【競走】山口が魅せた! 北の大地で13分17秒19を叩き出す

陸上競技

ホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会 7月4日 北海道・青葉陸上競技場

 昨年、山口智規(令8スポ卒=現SGホールディングス)が13分16秒56を記録したホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会。今年度も早大から5人の選手が出場した。この日最後の種目となった男子5000メートルAに登場した山口竣平(スポ3=長野・佐久長聖)が、序盤から攻めの走りを見せつける。最後までペースは落ちることはなく、日本人学生歴代4位のタイムとなる13分17秒19でゴールした。

★熊倉が自己記録に迫る走りを披露!(女子1500メートルB)

 バックストレート側に強烈な向かい風が吹く中行われた、女子1500メートルB。早大からは、関東学生対校選手権(関東インカレ)にも出場した、始関千華(政経3=北海道・札幌南)、熊倉花萌(スポ2=東京・早実)の2人がレースに臨んだ。熊倉は自己記録更新まであと1秒と迫る走りを見せ、始関は地元・北海道で先頭集団に食らいつくレースを展開した。

 序盤から縦長の隊列となった集団の3・4番手付近に始関、7番手に熊倉が位置し、400メートルを71秒で通過。500メートルを過ぎると、集団が2つに分かれ始める。始関は4人の先頭集団の最後方、熊倉は第2集団の真ん中辺りでレースを進め、残り2周に。先頭の岡本彩希(名城大)がペースアップし、始関は3番手で懸命に食らいつくが、徐々に差が広がる。熊倉も前を追う走りで始関との差を詰める。ラスト1周となり、残り100メートル付近で、熊倉が始関の背中を捉えた。2人はフィニッシュラインまで競り合いとなったが、熊倉が5着、始関が6着となった。

 北海道らしからぬ暑さと強風のコンディションの中、懸命に腕を振り続けた始関と熊倉。特に、始関は地元・北海道の試合で先頭集団でチャレンジする積極性を見せてくれた。女子中距離を引っ張る2人は更にスピードに磨きをかけ、夏からのレースも飛躍してくれるだろう。

(記事 永尾早渡、写真 石本遥希、永尾早渡)

★本田、吉倉が共に自己記録を更新!(男子5000メートルB)

 日本選手権1500メートルで銀メダルを獲得した本田桜二郎(スポ1=鳥取城北)と、GINZA MILEで日本記録を破った吉倉ナヤブ直希(社3=東京・早実)が登場した男子5000メートルB。本田は、早大に入学して3本目の5000メートルのレースとなった。4月の金栗記念選抜陸上中長距離大会、5月の第37回ゴールデンゲームズ in のべおか(GGN)で達成できなかった自己記録更新に向け、1500メートルで磨き上げたスピードを武器にレースを進める。吉倉もまた、自己記録更新を目指した。タイムとしての目標は「13分35秒切り」。早大が誇るスピードスターの2人の走りに、会場の人々から熱い視線が送られた。

 最初の400メートルを65秒で通過した集団の5番手付近に位置した2人。外国人選手が引っ張る隊列の前方から中盤に位置し、冷静にレースを進める。集団は1000メートルを2分40秒、2000メートルを5分22秒で通過。このまま大きな集団でレースが進むかと思われたが、2400メートルを過ぎたところで、外国人選手がペースアップする。本田がすかさず反応し13分30秒切りを狙えるペースに。一方吉倉は、ばらけた集団の後方で力を貯めた。4000メートル手前から徐々に上体がぶれ始めた本田は、先頭からは離されたが、依然として13分30秒切りを狙えるペースで懸命にタイムを削りだす。ラスト1周で後続の選手たちにラストスパートを仕掛けられ、抜かされるも、本田も必死に食らいつく。最後まで苦しい表情の本田であったが、13分32秒61でゴール。自己記録更新を達成した。吉倉もレース後半で徐々に位置を上げ、13分37秒61を記録。本田に続いて自己記録更新となった。

 トラックシーズンでは、1500メートルを主戦場とした本田。今シーズン鍛え上げたスピードで念願の5000メートルでの自己記録更新を成し遂げた。同じく自己記録を更新した吉倉は、レース後に悔しさを口にする。本田も「(自己記録の更新は)本当に嬉しかった」と語る一方、「本当に体力がない」とも語った。夏合宿を越え、さらに成長した2人の姿に期待したい。

(記事 石本遥希、写真 石本遥希、永尾早渡)

★山口が覚醒! 日本人学生歴代4位の13分17秒61を記録(男子5000メートルA)

