今季初ゴールを含む2得点も まさかの逆転負けでリーグ戦2連敗

ア式蹴球男子
第96回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第4節
早大 2-1
0-2
拓大
【得点】
(早大)06’中谷 颯辰、24’水野 雄太
(拓大)27’日野 翔太、53’日野 翔太、88’浅倉 廉

 前節、国士館大に敗れ、未だリーグ戦で勝利のない早大。今節は初勝利をあげるべく拓大と対戦した。試合は早大ペースで進む。6分にコーナーキックからDF中谷颯辰(基理3=静岡学園)が合わせ先制点を奪うと、20分にもMF水野雄太(スポ4=熊本・大津)のゴールでリードを広げる。直後に1点を返されるが、リードして前半を終える。後半、開始早々に同点に追いつかれると、その後は一進一退の攻防が続く。しかし、79分にMF小倉陽太(スポ3=横浜FCユース)が退場となってしまう。10人での戦いを強いられる中、粘り強く戦ったが、終盤に逆転ゴールを許し、2-3のまま試合終了。早大にとって痛恨の逆転負けとなった。

 

 「とにかく序盤から相手よりも自分たちのエネルギーが上回るように、そしてそれが結果としてゴールになるように意識しました」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)。その言葉通り、主導権を握ったのは早大であった。6分、コーナーキックを獲得すると、DF柴田徹主将(スポ4=湘南ベルマーレU18)が蹴ったボールに中谷が飛び込み先制に成功する。開幕から2試合無得点であった早大にとって待望の先制点となった。このゴールで流れをつかんだ早大は、一気に攻勢を強める。22分には柴田のクロスがゴール前にこぼれ、反応したFW奥田陽琉(スポ3=柏レイソルU18)が迷わずシュートを放つが、相手DFのブロックに遭い得点とはならず。それでも直後の24分、小倉が高い位置で相手からボールを奪うと、MF山下雄大(スポ4=柏レイソルU18)へ繋ぐ。山下はディフェンスラインの背後にボールを送ると、「山下からは常にパスが出てくると思っている」というMF水野雄太(スポ4=熊本・大津)が冷静にゴールへと流し込み2点目を奪う。ボール奪取からゴールまで見事な流れで追加点をあげた。さらに攻勢を強めたい早大であったが、27分、中央を突破されると最後は日野翔太(拓大)に決められ1点を返されてしまう。失点後は拓大にボールを持たれる時間が続くも、この日戦列に復帰したDF平瀬大(スポ4=サガン鳥栖U18)を中心に安定した守備で、相手に追加点を与えない。

今季初スタメンでゴールを決めた水野

 迎えた後半、53分に同点弾を許してしまい、試合は振り出しに戻ってしまう。再び相手を突き放したい早大は、MF西堂久俊(スポ4=千葉・市立船橋)、FW東廉(スポ2=清水エスパルスユース)といった攻撃のカードを切る。64分には素早いリスタートから西堂にチャンスが訪れるも、シュートは相手DFに阻まれてしまう。その後もコーナーキックから拓大ゴールへと迫るが、ネットを揺らすまでには至らない。72分には至近距離からのシュートを、GKヒル袈依廉(スポ2=鹿児島城西)が左手一本で防ぐなど、徐々に決定機を作られる場面が増える。さらに79分、小倉の相手へのタックルが危険なプレーと見られて、まさかの一発退場。10人での戦いを余儀なくされた中、攻勢を強める拓大に押し込まれる時間が続く。それでも粘り強い守備で反撃の機会をうかがう早大。しかし、88分、相手にミドルシュートを決められてしまい、とうとう逆転を許してしまう。残り時間が少ない中、勝点1でも獲得したい早大であったが、最後まで拓大ゴールを破ることはできず、試合終了。2点リードからまさかの逆転負けとなり、リーグ戦初勝利をあげることができなかった。

