【競走】怪物ルーキー本田が準優勝! 佐々木哲、水野も大舞台で躍動/日本選手権前半

陸上競技

日本選手権 6月12日〜14日 愛知・パロマ瑞穂スタジアム

 連日、熱い戦いが繰り広げられている日本選手権。今年度は愛知・パロマ瑞穂スタジアムに、国内トップクラスの選手たちが集結した。大会1日目に行われた3000メートル障害決勝に出場したのは、佐々木哲(スポ2=長野・佐久長聖)。悲願の初優勝とはならなかったものの、レースを引っ張る頼もしい姿を示した。男子1500メートルには、2週間前に早大記録をたたき出した本田桜二郎(スポ1=鳥取城北)が登場。大接戦となった決勝レースで、途中まで先頭を引っ張る積極性を披露するも、惜しくも2着で初の日本選手権を終えた。また、関東学生対校選手権(関東インカレ)100メートルで優勝を果たした水野琉之介(スポ3=北海道・立命館慶祥)が今大会同種目に出場。予選、準決勝と自己記録を更新し、タイムで拾われ、決勝進出を決める。2日目に行われた決勝では、多くの有力選手が集う中、6着でフィニッシュした。

★地元・愛知で疾走を見せ、2年連続の入賞を果たす!(男子3000メートル障害)

 トラック種目で最初の決勝レースとなった男子3000メートル障害。日本選手権3連覇を狙う青木涼真(Honda)、第34回金栗記念選抜陸上中長距離大会でこの種目の優勝を果たした小原響(GMOインターネットグループ)など実力者たちがスタートリストに名を連ねた。学生歴代3位の記録を持つ佐々木哲は、格上の選手たち相手にも果敢に立ち向かい、5着でレースを終えた。

 「陸上は甘くないという神様のお告げを頂いたと思います」レース後、そう語った佐々木哲。2週間前の関東インカレ3000メートル障害を49年ぶりの大会新記録で制した。翌週の日本グランプリシリーズMDC1500メートルでも、「調子の良さを示せた」と語り、1500メートルで自己記録を更新。絶好調で地元・愛知のレースを迎えた。

 レース前から、日本選手権の独特の緊迫感のある雰囲気を感じさせる名古屋の夜空の下、19時15分に男子3000メートル障害がスタート。レースが始まり、佐々木哲は一気に駆け出し、先頭の楠康成(阿見AC)に続いて、2番手でレースを進める。いつも通りの軽やかな走りで障害を順調に越えていく。「関東インカレでも自分でレースを作り、優勝したので、先頭でチャレンジしようと思った」というレース前のプラン通りに、残り5周となったところで、楠を抜き、先頭に立つ。先頭の佐々木哲は1000メートルを2分46秒で通過。その後も独走でぐんぐん後続との差を広げていく。だが、残り3周となり、顔をしかめ始め、額の汗を拭う回数も増えていく。2000メートル地点の水濠を通過したところで、青木ら有力選手たちが佐々木哲を猛追。「ラスト1000メートルからの切り替えが効かなかった」と振り返ったように、青木や小原のペースアップについていけず、苦しみながらラスト1周を迎える。懸命にゴールへと突き進み、5着でフィニッシュ。タイムはセカンドベストとなる8分27秒23をマークした。

 「昨年は先頭争いに絡むことができず、終わってしまったが、今年はかなり速いペースで引っ張れたことで、成長できた」とレース後に手応えを語った一方、「青木さんや小原さんが前に出てきたところに対応できず、自分の力が及ばなかった」と悔しさも口にした。

 地元・愛知で勇気ある走りを見せた佐々木哲。「地元で走ることができ、中学校の時の仲間も応援に来てくれて、ありがたみを感じた」と地元の友人への感謝の気持ちもあらわにした。アジア大会の内定には届かなかったが、先日、今年7月に行われるU23アジア選手権に選出された。佐々木哲はここからの試合も、天性の才能を感じさせる走りで頂点へと駆け上がる。

(記事 永尾早渡、写真 石本遥希)

★本田が予選で自己記録を更新!  ハイレベルなレースで準優勝(男子1500メートル)

 「すごく楽しかった」。早大に入学して3カ月で日本選手権の舞台に立った本田は、レースをこのように振り返った。本田は予選から会場を大いに盛り上げた。持ち味のキレのあるラストスパートは今大会も健在。自己記録と早大記録を塗り替え、組1着で決勝へ駒を進めた。決勝でもレースを引っ張るなど見せ場をつくり、最後は飯澤千翔 (住友電工)にかわされるも、堂々の準優勝を果たした。

 1日目、蒸し暑い曇り空の中で行われた男子1500メートル予選。2組に出場した本田は、スタート直後は集団の中ほどでレースを運ぶ。400メートルの通過は1組目よりも速い58秒。少しずつ前へ位置を上げ、アウトコースから先頭へ。残り2周になると、佐藤圭汰(NIKE)が先頭に立ち、本田はその後ろについた。最後の1周で佐藤がペースを上げ、さらに森田佳祐 (SUBARU)が本田の前に出る。ホームストレートに入ると先頭争いは7人に絞られ、6枚の決勝への切符を争う。本田は団子状態の集団からゴール前で抜け出し、名だたるランナーたちを抑えて1着。3分37秒53のタイムは、歴代の日本選手権の予選で最速のタイムとなった。さらに、3週間前の日本グランプリシリーズMDCで更新した自己記録、早大記録をまたも更新。レース後、「自信になった」と振り返った。

