第3回はCTB野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)、FL田中勇成副将(教4=東京・早実)、萩原武大寮長(スポ4=茨城・茗渓学園)が登場!チームのリーダーとして先頭に立ち、言葉で、姿勢で、プレーで早大を引っ張る3名のラストイヤー、そして『荒ぶる』へ向けた熱い思いを伺った。
※この対談は、4月25日に行われたものです。
ーー他己紹介をお願いします
野中 萩原武大です。寮長です。普段はニコニコしているんですが、ラグビー面では厳しい顔を見せ、私生活でもラグビーに対する徹底ぶりが目立つということで寮長に指名させてもらいました。すごく責任感のある人です。
萩原 田中勇成です。副将です。グラウンド上では誰よりも熱く、誰よりも真摯にラグビーに向き合っています。同じポジションなんですけど尊敬するところが多く、マネしなきゃいけないなと思うところが多いです。普段の生活ではちょっと抜けているところもありますが、ほんといいやつです。
田中 野中健吾です。キャプテンです。僕が熱くなってしまう時に冷静に周りを見てくれます。僕が熱く、健吾が冷静にチームをまとめていければ良いかなと思っています。私生活では色んな人と仲良くて、コミュニケーション力の高い人です。
ーー昨年を振り返って、どんな成長をできましたか
野中 1、2年生の頃は自分自身にフォーカスしていましたが、去年は自分のことだけでなく、チームのことを考えて成長できた1年だったかなと思います。
田中 去年は1年を通して試合に出続けることができ、1、2年ではずっと悔しい思いをしてきたのでそういった点では1年をかけてじっくり成長できたと思っています。グラウンド上でも、グラウンド外でもラグビーについて考え続けた1年だったので、良いシーズンを過ごせたと思っています。
萩原 初めてAチームの試合に出場することができ、憧れ、夢であったものが手の届くところに来たなというのを実感した1年でした。ただ終盤ではメンバー外になってしまい、悔しいシーズンを過ごしたので、次はその悔しさを糧に頑張りたいと思えた1年でした。
チームの先頭に立って自分が一番ハードワークする(野中)
ーー昨年はどんなチームでしたか
野中 僕が感じるのはラグビーを楽しんでいる雰囲気があったと思います。それはもちろん勝っていたことが大きく影響しているのかもしれませんが、純粋にラグビーを楽しんでいた人が多かった結果、勝利に繋がっていったのかなと思います。
田中 選手と指導陣が良い意味で関わりやすくなったと思います。僕が1、2年生の時は上手くコミュニケーションが取れていない感覚が少しだけあったのですが、去年はどちらもが大きく変わって、お互いが一体となって同じ絵を見れるようになったチームだったかなと思います。
萩原 選手間の関係もすごく良かったチームだったと思います。先輩たちが中心になってチームを盛り上げてくれる姿がとても印象的で、雰囲気が良いチームだったと思います。
ーー昨季、印象に残っている試合を教えてください
萩原 僕は対抗戦の早明戦です。チームは勝って優勝を決める中で、僕自身は出場はできなくて。校歌をベンチサイドで歌っているときがシーズンで最も悔しい瞬間でした。
野中 僕は選手権の決勝です。ただただ悔しいという言葉に尽きるかなと思いますが、自分たちが積み上げてきたものを出した結果、届かなかった悔しさというものがあります。絶対次はやり返してやろうという気持ちが強いので、やはり印象に残っている試合は決勝です。
田中 決勝もそうですが、対抗戦で帝京に勝てた瞬間というのもまた印象に残っています。今まで1、2年の時は帝京に勝つのは無理だと思っていました。去年もチームではいけるいけるという状態だったのですが、心の底ではどこか自信がなかったかなと思います。しかし、公式戦で帝京に勝てたというのは自分としても、チームとしても大きな自信を持てた一戦だったと思います。
必ず勝つという執念を持ち続けたい(田中)
ーー主将、副将、寮長に選ばれた気持ちを教えてください
