東京六大学春季リーグ戦 5月5日 神宮球場
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
早大 | 0 | 2 | 0 | 4 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 10 |
立大 | 0 | 5 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2× | 11 |
◆バッテリー
伊藤樹、安田、●宮城ー吉田瑞
◆二塁打
岡西、安田
◆三塁打
小澤、伊藤樹、吉田瑞
◆本塁打
徳丸(1号3ラン)
前日の第2戦を3-0で制し、1勝1敗で迎えた勝負の第3戦。早大は、2回に伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)の適時三塁打で先制するも、その裏と3回に伊藤樹が崩れて8失点。序盤から大量リードを許した。それでも、4回に德丸快晴(スポ1=大阪桐蔭)の3点本塁打で3点差に詰め寄ると、以降もコツコツと点を返し、7回には田村康介(商4=東京・早大学院)の犠飛で同点に追いつくことに成功する。延長に入り、12回には山口力樹(スポ3=早稲田佐賀)が好走塁で生還し逆転に成功したが、その裏に劇的なサヨナラ2ランを被弾し、10―11で悪夢の敗戦。両軍合わせて21得点、36安打の乱打戦に敗れ、勝ち点を逃した。
この日も序盤から打線は活発だった。初回の2死三塁の好機は仕留め切れなかったものの、続く2回、1死から岡西佑弥(スポ3=智弁和歌山)が二塁打を放ってチャンスメーク。さらに吉田瑞樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)も死球で出塁し、2死一、二塁の好機で伊藤樹が打席に入った。すると、2球目を逆らわずに流し打った打球が右中間を抜け、2点適時三塁打に。幸先よく先制に成功した。
自らのバットで先制点をチームにもたらした伊藤樹だったが、その裏、2死一塁から連続で四球を与え、2死満塁のピンチを招く。ここで打席に迎えたのは、今季好調の山形球道(4年)。ピンチを背負いギアを上げた伊藤樹だったが、5球目を左前に運ばれ、同点打を許した。さらに続く桑垣秀哉(4年)にも右前に落ちる安打を放たれると、この打球処理を右翼手・石郷岡大成(社4=東京・早実)が誤り、後逸。拾い直す間に二塁走者が生還し、逆転を許した。強力立大打線の勢いを断ち切りたい早大だったが、小林隼翔(2年)の三塁へのゴロは高いバウンドもあり、内野安打とされてさらに1点を失うと、続く打者の三塁ゴロは送球がそれて3つ目のアウトを奪い切れず。この間にも走者が生還し、守乱も絡んで一挙5点を失う形となった。

なんとか踏みとどまりたい伊藤樹。しかし、続く3回には先頭打者に四球を与えると、1死とした後に、やや冷静さを欠いたか、犠打の処理で吉田瑞副将が指した一塁ではなく二塁に送球。これが悪送球となり、打者走者オールセーフ。1死一、二塁とされる。そして、山形に初球を右翼席に運ばれ3ランを被弾。試合を壊しかねない8失点目を喫した。この回限りで伊藤樹は降板。自己ワーストとなる自責点7を喫した。昨年は質・量ともに最高クラスの投球でチームを春秋連覇に導いた伊藤樹。今季ここまでは、奪三振のペースも明確に低下しており、その状態が心配される。
6点のリードを許した打線は4回、先頭の岡西が左前安打を放ち、反撃ののろしを上げる。大内碧真(スポ3=埼玉・浦和学院)、吉田瑞副将も単打で続き、満塁としたかに思われたものの、走塁ミスが生じて大内がタッチアウト。やや水を差されたが、1死一、三塁の好機を迎えた。是が非でも点を返したいこの場面で代打に起用されたのは、德丸快晴(スポ1=大阪桐蔭)。スーパールーキーが大学2打席目で放った打球は、高々と舞い上がる3点本塁打。小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)の起用に完璧な一発回答で応え、相手に明け渡したかに思われた流れを一気に引き戻した。早大の勢いは止まらない。続く尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)が中前安打を放って出塁すると、石郷岡はバスターを成功させて1死一、二塁とする。小澤主将も右前安打で続き、尾瀬が生還。さらに1点を返して2点差に詰め寄った。ここで相手先発・小畠一心(4年)が降板。相手の代わり端を捉えて一挙に同点としたいところだったが、寺尾が四球を選び、満塁としたものの、後続が倒れて得点ならず。それでも、一時静まり返った三塁側スタンドは再び活気を取り戻し、押せ押せムードで試合は中盤戦へと移った。