復帰戦となった平瀬

 序盤はうまく試合を進められていたが、少ない決定機をものにされてしまい、相手に流れを渡してしまった。特に3失点を喫した守備陣には課題が多く残る。「最後の局面の滑るところ、守備のところが課題」と平瀬。防げない失点ではなかっただけに、悔やまれる結果となってしまった。一方で、ケガ人が多く戦線に復帰しているところは明るい話題である。また、2試合無得点という状況の中、複数得点をあげられたことはポジティブに捉えられる。特に前半、相手ディフェンスラインの裏を突いたところから再三チャンスを作れていた。「攻撃のかたちのようなものは整理できていた」と外池監督が語るように、徐々に手応えをつかんでいる部分も多くある。難しい状況ではあるが、チームはまだまだ成長段階。今は焦らずに、取り組んでいるサッカーを続けていくしかない。3試合を終え1分2敗。思い描いていたスタートとは程遠いものとなったが、早大のシーズンはまだ幕を開けた段階だ。「何とか踏ん張って4年の力で次節は勝利に導けるように頑張っていきたい」と水野。最後に「頂」の座に立つ、そのためにも次節こそ「勝利」という結果を手にしたい。

(記事 髙田凜太郎、写真 栗田優大、宮島真白)

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早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ヒル 袈依廉 スポ2 鹿児島城西
DF ◎柴田 徹 スポ4 湘南ベルマーレU18
→61分 24 西尾 颯大 スポ4 =千葉・流通経大柏
DF 12 藤本 隼斗 スポ3 柏レイソルU18
DF 13 中谷 颯辰 基理3 静岡学園
→77分 5 西田 翔央 商4 東福岡
DF 22 平瀬 大 スポ4 サガン鳥栖U18
MF 小倉 陽太 スポ3 横浜FCユース
MF 平松 柚佑 社3 山梨学院
MF 安斎 颯馬 社2 青森山田
MF 山下 雄大 スポ4 柏レイソルU18
→71分 10 植村 洋斗 スポ3 神奈川・日大藤沢
MF 14 水野 雄太 スポ4 熊本・大津
→60分 11 西堂久俊 スポ4 千葉・市立船橋
FW 奥田陽琉 スポ3 柏レイソルU18
→60分 29 東 廉 スポ2 清水エスパルスユース
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
東京国際大 12 14 12
明治大
桐蔭横浜大
拓大
国士舘大
東洋大
順天堂大 −2
筑波大 −2
早大 −3
10 駒大 10 −8
11 流通経大 11 −10
12 法大
第4節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――今節前の2節を終えた時点で無得点となっていましたが、チームとして攻撃の部分ではどのような準備をしてきましたか

 攻撃の形のようなものは整理はできていました。点数をしっかりと奪うために必要な部分です。特に国士舘大戦では自分たちのエネルギーを出し切れませんでした。攻撃においても守備においてもエネルギーを出し切れずに終わってしまいました。とにかく序盤から相手よりも自分たちのエネルギーが上回るように、そしてそれが結果としてゴールになるように意識しました。サッカーはそのような空気が流れを生み出すものだと思います。自力で空気を起こしていくというのを意識して試合に臨みましたね。

――序盤の2得点はチームとしては思い描いたような展開だったのでしょうか

 そうですね。かなり相手を押し込む形ができていました。山下(雄大、スポ3=柏レイソルU18)を高い位置にしたことによって、そこから攻撃の厚みや精度というところを期待していたので、特に2点目のゴールは非常にいい場面でした。その前の段階でも、奥田(陽琉、スポ3=柏レイソルU18)のシュートのところなど、相手の背後をとってクロスで終わるというようなかなり積極的なプレーが増えていたので、それをもっと点に結びつけられていれば良かったなと思います。

――ようやくゴールが生まれた中でも3失点の逆転負けとなりました。この結果についていかがですか

 結果は我々としては受け入れなければいけないです。ただ、その失点の仕方が今回は非常にもったいなかったなというのがあります。ケガ人やレッドカードなど、本意ではないところではありました。もちろんゲームなのでいろいろな状況が想定される中で、自分たちでパワーダウンがあって、そこを突かれてしまったというのが現状だと思います。一つ一つ目の前の厳しい現実に打ち勝っていけるようにしなければいけないなと思います。

――前回の国士舘大戦でも同様でしたが、失点後に相手にペースを奪われてしまうように見受けられました。ピッチサイドから見ていかがですか

 失点の仕方がやはり課題かなというのがあります。特に後半の最初に取られた同点ゴールなどは、後半開始直後の時間帯、あの10分はしっかり自分たちの有利な状況をまずキープするかというところが大事でした。そこに対してなかなかボールに行き切れていなかったり、あそこでパワーを出せなかったりというのが大きかったです。相手の同点ゴールがかなり大きかったかなと思います。

