【野球】「責任を負うのが主将」香西一希選手インタビュー 2026年春季早慶戦前特集

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 開幕戦となる東大1回戦では準完全試合を達成したものの、明大戦では2敗を喫した香西一希主将(スポ4=福岡・九州国際大付)。チームとしても優勝を逃すどころか、獲得した勝ち点はわずか1。この苦しい状況を主将として、また1投手としてどう捉えているのか。目前に迫った早慶戦に向けて、思いを伺った。

※この取材は5月20日にオンラインで行われたものです。

苦しい状況下で「どれだけ自分が声掛けできるか」

――ここまでの全体を振り返って
 自分たちの弱いところが全て出た4カードだったと思います。冬に課題としてやってきた、取れるアウトを確実に取るという守備の面や、甘いボールを積極的に振っていくという野手の課題、そして四球を出さずにテンポ良く投げるという投手の課題も、全部が噛み合わずに自分たちの弱いところが出てしまっている印象です。

――投手陣、野手陣それぞれに思うことは
 投手はとにかく煌稀(髙橋煌稀、スポ3=宮城・仙台育英)が頑張ってくれているので、なんとかチームみんなが煌稀に勝ちを付けさせてあげたいという気持ちでやってはいるんですけど、なかなか第一試合は相手もいい投手なので、なかなか点を取れない苦しい展開が続いています。チームとしてはなんとかしようという思いでやってはいるのですが、なかなか上手くいかないです。野手が点を取ってくれた時に投手が大量失点したり、逆の展開があったり、噛み合わないです。みんな不甲斐ない思いをしながら戦っています。

――主将として負けが続く中で意識したことは
 負けが込むとチームの雰囲気が悪くなってしまうので、そういった中で自分や武藤(真吉新人監督、社4=東京・早大学院)がどれだけみんなを鼓舞できて前を向いてやっていけるかが大事なので、チームが沈みがちになった時にどれだけ自分が声掛けできるかを大切にしています。

――ベンチにいる時に心がけていることは
 自分はベンチの監督側の端っこに立ってることが多いのですが、ヒットやいいプレーが出た時は、なるべくベンチのみんなを鼓舞するような感じで「みんなで声出していこう」だったり、「盛り上がっていこう」、という感じの声掛けをするように気をつけています。

――武藤新人監督や永田陽向選手(文4=早稲田佐賀)などがビハインドの場面でも明るく声を出しているが、そういうチームメイトを見てどう思うか
 武藤と永田は頼りにしていて、2人は声掛けという面で頑張ってチームを引っ張ってくれているので助かっています。他にも井櫻(悠人、スポ4=香川・高松商)と横井(亮太、スポ2=香川・高松商)の高松商業コンビがすごく元気を出して声を出してやってくれてます。声を出したり元気を出したりするのは試合に出ていても出ていなくても誰でもできることなので、そこを頑張って引っ張っていってくれるこの4人には本当に感謝の気持ちで一杯です。

――主将として大変だと思うことは
 選手が個人成績もチームの成績も上手くいかないと連敗中は特に沈んでしまうので、どれだけ自分の声掛けだったり、みんなの意識を一つにできるかというところが大事になります。だから、なるべく多くの選手とコミュニケーションを取ることを大切にしています。ですが、中々チームとしては立て直しきれていないので、自分も力不足だなと感じています。もっとたくさんの選手とコミュニケーションを取ってやっていきたいと思っています。

――投手陣と話していることは
 力のある選手は揃っているのですが、中々みんなマウンドに行ったら力を発揮できないという状態が続いていて、みんな「何でだろう」という気持ちだったり、苦しい思いをしている選手が多いです。そのような中で自分が1年生から経験してきたことや、自分が見てきた選手がどうやって立て直していってたかを伝えて、投手全員で頑張ってやっていこうという話をしています。

――野手と話すことは
 技術的なことはあまり言えないので、「準備をしっかりするように」といつも言って、準備でのミスが出ないように声掛けしています。

――香西主将が考える「準備」とは
 準備にも色々な準備があるのですが、前日からの準備だったり、もっと言ったら1、2週間前からの準備もあります。試合の当日だったら風だったりグラウンドコンディションだったり、あとはデータ班が打球方向だったり相手打者の傾向を出してくれるので、そういったものを頭に入れて、守備や打席に立つことの準備をしっかりしようと言っています。監督(小宮山悟監督、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)からも「起こるミスのほとんどは準備不足」ということを言ってもらって、自分もみんなに「準備を大事に」ということを何回も伝えながらやっています。

