初の公式戦である新人戦サマーステージを制してから3カ月。予選ブロックを2連勝で通過した早大は、2つ目の新人戦タイトルを獲得すべく新人戦ウィンターステージの決勝トーナメントに臨んだ。地力の高さを見せつけて準々決勝、準決勝を勝ち進むと、決勝では日体大・城西大合同チームとの一戦に。前半は押し込まれる時間帯も多かったが、1-1の同点で折り返す。しかし後半になっても劣勢をはねのけることができず、1-2で惜敗。新人戦グランドスラムの夢はついえることとなった。
敗北が許されない決勝トーナメントの初戦、準々決勝・神奈川大・青学大合同チーム戦。この日最初の試合ということもあり動きに硬さが見られ、ピンチになる場面もあったが、前半を無失点で切り抜ける。後半になるとMF宮脇昇汰(商1=東京・早大学院)とAT白井康(文構1=東京・早実)の得点が生まれ、2-0でベスト4入りを決めた。決勝の椅子を懸けた東経大・中大合同チームとの準決勝は、前半6分に相手ディフェンスの対応の遅れを白井が逃さずに2試合連続となるゴール奪い早大に先制点をもたらす。しかし徐々に相手に流れが傾いていた後半3分に同点に追い付かれてしまう。その後我慢の展開となったが、MF森久優太(商1=埼玉・早大本庄)が敵陣を駆け上がり相手のファウルを誘うと、試合の潮目は変わる。早大攻撃陣が立て続けにショットを放ち相手ゴールを脅かし、同7分にAT北野夏飛人(商1=大阪・明星)が右サイドから強烈なショットをお見舞いして逆転に成功した。試合はこのまま1-2でタイムアップとなり、新人戦二冠に王手をかけた。
準々決勝と準決勝で得点を挙げた白井
10分×2という短い試合時間の中で着実に白星を重ねていった早大は、日体大・城西大合同チームとの最終決戦に臨んだ。前半1分にパス回しで揺さぶられて先手を取られると、ディフェンスセットの時間が長くなる苦しい前半に。相手のパスミスにも助けられて、敵陣でプレーする機会が増えてきた終了間際、MF藤永貴也(政経1=岡山白陵)の縦パスをキャッチしたMF平野義大(社1=東京・早大学院)がディフェンスをかわし同点ゴールを沈めたところでハーフタイムとなった。逆転を期して迎えた後半。ところが3分にランシューを決められて勝ち越しを許すと、一人一人のスキルが際立つ相手に翻弄(ほんろう)されてしまう。刻々と試合終了が近付く中で、オフェンスの精彩を欠いた早大はショットまで持ち込むことができず、1-2でゲームセット。点差以上に力の差を痛感する敗戦を喫した。
5試合通して、安定したクリアを見せたDF大見紳太郎(教1=愛知・名東)
試合後に選手たちは学生コーチへの熱い思いを吐露した。競技者生活にピリオドを打ち、後進の指導に専念することを決意した学生コーチ、ラクロスという新たなスポーツに挑戦することを決意したルーキーたち。それぞれに確固たる決意を持って、二人三脚でこの日までまい進してきた。「今は今回負けたことが良かったと言えないと思うんですけど、そう思えるくらいこれを糧に頑張ってほしい」(太田雄斗学生コーチ、人4=神奈川・日大高)。そう切に願う学生コーチへの恩返しは、最後の新人戦・あすなろカップ、そして3年後の全日本選手権(全日)制覇という結果で示すしかない。全日決勝でのAチームの勇姿をその目に焼き付け、今井組は新たな一歩を踏み出していく。
(記事 石井尚紀、写真 村上萌々子、山田流之介)
結果
▽準々決勝
○2-0 神奈川大・青学大合同チーム(得点者:宮脇、白井)
▽準決勝
○2-1 東経大・中大合同チーム(得点者:白井、北野)
▽決勝
●1-2 日体大・城西大合同チーム(得点者:平野)
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コメント
太田雄斗学生コーチ(人4=神奈川・日大高)
――今の率直な気持ちをお願いします
悔しいですし、勝たせると言って指導してきたので、コーチとして申し訳ないです。
――準々決勝は攻めあぐねた中で勝利を収めました
最初ということで動きが硬くて、オフェンスではやろうと言っていたことができなかったので、ハーフタイムで修正していつも通りのオフェンスができて2点取れました。硬さはあったものの、修正できた点は成長したなと思いました。