野中 主将として選ばれたからには自分が先頭に立ってチームを引っ張らなければならないなと、改めて自覚が芽生えました。
田中 副将に選んでもらって、より一層早稲田に対して、ラグビーに対して熱く取り組まなきゃいけないなと感じています。副将としてチームにも、自分にも厳しくしていかなければならないと思っています。
萩原 昨シーズンは最後の最後で勝ち切れなかったということもあり、寮長としてグラウンド外での取り組みをもっと改善していきたいと思っています。僕自身、人に何かを指摘したりすることは得意ではなかったのですが、苦手なところも今シーズンはラストなので厳しさを持って取り組んでいきたいと思います。
ーーどんな流れで主将が決まりましたか
田中 同期の話し合いの中で決まっていきました。
ーー何か決定打などはありましたか
一同 (沈黙)。
野中 決定打なかったか。
一同 (笑)。
田中 僕か健吾か、という感じになっていったので二人で丁寧に話し合って決めていきました。
ーー実際に役職についてみて、去年の人たちのすごさを感じる瞬間はありますか
田中 健次(佐藤、令7スポ卒=現埼玉WK)君は今考えてもすごかったなと思います。リーダーシップがあり、あの人が言ったことにはついていきたくなるような雰囲気があったので、マネはできないですけど、僕たちも同期の色を出しながら成長していきたいです。
野中 佐藤健次の巻き込んでいく力っていうのはすごいものがあったのだと、今になって実感しています。
萩原 寮長に関しては、大変なところを全然見せずにこなしてた安恒(直人、令7スポ卒=現相模原DB)さん、細矢(聖樹、令7スポ卒=現静岡BR)さんはすごかったなと思います。
ーーラストイヤーを実感した瞬間はありましたか
田中 4年生でのミーティングをすでに何度か重ねているのですが、同期で意見を言いながら話していく中で、チームのことをみんなが考えていることを実感し、もうラストなんだなと感じました。
野中 キャプテンになっているということ、先輩がいないという状況によって、少しずつラストイヤーの自覚が出てきたかなと思います。
萩原 練習中です。今まで引っ張ってくれていた先輩がいないので、自分たちが引っ張っていかなければと強く感じました。
『日本一』を獲りたいし、何が何でも獲らなければならない(萩原)
ーー今年はどんなチームにしていきたいですか
野中 情熱ある、団結したチーム、勝ち切るチームです。そこがラグビーの原点だと思っているので、まずは4年生からチーム全体に良い雰囲気を広げていきたいと思っています。
ーー今チームの強みは何だと思いますか
田中 4年生は同期仲が良いので、慣れ合うのではなく団結して高めあうチームになっていけるのではないかと思っています。
萩原 去年、重点的に強化してきたディフェンスというのは今年も引き継がれているので、そこは今後も強みになっていくのではないかと思います。しかし、現状に満足せずに常に磨いていく必要はもちろんあると思います。
ーー逆に課題はありますか
野中 4年生の自覚、責任というものはもっともっと伸ばしていきたいと思っていますし、そこが成長すればチームとしてもっともっと上のレベルに上がっていけると思います。
ーー改めてチームスローガン『One Shot』の意味を教えてください
田中 このスローガンに決まったのは、去年決勝で負けてしまったというのが大きいです。それを踏まえて練習一つ一つにこだわりを持って取り組むこと、そして少ないチャンス、一つ一つの局面で必ず得点に結びつけるという意味があります。決勝など緊張感がある場面でも自分たちの力を発揮するという意味が込められています。
ーーこのスローガンはチームに浸透していますか
田中 言いやすさも考えていたので、練習中でも選手たちが口にしながら取り組むことができていると思います。そういった点では意識しやすいスローガンかなと思います。
ーー今年の新入生の印象をお聞かせください
萩原 まだ入ってきてから月日が立っていないので、わからないところも多いですが、礼儀正しいというか、真面目な人が多いかなと思います。
野中 でも入部したてだから猫被ってるって可能性もあるよな。
