【連載】『~挑戦~ 逆襲への第一歩』 第7回 河原右京

野球

 昨季は秋季リーグ終盤からスタメンに定着し、4割に迫る打率を残した河原右京(スポ3=大阪桐蔭)。つかみかけた信頼を確実なものにするために、求められるのはただ一つ、結果を残すことだ。勝負の春に向け、闘志を燃やす河原選手に心の内を伺った。

※この取材は2月12日に行ったものです

結果が出なくて苦しかった

――寒い中での練習が続いていると思うのですが、最近のチームの状態はいかがですか

自分はちょっとけがをしていて、練習には入っていないのですが、チーム自体はいい感じできていると思います。

――昨年12月の静岡の藤枝でのキャンプのときに岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)が野球の思考力に関する話をされていました

監督さんもずっと考えて野球をしろというのは仰っていて、練習をするのでも考えてするのと何も考えずにするのでは全然身に付くものが違うと思うので。一つの練習でも自分は意味を持って、意識を持ってやっています。

――昨季のシーズン全体を振り返って、春季リーグ4位、秋季リーグ3位という結果については率直にどう捉えていらっしゃいますか

春も秋も明大に負けていて。春は明大に負けてそこからガタガタといってしまって、秋も明大に負けて。春よりは挽回できたのですがやはり明大に結構負けているイメージがあります。練習でも監督さんから明大を意識しようという感じでやっているので。明大はすごく意識しますね。

――ご自身も出場機会は増えましたが、その反面苦しんだ部分もあったのではないでしょうか

春3番を打たせてもらっていたのに、全然打てなくて足を引っ張ってしまいました。結構結果が出なくて苦しかったのですけれど、夏にまた練習して振り込みました。秋も最初は出ていなかったのですが、途中から出させてもらって。そうすると結果もついてきました。結構自分の中でつかんだというか、身に付けた部分もあるので、この春は生かしていきたいかなと思います。

――開幕カードは3番サードでのスタメンだったと思うのですが、なかなかヒットが出ずに苦しい思いをされていたと思います

相当苦しかったので、その悔しさが夏のやる気に変わって、その悔しさを持って秋のシーズンに臨みました。秋は絶対結果出してやろうと思って結果が出たので、春の経験は悔しかったですが、いい経験かなと思います。

――明大3回戦までの5試合で20打数1安打という結果で、その後は代打での出場になりました。試合に出たいという思いはやはりありましたか

それはありましたね。

――色々な気持ちがあったと思うのですが

そうですね。でも、結果が出てなかったので当たり前かなと。「代打で出たら結果出してやろう」とずっと思っていました。

――夏のオープン戦、軽井沢での合宿などを経て迎えた秋季リーグですが、個人としての活躍に点数をつけるなら何点でしょうか

秋の成績を1シーズン丸々できたら80点ぐらいあげられるのですが途中からなので。60点、50点ぐらいですかね。

――秋に向けて自分の中で変えた部分はありますか

特にないですね。気持ちの部分でもっと余裕を持って野球をやろうというところですね。

自分の中に余裕が出た

昨秋、リーグ戦中盤からスタメンの座をつかんだ河原

――秋季リーグの序盤はベンチから試合を見守ることが多かったと思います。秋も試合に出られないかもという思いはありましたか

「でも絶対、出てやるぞ」という気持ちでしたね。

――秋季リーグでも明大から勝ち点を奪うことはできませんでした

ワセダ自体も苦手意識じゃないですけれど、うまくかみ合わないというのがあって。ミーティングとかもするのですが、みんなも「何でやろ」というか、わからないというか。明大の知り合いもいるので、聞いたらワセダに対する意識はすごく強いらしくて、「絶対負けるか」という感じらしいので。明大の勝ちたいという気持ちが勝っているのかなと思ったりしますね。監督さんもそれをずっと仰っているのですが、明大の方が勝ちたいという気持ちが強いというのは。そこまでくるともう気持ちの問題なのかなと思いますね。

