【連載】競走部 日本学生対校選手権(日本インカレ)特別企画 特集『Alll ONE(オールワン)』 第4回 水野琉之介×関口裕太×由井響

特集中面

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 第4回には早大の精鋭スプリンター・関口裕太(スポ3=新潟・東京学館新潟)、由井響(スポ3=山梨・都留)、水野琉之介(スポ2=北海道・立命館慶祥)の3名が登場。水野はシーズン序盤に100メートルと200メートルでそれぞれ自己記録を更新。関口と由井は関東学生対校選手権(関東インカレ)で入賞を果たすなど、今季躍動を見せている3人だ。日本学生対校選手権(日本インカレ)では、関口と由井が100メートルに、水野が200メートルにエントリーしている。個人種目でも4×100メートルリレー(4継)でも活躍が期待される彼らに、これまでの振り返りと、日本インカレに向けての意気込みを伺った。

※この取材は5月25日に行われたものです。

ーー右隣にいる人の紹介をお願いします

関口 響くんは、陸上以外のその他のスポーツにも興味関心があります。特に野球が好きで、先輩方と野球の話題で盛り上がったりしています。そういった話題で先輩後輩関係なく、仲良くコミュニケーションを取っています。私生活に関しても、しっかり授業に行っています(笑)。

由井 (笑)。

関口 休まずに良い成績を取れるように、陸上だけではなく文武両道に重きを置いた人だと思います。

由井 (水野は)競技者としてもそうですが、とても真面目で人としても尊敬できるような選手です。(水野が)この部活に入ってから一緒にご飯行ったり、同じ種目なので一緒に練習したりと、一緒に行動してることも多かったので、今年で2年目の関わりになりますが、とてもかわいい後輩です。

水野 関口さんは高校の頃から活躍されていた選手で、入部する前から知っていました。ここ1年の関わりとしては、由井さんと比べると関わりが少ないのですが、人柄的にその学年に収まらずに、部全体のムードメーカーのような存在です。本当に人を明るくする才能というか、魅力的な部分がとても多い先輩です。  寮内でも、よく笑顔にしてくれるとても良い先輩なのですが、競技になるとやはり目つきがガラッと変わって、競技に真面目に取り組む姿勢は普段から尊敬しています。

関口 二重丸!

水野 ありがとうございます(笑)。

ーーオフの日はどのように過ごしていますか

関口 最近は試合が続いているので外出はしないのですが、寮内で同期や先輩後輩とコミュニケーションを交わしながらリフレッシュしています。1人の時間も好きなので、ユーチューブを見たり音楽を聴いたりして、心身ともにリラックスしています。また寝るのが好きなので睡眠時間を多く確保しています。

由井 僕は先ほど関口からの紹介もあった通り、結構いろいろなスポーツが好きで、特に野球が好きです。現地で観戦したりテレビで観たりと、毎日の日課みたいな感じになっています。他にも、買い物はしないのですが、買い物に行くのが好きで(笑)。行くだけで買わないんです(笑)。ちょっと遠出して、プチ旅行みたいな感じで、何も買わずに帰ってくるというのも結構好きです。

水野 僕はアクティブな時とそうではない時の差があります。部活がある休日は寮に帰って部屋で寝たり動画を見たりして静かに過ごすことが多いです。自分のことに余裕がある時は1人で東京の方に散策するのにハマっています。由井さんと違って、他のスポーツにはあまり興味がなくて、絵画や音楽などの芸術に刺激をもらいに美術館に行ったりします。

関口、由井 すげえ。

水野 (笑)。

ーー今まで行った合宿先や遠征先で最も印象に残っている場所やお気に入りの場所を教えてください

関口 毎年夏にある菅平合宿です。1週間ぐらい長野県の菅原に宿泊させていただいて、練習したり、オフを楽しんだりします。僕はそこでのバーベキューが好きです。 いろいろな人とコミュニケーションを交わしたり、あとは焼き肉を焼いて自分が食べるものを狙って自分のものにするという(笑)。

由井、水野 (笑)。

関口 あと、すごく大きい箱に焼きそばが作られて出てくるのですが、それを食べるのも菅平での楽しみです。本当にその焼きそばが大好きなので、「菅原に行きたい!」とよく思います。

由井 僕も被ってしまうのですが菅原の合宿が結構好きです。僕の地元は長野県で、こっちに来てから、所沢は結構森の中なのですが、都会の中で生活していて、菅平の自然の中で練習すると、子供の頃を思い出します。競走部のみんなと、そのような場所で練習できるのが本当に楽しいです。あと、長野県といったら野菜がとてもおいしくて、セミナーハウスで食べるご飯がとてもおいしいので、印象に残っている好きな場所です。

水野 僕はまだ菅平合宿に参加したことがないので、今年参加できるのが楽しみです(笑)。僕は12月に行われる鴨川合宿です。高校生の頃から参加させていただいていていました。初めて大学生が間近に競技場にいて、ものすごく緊張しましたし、すごくインパクトを受けました。合宿といえばハードなイメージが強いのですが、雰囲気がものすごく良くて、 自分で追求していく楽しさというか余力があるような合宿でした。血を吐く練習というよりかは、しっかり考えて練習できる環境があるというのがその最初の印象で、とてもよかったです。今も普段の練習からそういった意識を先輩方もコーチ陣も持っています。部活に参加する前の大学陸上の印象を得たいい合宿でした。 

