9月に開幕した秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)も残すところあと2日となったきょう、早大は明大と対戦した。昨年の全日本大学選手権(全日本インカレ)の準決勝などでも苦しめられた相手に対し序盤は優位に試合を進めるも、第2セット以降はサーブと粘り強いレシーブに苦しめられて劣勢に。第3セットもセットポイントを先に握られる苦しい展開となったが、早大も負けじとスパイクレシーブで粘り続け、大塚達宣(スポ1=京都・洛南)のバックアタックや宮浦健人(スポ3=熊本・鎮西)のクロススパイクで一気に逆転に成功。勢いそのままに第4セットを大差で勝ち取り、セットカウント3-1(25-21、23-25、26-24、25-15)で勝利を収めた。この結果、最終日を待たずして早大の5季連続のリーグ戦優勝が決まり、全日本インカレに向け弾みのつく結果となった。
第1セットは序盤から早大が主導権を握るかたちとなった。5点の差をつけたところでいきなり明大にタイムアウトを取らせると、村山豪(スポ3=東京・駿台学園)が相手の緩いスパイクを見逃さずにブロックするなど明大に反撃の隙を与えない。試合終盤に4連続失点など23-21と2点差まで迫られるも、最後は村山のクイックと明大のスパイクミスで25-21、第1セットを先取した。しかし、続く第2セットは序盤にまさかの5連続失点で1-6と大きく出遅れてしまう。明大の池田(3年)の緩急をつけたサーブに苦しみ、なかなか思うような攻撃を仕掛けられない早大。池田のサーブミスでなんとかサイドアウトを切ると、武藤鉄也副将(スポ4=東京・東亜学園)のサービスエースやダイレクトスパイクで流れをつかみ、一時18-16と早大が2歩前に出た。このまま2セット連取といきたいところだったが、今度は明大の島(3年)のサーブに苦しみまたも5連続失点と明大に再逆転を許してしまう。宮浦が今季絶好調のサーブで一矢報いるも時すでに遅し。23-25で第2セットを落とすことになった。
強烈なサーブを放つ大塚
第3セットも、第2セットの流れを引きずっているのかなかなかペースをつかめない。「まとまりがなかった」と堀江友裕主将(スポ4=和歌山・開智)や武藤副将が口をそろえて言うように、単発的な攻撃が目立ち、組織的な試合運びをなかなかできずにいた。そんな中で奮闘したのがルーキーの大塚。前衛ではクロスへの力強いスパイクを何度も決め、後衛では高さのあるバックアタックを何本も敵陣に突き刺した。18-21と3点差で迎えた終盤、ようやく早大の粘り強さが垣間見え始める。ラリーの中ではクイックを多用することで相手セッターの攻撃の選択肢を減らし、ラリーの主導権を早大がつかみ始めたところで宮浦が渾身のクロススパイク。21-21と同点に持ち込んだ。試合序盤は被ブロックや相手に拾われることの多かった宮浦は「もう少しゆっくり跳んでスパイクを打つことを意識してから決定率が高くなった」と振り返った。24-24とジュースにもつれ込んだが、宮浦のスパイクから流れは早大に傾いていた。堀江主将の献身的なレシーブから大塚や宮浦が次々とスパイクを沈めて26-24。第3セットを辛くも奪取した。続く第4セットは中盤まで一進一退の攻防が続くも、終盤に宮浦・武藤副将の2枚ブロックで何度も明大のスパイクを仕留めて23-13と10点差に。明大の攻撃を封じ、25-15大差でものにした。
献身的なレシーブを魅せる堀江主将
勝利で終えられたことは大きいが、やはり第2セットや第3セットの中盤までのように選手が個人で戦うような時間が長かったという印象が強い試合となった。11月下旬に控える全日本インカレでは、組織力の崩れは負けに繋がってしまう致命的な部分となる。最終週の東海大との一戦では、堀江主将を中心に一丸となったチームで戦っていきたいところだ。
(記事 松谷果林、写真 萩原怜那、田岡真実、横澤輝、森田有紀美)
セットカウント | ||||
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早大 | 3 |
25-21 23-25 26-24 25-15 | 1 | 明大 |
スタメン | ||||
レフト 吉田悠眞(スポ2=京都・洛南) レフト 大塚達宣(スポ1=京都・洛南) センター 武藤鉄也(スポ4=東京・東亜学園) センター 村山豪(スポ3=東京・駿台学園) ライト 宮浦健人(スポ3=熊本・鎮西) セッター 中村駿介(スポ3=大阪・大塚) リベロ 堀江友裕(スポ4=和歌山・開智) |
コメント
堀江友裕主将(スポ4=和歌山・開智)
――きょうの試合を振り返っていただけますか
だめでしたね……。
――具体的にはどのようなところでしょうか
個人的にも良くなかったですし、チームでまとまれていないということを試合が終わって言われて自分でもそうだったかなって思います。自分のプレーもだめだったこととチームがまとまれていないという二点ですね。チームのことに関しては自分がキャプテンとしての役割も出せていなかったということになると思います。