 決勝は大会2日目の夕方に行われた。レースは予選とは打って変わって、スローペースでスタート。本田は団子状態の集団の中心に位置する。最初の1周は64秒。700メートル手前で本田は外側から先頭へ位置を上げ、ペースを1周58秒まで上げる。残り500メートル付近で飯澤と森田が本田に並びかけ、残り1周の鐘が鳴ると飯澤が本田の前へ。周りの選手がスパートをかけると、本田も負けじと食らいつく。接触がありながらも内側から先頭を追いかけ、競り合いの中、準優勝をつかみ取った。

 今シーズン、1500メートルで好調ぶりをうかがわせる本田。次に見据えるのは、7月のホクレン・ディスタンスチャレンジの5000メートルだ。弱冠19歳のスピードスターは、5000メートルでも我々を魅了してくれるに違いない。

(記事 川田真央、写真 石本遥希)

水野が1日で2度自己記録を更新!  決勝でも上位争いに食らいつく(男子100メートル)

 男子100メートルには、関東インカレで優勝を果たした水野が出場した。2連覇を目指す桐生祥秀(日本生命)や、過去に本大会で優勝経験を持つ多田修平(住友電工)など注目選手が集う今大会。水野は、予選では10秒18、準決勝では10秒14と、1日で2度も自己記録をたたき出し、決勝進出を決めた。

 大会初日に行われた男子100メートル予選。水野は、1組目の3レーンに登場。隣の4レーンには、多田が入るなど、強力な選手がそろう組となった。水野は好スタートを見せ、スタートを得意とする多田に引けを取らない走りを見せる。中盤からは水野、多田を含めた4選手が先頭を争う展開に。上位4人が最後までもつれる接戦となった。水野はゴール直前で多田との3位争いに持ち込んだが、0.01秒差で競り負け、4着でフィニッシュ。着順での準決勝進出とはならなかったが、10秒18で自己記録を更新し、タイムでの準決勝進出を決めた。

 その日の夜に行われた準決勝。3組目の2レーンに水野が登場した。隣の3レーンには、予選と同じく多田が入る。また、5レーンには桐生、9レーンには9秒95の日本記録を持つ山縣亮太(セイコー)が登場し、日本選手権で優勝経験のある選手たちと肩を並べた。緊張感が漂う中、レースはスタート。「ピッチタイプの走りではあるが、ストライド優位の走りを心がけていた」という水野。回転力に加え、一歩一歩の力強さを意識した走りを見せ、隣を走る多田と予選で対戦した時以上に競り合う展開に。終盤まで多田と先頭争いを繰り広げ、日本トップクラスの選手たちに真っ向から勝負を挑んだ。ゴール直前には中盤から伸びの走りを見せた桐生が意地で振り切り、1着でゴール。水野も最後まで粘り強く走り抜き、多田とほぼ同時にフィニッシュした。着順は1000分の1秒単位で決まる接戦となり、多田は2着、水野の結果は同タイムで着差ありの3着に。それでも、 予選で更新した自己記録をさらに塗り替える10秒14をマークした。全体5番目の記録で決勝進出を決め、翌日の決勝へ大きな弾みをつけた水野。レース後には「上位入賞を目標にしたい」と決勝のレースに向けて意気込みを述べ、さらなる快走を誓った。

 大会2日目の夜に行われた男子100メートル決勝。豪華な演出で会場が彩られ、観客のボルテージが最高潮に達する中、日本一のスプリンターを決める舞台に選ばれし8人が姿を現した。初の日本選手権決勝に臨む水野は、9レーンに登場。4レーンには多田、5レーンには桐生が入り、準決勝で競り合った選手たちと再びあいまみえた。レース前は「冷静に走ることを意識していた」という水野。号砲に鋭く反応し、決勝進出者の中で最も速いリアクションタイムを記録した。しかし、その後の加速局面から中盤にかけて多田が一気に先頭へ飛び出し、西岡尚輝(筑波大)と桐生が続くかたちに。水野も懸命に上位争いに食らいついた。中盤以降は隣の8レーンを走る山本匠真(広島大)と競り合い、最後の力を振り絞ってスパートをかける。多田が後続の追撃を振り切って優勝を飾る中、水野は10秒26の6着でレースを終えた。目標としていた上位入賞には届かなかったものの、初めて立った日本選手権決勝の舞台で堂々たる走りを披露。レース後、水野は「実力負けした」と振り返り、悔しさをにじませた。

 日本選手権の舞台で2度にわたって自己記録を更新し、決勝でも力走を見せた水野。次に見据えるのは、9月の日本学生対校選手権(日本インカレ)と、10月に地元・青森で行われる国民スポーツ大会(国スポ)だ。「10秒0台を出し、順位でも優勝を狙いたい」と意気込み、次なる目標に向けて走り続ける。

(記事 鶴本翔大、写真 石本遥希)

※選手コメントは別記事にて掲載いたします。

男子結果

▽男子100メートル

予選(7組3着+3)

1組(+0・6)

水野琉之介 10秒18(4着)準決勝進出 自己新

準決勝(3組2着+2)

3組(+0・2)

水野琉之介 10秒14(3着)決勝進出 自己新

決勝(+0・1)

水野琉之介 10秒26(6着)

▽男子400メートル

予備予選(3組0着+6)

2組

権田浬 46秒89(4着)

▽男子1500メートル

予選(2組6着)

2組

本田桜二郎 3分37秒53(1着)決勝進出 自己新

決勝

本田桜二郎 3分40秒49(2着)

▽男子3000メートル障害

決勝

佐々木哲 8分27秒23(5着)

女子結果

▽女子400メートル

予選(3組2着+2)

3組

上島周子 DNS