ーー競技の質問に移ります。まず今シーズンはどのような目標を持ってシーズンインしましたか

関口 冬季練習を積んでいて、2月の中旬あたりに、軽度のハムストリングスの肉離れをしてしまって、1カ月練習を離脱することになってしまいました。 今シーズンは大事な大会が前半シーズンに詰め込まれているのですが、シーズンインするにあたっての目標として、4月にあった学生個人(学生個人選手権)で優勝して、ワールドユニバーシティゲームズの代表に選ばれて、世界で戦うということが目標でした。肉離れで1カ月練習を離脱したことによって、自分の力が発揮できず悔しい気持ちで終わってしまいましたが、悔しさをバネに関東インカレに出たり、セイコーゴールデングランプリという大会に招待していただいて、すごくいい経験ができました。ワールドユニバーシティゲームズに選ばれて、世界で戦うという目標はもうかなわなくなったのですが、次は東京世界陸上が今年行われるので、よりレベルの高いところで世界を目指していきます。 「早稲田から世界へ」というところを実現していきたいかなと今は思います。

由井 冬前の目標は、昨年は自己ベストが更新できなくて、苦しいシーズンだったのですが、今シーズンは必ず自己ベストを更新して関東インカレ、日本インカレに臙脂(えんじ)のユニフォームを着て出場するということでした。関東インカレは一旦終わって、入賞できたので、現時点での目標は日本インカレで決勝に残ることと、日本選手権の標準タイムを切って日本選手権に出ることです。

水野 冬季での目標はリレーメンバーとして日本インカレに出場するということでした。(当時の自分にとって)それが精一杯という感じでした。いざシーズンインしたら自己ベストを更新したり、いい結果が出て、 初めて六大学陸上(東京六大学対校)に出場させていただきました。関東インカレまでの目標は100メートルで入賞するというのに切り替えたのですが、関東インカレでアクシデントがありまして。日本インカレは100メートルのメンバーには選ばれなかったのですが、200メートルのメンバーに選出していただいたので、入賞して点を取って帰ってくるということを目標にしています。

ーー水野選手はトラックゲームズinTOKOROZAWAでの学生個人標準記録突破が印象的でした。シーズンインからエントリーの締切まで期間が短かったですが、難しさなどはありましたか

水野 元々エントリー締め切りまで3試合の予定だったのですが、1つの試合が悪天候のため中止になり、2試合で出さなければならないというタイトなスケジュールでした。プレッシャーは少なからずあったのですが、冬季練習でかなり自分の走りに自信が持てたので、(学生個人の標準記録を)切れるという強い気持ちを持って臨んだのが、いい結果につながったのではないかなと思います。

ーー続いて関東インカレについてお聞きします。関口選手は2位で表彰台に上りました。関東インカレでのご自身の走りを振り返っていかがですか

関口 本当にこんなタイムで走らせていただけることが光栄でありがたかったです。 前にいた栁田選手(東洋大)に9秒台を出されたのが、昨年の学生個人、今年の関東インカレと、僕自身2回目でした。 昨年の学生個人に比べて、栁田選手の背中が近くなったというか、僕自身進化してくれたなと収穫もできて、日本インカレでは絶対に勝ちたいという気持ちが芽生えた関東インカレでした。

ーー由井選手は予選で自己ベストを更新し、入賞を果たしましたが。ご自身の走りの振り返りと感じた手応えなどがあったら教えてください

由井 早稲田の選手の中で一緒に練習できていることが一番の練習であると思いますし、(関東インカレ前は)どの大学でみてもレベルの高い練習になったのではないかなという練習になっていたので、結構自信がありました。なので、普通に走れば自己ベストを更新できると思っていました。まずは、予選で自己ベストを更新することができてよかったです。主将不在の中だったのですが、(主将に)「絶対決勝行けよ」と圧をかけられていたので(笑)。それで気持ちが引き締められました。準決勝、決勝は少し厳しい走りになってしまいましたが、決勝の中でもまだまだレベルの差があると感じましたし、今後の日本インカレでもその悔しさをつなげていけたらなと思います。

ーー4継での走りはそれぞれ振り返っていかがですか

水野 予選では、外側に同期の黒木(海翔、中大)という実力のある選手がいて、まずはそこを外側で越すという目標で取り組みました。勝てはしなかったですが、距離的には詰めることができました。決勝では、1走から2走のバトンが生まれてしまいまして。自分は100メートルに出ていなかった分、体力的に余裕があって、そこの部分を加味した調整ができなかったことがバトンミスにもつながったのではないかと思います。そのようなところもしっかりとコミュニケーションをとって、日本インカレでは完璧なバトンパスで、しっかり1着でもらえるような、流れるようなリレーができればと思っています。