――では点数をつけるなら何点でしょうか
勝てたことは良かったので40〜50点くらいですね。
――明大のスパイクについてはどのような印象を持たれていますか
ミドルが打つということでドカンと打たれること(に対応する)よりも軟打などのこぼれ球を上げることを意識していました。でも最後の方は上がっていたのですがそれに初めからは対応できていなかった印象ですね。
――レセプションについてはチーム、そしてご自身でいかがですか
個人がだめだったのであまり周りを見る余裕がなかったということはありますが明大がどういう作戦で僕をターゲットにしてきたかはわからないのですがサーブで狙われたときにパスに集中するという頭の切り替えができなかったです。数字で見ていないですけど多分駿介(中村、スポ3=大阪・大塚)にたくさん助けてもらいました。
――最後に来週の東海大戦へ向けて意気込みをお願いします
来週は東海で名前を出すならば新井(3年)がいない中で春戦って勝っているだけなのでその打点の高いスパイクにどうやって対応していくかということと相手も全カレ(全日本大学選手権)で当たる可能性の高いチームなのでそこに挑むという気持ち、そして自分たちではきょうの反省やチームとして戦えていないというところはどうしてできなかったのかを早いうちに課題として明確化してどう立ち向かっていくかということを意識したいです。きょうはチャレンジャーというかたちで戦えていなかったと思うのでその立ち向かう姿勢というのをこの一週間の練習で準備して臨みたいなと思います。
武藤鉄也副将(スポ4=東京・東亜学園)
――きょうの試合を振り返って
きょうは明治のサーブが結構良くて、サーブレシーブで崩されたのが競った要因の1つで、あとはやっぱりクイックが多いチームということで、そこまで強打を打たれた印象はないですが、プッシュや当たり損ねたボールを結構早稲田が落としてしまったかなと思っています。そこがもう少し上げられて、しっかりサイドアウトが取れれば4セット目のように一方的なゲーム展開になるかなと。
――明大戦に向けて何か対策などは
相手はパスが割れたときにリードブロックになるというデータがあったので、Bパスからでもクイックを積極的に使っていこうという話はしていました。試合前に話していて、相手もそこまで(ブロックを)練習しているチームではなく、組織的なブロックというわけではなく、個人個人で動いている印象なので、そこは駿介(中村、スポ3=大阪・大塚)がよく見てトスを上げていたかなと思います。明治ももちろん試合中にブロックについて話し合うことはあったかと思いますが、例えば5セット通してとかではなく、その時その時の状況に合わせてという感じだったのかなと。
――第2、第3セットと崩された要因はやはりサーブレシーブでしょうか
そうですね、やっぱりサーブレシーブで乱されたのが大きかったです。サービスエースも何本も取られましたし、乱されてこっちが苦しい状況になったのも多かったので。そこは課題でもありますし、練習のなかでは僕らが逆にサーブが良くなれば良い練習にもなると思うので、セットで伸びることができる部分かなと思っています。
――明大にスパイクを決められていたのは、サーブで攻められていなかった部分が大きいのでしょうか
ブロックでクイックにマークをつけていたぶんサイドにはあまりつけていなかった、というのもありますし、サーブでもポイントを取っていた部分もありましたがもう少しスピードを出したサーブを打てていればとも思いますね。今回は身長が比較的低いリベロを狙っていたので、もっとスピードのあるサーブを打てばもう少し崩せたかなと。スピードサーブに関してはボールが今度変わって、インカレではニューボールになって、あまり(角度やコースが)変化しないボールになるので、もっと重視していきたいポイントです。
――明大のレシーブが粘り強い中、武藤選手のクイックはかなり決定率が高かったと思います。ご自身のプレーを振り返って
単純に調子が良いのもありますし、たぶんトレーニングをやっているぶん高さがかなり出てきたかなと思っています。今までよりは僕自身も高いなという感じがあって。元々コース、広角に打つのは得意だったので、高さが出てくるとその分決まりやすくなりますし。並行して上半身もかなりトレーニングを積んでいるので、パワーは確実についてきたかなと思っています。
――2週間空いてからのこの2試合を振り返りと来週に向けての抱負をお願いします
