2度追いつかれるも前田健副将の満塁打など逆転は許さず 最後は連投の伊藤樹が締め、賜杯の行方は2季連続の優勝決定戦へ/慶大2回戦

野球

東京六大学春季リーグ戦 6月1日 神宮球場

TEAM 合計
慶大
早大 ×

◆バッテリー

宮城、○田和、伊藤樹ー吉田瑞

◆二塁打

尾瀬、田村、前田健

◆三塁打

なし

◆本塁打

前田健(1号満塁)

 最終週を迎えた東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)。前日の1回戦で11―2と、大差の勝利を挙げた早大は、2連勝を目指して2回戦に臨んだ。試合は、初回から早大が先制。その後同点に追いつかれたものの、3回に前田健伸副将(商4=大阪桐蔭)に満塁弾が飛び出し、4点のリードを奪う。しかし、追い上げられて迎えた7回、先発の宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)が崩れて2失点。同点とされてしまう。それでも8回に相手の守備の乱れを突いて勝ち越しに成功すると、最後を前日の先発登板に続き連投となった伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)が締めてゲームセット。6-5で2連勝を収め、宿敵相手に勝ち点奪取を決めた。

 2連勝が絶対条件の早慶戦。1回戦を制した早大は、2回戦も初回から攻勢をかけた。先頭の尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)が二塁打で出塁すると、次打者の渋谷泰生(スポ4=静岡)は犠打で1死三塁とする。小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)の放った打球は右翼への緩いフライとなったが、これを相手右翼手が落球し、尾瀬が生還。2戦連続で先制に成功した。

1回に二塁打を放った尾瀬

 この日の先発マウンドを託されたのは、左のエース・宮城。宮城は初回、1死から安打を許したものの、次打者を併殺打に仕留めると、続く2回には2三振を奪う上々の立ち上がりを見せた。しかし3回、1死から下位打線に連続で二塁打を浴びて同点とされると、さらに1番打者の今津慶介(3年)に死球を与え、1死一、二塁のピンチを背負う。それでも後続を遊ゴロ、左飛に抑えてピンチを脱出。逆転打は許さずに相手の攻撃を断ち切った。

 すると、直後の3回裏、1死から尾瀬が右前打で出塁すると、2死とされた後に小澤主将、寺尾拳聖(人3=長野・佐久長聖)が連続四球で出塁。2死満塁の好機を作る。ここで打席には、今季不振の前田健副将。ここまで打率2割台、本塁打0と苦しみ続けた前田健副将だったが、フルカウントからアウトコース寄りのストレートを強振。ぐんぐんと伸びた打球は、バックスクリーンに吸い込まれる満塁本塁打となった。

満塁本塁打を放った前田健副将

 援護点をもらった宮城だったが、ピリッとしない投球が続く。先頭打者、次打者に連打を許すと、今季好調の林純司(2年)に適時打を浴びて失点。2死とした後にも代打の森村輝(4年)に適時打を浴びて、走者の生還を許した。続く打者にも四球を与えた宮城だったが、次打者は一ゴロに抑え、なんとかこのピンチを脱することに成功。土俵際で踏ん張った宮城は、続く5回、6回を連続で三者凡退に抑えて息を吹き返したかに見えた。

先発した宮城

 しかし、7回、先頭を3球三振に仕留めた宮城だったが、続く打者には四球を与えてしまう。次打者は三振としたものの、3番・常松広太郎(4年)には、左前に痛烈な打球を放たれ、2死一、二塁のピンチを迎えた。すると、4番・中塚遥翔(2年)に左中間への二塁打を浴び、走者2人が生還。同点とされてしまう。ここで宮城は降板。なおも2死二塁のピンチで、田和廉(教4=東京・早実)がマウンドに登った。右対右の対決となったこの打席で、田和はスイーパーを連投。結局全4球スイーパーで三振を奪い、ピンチを脱した。8回にも回またぎで登板した田和は、威力満点の直球を軸に相手打線を封じにかかる。2死から安打を浴びたものの、次打者を3球三振に斬って取り、危なげなくイニングを消化。味方の反撃を待った。

リリーフし、ピンチを切り抜けた田和

 8回、1死から前田健副将が二塁打を放つと、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)は山口力樹(スポ4=早稲田佐賀)を代走に起用し、勝負をかける。次打者の田村康介(商4=東京・早大学院)は四球で出塁し、1死一、二塁へとチャンスを拡大。しかし、続く石郷岡大成(社4=東京・早実)は三振に倒れてしまう。さらに、二塁走者・山口力が飛び出してしまい、この飛び出しを見逃さなかった相手捕手の吉開鉄朗(3年)が二塁へと送球。山口力は二、三塁間に挟まれた。しかし、三塁への送球を三塁手が後逸。投手のカバーも間に合わず、その間に山口力は生還し、相手のミスに乗じて早大が勝ち越しに成功した。