一同 (笑)。
ーー春シーズンはどんな成長をしていきたいですか
野中 春シーズンは結果以上に内容にこだわっていきたいと思っています。よりチームが成長できる環境を作っていくために、自分が先頭に立ってプレーしていくことが目標です。
田中 僕はディフェンスをもっと伸ばしていきたいです。この春の時点で去年のディフェンスを越えることを目標にしています。春シーズンでチームの土台が出来上がっていくと思うので、必要な時にチームを引っ張れるプレイヤーになっていきたいです。
萩原 個人としてはいち早くAチームに上がることです。ただ、現在はBチームにいるので部内競争を加速させていくために僕がBチームを声で、プレーで引っ張っていけるプレイヤーになっていきたいです。
ーー春シーズンでフォーカスしている試合を教えてください
田中 やはり明治、帝京、京産といった昨年の(全国大学選手権の)ベスト4はターゲットにしています。
ーー春シーズンで関西のチームと試合ができる重要性はありますか
野中 慣れない相手ではありますが、選手権では必ずぶつかるので、春の時点で戦える等のは非常に大きな意味があると思っています。
野中 関東と違う部分がたくさんあり、去年の夏合宿では天理に負けてしまったということを踏まえても今戦えるのは非常に良い経験だと思っています。そこで自分たちがどれほど力を発揮できるかというのは大事になってくると思います。
ーー関東のチームと関西のチームの違いについて教えてください
野中 留学生の存在であったり、プレーの勢いというのは関東と違うところかなと思います。関東のチームは基本に徹底的で、システムがしっかりしている印象ですが、関西のチームは流れとか勢いを大事にしているかなと思います。
ーー改めて『荒ぶる』への思いをお聞かせください
野中 今年の目標も『荒ぶる』ということで、過去3年間も『荒ぶる』を目指していたんですが、今まで以上に強い思いとこの仲間で勝ちたいという気持ちが強いので、チームの先頭に立って自分が一番ハードワークするという気持ちを持って取り組んでいきたいと思います。そして最後に決勝でみんなと笑って終われるように努力していきたいです。
田中 最後の1年ということで、今まで優勝したことないということもありますし、この4年の同期で勝ちたい、笑って終わりたいというのが一番の思いです。この気持ちを常に頭にとどめて日々の練習に取り組むというのは言葉では簡単ですが実行するのはなかなか難しいところがあるので、必ず勝つという執念を持ち続けていきたいです。
萩原 3年間獲りたくても獲れなかった『日本一』を何がなんでも獲りたいですし、獲らなければならないと思っています。田中も言っていたように言うのは簡単なので、行動で態度で示していって全員が高いスタンダードでグラウンド内外問わずこだわっていけるチームになり、最後に『荒ぶる』を歌えたら最高だと思っています。
ーーありがとうございました!
(取材・編集 村上結太)
※向かって左から
◆萩原武大(はぎわら たける)
2003(平15)年1月23日生まれ。177㌢97㌔。茨城・茗渓学園高出身。スポーツ科学部4年。攻守ともに献身性あふれるプレーでチームを引っ張る頼れる寮長。いつもはにこやかな面持ちですが、ラグビーに対する徹底ぶりや厳しさを評価され、野中主将から直々に寮長を指名されたようです!
◆野中健吾(のなか けんご)
2003(平15)年4月29日生まれ。180㌢92㌔。東海大大阪仰星高出身。スポーツ科学部4年。第108代主将。1年時からAチームとしてグラウンドに立ち続けた野中選手もついにラストイヤー。今年はU23日本代表に選出され、オーストラリア遠征へ。オーストラリアのご飯はあまり口に合わなかったそうです!
◆田中勇成(たなか ゆうせい)
2003(平15)年8月20日生まれ。166㌢87㌔。東京・早実高出身。教育学部4年。圧倒的ワークレートと常に全力なプレーで早大のディフェンスを牽引するチーム随一のタックラー。最近の趣味はサウナ。同期では空前のサウナブームが巻き起こっているようです!