第7回に登場するのは、清水奈々子(文構4=北海道・札幌南)、上島周子(スポ3=東京・富士 )、千葉史織(スポ2=宮城・仙台一)の3人。女子の短距離、障害ブロックをけん引する3人の日本学生対校選手権(日本インカレ)にかける思いに迫る。
※この取材は5月25日に行われたものです。
仲睦まじい3人

対談中の清水奈
ーーまずは他己紹介をお願いします
上島 奈々子さんはとても頼れる先輩の1人です。とても仲が良くなったと感じるのは今年の1月くらいですが、それまでもずっと気にかけてくださることが多かったです。競技面では、練習でも試合でもとてもかっこいい姿をいつも見せてくれ、目標の1人となっています。大好きです(笑)。
清水奈 千葉は以前の対談の時に同じことを言ったと思いますが、目力が強いです(笑)。目力が強いというのはどういうことかと言うと、とても意志が強く、自分がやると決めたことをしっかりやる子だと感じています。一方で、フレンドリーで人懐っこくて、マイペースで抜けているところもあるので、ギャップが可愛いと思っています。
千葉 上島さんはツボに入ってくるおもしろさが唯一無二だと思っています。おもしろい人はたくさんいますが、他の人が誰も持ってないようなワードセンスをしています(笑)。いつも場を和ませてくれるし、空気を変えられる存在だと感じています。競技面では100メートル、200メートル、400メートルとマルチに活躍されており、スタートからパワフルな走りをされています。どこにエンジンがついているのかと不思議に思っています。(レースでは)できれば一緒には走りたくないくらい強いですが、仲間だととても心強いです。
ーー今まで行った遠征先で一番お気に入りの場所はありますか
上島 そこまで遠くに行ったことはないですが、唯一あるとしたら国体合宿で行った沖縄です。温暖な天候でよかったです。
清水奈 菅平合宿です。1人1人と深く関わり、仲良くなれるので、印象に残っています。
千葉 私も菅平です。昨年の菅平合宿は自分のなかでも転換期になりました。奈々子さんにご馳走してもらったソフトドッグがとても美味しかったです。
今シーズンを振り返って