由井 2走が水野で僕が3走だったのですが、バトンパスに関しては信頼がありました。練習でもミスしたことないですし、六大学も関東インカレでもミスをしなかったので、心配も何もなく思い切りスタート切れたと思います。予選も決勝も外側に強いチームがいたのですが、そんなの関係なく内側から全部抜いてやるぞという気持ちで走ることができました。

関口 予選はいい流れで1着通過したのですが、決勝の場面では自分の疲れもちょっと加味できていなかった部分がありました。(決勝では) 歩数を伸ばしてバトンを渡すのに時間がかかってしまい、そこでロスが生じて、表彰台も優勝も逃してしまいました。関東インカレが終わってからしっかりみんなでこうしていこうというふうに反省会をして、少しずつ信頼というか2人との感覚が合ってきて、日本インカレでは完璧なバトンパスを体現できるように、しっかり残り10日間で調整していこうと思っています。

ーー日本インカレに関する質問に移ります。まず、現在の調子と仕上がり具合を教えてください。

関口 僕は100メートルに出場させていただきます。個人としては、セイコーゴールデングランプリが終わってからの2週間あって、1週間の練習を積んで1週間調整というようなかたちです。今日までの1週間でまず練習を積んで、あえて調子を落とすことによって、日本インカレでしっかりピークを合わせるという。今は練習も順調に積めていて、日本インカレに向けてはいい練習ができて、2週間後には足が速くなるのではないかなという感じです。4継に関してはまだ本格的な練習はしていないですが、来週仕上げていきます。みんなの足も絶対速くなっていると思うので、インカレでは期待してもらっていいのではないかなと思っています。

由井 僕は関東インカレが終わってから、結構練習を積んでいます。まだ疲労が残っているのですが、練習メニューはかなり質の高いものができていると思います。順調に行けば、また自己ベストを更新できてしまうのではないかと思います。4継に関しては関口が言った通り、まだ練習はしてないのですが、そもそも一人一人の走力が上がれば、リレーのタイムも上がってくるので、バトンも大事なのですが、自分の走力を上げていければと思います。

水野 僕も関東インカレが終わってから練習を積めていて、体全体に疲労が乗っかっている状態です。ここから落としていけば自然と走力が戻ってくると思うのであまり心配はしていません。今回は200メートルに出場するということで、100メートルに比べて距離が長いので、そこに関して少し不安があったのですが、ここ2週間しっかり距離も踏んだので、そこに関する不安は解消されたかなと思っています。4継ではお二方も仰っていたように、まだバトン練習はしていないのですが、今は個々の走力が大事だと思うのでコンディションを整えて、バトンを合わせれば、日本インカレでもよい記録が出せると思います。

ーー自分のここを見てほしい!というポイントを教えてください

水野 僕は、スタートしてから最初の30~40メートルの加速力が自分の持ち味だと思っていいます。スタートしてから周りとの距離をグッと詰める部分は全国でもトップクラスだと自負しているので、4継でも200メートルでも注目していただけたらと思います。

由井 関東インカレの準決勝で、後ろの選手と1000分の2秒差で決勝に勝ち上がったのですが、日本インカレでもしぶとく決勝まで勝ち上がっていくので、走りも見てほしいのですが、しぶとさも見てほしいなと思います。

関口 レースで言ったらスタートから50メートルまでの爆発的な飛び出しを見てほしいです。4継に関してはしっかり外の選手を詰めるような、勝ちを確信できるような走りをしたいと思いますので、 そこに注目していただければなと思います。

ーー最後に、日本インカレに向けて意気込みをお願いします

関口 井上主将(井上直紀、スポ4=群馬・高崎)が全体での目標として掲げているように総合優勝をして、岡山の芝生のグラウンドで早稲田で円陣を組んで「紺碧の空」を歌いたいというふうに(井上主将が)仰っていたので、実現できるように、100メートルもそうですし、4継でも、点数をがっぽり持って帰れるように貢献したいと思います。

由井 関口が100メートルで決勝行くなら、僕も行くので、井上主将と3人で100メートルの決勝に出られたらいいなと思っています。リレーもかなり厚いメンバーがそろっていると思うので、昨年の日本インカレで出した日本学生記録をまた僕たち後輩で更新したいなと思っています。

水野 初めての、大学での全国レベルの試合ということで、そこの部分にちょっと怖さがあるのですが、最初なので何も恐れることはないと思うので、200メートルも4継も恐れずに突っ込んでいきたいと思います。

ーーありがとうございました!

(取材 佐藤結、長屋咲希、編集 谷田光太郎、佐藤結)

◆関口裕太(せきぐち・ゆうた)(※写真右)

2004(平16)年11月4日生まれ。新潟・東京学館新潟高出身。スポーツ科学部3年。

◆由井響(ゆい・ひびき)(※写真中央)

2004(平16)年11月1日生まれ。山梨・都留高出身。スポーツ科学部3年。

◆水野琉之介(みずの・りゅうのすけ)

2005(平17)年4月22日生まれ。北海道・立命館慶祥高出身。スポーツ科学部2年。