今季からグループリーグなしのトーナメント形式となった全国大学選手権(大学選手権)。負ければ即、敗退が決まる厳しい戦いだ。早明戦で勝利し、関東大学対抗戦(対抗戦)を2位通過した早大は17日、同大との初戦に臨む。直近の戦績を見ると、5月末の定期戦で●0-36の完敗を喫している。何としてもそのリベンジを果たし、まずは3年ぶりの年越しを決めたい。
早大は今季、『スクラム・チームディフェンス・ブレイクダウン』の三点を軸に強化を進めてきた。対戦相手がどこであれ、その軸をぶらす必要はないだろう。スクラムで圧倒し、FW戦で心理的にも優位に立つ。相手ボールになっても、徹底したダブルタックルで粘り強く耐える。そして相手のサポートが手薄になった場面を狙ってブレイクダウンで勝負を仕掛ける。一年間をかけて磨き上げてきたこの三点を、どれだけ精度高く遂行できるかが重要になってくる。中でも核となるのはスクラムだ。FW8人全員が低くまとまり、真っすぐに押していくスクラムは、対抗戦でも他大学を苦しめてきた。同大を相手にしても、ペナルティーを獲得するまで押し続けたい。一方で、ラインアウトモールには課題が残る。対抗戦終盤の試合では、中盤でのペナルティーをなかなかトライに結び付けることができていなかった。早明戦からこの日までの2週間でどれだけ修正できているかに注目したい。
強力なスクラムを支えるフロントロー陣
BK陣には、両校共にタレントがそろっている。早大が注意すべきはSH大越元気(4年)、そしてWTB安田卓平(2年)とWTB松井千士(4年)からなる両翼だ。大越は伸びのあるパスだけでなく、ラックからのキックも秀逸。ボックスエリアへのハイパントや、陣地を取る裏へのキックなど、エリアマネジメント能力が高い。また、接点近辺でも強気に仕掛けてくる選手だ。ラックサイドのディフェンスには細心の注意を払っていきたい。そして、安田と松井の両WTBは日本代表の経験もあり、その実力は折り紙付き。持ち味は細かいステップワークと圧倒的なスピード。自由なスペースを与えると、一気にインゴールまでボールを運ばれてしまう。しかし、早大も負けてはいない。特に注目したいのはCTB中野将伍(スポ1=福岡・東筑)。早明戦では決勝トライを挙げるなど、対抗戦で大活躍。1年生にしてBK陣の核を担う選手だ。強さと速さを兼ね備えるランニングで、同大のディフェンスを突き破りたい。
早明戦でも持ち前の突破力でゲインを重ねた中野将
同大は先週行われた中大との試合に完勝しており、勢いづけて早大との試合に臨んでくる。一方、早大は大学選手権の初戦だ。しかも会場は敵地・大阪。それだけに、決して相手の勢いを受けてはならない。ファーストタックル、ファーストスクラムで同大を圧倒し、試合の入りをいいかたちで迎えることが必要になってくるだろう。勝てば3年ぶりの年越し、大学選手権準決勝進出が決まる早大。日本一奪還への第一歩をラグビーの聖地・花園から踏み出したい。
(記事 進藤翔太、写真 橘高安津子、進藤翔太)
早大メンバー | |||
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背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 鶴川 達彦 | 文構3 | 神奈川・桐蔭学園中教校 |
2 | 貝塚 隼一郎 | 政経4 | 埼玉・早大本庄 |
3 | 千葉 太一 | 教4 | 東京・早実 |
4 | 山口 和慶 | スポ4 | 福岡 |
5 | ◎桑野 詠真 | スポ4 | 福岡・筑紫 |
6 | 加藤 広人 | スポ3 | 秋田工 |
7 | 柴田 徹 | 社1 | 神奈川・桐蔭学園 |
8 | 佐藤 真吾 | スポ2 | 東京・本郷 |
9 | 齋藤 直人 | スポ1 | 神奈川・桐蔭学園 |
10 | 岸岡 智樹 | 教1 | 大阪・東海大仰星 |
11 | 梅津 友喜 | スポ1 | 岩手・黒沢尻北 |
12 | 中野 将伍 | スポ1 | 福岡・東筑 |
13 | 黒木 健人 | 教3 | 宮崎・高鍋 |
14 | 本田 宗詩 | スポ4 | 福岡 |
15 | 桑山 聖生 | スポ2 | 鹿児島実 |
リザーブ | |||
16 | 佐田 涼祐 | 社4 | 東京・早実 |
17 | 鷲野 孝成 | 基理2 | 神奈川・桐蔭学園 |
18 | 小笠原 優 | 商4 | 秋田 |
19 | 沖野 玄 | 商1 | 北海道・函館ラサール |
20 | 宮里 侑樹 | スポ2 | 沖縄・名護商工 |
21 | 吉岡 航太郎 | スポ3 | 国学院栃木 |
22 | 高橋 吾郎 | スポ3 | 福岡・修猷館 |
23 | 横山 陽介 | スポ3 | 神奈川・桐蔭学園 |
※◎は主将、監督は山下大悟(平15人卒=神奈川・桐蔭学園) |