まさかの敗戦…1試合を残し2部降格が決定

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第21節
早大 0-1
0-1
流通経大
【得点】
(早大)なし
(流通経大)15’川畑 優翔、80’庄司 一輝

 ピッチにホイッスルが無情に鳴り響いた。歓声と静寂。両チームの反応は正反対だった。勝てば残留の行方は次節に持ち越し、負ければ2部降格が決まる一戦に臨んだ早大。対して流通経大はこの試合に勝てば残留決定となる。この大一番を制したのは流通経大だった。命運がかかった試合ということもあり、両チームともゴールに果敢に迫る。試合が動いたのは15分、流通経大にクロスからボレーシュートを決められてしまう。81分にも追加点を挙げられ2−0で試合終了。この瞬間、早大の来季2部降格が決定した。2016シーズン以来6年ぶりの降格となる。

 

3年生以下のスタメンで臨んだ今節、キャプテンを任された平松

 スタメン全員が3年生以下で臨んだ今節。話し合って決めたというキャプテンを務めたのはMF平松柚佑(社3=山梨学院)。試合は立ち上がりから互いに譲らない展開となる。均衡が破られたのは15分。MF藤井海和(流通経大)のクロスに合わせてMF庄司一輝(流通経大)がボレーシュート、ボールはGKヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)の頭上を超えネットに吸い込まれた。1点を返したい早大は25分、CKでチャンスを掴む。FW駒沢直哉(スポ2=ツエーゲン金沢U18)が頭で合わせるも惜しくもキーパーの正面へ。その後は一進一退の攻防が続く。32分にはFKを獲得し、DF安斎颯馬(社2=青森山田)が直接ゴールを狙うもキャッチされてしまう。ゴールを狙い続ける早大は安斎のロングスローがポストに当たり、こぼれ球からシュートを打つも弾かれてしまい、得点にならず。1点ビハインドで前半を折り返した。

 

交代後キャプテンマークを託された奥田。試合後にはチームに向けて語った

 後半が始まると応援団の声援も次第に高まっていく。早大は何度も相手陣内に攻め込むもシュートまでつながらない。51分、危機が訪れる。流通経大がカウンターで一気にゴール前まで迫った。MF小倉陽太(スポ3=横浜FCユース)がなんとか守り抜き、ことなきを得るが、再びあわやゴールという場面が訪れる。しかし、CBコンビDF中谷颯辰(基理3=静岡学園)とDF神橋良汰(スポ2=川崎フロンターレU18)の冷静な対応で難を逃れた。攻撃に勢いを与えたい早大は58分、MF水野雄太(スポ4=熊本・大津)とMF松尾倫太郎(人科2=千葉・八千代)を投入し、サイドから攻撃に変化を与える。攻勢を強める早大であったが流れを掴んだのは流通経大だった。MF庄司一輝(流通経大)がミドルシュートを放ち追加点。さらに点差が広がる。なんとしても得点を奪いたい早大は神橋を前線に上げるパワープレーを試みる。ロングスローなど神橋の高さを生かした攻撃から得点を狙うが相手の堅守に防がれてしまう。88分にはMF山下雄大(スポ4=柏レイソルU18)のパスを安斎がスルーし、神橋がシュートを狙うもキーパーに弾かれる。その後も得点を奪う機会を狙い続けるも1点が遠い。そのまま2ー0で試合終了。早大の2部降格が決まった。

試合終了のホイッスルが鳴り、その場で俯く神橋

 ここまで21戦3勝13敗5分、得点数はリーグ最下位の16得点とシーズンを通して苦しい戦いを強いられてきた。外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)は「一つ一つ、甘さだったり緩さがあったことがこういう結果になってしまった」と語る。チームは柴田徹主将(スポ4=湘南ベルマーレU18)、鈴木俊也副将(商4=東京・早実)の離脱など幾度となく困難にも晒されてきた。「思い描いてたシーズンではなかったし、みんなもそうだと思います。苦しい中でもいろいろな人が意見を出して、ぶつかり合って、前に進んで来れたシーズンでした」(柴田主将)。シーズンを通し、ア式一丸となり戦っている姿が伺えた。いずれも勝利した試合は部員が応援に駆けつけ、チームを鼓舞した試合だ。残すは1試合。指揮官と主将はいずれも「やり切りたい」との思いを口にする。平松の「誇りを持って戦いたい」という言葉のように「泥臭く」、「愚直に」勝利を欲し、全てをぶつけて戦うだろう。次節は有観客の試合だ。会場に足を運び、今季のア式の集大成を見届けてほしい。必ずや来季へ向けた再出発の1歩を踏み出してくれるはずだ。

(記事・写真 水島梨花 写真 髙田凜太郎)