 「スピードがついていることは確実に証明できた」。山口のこの言葉は、誰が聞いても間違いないと感じるであろう。日本学生対校選手権1万メートルでの27分台や、GGNでの13分30秒切りも確かに圧巻であった。だが、この日の山口は、圧巻という言葉だけでは言い表せない恐ろしい走りを見せつけた。

 午前中から吹き荒れていた風は、まるで好記録へのお膳立てかのように止んだ。山口も「天候にも恵まれて、良いコンディションと良い雰囲気で挑めた」と語る。12分台を狙うと公言していたリチャード・エティーリ(東国大)を筆頭に多くの外国人選手がレースを先導する中、山口の姿は集団の最後方にあった。先頭は、1000メートルを2分38秒で通過するハイペースとなる中、「後ろからスタートして、(先頭との差が)開いたら前に出よう」と考えていた山口。その言葉の通り、少しずつ位置を上げていく。

 2000メートル手前で集団中盤にわずかな間隔が生まれると、それを見逃さなかった山口が一気にペースを上げる。外国人選手が形成する先頭集団に追いつき、懸命に食らいついた。先頭集団で走る日本人選手が山口ただ一人となる中、4000メートルを過ぎても外国人選手に食い下がる。会場内からも「山口頑張れ」という声援が響き渡り、山口の背中を押した。

 ラスト1周の時点で12分14秒。この1周を62秒で上がれば、昨年山口智規がたたき出した早大記録更新も見えてくる。チームメイトたちから懸命に声援が送られる中、山口はラストスパートを仕掛ける。ゴールラインまで力を絞り出した山口のタイムは、13分17秒19。山口智規の記録にはわずかに及ばなかったが、それでも日本人学生歴代4位のすさまじい記録であることには間違いない。トラックシーズンを締めくくる文句なしのレースとなった。

 「自分でもびっくりです」。レース後の山口は、笑顔で語る。先月の日本選手権では、悔しさをあらわにする姿も見られたが、この日のレース後は、満足げな表情がうかがえた。「13分25秒くらいは出せると思っていた」そうだが、結果的には13分17秒19。昨年の山口智規に続き、今年も千歳の地で早大旋風を巻き起こした。「スタミナをつけて、駅伝では必ず勝てる選手になりたい」と誓う山口。『圧倒的な個』の核として、チームをけん引する姿を見せてくれるであろう。

(記事 石本遥希、写真 石本遥希、永尾早渡)

男子結果

▽男子5000メートルB

本田桜二郎 13分32秒61(6着)自己新

吉倉ナヤブ直希 13分37秒61(13着)自己新

▽男子5000メートルA

山口竣平 13分17秒19(5着)自己新

女子結果

▽女子1500メートルB

熊倉花萌 4分36秒13(5着)

始関千華 4分36秒51(6着)

コメント

本田桜二郎(スポ1=鳥取城北)

ーー今日のコンディションはいかがでしたか

 あまり調子が良いわけではなく、風もかなり強かったですが、自己記録の更新を最低限として考えていました。前の組でも(鳥取城北)高校の同期の村上(遵世、創価大)が自己記録を出していたので、負けられないと思って、(村上の自己記録の)13分39秒を意識して走っていました。 

ーー自己記録を出して、率直な気持ちはいかがですか

 本当に嬉しかったです。今シーズン3回目の5000メートルで、やっと自己記録の更新ができたので、本当に嬉しかったです。

ーー日本選手権の1500メートルでも活躍されたように、スピードはご自身の武器ですか

 スピードはやはり武器だと思っているので、ラストはその武器が発揮できたと思います。

ーー最後に夏合宿に向け、強化していきたい部分はありますか

 本当に体力がないので、そこを重点的に鍛えていきたいです。あとは故障の面です。故障をしないように、力の入れ方を考えていきたいです。

吉倉ナヤブ直希(社3=東京・早実)

ーー今日のレース振り返ってみて、いかがですか

 目標は13分35秒切りを狙っていた中で、自己記録は更新しましたが、目標のタイムは切れなかったので少し悔しさが残りました。

ーー自己記録を出した嬉しさというよりも、悔しさの方が大きいですか

 そうですね。悔しさの方が少し強いです。

ーー今後に向けての意気込みをお願いします

 これから夏合宿も始まり、駅伝に向けての練習となるので、(走る)距離を伸ばしつつ、駅伝では区間賞を狙っていきたいと思います。

山口竣平(スポ3=長野・佐久長聖)