この2週間は個々のレベルアップのための練習を多くしてきたぶん、きょう松井さん(泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)からもお話がありましたがやっぱりまとまりがないなと僕も感じました。劣勢になったときにどんどん劣勢の方向にいってしまって。結局盛り返してはいるのですが、インカレではそういうのが命取りになると思うので、そこは今週、来週の練習ではチームがまとまるための練習を増やしていきます。出ているメンバーはかなり疲労も溜まっていると思いますし、コンディションも整えながらになります。出ていないメンバーも、僕から見たらもっとやってほしいと思うことがあります。そうしないとAB戦をやっても一方的にAチームが勝って終わってしまいますし。Bチームが強くなることでよりAチームも強くなれると思うので、お互いに切磋琢磨しながらやっていきたいです。来週もそういったところを意識して東海戦に臨みたいと思っています。
宮浦健人(スポ3=熊本・鎮西)
――きょうの試合を振り返って
自分たちの持ち味であるブロックとレシーブの関係からの粘りという部分が見られなかったので、そこが課題かなと思った試合でした。
――今挙げられた課題の原因は
相手の打つコースがデータなどで出ていたのにそこに入れなかったり、相手はクイックを多く使ってきて、サイドは速い攻撃をしてくるチームだったのですがその攻撃に対応できなかったり、というところが良くなかったかなと思います。
――普段から「サーブはトスが大事」とおっしゃっていますが、きょうのサーブについて振り返っていただけますか
トスからのちょっとしたブレ、右にずれたり左にずれたりしてしまうちょっとしたボールのブレも結構影響しますね。あとはトスからジャンプまでの一連の動きの中でうまくいけばいいのですが、ジャンプが疎かになってしまうこともあって。そうすると良いサーブが打てないこともあるので、トスも1番大事で、その次のジャンプも大事です。きょうはトスがあまりうまく上がらない場面もあったので、まだまだだなと。
――きょうは途中スピードを抑えたサーブも何本か打たれていましたが、それは軌道修正というかたちだったのでしょうか
いいトスが上がらなくて、そこで思いっきり打ってもミスしてしまうかなと思ったので、逆に相手の嫌な所を突こうと心がけて緩いサーブにしていきました。
――きょうは第3セット中盤からかなりスパイクの決定率が高くなりましたが、その要因は
例えばハイボールでパスがずれたことに対して自分がちょっと早く(助走に)入りすぎてしまっているなと試合の中で感じたので、少しだけゆっくり入るというのを意識しました。
――今週の反省点と来週への意気込みをお願いします
自分の中ではサーブは練習の成果として表れているなと思ったのですが、スパイクやブロックはまだまだ課題が残ったので、そこを次の試合に向けて修正していきたいなと思っています。
村山豪(スポ3=東京・駿台学園)
――きょうの試合を振り返っていただけますか
きょうは10戦目で、終わりに近いということなので、勝ち切るぞという気持ちはありましたが、課題も多く出た試合でした。
―強豪明治大との試合となりましたが、どのような気持ちで試合に臨まれましたか
相手はすごく粘り強いチームなので、そこで自分たちが粘り負けしないようにという気持ちで試合に臨みました。
――きょうの試合に向けて、対策やゲームプランなどはありましたか
相手はクイックが多いので、そこのケアと。サイド陣もトスが早いので、ブロックとレシーブの関係を一番徹底してやりました。
――きょうのご自身のプレーを振り返っていただけますか
きょうは、いいか悪いかと言われるとどっちでもないのですが、もっと自分の出来ることがあったのではないかなと思います。
――ラリー中にクイックを決めるシーンが多く見られましたが、意識していましたか
相手のブロックの状況などを、きょうは上手く使えていたかなと思います。
――(秋季関東大学)リーグ最終戦への意気込みをお願いします
ここで最後勝つか負けるかによって、全カレ(全日本大学選手権大会)に繋がってくると思うので、まずはしっかり最終戦という試合を最後勝ち切って、次の試合に繋げていきたいと思います。
中村駿介(スポ3=大阪・大塚)
―きょうの試合を振り返っていただけますか
きょうの試合は結果的に勝てたのでよかったのですが2、3セット目の雰囲気が悪い中で僕らが4年生に頼ってしまったことで追い上げることができませんでした。なので3年生として4年生を支えるということで声を出したり走り回ったりしないといけないと思いました。
――ラリーが試合中に多くみられた印象でした。トスをあげるときに何か意識していたことはありますか
やはりラリーになったときにドタバタスパイカーもしていたので自分は落ち着いて(トスを多方向に)振るというよりかはスパイカーが打ちやすいようにということを意識していました。
――トスがいつもより速かった印象でした
そんなには速くしたイメージはないですね。松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)からもあったのですが相手のミドルブロッカーを引きつけてクイックを入れるということを意識して入れたら自然と速くなったのかもしれないと思います。