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ2 鹿児島城西
DF 安斎 颯馬 社2 青森山田
DF 13 中谷 颯辰 基理3 静岡学園
DF 26 泉 颯 基理2 静岡学園
→69分 12 藤本 隼斗 スポ3 柏レイソルU18
DF 27 神橋 良汰 スポ2 川崎フロンターレU18
MF 小倉 陽太 スポ3 横浜FCユース
MF ◎平松 柚佑 スポ3 山梨学院
→69分 31 山下 雄大 スポ4 柏レイソルU18
MF 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
MF 15 森 璃太 スポ3 川崎フロンターレU18
→58分 30 松尾 倫太郎 人2 千葉・八千代
MF 33 小松 寛太 教3 東京・早実
→58分 20 水野 雄太 スポ4 熊本・大津
FW 18 駒沢 直哉 スポ2 ツエーゲン金沢U18
→83分 奥田 陽琉 スポ3 柏レイソルU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 45 21 14 40 23 17
東京国際大 40 21 11 41 17 24
桐蔭横浜大 36 21 11 35 22 13
筑波大 34 21 10 27 22
法大 33 21 30 30
東洋大 31 21 30 23
国士舘大 30 21 38 25 13
拓大 28 21 35 38 -3
流通経大 23 21 10 28 52 −24
10 駒大 20 21 11 25 39 −14
11 順大 16 21 13 21 39 −18
12 早大 14 21 13 16 36 −20
第21節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――残留がかかった一戦でしたがどのように準備をされて臨まれましたか

 この難しい状態の中で、ちょうどBチームの試合が終わったので、Bチームを含めて全体で残留に向けて自分たち一人一人が何ができるかをもう一度追求していこうと、これまでやってきた以上に自分たちで何を生み出せるかというところから週がスタートしました。その中でなかなかまとまり切らなかったところもあるのですが、ここ3日間くらい全員が本当に残留に向けてというところで、今までできていなかったからこの状況になっていて、今までやり切れなかったこと以上のものを何とか出そうというところで今日を迎えました。

――今日はメンバーを変えての試合となりました、どういった意図がありましたか

 ガラリと変えたという思いはないです。ただ1週間を過ごす中で、今週だけじゃなく全員がトップチームで試合に出るために取り組んできました。今週の紅白戦でしっかりエネルギーを出してきた選手がいたので、泉(颯、基理2=静岡学園)とか中谷(颯辰、基理3=静岡学園)とか、なかなか今シーズン出場機会がない中でもずっとやってきた(選手たちが)非常に良いパフォーマンスでした。自分たちが今週やってきたもう一個挑戦していくという部分は、そういった選手たちから出てくるであろうというところで、起用や出場は久しぶりだったかもしれませんが、非常に前向きだったのかなと思います。

――今日の試合を振り返ってください

 結果的に4年生がスタメンにいないという状況でしたけど、それでもチームとしては3年だから4年だからとは関係なく、非常に良い準備をしてきたので、少しでもそのパワーが(出せれば)というところでした。ですがやはり硬さだったりプレッシャーだったり重さだったりはあって、流経さんが3連勝していたこともありその勢いを上回るパワーが自分たちで出せなかったなと思います。

――今季を通して柴田主将(徹、スポ4=湘南ベルマーレU18)をはじめ4年生が離脱してしまう状況でした。そういったところでマネジメントやチームづくりの難しさはありましたか

 離脱というよりはピッチにいなくても4年生は4年生としてこの1年間を過ごしてきてるので、その中で4年生たちがこの難しさや厳しい状況でどういうふうにもがいて足掻いていくかというところは、共にそこに向き合ってきたと思います。しかし、やはりそこの一つ一つ、甘さだったり緩さがあったことがこういう結果になってしまったと思います。その一つ一つの取り組みに昨年から4年生は課題を持って取り組んできた中、残り1週間我々に与えられているこの貴重な関東大学リーグ1部という舞台で何とか奮い立たせていきたいなと思います。

――後期に入ると駒沢選手(直哉、スポ2=ツエーゲン金沢U18)や神橋選手(良汰、スポ2=川崎フロンターレU18)を筆頭に、下の学年の選手たちが結果を残してきた部分もありましたがそこについてはいかがですか

 そういったピンチがチャンスであり、そういう状況の中でチームとして人が循環していく中で成長はあると思います。そのこと自体をどうつかみ取れるかとかどう成長できるかとかは、うまくいくだけじゃなくて、難しい場面でもそれをきっかけとしてプラスに働けるかというところもあると思うので、今年こういう難しい状況が長く続いた中で、これをどうプラスに働かせるかはこれから明日から問われてきます。そこは人生という括りでいけば4年生も変わらないと思うので、そこの部分はア式蹴球部という大学の中でも恵まれた環境でサッカーをさせていただいている立場としても、向き合っていきたいです。