――準決勝は同点に追い付かれて流れが傾きかけましたが逆転しました
練習試合では追い付かれる場面がなくて、今回初めて苦しい展開だったんですけど、勝ち切ってくれましたし、試合を通して修正をしてくれました。勝っている時も負けている時もやろうと言っていたことをちゃんとやっていたので、勝てたと思います。
――決勝は相手にペースを握られてしまいました
相手がパス回しもうまくて、一人一人の個の力も高かったです。そこでパスを回されて自分たちのディフェンスができませんでした。それだけ回されてしまうとオフェンス時間も短くなってしまって、少ないオフェンスチャンスで攻撃陣が焦っていつもやっていないプレーや無理な体勢でのパスが目立っていました。そういう展開になるのは分かっていたんですけど、全体にもっと伝えられていたら展開が変わったかなと思うので、責任を感じています。
――今まで指導されてきて強く伝えてきたことはありましたか
ラクロスを始めて1年目の選手たちで、自主練の量でだいぶ変わってくるので、夏まで言い続けてきてそこからは自主的にやってくれる面が大きかったです。それ以外のところではロングスティックを持つ選手が増えたり、人数が変わったので、チームとしての組織力が問われていたので、チーム内でのコミュニケーションなどは意識するように伝えてきました。あとは今年の1年生の人数は少なくて、フルフィールドになると総力戦の部分があるので、一人一人に自覚を持ってもらうところから優勝を目指してやってきたんですけど、こんな結果になってしまって申し訳ないです。
――今後選手たちにはどのようなプレーヤーになってほしいですか
今は今回負けたことが良かったと言えないと思うんですけど、そう思えるくらいこれを糧に頑張ってほしいと思いますし、負けてしまったんですけど、今年の1年生は自主練もしていて、将来有望な選手も多いので、3年後の日本一に向けてこの悔しさを忘れずに頑張ってほしいと思います。
MF今井海斗学年キャプテン(教1=東京・早実)
――今の率直なお気持ちをお願いします
申し訳ないなという思いが一番強いです。
――きょうの戦い全体を振り返っていかがですか
やることはやったのですが、ちょっとしたミスが命取りになりました。みんなは頑張ってくれました。
――準決勝から決勝までの間にチーム全体で何か話されましたか
スカウティングもやってもらっていて、攻め方とか守り方とか試合中そんなに悪くなかったのですが、クリアが思うようにいかなくて、前まで運べなくて、得意のオフェンス時間が短くなってしまって点が入らなかったのかなと思います。
――決勝トーナメントはどのような意気込みで臨まれましたか
1回も負けられなくて、今シーズン先輩方も負けていなかったので、自分たちも勝って、明日の先輩の全日本(選手権)決勝に勢いづけられたらなと思っていました。あと学生コーチとの最後の試合で、本当にお世話になったので胴上げしたかったなという思いが強いです。
――前回のサマーステージ優勝から今大会までを学年キャプテンとして振り返っていかがですか
個々のレベルはかなり高くて、個性も豊かで、みんな結構自主練とかもしてくれて、自分が何も言わなくても各自が自立心持ってやってくれていたので、もっと自分が強く引っ張れたら結果も変わったのかなと思っています。マネージャー含めたスタッフにも本当に申し訳ないです。
――最後にあすなろカップへの意気込みをお願いします
きょうの借りを返せるように、各自チーム一丸となってレベルアップして、強くなった姿を見せたいと思います。
AT白井康(文構1=東京・早実)
――今のお気持ちは
学生コーチに自分とかは2月とかからお世話になっていて、自分たちがやってきたことを結果で出したかったんですけど、最後日体に力負けをして、自分達が変わっていかなければいけないなと思いました。
――1試合目と2試合目のご自身の得点シーンを振り返ってみていかがですか
1点目はヨシ(MF平野義大、社1=東京・早大学院)がディフェンスを引き連れて自分にパスを出してくれたので、それをなんとか決め切れて良かったと思います。2点目も下でワンマンしていた人が自分のマークマンを引きつけてくれたので、そこで自分が決め切れて良かったと思います。
――決勝戦を振り返ってみていかがですか