直球と変化球のバランスが課題

――自分の今季を振り返って
 最初は良かったのですが、途中からは不甲斐ない投球が続いてしまって、チームを引っ張らないといけない立場なのにチームに迷惑をかけてばかりでした。情けないというか、もっとちゃんとしないといけないという気持ちではあるのですが、2週間後に早慶戦があるので、そこでは主将として投球も立ち振る舞いもしっかりやるべきことをやっていきたいです。

――現在の状態は
 明大戦も良くなくて、今も調子はあまり良くないです。ですが、調子が良くない中でもどうやって抑えるかというのも投手の大事な要素の1つなので、まずは早慶戦までにコンディション含めて状態を上げることと、試合になったらその日の状態でどれだけ自分の持っている力を出せるかということに集中してやっていきたいです。

――立大戦で「変化球のバランスが良くない」と言っていたが
 間が5日間しかなかったので、中々ボールもあまり投げ込めずなかったので、自信を持って投げ込める状態まで持っていけなかったのが正直なところです。その状態でも、しっかりと抑えないといけなかったので、打たれたのは自分の実力不足です。早慶戦まであと2週間あるので、課題を潰して入っていきたいです。

――オープン戦から開幕までは好調で、開幕戦では準完全試合を達成したが
 気持ちの面では1試合1試合大事に準備して、1球1球気持ちを込めて投げてはいます。ですが、技術的なことが1番大きいと思っていて、オープン戦や東大戦は変化球と直球のバランスが良くて、どっしりした感覚で投げられていたのですが、リーグ戦が続いて相手の打者の状態が良くなっていった時に焦って、中々どっしりした感じで投げられなくなってしまったり、変化球と直球のバランスが悪くなったりしてうまくいかなくなってしまいました。

準完全試合を達成した東大戦

―-かねてから目標としていた直球の球速を上げることには成功したが
 直球の球速が少し上がったことに、変化球がうまく合わせきれていない感覚があって、これも上手くいっていない要因だと思います。球速を上げるだけではだめだと思いますし、冬の間に土台を作って球速を上げた状態でリーグ戦に入りたいと思っていたのですが、リーグ戦期間中にパッと上がったり下がったりすることがあります。そうなったら変化球を投げる感覚が変わって難しいですし、でもそこを合わせないといけないのが投手の仕事なので、そこの難しさを改めて感じました。

――東大戦では高校時代ぶりに先発として長いイニングを投げたが
 自分としては1巡で降板してもいいという気持ちで、初回から出し切る気持ちで投げていたのが序盤は良かったと思っています。6回くらいからは尾形(樹人、スポ3=宮城・仙台育英)がリードで引っ張ってくれたのが全てだと思っています。自分一人だったら9回まで投げ切れていなかったので、尾形が本当に良いリードをしてくれたから9回まで投げられたと感じています。

――投球テンポが良いが、意識はしているか
 意識しています。圧倒的なボールを投げたり、三振を沢山取るような投手ではないので、打者に考える時間をなるべく与えずに短い感覚で投げたいと思っています。そして、野手の守備の時間を短くして、なるべく攻撃に頭を使って欲しいと思っているので、投球間隔は短く、テンポ良く、ということは意識しています。

――最初の2試合は多く三振を奪っていたものの明大2回戦では四球から失点をしたが、コントロールについては
 コントロールも上手くいっていないです。コンディションを整えれば勝負できるという自信はあるのですが、この春はコンディションを調整することが難しいと実感しました。技術的なことだと、特にクイックになってからのコントロールが課題です。冬場にそこをあまり練習できていなかったので、そこの練習不足が出ていると思っています。ですが、課題は自分の中で明確になったので、ここから早慶戦に向けて、そして秋に向けてもクイックの制球力を課題にやっていきたいと思います。

苦しい投球になった明大戦

――明大1回戦で敗戦投手となったが、2回戦の先発は事前に決まっていたのか
 1回戦で投げても投げなくても次の日の先発をするということは言われていました。

――連投の調整は
 大丈夫でした。準備含めて「これだけやってコンディションが整わなかったらしょうがない」という中で、ケアを含めて準備をしっかりして臨むことはできました。なので、ただただ自分の実力不足が出た2日間だったと思います。

――気持ちの切り替えが難しかったと思うが
 自分の投球で優勝の可能性が無くなってしまったので責任は感じたのですが、その責任を負うのが主将だと思っています。悔しくて情けない気持ちですけど、そこから逃げたらだめだと思うので、早慶戦に向けて、そして秋に向けてこの悔しさを忘れないように、また自分が練習する姿でチームを引っ張ってやっていきたいです。