――最後の交代でセンターバックの西田(翔央、商4=東福岡)選手を投入したのはどのような意図がありましたか

 攻撃のカードはその前に切っていたので、守備の安定というところとセットプレーのところに期待があり、西田を中谷(颯辰、基理3=静岡学園)と代えました。かなり早いタイミングで1人いなくなってしまって、そこのゲームプランは崩れてしました。しかし、西田は今年、新人監督として、チームの精神的支柱として、あのような苦しい時間帯の中でチームにエネルギーを注入できるのではないかと期待をして送り込みました。そういう意味ではケガ明けで久々のゲームだったと思うのですが、平瀬(大、スポ4=サガン鳥栖U18)も同様に、多くのメンバーが試合に関われるようになってきたというのは我々にとってポジティブだと思います。そういったところは自分たちから崩れることなくしっかり上積みしていきたいなと思います。

――3試合を終えて未だ勝利なしという状況ですが、勝ち切るためには何が必要でしょうか

 自分の持っているエネルギーを、選手としてもそうですが、早稲田の一人の学生として、このような環境を与えてもらっている中で感じている自分たちの活動にある思いや情熱をしっかり表現し続けること、活動の中で生み出し続けることしかないと思います。あまり小手先の技術や戦術などではなく、ベースのところをみんなで向き合って次節を迎えたいなと思います。

MF水野雄太(スポ4=熊本・大津)

――ケガからの復帰戦となりましたが、コンディションはいかがですか

 100パーセントではないですが、復帰したてにしては良かったのかなと思います。

――復帰戦で即ゴールという結果は水野選手にとっても意味のあるものだと思いますが

 これまでの2試合を振り返っても点が取れないという課題があった中で、スタートで出させてもらって得点できたということは個人的にはすごくうれしかったです。また、チームに勢いをもたらすものでありたいと願ってました。しかし、後半うまくいかずに失点が重なってしまったということはまだチームとしての弱さだと思います。次の試合までには修正して、(失点を)0で勝ち切るというところを目指していきたいです。

――山下選手(雄大、スポ3=柏レイソルU18)からのパスを受けてのゴールでしたが、チームとしては狙い通りの形でしたか

 山下からは常に(パスが)出てくると思っています。彼が(ボールを)持ったら背後への動きだしだったり、相手が下がったら足元で(ボールを)受けるだったり、練習中でもそこは意識してやってきました。その中で、一つ得点という形につなげることができたというのは一歩前進できたと思います。

――次節に向けて意気込みをお願いします

 ここ3試合勝てていないという現実がある中で、チームとしても非常に難しい状況が続いています。何とか踏ん張って4年の力で次節は勝利に導けるように頑張っていきたいと思います。

DF平瀬大(スポ4=サガン鳥栖U18)

――ようやくの復帰戦になりましたがコンディションはいかがですか

 バッチリです。

――チームの結果についてはどのように捉えていますか

 2試合勝てていない中で、勝っていい流れを作りたかったです。それができなかったというのは非常に残念です。

――ディフェンスラインではどのような声かけをしていましたか

 失点しても盛り上げていこうということで、ディフェンダーが後ろから盛り上げていって、いい雰囲気を作っていこうと話をしていました。

――後ろから戦況を見ていてチームの課題だと感じるところは

 1節、2節までは攻撃力、得点力というところが課題ではありましたが、今回2得点ということでそういったところも練習で改善されているとは思います。しかし、最後の局面の滑るところだったり、守備のところが課題だなと思います。自分たちがボールを保持する時間が短かったので、勝っている時にどれだけ落ち着いてやれるかということが大事だと思います。

――途中からキャプテンマークを巻いていたように、今後は精神的支柱としての役割も期待されると思います。どのようなプレーでチームを引っ張っていきたいと考えていますか

 キャプテンマークを巻いたことでさらに頑張らなくてはという思いもありました。自分はキャプテン気質ではないですが、ディフェンスリーダーとしてやっていく以上はチームを引っ張る闘将そして熱いディフェンダーになっていきたいですね。

――次節に向けて意気込みをお願いします

 必ず勝ちます。