オフェンスもディフェンスも気持ち的に焦ってしまって、今まで自分達がやってきたかたちができなかったです。もっと普段の練習から成長していかないとこれから先は勝てないと感じました。
――決勝戦の相手となった日体大との差は
技術的に日体さんの方が上だったし、やっぱりまだまだチームとしても個人としても力で勝ち切れなかったというのが差だったと思います。
――今後どういったプレーヤーになっていきたいと考えていますか
自分のポジションはATなので、オフェンスをしっかりコントロールしていきたいです。自分には足りない部分がたくさんあって、強みもどんどん増やしていかないといけないし、そうしないとこのチームも強くならないし勝っていけないので、自分が弱みとしているところを強みに変えて、強みと思っているところはしっかり伸ばしていきたいです。
DF大見紳太郎(教1=愛知・名東)
――準優勝という結果でしたが、今のお気持ちはいかがですか
お世話になった社会人コーチや学生コーチの方々に恩返しをするということで優勝をしたかったのですが、このようなかたちになってしまってとても残念です。
――初戦は結果的に2-0での勝利となりました
ディフェンスは何度か危ない場面があったのですが、オフェンスがいいかたちや得意なかたちで決めてくれたり、MFの選手たちがグラウンドボールを拾い切ってくれて、差をつけることができました。
――準決勝で同点に追い付かれてしまった時の心境はいかがでしたか
焦りとかはあったんですけど、オフェンスを信じていて、ここを守ればオフェンスが決めるだけと思っていたので、勝てると思っていました。
。
――決勝は相手の巧みなプレーに苦戦しました
2失点をしてしまったのは個人の力ではなくて組織力なので、亀岡(G亀岡慎之資、法1=東京・早大学院)とかと一緒にディフェンスのゲームコントロールがをし切れていなかったり、オフェンスもうまくいっていなかったなと思います。
――今大会の5試合を通してご自身のプレーはいかがでしたか
いいプレーができることはあったんですけど、まだまだ課題もあったので、次のあすなろでは優勝できるように努力していきたいです。
――大見選手からクリアがうまく決まっていた印象です
クリアはディフェンスが終わった後に攻撃につなげるプレーなので、大事な部分であると認識しています。
――今後はどういったプレーヤーになっていきたいですか
1on1の強さやクリア力を武器に上のチームに食い込んでいきたいです。
――これからに向けての意気込みをお願いします
今回は優勝できなかったんですけど、あすなろでは優勝して社会人コーチや学生コーチの方々に恩返しをしたいです。
G亀岡慎之資(法1=東京・早大学院)
――今の率直なお気持ちは
正直優勝を目指してやってきたので、自分が止めていればという気持ちもあって、悔しい気持ちです。
――決勝トーナメントにはどのような意気込みで臨まれましたか
もともと自分は正ゴーリーではなくて、小林(G小林鷹人、社1=東京・早大学院)がケガをしてしまって自分が出ることになって、小林にも優勝で恩返ししたいなと思っていたのですが、負けてしまったので悔しいです。
――ゴーリーとして試合全体振り返っていかがですか
オフェンスもよく点を取ってくれていて、あとはディフェンスがしっかり止めていれば負けることはなかったので、素直に自分の実力不足だなという気持ちで申し訳ないです。
――決勝はどのような戦い方をしようとコーチや他の選手の方々とお話されていましたか
コーチ陣の皆さんで対策とかをしっかり立てて下さっていて、自分たちはそれを実行するだけだったのですが、結果的にそれができなくて点を取られてしまって、やろうとしたことができなかったことは悔しいです。
――サマーステージ優勝から今大会までを振り返っていかがですか
自分はサマーでそんなに出場していなくて、ウィンターで巻き返してやろうと思ってやってきたのですが、まだまだ努力が足りていなかったと思うので、これからチームとしても個人としても成長できるように頑張りたいと思います。
――最後にあすなろカップへの意気込みをお願いします
今のコーチ陣の皆さんとは一緒にプレーできないのですが、あすなろでしっかり勝つことで恩返しできると思うので、この気持ちを忘れずに最後まで頑張ります。