――明大2回戦では涙を浮かべる場面もあったが
 (泣いている)理由が3つありました。1つ目は自分の不甲斐ない投球で良くない流れを作ってしまったという情けない気持ちと、2つ目はチームが上手くいかない中でも、あれだけスタンドに残って応援してくださるファンの方や応援部のみんなの姿だったり、野球部の控えのメンバーの姿もあったので申し訳ない気持ちがあったのと、3つ目は投手野手含めて4年生が中々思うような結果を出せていないので、4年生がしっかりしないといけないなという悔しさや情けなさが込み上げた感じでした。

早慶戦は連勝で終わりたい

――香西主将にとって早慶戦とは
 リーグ戦の中の1試合ではあるのですが、特別なカードです。自分が初めて投げた時は、今まで感じたことのない緊張感だったので、体が思う通りに動かずふわふわする感覚になったのを覚えています。一番大学と大学のぶつかり合いを感じられるカードでもあると思うので、責任を果たせるように、早稲田大学として慶大に勝てるように自分たちも強い気持ちを持ってやらないといけないな、と思っています。

――慶大の選手を見て思うことは
 エースの渡辺和大(4年)が試合の流れを作ってチームを引っ張っていると感じます。野手も勢いのある選手が多くて、足が速い選手も多いですし、長打も打てて小技も効いて、というすごくバランスの取れたチームだと思うので、手強いなと思って見ています。

――早慶戦は早大が一塁側で、左腕投手は試合中に応援席に向かうかたちになるが
 余裕がある時はスタンドが見えます。余裕がなくなったら打者集中で見えなくなるのですが、応援は本当に届いています。今年はストライクコールだったり、投手を鼓舞してくれる応援をやってくれているので嬉しいですし、早慶戦もそこが楽しみです。

――相手の胴上げ阻止がかかったカードになるが
 もちろん阻止したいと思っています。自分たちが連勝すれば胴上げを見なくて済むので、とにかく勝ちたいです。連勝して土日で(勝ち点を)決められるようにやりたいと思います。

――香西主将が注目する投打のキーマンは
 煌稀はもちろんやってくれると思うので、投手では誇南(宮城誇南、スポ4=埼玉・浦和学院)を推したいと思います。ここまで上手くいかないシーズンになっていると思うのですが、一番悔しいのは本人なので、その悔しさを持って最後のカードでやってくれると思います。持っている力を出したら絶対に抑えられる投手なので、最後に誇南の良い投球を見て春のリーグ戦を終わりたいという気持ちがあるので、誇南に期待したいです。野手は山根(潤太郎副将、教4=神奈川・鎌倉学園)に頑張って欲しいと思っています。ここまで中々打撃で上手くいっていなくて、本人が一番悔しいと思います。でも、山根が1番練習してるので、なんとか早慶戦で満員の神宮の中でヒットを打って欲しいと思いますし、山根が打てばチームも盛り上がると思うので、山根の活躍が楽しみです。

――髙橋煌稀選手の活躍を投手目線でどう見ているか
 頼もしい気持ちで見ています。練習の取り組みを見ていても、周りを気にせずに目指すべきところに向かって自分のやるべきことをやっていますし、そういう姿が結果になって出ているので、頼もしいという思いです。それと同時に、同じ投手として負けられないなという思いにもさせてくれていて、煌稀に刺激を貰いながらやっています。

――技術面で凄いところは
 ボールの強さがあるので、ゾーンの中で勝負できるところです。あとは明治の強力な打者にもファールでカウントを取れていたので、そこが自分の目指すべき姿でもありますし、そこが凄いと思いました。

――早慶戦の意気込みは
 ここまで不甲斐ない結果が続いていますが、早慶戦だけは連勝で終わりたいというのは選手みんな思っていることなので、なんとか連勝という結果で春のリーグ戦を締めくくりたいと思っています。大敗していてもスタンドで最後まで応援してくれる応援部の方やファンの方や野球部員がいるので、早慶戦勝って全員で紺碧の空と校歌を歌って、「チーム早稲田」として慶大に連勝して終わりたいです。

ーーありがとうございました!

(取材、編集 森若葉)

◆香西一希(こうざい・かずき)
2004(平16)年10月13日生まれ。171センチ、78キロ。福岡県・九州国際大付高出身。スポーツ科学部4年。この日は所沢キャンパスで開催された応援部のデモンストレーションを見に行ったという香西主将。グラウンドとスタンドが一体となって慶大に立ち向かうチーム早稲田に注目して欲しいとのことです!