――立大3回戦では久々の先発出場になりましたが「やってやるぞ」という気持ちは強かったですか

だいぶ強かったですね。

――久々にスタメンで出場してみての感触というのはいかがでしたか

秋は初スタメンだったのですけれども。緊張はしていなかったのですが、舞い上がりすぎて逆に空回りしてしまいました。結果が出なかったのでやばいなと思いましたね。でも次の法大戦もまたスタメンで出させてもらって、そこからは何も考えずに気楽な気持ちでいってやろうと。そしたらそこから結果が付いてきたという感じですね。

――続く法大1回戦で久々の安打、サイドハンドの船本一樹投手(現・JX-ENEOS)からライト前へきれいに捉えた打球でした。喜びはありましたか

春ヒット1本が(なかなか)出なくて苦しかったので。秋も出なかったらどうしようという気持ちはちょっとあったので、やはり出たときはすごい気持ちよかったです。

――その日は2安打2四球と大活躍でしたが、個人的に船本投手は得意にしていたりしたのでしょうか

結構得意なタイプです。

――法大戦はその後の2試合でも安打を記録されました。少しずつ手応えというのはつかんできていましたか

1回戦で結果が出て、2回戦からも結果が付いてきたというのは「こういう感じで打ったら安打になる」というのがつかめたのではないかと。気持ちの問題なのですが、いままではもう「打ってやろう、打ってやろう」という気持ちだったのですが、結果が出ているときは自分の中に余裕ができていて。気持ちの問題なのだと思いますね。

――早慶戦では2試合とも安打を放つなど素晴らしい活躍を見せました。やはり法大1回戦での安打というのはきっかけになったのでしょうか

法大戦結果出たのでその勢いでいけたので。結果が出ました。

――秋季リーグ戦は23打数9安打で四球も7つと出塁率も高かったですがボールが良く見えていたのでしょうか

かなり見えていました。調子が良かったらボールが見えて、悪かったらもう全部振ってしまうので。春は何でも振っていたというか、打ちたいという気持ちが上回りすぎて全然ボールが見えていなかったので。秋は余裕があったので見極めとかもできていたのではないかと思います。

――春季リーグでは9つだった三振が秋季リーグは2つと減少しました。三振に関して意識して取り組んでいたことはあるのでしょうか

特にないですね。普段三振をあまりするタイプでもないですし、そんなにしていないので。春は自分でもあんなにバットに当たらないことがびっくりして。自分で一番びっくりしましたね。

――秋季リーグでの河原選手のバッティングはボールを前で捉えていて、素直にバットが出ていた印象がありました

差し込まれたら自分のバッティングは駄目だと思っているので。ポイントを前で来たボールに逆らわずに打つというのはいつも練習で意識してやっていますね。

――引っ張りへの得意意識はありますか

特にないですね。来たボールを逆らわずに打つというのが自分の持ち味なので。

――六大学の投手の中で得意な投手はいますか

いないですね。調子が良かったらどのピッチャーでもタイミング取れると思うのですが、調子が悪かったらどのピッチャーでも全部速く感じます。

――対戦したら絶対に負けたくない投手はいますか

絶対に負けたくないのは、明大戦ですね。全然結果が出せず、明大の山崎福也さんに抑えられたので。春は絶対に打ちたいなと思っています。

――新3年生の選手のみなさんは個性が強い印象があるのですが、河原選手から見た同期の印象はいかがですか

まとまりがあって、みんなでふざけあったりもできるので。自分はいい学年だと思います。

――中村主将(奨吾、スポ4=奈良・天理)を中心とした4年生の代の印象は

一つ上も結構人数が多くて、最初はバラバラだったという話も聞くのですけれど、最近はもうそういうのはないですね。直原さん(大典新人監督、人4=高知・土佐)と中村さんがリーダーみたいな感じでまとめていて、すごくいいチームになっていると思います。自分たちもうまく付いていけるというような感じです。

