまでのつくりというよりは、最後どうやって仕留めるのかどうやって守り切るのかというのをもう一回しっかりとやらないとなと思います。

――前半は1失点こそありましたが、全体的に良い内容だったと思います。今もお話にありましたが、手応えはありましたか

 コーチと話していても、今日はしっかりとした雰囲気を自分たちでつくり出せているというのがあったので、当初自分たちがプランとしていた部分とは少し違う入り方にはなったのですが、自分たちの良さをしっかり出せたとは思います。でもやはりまだまだ失点する癖が抜けないというところだったり、実力が均衡してくるような試合になってきた時の、勝つというところ勝ち癖というところが今年の早稲田にはまだまだないです。相手と力の差がある時は勝てるかもしれないけど、ちょっとくらいの差ならどうにかなるというのが今の現状なので、したたかに勝てるというチームというところではまだまだなのかなと思います。

――後半は相手のサッカーに対してなかなかやりたいことをやらせてもらえなかった印象でしたが

 そうですね。思ったより相手がつないでこなかったなという印象でしたが、それは向こうがこちらを見ながら出してきた策ではあると思いますし、その中でも自分たちが相手に付き合ってしまって蹴るというところで自分たちの意図していない攻撃が多かったのかなと思います。センターバックの身長が相手の方が高い分、空中戦は分が悪いと思っていたので、前半みたいに厳しい場面でもしっかりとした技術やパスで外すというところだったり、相手の嫌なところにしっかりとパスを通すことを続けられればというのはありました。ですが、後半慎重に行き過ぎたというかもっともっと大胆に行かないとですし、できることはたくさんあると思うので、メンタルのところで1-1だから、1-2で負けてるからみたいな慌てだったり、自分たちの技術が出せないメンタリティになったのかなと思います。

――3連敗となりましたが、この連敗期間で一番感じた課題は何だと思いますか

 やはり守備のところやできると思っていた自分たちの認識が、できていないという現実を突きつけられたのかなと思います。自分たちのできるという段階は、ある程度レベルが上がってくるとできていないという見積もりの甘さのところです。トレーニングのところからそういうことは出ると思うので、これくらいでいいだろというプレーが試合ではそこをしっかりと突かれて点を取られてしまうことに繋がってきているのかなと思います。そこの部分の認識をしっかりと一段階上げるために、トレーニングからちょっとしたところでサボらない。1メートルや数センチ単位のところを全員がこだわれるようになってくると、もう少し結果もついてきますし、勝敗に繋がってくると思います。

――リーグ戦が一区切りついて、ここからアミノ杯、早慶戦と試合が続いていきますが、どのように準備していきたいですか

 チームとして出た課題は抽出して改善していかないといけないかなと思います。今年は攻撃的にいくというところは変わらない中、今日は1点しか取れなかったので、残りプラス2点をどう取りに行くのか。今日も後2点取れていれば3-2で勝っていますし、そういった部分では失点は4から2に減りましたけど、得点も減ったので、そこのところでもっと点が取れるように、クオリティのところにこだわりたいと思います。

MF成定真生也(スポ3=神奈川・日大藤沢)

――率直に試合を振り返っての感想をお願いします

 試合を振り返って、個人としてはゴールを決めることができてすごくうれしかったですが、チームが勝てなかったのでそれが帳消しになるくらいすごく悔しいです。

――2試合に続けてのスタメンとなりましたが、監督からはここ2試合どのような指示のもとプレーするよう言われていましたか

 自分が攻撃のリズムをつくることが役割だと思うので、少ないタッチでパスコースをつくりながらリズムをつくることを意識しろと言われていました。

――そのリズムをつくるという点では、周りの選手と連携しながらうまくできているように見受けられますがいかがですか

 前半は手応えもありましたし、後半の最初の方まではあったのですが、途中からロングボールが増え始めて、自分の特徴が生かせなくなってそこはすごく悔しいです。

――リーグ戦初ゴールとなりましたが得点シーンを振り返っていかがでしたか

 ボールが自分の目の前に転がってきて、監督が試合前に相手が前にいようと、振ろうシュートを打とうと指示されていたので、自分でもとりあえず振ってみたら入ったという感じです。

――こぼれてきたから迷わずという感じでしたか

 そうですね。相手が前にいたので、どうなるかは分からなかったのですが、とりあえずゴールに向かって打ったら入りました。

――先ほどもお話にあったように、ロングボールが途中から増えてしまい、ボールをつなぎたいところでつなげないというのはチームとしての課題になってしまったように思いますが

 その通りだと思います。やはり自分たちの特徴は下でつなぐことですし、今日は相手のセンターバックがヘディングの強いセンターバックだったので、相手の特徴を出させてしまったと思います。

――リーグ戦が一区切りついて、ここからアミノ杯、早慶戦と試合が続いていきますがどのように臨んでいきたいですか

 アミノバイタルカップの結果が早慶戦に繋がると思いますし、全ての試合が前期のリーグの残りの試合にも繋がってくると思います。なので、全て勝ちたいと思いますし、アミノに関しては絶対に関東の代表になりたいと思います。

MF光田脩人(スポ3=名古屋グランパスU18)

――久しぶりのリーグ戦出場となりました。振り返っていかがですか

去年はけがも多く、なかなか試合に絡めなかった中で、今日を迎えて、改めて関東リーグという舞台の素晴らしさを感じることができました。

――負けている状況での途中出場となりましたが、監督からの指示や自分の中で考えていたことは、どのようなものでしたか

負けている場面でしたし、自分が(ボールを)持ったら武器であるドリブルで仕掛けるというのは常に意識していました。

――ケガ明けでの出場でしたが、実際にプレーをしてみてご自身のコンディションはいかがでしたか

いくつかドリブルで仕掛ける場面もあり、できるなという手応えも少しありました。ただ、決め切るところは課題に残ったので、次に生かせたらいいなと思います。

――決定機がいくつかあった中でなかなか決められなかったことに関して、実力不足だと感じる部分もありますか

そうですね、昔から決定力は課題でもあります。練習からやらないと試合でも入らないと思うので、心掛けていきたいと思います。

――2列目は競争が激しいポジションの一つだと思いますが、どのようにその競争を勝ち抜いていきたいですか

サッカーですので結果というのが全てだと思います。点数を決める選手になれば必然と(試合に)出れるようになると確信しています。

――これからアミノバイタルカップ、早慶戦そしてリーグ戦が続いていきます。どのように自分の持ち味を出して貢献していきたいですか

自分の持ち味はドリブルであると自負しているので、そこを生かして得点できる選手になって戦っていきたいと思います。