伊藤樹の後を受けたのは安田虎汰郎(スポ2=東京・日大三)。この日ベンチ入りした投手で、リーグ戦登板経験があるのは安田と髙橋煌稀(スポ2=宮城・仙台育英)、前日完投完封を記録した宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)のみ。安田には、1イニングでも長くマウンドを守り、最少失点でしのぐ投球が期待された。先頭打者を三振に斬って取った安田だったが、直後の打者に右越えの本塁打を被弾。その後2死一、二塁とされたものの、粘り強くしのぎ切り、なんとか1失点で4回を終えた。すると、5回、6回共に2四死球ずつ与え、得点圏に走者を背負ったものの、安打は許さずに無得点で切り抜ける。期待された通りの働きを見せ、チームの反撃を待った。

打線は5回、四球2つで2死一、二塁とすると、石郷岡が適時打を放ち1点を返す。6回には安田、前田の連続安打で無死一、二塁とすると、この日2打数2安打の岡西がバットを寝かせて走者を進め、ビハインドながらも粘り強く1点を狙いに行く姿勢を示す。すると、その執念が通じたか大内の打球が相手の野選を誘い、ついに1点差に詰め寄ることに成功した。
7回には先頭の尾瀬が安打を放つと、石郷岡がバント。小澤主将が四球を選ぶと、1死ながらも小宮山監督は再びバントを指示。このバントが相手投手のエラーを誘い、1死満塁の絶好機を作り出した。この場面で、5番・前田健伸副将(商4=大阪桐蔭)に代えて、前日本塁打を放っている田村康介(商4=東京・早大学院)が代打で登場。6球目を捉え、高々と舞い上がった打球は再びフェンスを越えるかとも思われたが、フェンス手前で相手守備陣の好守に阻まれた。ただ、三塁走者の尾瀬はきっちりと生還。ついに同点に追いつくことに成功した。

同点に追いついた直後の7回は三者凡退としたものの、続く8回、安田は、先頭打者に四球を与えると、犠打とヒットで1死一、三塁のピンチを迎える。しかし、この場面では連続三振を奪い切り、得点を許さず。この日の安田は、5回を投げて許した得点は代わり端に浴びた本塁打のみ。終始走者を背負ったものの、意地で得点は許さない、素晴らしい投球を見せた。9回には昨日116球の完封劇を披露した宮城が登板。連投となったものの、この日も球威は十分。ピンチを招きながらも無失点でしのぎ切り、試合は延長戦へと突入した。
延長戦に入っても、小宮山監督は宮城にマウンドを託す。しかし、宮城は先頭打者に安打を浴びると、1死こそ奪ったものの、申告敬遠と安打で1死満塁のピンチを招いてしまった。ただ、代打の打者を二ゴロに仕留めると、2死満塁で迎えた山形を三振に仕留め、このピンチを脱出。気迫の投球で勝利への望みをつないだ。
延長10回、早大は2死から吉田瑞副将が中越えの三塁打を放ち、2死三塁の好機を作る。ここで打席に入ったのは、第一打席で本塁打を放った德丸。しかし、この場面は一ゴロに倒れ、逆転とはならず。続く11回にも先頭の尾瀬が安打を放つと、2死となってから宮城の左前安打、田村の四球で2死満塁の好機を作る。しかし、この場面でもあと一本が出ずに無得点。もどかしい展開が続いた。それでも12回、先頭の大内が中前安打で出塁すると、山口力樹(スポ3=早稲田佐賀)が代走に起用される。山口力は、吉田瑞副将の三ゴロの間に二塁に、徳丸の中飛の間に三塁に進塁。2死ながらも一打逆転の好機を作った。尾瀬は申告敬遠で勝負を避けられたものの、打席には打率3割超の石郷岡。すると初球、相手投手がボールを叩きつけ、捕手がわずかに後逸。その隙をついて山口力が本塁突入を試みる。山口力は生還。早大がついに逆転。1点リードを奪った。

12回、1点を守り切れば早大が第3戦を制し、勝ち点を獲得する。そんな場面のマウンドを託されたのは、9回から登板した宮城。連投の疲れも見せず、威力あるボールを投じていた宮城だったが、先頭の鈴木唯斗(4年)をアンラッキーな内野安打で出塁させてしまう。次打者は前日宮城から4打数2安打と当たっていた丸山一喜(3年)。1ストライクとして、2球目も低めに制球されたボールを投じる。しかし、このボールを丸山が強振。打球はぐんぐんと伸びて、フェンスオーバー。痛恨のサヨナラ2ランとなった。