――藤浪晋太郎投手(プロ野球・阪神)や、西田直斗選手(プロ野球・阪神)、浅村栄斗選手(プロ野球・埼玉西武)といった同じ大阪桐蔭高からプロで活躍している選手も多くいると思います。そういった選手の活躍は刺激になりますか

いや、もうすごく刺激になります。浅村さんは関わってはいないので「すごいな」というぐらいなのですが、西田や藤浪は一緒に野球をやってきたので。そういう選手がプロで活躍しているのを見たら、悔しいという気持ちはちょっとあるのですが、自分も「プロの世界に行ってやってみたいな」とは思います。すごい刺激になって、いつかは自分も一緒にやってみたいという気持ちになります。

――ご出身は徳島ということでご実家に帰る機会も少ないと思うのですが、故郷が恋しくなったりはしますか

正月は(帰省を)しました。高校も寮だったので、高校時代もそんなに帰っていないので。そんなに(故郷が恋しくなったりは)ないですね。

ベストナイン、首位打者へ

今季の目標を語る河原

――春季リーグ戦に向けてキャンプやオープン戦で強化していきたいところはありますか

バッティングが持ち味だと思っているので、どのピッチャーでも打てるように、どんな球でも打てるように振り込んで、対応力というのを付けていけたらなと思っています。

――冬場のオープン戦では遊撃手を守られていましたが、守備位置へのこだわりはありますか

特にはないのですが、自分はどこでも守れるというのは持ち味です。サード、ショート、セカンドできるので、もし中村さんがけがをしたらセカンドもできるように練習していますし、監督に言われたポジションをできるようにという感じです。

――ショートというポジションは守備力も大事になってくると思いますが

ショートだったらサードと違って周り全体を見て、守備も外野全部を動かさないといけないので、サードとはまた違ったポジションだと思います。ショートをやるのであれば守備範囲も広くないといけないですし、打球に対する1歩目や球際をもっと練習していかないといけないかなと思います。

――石井一成(スポ2=栃木・作新学院)選手、茂木栄五郎(文構3=神奈川・桐蔭学園)選手など内野のスタメン争いはライバルも多いと思います

そこの争いは結構激しいので、いま自分はけがをしているのでちょっと焦っているのですが。絶対試合に出たいという気持ちは負けないので、オープン戦で結果出さないと試合に出られないと思いますし早く治して、レベルを上げていきたいなと思っています。

――明大は優勝に向けては倒さなければいけない相手だと思います。勝つためには何がポイントになってくるでしょうか

明大はピッチャーが良いので。ワセダは得点圏の打率が低いですし、大事な場面で一本出せるように、そこが肝になってくると思います。春も秋も負けてはいるのですが、二塁とか三塁とかまでは進めているので、そこであと一本出せるかが勝つか負けるかの差になってくると思います。

――そういった意味では河原選手の勝負強さはかなりカギになってきますね

明大に結構抑えられているので、絶対打ちたいと思います。

――河原選手も3年目のシーズンということで1年間通しての活躍が期待されていると思うのですが

1シーズンをフルで結果を残すことはまだできていないので。この春、丸々1シーズン結果を残してもっと六大学で名前を売って、春秋で自分の活躍を含めてチームが優勝できたらなと思っています。

――六大学野球を初めて観る人に注目してほしいご自身の持ち味はどこでしょう

左右逆らわずに打つコンパクトなバッティングと、どこでも守れる守備を見てほしいですね。

――スローイングも滑らかだなという印象があるのですがスローイングにも自信はありますか

そうですね、スローイングには自信を持っていますね。

――ことし1年の目標を聞かせてください

春秋ともレギュラーに定着してどっちも結果残して優勝するというのと、両方とも日本一になるということです。

――春季リーグでの具体的な数字の目標はありますか

ベストナインを取って、首位打者になりたいですね!

河原

◆河原右京(かわはら・うきょう)

1993年(平5)11月4日生まれ。172センチ、74キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部3年。内野手。右投左打。試合前の金曜日の練習後には重信選手とコンビを組んでネタを披露することが多いという河原選手。そのネタではあまりスベったことはないとのこと。さすが関西人ですね!