勝ち越しのホームに飛び込んだ山口力

 最終回のマウンドに登った田和だったが、先頭打者に四球を与えてしまう。慶大は、この場面で丸田湊斗(2年)を代走に起用。直後に丸田に二盗を許し、無死二塁のピンチを招いた。次打者は一ゴロに抑えるも、この間に丸田は三塁へと進塁。犠飛でも同点となる大ピンチを背負った田和だったが、この場面では常松をパワーで押し切り、遊飛に仕留めて2死にこぎつけた。この日2安打2打点の中塚を打席に迎え、小宮山監督は申告故意四球で一塁に歩かせることを選択。直後に満を持してエース・伊藤樹をマウンドに送り込んだ。昨春の早慶2回戦に続き、早慶2回戦、あと1アウトで勝利という場面でマウンドに登った伊藤樹。前回は大差かつ、2死走者なしでの登板であったが、今回は1点差、2死一、三塁という絶体絶命の場面でマウンドを託された。しかし、伊藤樹はいきなり死球を与えて、満塁としてしまう。続く打者にもボール先行の展開となった伊藤樹だったが、次打者は一飛に仕留めてゲームセット。幾度となくピンチを背負いながらも逃げきった早大が、6-5で勝利。2連勝で勝ち点奪取を決めた。

 立大戦で勝ち点を落とし、明大1回戦に敗れてあわや終戦かとも思われたリーグ戦。それでも、明大2回戦で伊藤樹がノーヒットノーランを達成して流れに乗ると、か細い糸をたぐり寄せ、ついに勝てば賜杯防衛となる優勝決定戦へとたどり着いた。春季リーグ戦は、この試合で最終戦。覇者早稲田の歌声を響き渡らせよう。

(記事 林田怜空、写真 西本和宏)

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早大打者成績

打順 守備 名前
(中) 尾瀬雄大 .288 右2   右安 遊ゴ     遊ゴ     
(遊) 渋谷泰生 .414 投犠   一ゴ   二ゴ   遊ゴ    
(二) 小澤周平 .377 右失   四球   中安   空三    
(左) 寺尾拳聖 .422 空三   四球   二安     空三  
  松江一輝 .000                  
(一) 前田健伸 .239   中飛 中本   空三     左2  
  山口力樹                  
  岡西佑弥 .333                  
(三) 田村康介 .175   右2 見三   二ゴ     四球  
(右) 石郷岡大成 .319   遊失   投ゴ   三安   空三  
(捕) 吉田瑞樹 .250   三直   三ゴ   空三   四球  
(投) 宮城誇南 .375     二ゴ 四球   見三      
  田和廉 .500               一ゴ  
  伊藤樹 .267                  

早大投手成績

名前
宮城誇南 6 2/3 10 3.03
田和廉 2.51
伊藤樹 0 1/3 2.44

コメント

◆前田健伸副将(商4=大阪桐蔭)

ーー今日の試合を振り返って
 じわじわと追い上げられながらも、相手のミスもあって、そういった試合を勝てたのが良かったかなという風に思います。

ーー3回には満塁ホームランを放ちました。振り返って
 (カウント)3ボール2ストライクまで持ち込むことができて、そこで思いっきり振っていけたのがホームランになって、それが満塁ホームランになってよかったなという風に思います。

ーー満塁となって回りましたが、どんな狙いでしたか
 返さないといけない場面だったので、積極的にどんどん振ってこうっていう風に考えました。見て見てはなくて、積極的に振っていった結果なので。別に何を狙ったとかではなく、ただ、3ボール2ストライクになったので、相手もボールにはしたくないだろうとは思っていたので、ゾーンで待っててっていう感じでした。

ーー明大との優勝決定戦に向けて、どのような準備をしていきたいか
 やっぱり明治は強いので、自分たちも挑戦者のつもりでガンガン攻めてって、チーム一丸となって今できることを、最善の準備をして挑みたいなっていう風に思ってます。

ーー改めて優勝決定戦への意気込みをお願いします
 勝てば優勝っていう分かりやすい状況なので、チーム一丸となって一人一人の役割をしっかりと全うして、できることをやって優勝決定戦に挑みたいなという風に思います。