先制されながらも、逆転を許し、一時は6点差をつけられた。それでもルーキーが本塁打を放って流れを取り戻すと、投手陣も4回以降はピンチをしのぎ、打線は粘り強く1点ずつ返して同点に追いついた。そして、延長戦に突入してからは逆転すらした。この試合を見た人は、選手たちを「ナイスゲーム」と称えるだろう。しかし、この1敗は、絶対に喫してはいけない1敗だった。振り返れば、3回の大量失点は守備の乱れも絡んでの失点だった。打線も幾度となくチャンスを作ったものの、それを最大限生かし切ることは出来なかった。印出太一前主将(令7スポ卒=現三菱重工East)は「練習で厳しくやっているから、うちはそういうのないよ」と語っていたという。今一度原点に立ち返り、一球入魂の精神で残りのリーグ戦を戦い抜いてほしい。
(記事 林田怜空、写真 西本和宏)
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早大打者成績
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 | 率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (中) | 尾瀬雄大 | 7 | 4 | 0 | .333 | 中飛 | 遊ゴ | 中安 | 見三 | 左安 | 左安 | 左安 | 故四 | ||||
2 | (右左右) | 石郷岡大成 | 7 | 2 | 1 | .323 | 空三 | 左飛 | 右安 | 右安 | 一犠 | 二ゴ | 捕ゴ | 中飛 | ||||
3 | (二) | 小澤周平 | 6 | 3 | 1 | .353 | 左3 | 遊安 | 右安 | 二ゴ | 四球 | 見三 | 左飛 | |||||
4 | (左) | 寺尾拳聖 | 2 | 0 | 0 | .357 | 空三 | 二ゴ | 四球 | |||||||||
投 | 安田虎汰郎 | 1 | 1 | 0 | 1.000 | 中2 | 犠失 | |||||||||||
打 | 湯浅桜翼 | 1 | 0 | 0 | .000 | 空三 | ||||||||||||
投 | 宮城誇南 | 1 | 1 | 0 | .750 | 左安 | ||||||||||||
5 | (一) | 前田健伸 | 4 | 1 | 0 | .222 | 左飛 | 空三 | 空三 | 遊安 | ||||||||
打三 | 田村康介 | 1 | 0 | 1 | .167 | 左犠 | 三ゴ | 四球 | ||||||||||
6 | (三一) | 岡西佑弥 | 6 | 2 | 0 | .400 | 左2 | 左安 一ゴ |
投犠 | 空三 | 左飛 | 二ゴ | ||||||
7 | (遊) | 大内碧真 | 7 | 2 | 1 | .200 | 一直 | 中安 | 右飛 | 三野選 | 見三 | 一ゴ | 中安 | |||||
走 | 山口力樹 | 0 | 0 | 0 | ー | |||||||||||||
遊 | 山根潤太郎 | 0 | 0 | 0 | ー | |||||||||||||
8 | (捕) | 吉田瑞樹 | 5 | 2 | 0 | .231 | 死球 | 中安 | 四球 | 右飛 | 右飛 | 中3 | 三ゴ | |||||
9 | (投) | 伊藤樹 | 1 | 1 | 2 | .375 | 右3 | |||||||||||
打右 | 徳丸快晴 | 5 | 1 | 3 | .333 | 右本 | 四球 | 二ゴ | 遊失 | 一ゴ | 中飛 | |||||||
左 | 松江一輝 | 0 | 0 | 0 | .000 |
早大投手成績
名前 | 試 | 勝 | 負 | 回 | 安 | 四 | 振 | 失 | 責 | 率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
伊藤樹 | 5 | 3 | 0 | 3 | 6 | 4 | 3 | 8 | 7 | 3.41 |
安田虎汰郎 | 3 | 0 | 0 | 5 | 4 | 5 | 5 | 1 | 1 | 1.29 |
宮城誇南 | 4 | 1 | 1 | 3 0/3 | 6 | 1 | 4 | 2 | 2 | 3.10 |
コメント
尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)
ーー今日の試合全体を振り返っていかがですか
勝てた試合だったので、悔しいの一言に尽きます。
ーー試合終了直後は目を潤ませる場面もあったかと思いますが、どんな心境でしたか
序盤に失点を重ねて苦しい試合だった中、中盤以降点を重ねて逆転し、勝てる試合だったので、やはり悔しく気持ちが強かったと思います。
ーー4安打という結果でしたが、今日の打撃を振り返っていかがですか
今までは、捉えた当たりがアウトになることが多かったですが形は悪くなかったので、それを変えずに打てた結果かなと思います。
ーー再来週は明大戦が控えていますが、チームとして修正すべき点はどんなところだと思いますか
こういった苦しい試合でも逆転できる力はあったので、細かいミスを無くせるように修正していきたいです。
ーー最後に明大戦への意気込みをお願いします
もう一戦も落とせないので、明大戦は連勝できるように頑張ります。