東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)は第6週を迎える。勝ち点2で臨んだ前カードの立大戦では激戦の末、負け越す結果となった。3季連続のリーグ制覇へ向け、負けられない状態で挑むは難敵・明大。全員野球で2連勝、勝ち点獲得を目指す。
左腕攻略が第1戦のカギ
明大の今季の強さは豊富な投手陣にあるといっても過言ではない。第1戦での先発が予想される毛利海大(4年)は、昨秋のリーグ戦で早大を5回2安打無失点に抑え込んだ。また、エースとして臨む今季はここまで5試合に先発し、7失点、防御率2.05とその名に恥じない投球を披露。リーグ屈指の好投手へと成長した左腕には、今季も要注意だ。
第2戦の先発は高須大雅(4年)が想定される。立大2回戦では打ち込まれたものの、試合を作る能力は非常に高い。昨春の対戦で早大は7回無失点と完璧に抑え込まれた。苦手とする2人の先発投手が早大打線の前に立ちはだかる。
さらに、ベンチには大川慈英(4年)や菱川一輝(4年)ら経験、力ともに申し分ない投手が多く控える。実力通りチームの奪三振数は86個とリーグトップ。少ないチャンスをものにできるかどうかが、明大投手陣攻略のカギを握るだろう。
好調打線が立ち向かう
一方、早大は打線の好調が続いている。前カードの立大戦では、勝ち点こそ落としたものの、3試合で17得点とさすがの得点力をみせた。好調の早大打線をリードしているのは3番・小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)と4番の寺尾拳聖(人3=長野・佐久長聖)だ。小澤主将はここまで打率3割5分3厘、6打点を記録。法大戦では本塁打も放つなど、チーム随一の勝負強さを誇る。頼れる主将が自身のバットでもチームを引っ張っている。今季4番を務める寺尾は、1本塁打含む8打点とチームトップの成績。早大の4番として堂々の活躍を見せている。絶好調のクリーンアップが明大戦でも躍動したい。

また、尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)、石郷岡大成(社4=東京・早実)の1、2番コンビにも注目だ。両者ともに打率は3割台をキープし、盗塁も2人合わせて11個。早大の得点源は間違いなくこの2人である。巧みなバットコントロールと俊足を活かし、初回から相手投手を攻め立ててほしい。
さらに、ルーキーの徳丸快晴(スポ1=大阪桐蔭)にも大きな期待がかかる。リーグ戦初打席となった法大1回戦では、いきなり三塁打を放ち鮮烈デビューを果たした。さらに、代打で登場した立大3回戦では貴重な3点本塁打を放ち、早くも大器の片鱗をのぞかせた。スーパールーキーのさらなる活躍に目が離せない。

長打力には要警戒
明大打線をけん引するのは、共に外野を守る田上夏衣(2年)、榊原七斗(3年)だ。1番・田上はここまで打率3割3分3厘をマークし、リードオフマンとしての役目を全うしている。また、今季は盗塁を3つ記録していて、塁に出すとその足にも警戒が必要になる。榊原は打率こそ高くはないものの、3本の本塁打と9打点はいずれもチームトップの成績。勝負所での対戦には十分に気を付けたい。
リーグ屈指の捕手とも呼び声高い小島大河(4年)は、立大戦で欠場していたために早大戦での出場の可能性は低い。しかし、他にも立大3回戦で決勝打を放った内海優太(3年)や18打数10安打と好調の宮田知弥(4年)、打率3割台の吉田匠吾(4年)など警戒すべき選手が多くいる。ランナーをためない投球で大量失点を避けることが勝利への絶対条件となる。
本来の姿を取り戻せるか
対する早大投手陣は、エース伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)の復調がカギを握る。立大1回戦までは本調子とまではいかないながらも、要所を締めるピッチングで勝ち星を積み重ねてきた。しかし立大3回戦の登板では、序盤から相手打線に捕まるとともに制球を乱し、3回7失点とまさかの結果での降板となった。早大が覇権を握るためにも、エースの復活は望まずにはいられない。まずは明大戦で本来の投球を取り戻し、相手打線を封じてほしい。
第2戦の先発は宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)が予想される。田和廉(教4=東京・早実)との第二先発を争う中で先発した立大2回戦では、9回5安打完封と圧巻の投球を披露。奪三振の少なさこそ懸念が残るが、緩急を駆使したピッチングで明大打線を翻弄したい。

勝ち点奪取へ向け、救援陣には一抹の不安が残る。昨年1年生ながら中継ぎとして躍動した安田虎太郎(スポ2=東京・日大三)は、今季も魔球・チェンジアップを巧みに操り早大のブルペンを支えている。一方、東大2回戦に先発した田和や昨年からピンチでの登板が多かった香西一希(スポ3=福岡・九州国際大付)、越井颯一郎(スポ3=千葉・木更津総合)が軒並み精彩を欠いている。中継ぎ陣が本来の調子を取り戻し、投手王国を復権させたいところだ。

「まずは春をとること」をチームの目標に掲げて挑む今季。苦しい状態は続くが、全員野球で明大に2連勝し、首位に浮上したい。ナインの底力を見せてもらおう。
(記事 平壮真)