大学バスケ界に、どこよりも熱いゴールデンウィークがやってくる。関東大学リーグ戦(リーグ戦)と全日本大学選手権(インカレ)に並び、「3大タイトル」として位置づけられる関東大学選手権(スプリングトーナメント)。この中で最も開催が早い本大会は、新チームの趨勢(すうせい)を占う大会だ。前年7位である早大の初戦は5月2日。昨年大学バスケ界を震撼させた「早稲田旋風」の第2章がここから始まる。本記事では1968年以来の優勝を目指す早大を中心に、今大会の展望をお届けする。
テーマは堅守速攻
今年の早大のチームスタイルは、ディフェンスからの速攻だ。昨年からは岩屋頼(令8スポ卒=現秋田ノーザンハピネッツ)をはじめとした主力の4選手が卒業し、攻撃力の低下は避けられない。その分今年はディフェンスに着目し、失点効率の改善と速攻の増加を狙っている。
早大が武器とする速攻は得点効率が高いと言われているプレーであり、世界的なトレンドとも言える。昨年はリーグ1のポゼッション回数と得点効率を叩き出した早大であるが、今年はさらなる高速バスケットに期待がかかる。
そのバスケットの中心選手となるのがG下山瑛司(スポ4=愛知・中部第一)だ。昨年リーグ戦アシスト王を獲得した下山は、今オフB2のライジングゼファーフクオカに特別指定選手として加入。1試合平均9.9得点、4.5アシストに加え、信州戦では25分の出場で23得点の活躍を見せた。

最大の武器は爆発的なスピード。減速力や加速力にも長けており、静と動の動きで相手を翻弄(ほんろう)する。下山のボールプッシュから速攻を量産する流れになれば、自然と流れは早大に傾くだろう。
ディフェンスではG城戸賢心主将(スポ4=福岡第一)の存在も欠かせない。昨年は度重なる怪我に悩まされたが、大学トップクラスのエースキラーだ。同じくディフェンスが武器のG嘉手川太智(商4=沖縄・開邦)と共に、相手のターンオーバーを量産する展開に持っていきたい。

また、オフェンスの注目選手は洛南高出身のダブルエース。リーグ屈指の得点力を誇るF三浦健一(スポ4=京都・洛南)とF松本秦(スポ2=京都・洛南)だ。
三浦は昨年、スプリングトーナメントの3P王、リーグ戦のMVPを獲得したスコアラー。多彩な得点パターンを誇り、「なんでもできる」という言葉が似合う選手だ。今季はペイントアタックからのアシストも増えており、ハーフコートオフェンスのキーマンとなるだろう。
松本は抜群のシュートセンスを誇る身長191センチのフォワード。昨年は1年生ながらインカレ得点王を獲得した。普通では考えられないタイミングから放つ3Pシュートや、豪快なスピンムーブは唯一無二の武器。今オフにはB1の宇都宮ブレックスに特別指定選手として加入し、プロのレベルを体感した。

新戦力の突き上げにも注目だ。貴重なリバウンダーのF藤山拓翔(スポ3=新潟・開志国際)は今季ここまでスタメンの座を獲得。シューターのSG遠藤琢磨(商4=山形南)は六大学リーグ戦で3P王に輝いた。そして注目のルーキー・G宮本耀(スポ1=福岡第一)はセカンドPGや、シューターとして期待がかかる。

早大との対戦が予想される対戦相手についても触れていこう。1回戦で対戦する国士舘大は昨年1部に昇格。相手の流れに乗ると怖い「やんちゃ軍団」だ。チームを率いるのは元Bリーガーであり、解説者としても知られる松島良豪氏。選手個々の突破力や粘り強いチームカルチャーを毎年つくり上げている。
2回戦は専大との対戦が濃厚か。昨季の専大は松野遥弥(現広島ドラゴンフライズ)を擁しながらも、リーグ最下位で2部降格。今年は再起を期す1年になる。チームの中心選手はスコアリングガードの後藤宙(2年)や、日本人ビッグマンのアピアパトリック眞(3年)。また、ルーキーの長岡大杜(1年)やキング太(1年)なども重要な戦力となっていくだろう。

そして準々決勝での対戦が濃厚なのが、インカレ王者・白鷗大。今年も王者にふさわしい盤石な布陣だ。特別指定選手として秋田ノーザンハピネッツで躍動した内藤晴樹(3年)とシューターの小川瑛次郎(3年)をはじめに、ビックマンには実績豊富な境アリーム(4年)とウィリアムスショーン莉音(3年)がいる。驚くべきことに、上記の4人はいずれも今夏の大学日本代表選手だ。
さらにウイングには3x3世代別日本代表のロイ優太郎(3年)や、八重樫ショーン龍(4年)など隙がない。昨年までの正センターであるモンガ・バンザ・ジョエル(現埼玉ブロンコス)こそ卒業したが、その穴を埋めるネブフィ・ケルビ・シェミリー(2年)は開志国際高時代にU18トップリーグのベスト5を獲得したビッグマンだ。このように全く隙がない実力者軍団・白鷗大。早大は持ち前の「爆発力」でどこまでこの牙城を崩せるかに注目だ。

10~20年前までは確かな人気を誇った大学バスケ。しかし近年、その人気には陰りが見えている。Bドラフトが始まり、大学生への注目が高まっている今は大学バスケの再興への絶好機だろう。再び代々木第二体育館の大観衆の中で、躍動する選手を見るために。GWは大学バスケを見に行こう。
(記事 石澤直幸)