――今季も残り1試合となりました。どのように準備をして臨みたいですか

 最後までやり切ろうという話はしています。その時間であり試合であり、今年のチームとして与えられている時間の一瞬一瞬を無駄にしてはいけないと思うので、何とか自分自身、チームとして奮い立たせて次のゲーム得点を奪って勝てるようにしたいと思います。

柴田徹主将(スポ4=湘南ベルマーレU18)

――今の率直な気持ちをお聞かせください

 あまり整理がついていないのですが、勝たなくてはいけない試合で勝てなかったというのはまずあります。今シーズン通じて自分たちの甘さや足りなさをシーズン最後まで突き詰められなかったというところで。自分自身の責任だなと思います。

――試合後、選手たちにはどのような声をかけられましたか

 特に声かけはしていませんが、あと1試合あるからという話は陸人(平田陸人主務、商4=東京・早大本庄)だったり、トレーナーだったりとは話しました。試合がある以上はやらなくてはいけないというところですね。

――開幕早々に怪我をされてからずっと外からチームを見られていた中で、ここまでシーズン中のチームは柴田さんの目にどのように映っていましたか

 思い描いてたシーズンではなかったし、みんなもそうだと思います。苦しい中でもいろいろな人が意見を出して、ぶつかり合って、前に進んで来れたシーズンでした。それが結果に結びつかなかったというところが本当に残念な点であります。結局、過程を大事にしてきても評価されるのは結果なのでそこを体現しきれなかったというのはシーズン通してありました。4年の責任だし、主将である俺の責任でもあると感じています。

――なかなか勝てない、得点を奪えないという状況の中で自分がピッチに立てない、プレーで示すことができないというもどかしさはありましたか

 そこは日々葛藤していました。試合に出れそうなレベル、リハビリちょっと頑張ればというようなケガではなかったのでそこはある意味割り切れた部分ではありました。結果が出ないというところで、俺が出ていればと考えなかった日はないですし、本当に毎日考えていました。そこで力になれなかった分、情けないというか自分のケガのせいでこのような状況になった部分はあるのでチームのみんなには迷惑をかけて本当に申し訳ないなという思いが強いですね。

――4年生のケガ人が多い中で下級生の躍進が見られた後期であったように見えました。今日の試合もスタメンは全員3年生以下でした。後輩の姿を見ていかがでしたか

 あんまり俺は学年関係ないと思っています。ピッチに出た人がやらなくてはいけないし、それでたまたま4年生がスタメンにいなかったというだけでした。後輩たちはたくましく戦っていましたが、結局、結果として勝ちに結びついていません。そこは、4年も含めて下級生が向き合わなくてはいけない部分だと思います。

――リーグ戦は残り1試合です。最終節をどのように迎えたいですか

 あまりイメージはありませんが、今年のチームで最後の試合なのでやり切りたいという思いが強いです。やり切りたいというよりもやり切らなくてはいけないという思いです。

平松柚佑(社3=山梨学院)

――今の率直な気持ちを聞かせてください

 まだ整理がつかないので、すいませんよくわからないです。申し訳ないです。

――キャプテンマークを巻いて試合に臨むことへの特別な思いはありましたか

 4年生がピッチにいなくて、昨日自分たちで話し合って誰が巻くかを決めました。もちろんいつも以上にやらなきゃって気持ちはありましたけど、もっとプレーで示したかったです。

――4年生がいないことの影響はありましたか

 4年生どうこうではなく、シンプルにチームとして未熟だったんだと思いました。

――4年生の離脱が多い中で平松選手自身は試合に出続けて、声かけなどでチームを盛り上げる姿が印象的でした。そのことに関して自身の中で意識していることなどはありましたか

 4年生がいてもいなくても自分のキャラクター的にやることは変わらなかったので、(4年生が)いなかったからというよりも、チームから求められる役割として担っていました。

――自身の中で足りないと感じた部分は

 そんなに多くのチャンスをつくられたわけではなかったですし、自分たちもチャンスが多いわけではなかったです。サッカーの本質的な部分、ゴールを決める、ゴールを守るという一番最初の初歩的な基本の部分で負けてしまったなと思います。

――今シーズン、このチームで戦える試合があと1試合、そして来年以降もシーズンは続いていきますがどのような気持ちで臨まれますか

 明日の駒沢戦で、自分たちの降格がまだチャンスがあると思ってたんですけど…早稲田大学ア式蹴球部というすごく歴史のあるチーム、組織で今シーズンラストの試合になるので、誇りを持って戦いたいなと思います。

※囲み取材より

――大切な試合というふうには認識していたかと思いますが、どのような心境でしたか

 もちろん勝たなきゃいけないという気持ちはありましたが、いつも通りというか、そんなに大きく戦術的に変えることもなかったですし、ただ本当に、全員で同じ方向を向いて、勝利に向かって挑んでいました。