――きょうの試合の中でご自身で課題などは出ましたか
劣勢になったときに落ち着いてサイドアウトを切れなきゃいけないときに切れなかったのでそこは相手のブロッカーを見て勝負しないとやはりインカレになってきたらそういったことで足元をすくわれると思います。なので一点取らなきゃいけないところで自分がトスワークを考えてトスを上げていかないといけないと思いました。
――最後に来週への意気込みをお願いします
こういうかたちで勝てたのでよかったですが課題も出たのでチームワーク、チーム力を個人でつなぎ合わせて東海にぶつかっていけたらいいなと思います。
吉田悠眞(スポ2=京都・洛南)
――きょうの試合を振り返っていただけますか
きょうはサーブ対策をしようとして相手が結構堀江さん(堀江友裕主将、スポ4=和歌山・開智)狙ってきたので、自分は攻撃に専念することができたんですけど、そこで堀江さんが負担が大きかったので、そこをもっと自分がカバーできるようにもっと守備の面で成長していけたらなという風に思いました。
―昨日の中大戦よりもスパイクを決められていた印象ですがいかがですか
そうですね、きょうはセッターの中村さん(スポ3=大阪・大塚)がいいタイミングで持ってきてくれて、相手のブロックがついてないっていう状況を作ってくれたので気持ちよく打つことができて、それをしっかり決められたので良かったと思います。
――ご自身のレセプションの調子はいかがでしたか
そうですね、きょうみたいにジャンプサーブで胸に差し込まれて乱れるっていうのが多かったのでそこをもっと捉えて円滑に上手くいけるようにしていきたいと思います。
――最後に(秋季関東大学)リーグ最終戦への意気込みをお願いします
最後一戦しっかり勝ち切って早稲田は誰が出ても強いっていうことを証明できるように頑張っていきたいと思います。
大塚逹宣選手(スポ1=京都・洛南)
――きょうの試合を振り返ってみていかがでしたか
結果としては勝てましたが、たくさん課題が残る試合でした。
――1番大きな課題というのはどういったものでしたか
監督やスタッフから試合後に言われたのは、チームで戦っている感じがしないということです。個人の力、6人がそれぞれの力で戦ってしまったということがあったと思うし、1ヶ月後に全日本インカレを控えている中でそのような試合をしてしまったっていうのは、もう一度自分で考え直さないといけないですし、そういった意味ではいいきっかけになったのではないかなと思います。
――ソロプレーという点では第4セットで連続サーブを決めていましたが、そこに関してはどうでしたか
あれだけのサーブを連続で打ち続けることができるということが自分の中であまりなくて、気持ちも持っててそれがプレーの中で継続してできたということは良かったかなと思います。できるだけのものがあるっていうことは、普段のものが100だとしたら、それを不意に出さないといけないんですよ。それが最初の、特に取られた第2セットでああいうことになってしまうということはまだまだ自分の体をコントロールできていないということですし、そういった意味では自分のプレーを安定して出せるように試合への入り方準備をもう一度考えないといけないと感じました。
――明治のレシーブがうまかったと思うのですが、スパイクを打つときに気をつけていたことはありますか
明治のリベロが、自分がクロスを打つ方向にいつもいて、最初はストレートで勝負しようと思っていたんですけど、やっぱり途中から相手もそれはわかって締めてきたのでクロス打ったら拾われて、という展開が続いたので、そこでの決め方で強打だけではなくて軟打、というかプッシュやフェイントでも良かったと思うのですが、それををしようとする余裕もなかったのが現状だったので、余裕を持って一番正しい状況判断をしないといけないと思いました。
――2週間空いて、今日2日目の試合でしたが、時間が空いての試合というのはいかがでしたか
2週間開いた中で、1週目は調整の週にして、2週目を気合いを入れ直して強化に使うという、チームの中で2週間をどうやって使うかというのが決まっていたので、その中で2連勝できたのが良かったと思うし、いい2週間の使い方ができたのではないかなと思います。
試合から離れたということもあって最初はあまりうまくいかないことも多かったのですが、それもだんだん噛み合ってきて徐々に試合の感覚を取り戻せたと思うので、今週こうやって勝利できたのが良かったかなと思います。来週の最終戦に向けていい形でつなぐことができたと思います。
――その来週の最終戦に向けて意気込みをお願いします
結果としては優勝というのは決まってしまっているんですけど、来週の試合をを秋リーグの最終試合ではなく、1ヶ月後の全日本インカレのために自分たちを強化する試合だと思って、そういう気持ちでどんどん自分たちらしく、また、同じ気持ちで相手もぶつかってくると思うので、それを跳ね返すつもりで自分たちがプレーしていきたいと思います。