対談中の千葉
ーー今シーズンはどのような目標を持ってシーズンに入りましたか
上島 日本選手権の標準記録を突破することが最終目標でした。シーズン初戦のトラックゲームズinTOKOROZAWAで(100メートルと200メートルで)自己ベストが出て、400メートルでもその勢いを維持できたので、シーズンのスタートとしては良かったと思っています。
清水奈 関東学生対校選手権(関東インカレ)までに日本選手権の標準記録を切って、そこから波に乗って、日本インカレ、日本選手権というかたちで上げていければと思っていました。
千葉 学生個人選手権(学生個人)で優勝してユニバ(ワールドユニバーシティゲームズ)に出たいという目標がありましたが、学生個人に向けてなかなか調子をあげ切れませんでした。それでも、練習で積み上げたことはかたちになってきているので、日本選手権で、56秒50を出せるよう頑張りたいです。
ーー実際に、今シーズンここまでを振り返っていかがですか
上島 自分が思い描いていたよりもかなり良い記録が出たり、良い順位を取れたりしていてうれしく思います。この勢いを日本インカレ、日本選手権につなげるには、どれだけ鍛錬期に練習を積めるかが大事だと思います。
清水奈 私は、冬季練習で積み上げてきたものがあまりうまく試合に落とし込めておらず、もがき苦しんでいるのが現状です。ただ、井上直紀主将(スポ4=群馬・高崎)が、過去を振り返っても仕方がないといつも言ってくれています。その精神で前を向いて、次に向けて切り替えています。
千葉 冬季練習からシーズンに入っても、かなり思考錯誤しながらやってきたという実感があります。うまくいかないことも多かったですが、自分を見つめ直す時間になりました。自分に必要なことを理解することができて、少しずつ自分のレースをつくり出すことができています。しっかり練習を積んでいけば、もう少し結果もついてくると思います。
ーー今年は例年にはない過密日程ですが、苦労などはありましたか
上島 ここまで過密なスケジュールはなかったので、短い期間でどれだけ心身をリラックスさせて、鍛錬期に練習を積めるかというのを大切にしています。それができれば結果もついてくると思います。
清水奈 過密ではありますが、与えられた条件は全員同じです。その中で、どのようにして最大のパフォーマンスを発揮できるのかを考えながらやっています。それはある意味異例なことですが、そこに新しい楽しさも感じながら、練習するようにしています。
千葉 異例な過密日程だということは冬季練習から意識してやってきました。来る大会をしっかり処理しながら、鍛錬期は練習を積んでいます。メリハリを持ってやってこれたと感じています。
ーー関東インカレについて伺います。個人種目、4×400メートルリレー(マイルリレー)でのご自身の走りをそれぞれ振り返っていかがですか
上島 個人種目は200メートルと400メートルに出場しました。最初に行われた400メートルは4位という結果で、自分の中ではうれしさが20パーセント、悔しさが80パーセントでした。ここまでやってこられた自分に対して、「お疲れ様、おめでとう」と言いたい気持ちもありますが、あと1歩表彰台に届かなかったので、不甲斐なさや、チームに貢献できなかった悔しさもあります。200メートルは準決勝敗退という結果でした。条件が悪い中、歯が立たず、出場させていただいたのに点を取ってこられなかったことが私の中では悔しかったです。マイルリレーでは初めて1走をやりました。自信はなかったのですが、54秒台という記録は持っていたので、流れをつくろうと意識して走りました。自分が流れをつくれず、後続に苦しい思いをさせてしまいました。最終的にも4位という結果になってしまったので、雪辱を果たしたいという気持ちでいっぱいです。
清水奈 400メートルに出場しましたが、結果としては準決勝敗退というかたちでした。昨年は表彰台に上っていて、今年は4年生ということもあり、絶対にチームに貢献しないといけない中でこの結果になったことが悔しかったです。もう全部投げ出したいと思うほどの悔しさでした。でも、これは自分に与えられた試練なのではないかと思います。ここを乗り越えないとこの先の人生でずっと後悔してしまうと思いました。なので、4日間はいくら悔しくても前を向くという精神でやっていました。マイルに関しては表彰台まであと1歩及ばずでした。各々が自分の力が足りなかったと思っていると思います。関東インカレで悔しい思いを全員が持ったことで、これから強くなれると思っています。日本インカレでは、その悔しさを絶対に晴らしたいと思います。
千葉 400メートル障害に出場させていただき、結果は5位でした。関東インカレは学生個人と静岡国際から3週連続のレースでした。学生個人はなかなか良いタイムを出せませんでしたが、条件のいい静岡国際で57秒台に乗せられたので、同じ流れでレースができればと思っていました。条件は悪くない中、いい流れでレースができましたが、勝ち切る力がないことはまだ弱いところだと痛感しました。マイルリレーについては、私は4走を走りました。前半の200メートルをハイペースで走ることはあまりないのですが、強気で行くことができました。レースプラン的には、前半から強気で走ったことに悔いはないですが、私次第で順位を変えることができたと思っているので、悔しさはあります。勝ち切るということを最後までこだわり抜かなければ、勝ちには近づかないと感じました。普段の練習から勝ち切ることを意識して今も練習していますし、日本インカレに向けてもさらに意識的に取り組んでいきたいと思います。
関東インカレの悔しさを晴らす

対談中の上島
ーー全日本インカレで注目してほしいポイントを教えてください
上島 日本インカレも関東インカレと同様、4日間参戦予定です。200メートル、400メートル、4継(4×100メートルリレー)、マイルにエントリーしているので、4日間どのように戦うのかを見守っていて欲しいです。
清水 日本インカレは、シーズンの中では一番思い入れが強い大会です。その気持ちの強さを全身で表現するので、そこを見てほしいなと思います。
千葉 私は見ていて「おお!」となるようなレースができればいいなと思います。前半も攻めつつ、持ち味の後半で応援が盛り上るようなレースをしたいです。
ーー最後に、全日本インカレへの意気込みをお願いします
上島 井上さんと大川さん(大川寿美香女子主将、スポ4=東京・三田国際学園)と山口智さん(山口智規駅伝主将、スポ4=福島・学法石川)が作り上げた111代目を勝たせるべく、冬季練習もシーズンが始まってからもずっと頑張ってきたので、みんなで最後笑えるように頑張ります!
清水奈 グラウンドの真ん中で『紺碧の空』を歌うことが私の目標であり、みんなの目標なので、それを必ず達成したいなと思っています。
千葉 チームで挑める試合は意外と数少ないので、チーム力を背に自分の走りを加速させて、みんなで勝ち切る景色というのを見たいと思います。
ーーありがとうございました!
(取材 長屋咲希、佐藤結 編集 植村皓大)

◆清水奈々子(しみず・ななこ)(※写真中央)
2003(平15)年7月2日生まれ。北海道・札幌南高出身。文化構想学部4年。
◆上島周子(うえしま・ちかこ)(※写真右)
2004(平16)年6月9日生まれ。東京・富士高出身。スポーツ科学部3年。
◆千葉史織(ちば・しおり)
2005(平17)年10月31日生まれ。宮城・仙台一高出身。スポーツ科学部2年。