ーー今日のコンディションはいかがでしたか

 日本選手権が終わってから、どうかなと思っていましたが、天候にも恵まれて、良いコンディションと良い雰囲気で挑めました。

ーーレースプランはいかがでしたか

 レースプランはあえて立てずに、後ろからスタートして、(先頭との差が)開いたら前に出ようと思ってました。いつも通りのパターンを意識していました。

ーー自己記録を更新されましたが、率直な気持ちはいかがですか

 13分25秒くらいは出せると思っていましたが、まさか(13分)17秒が出ると思わなかったので、自分でもびっくりです。

ーーレース終盤、山口智規(令8スポ卒=現SGホールディングス)さんが出された早大記録(13分13秒56)はよぎりましたか

 よぎりましたが、そこまで意識することもありませんでした。

ーー今日の結果を踏まえて、夏合宿で強化していきたいところはありますか

 スピードがついていることは確実に証明できたので、今後はスタミナをつけて、駅伝では必ず勝てる選手になりたいと思います。

花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)

ーー今日でトラックでの試合が一区切りになると思いますが、ここまでのチーム全体の活躍はどのように見られていますか

 主力で走るべき人が大会で結果を出してくれたので、100点満点で90点くらいの点数をあげられると思います。欲を言うと、(大会で)優勝した選手が数えられるほどしかいなかったので、もう一歩上を目指してほしかったです。(今シーズンここまでで)1番大きかったのは、日本選手権の(長距離の)全ての種目で上位入賞者を出せたことだと思います。本当に周りから見ても、今年の早大はすごいというインパクトがあったと思います。 

ーー前半シーズンで特に力を入れたことはありましたか

 スピード強化です。けん制するレースではなく、自分たちでレースをつくった上でどう勝負するかということを考えていました。日本選手権は日本トップの大会であり、そこでどれだけ勝負できるかを考えていたので、選手たちもしっかりと取り組めていたと思います。 

ーー今シーズンは早大の選手がレースを引っ張るシーンを多く見られましたが、花田駅伝監督の指示でしたか

 選手たちの自己判断です。私の方でもあまりに(ペースが)遅くなったら、自分のリズムで走った方がいいよという話はしていました。私自身も本人たちがレースの中で考えてやってほしいと思っています。その中で、関東インカレでは、優勝を逃した選手もいましたが、多くの選手が自分でレースをつくることができたので、その後の日本選手権につながったと思います。

ーー昨年より多くの選手が活躍されていると思いますが、チームの底上げとしてはいかがですか

 底上げというより、強い選手が昨年、今年と入ってきてくれて、1年生、2年生がきっちりと結果を出してくれているので、そのような意味では順調に来ていると思います。あとは卒業した山口智規も(練習拠点の)メルボルンから戻ってきた時に、早大を拠点にしてくれています。チームの練習の中に日本のトップがいることで、自ずと選手たちの意識が上がって、良い相乗効果が生まれたと思います。

ーー今年の新入生に対して、どのように見ていらっしゃいますか

 本田と増子陽太(スポ1=福島・学法石川)に関しては、期待通りかそれ以上の活躍をしています。2人に比べると、少し見劣りする部分もありますが、新妻(遼己、スポ1=兵庫・西脇工)も決して悪くはないです。また、上杉(敦史、スポ1=千葉・八千代松陰)も大きな大会には出ていないですが、良い流れに乗って、夏以降が非常に楽しみな状態で来ているので、推薦組に関しては順調に来ていると思います。 一般(入学)で来た選手も自己記録を出しているので、非常に強い学年だと思っています。

ーーこれからロードシーズンが始まることを見据えて、夏合宿で特に強化していきたいところはありますか

 あまり距離にこだわっていませんが、箱根(東京箱根間往復大学駅伝)を考えると、ハーフを走れるようなスタミナをつける必要があります。7月を移行期間にしたいという訳ではありませんが、少し(距離の)ボリュームを持たせながら、8月、9月としっかり足づくりをできればと思っています。ケガをせずに、どれだけ走り込みができるかが、大事になってくると思います。

ーー最後にロードシーズンを見据えて、目標を聞かせてください

 周りからは、出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)だ、全日本(全日本大学駅伝対校選手権)だ、箱根だと言われますが、まず夏合宿を行った中から目標が見えてくると思います。 ただ、これだけの選手たちがいるので、特に出雲、全日本は優勝を目指して取り組んでいきたいです。そして、その先の箱根が一番大事にしているところなので、箱根に向けてしっかりと積み上げていければと思います。