ＤＦ浦部＆ＭＦ築地ヘディング弾で快勝！　盤石試合運びでインカレ好発進

　ついに第31回全国大学女子サッカー選手権（インカレ）がやってきた。シードにより２回戦からの参戦になった早稲田大学ア式蹴球部女子（ア女）。中国第２代表、周南公立大学を初戦の相手に迎えると、序盤から優位に試合を進める。６分、ＤＦ浦部美月（スポ３＝スフィーダ世田谷ＦＣユース）がＣＫを頭で押し込み先制に成功。27分にもＭＦ築地育（スポ２＝静岡・常葉大橘）が得点を重ねる。後半は積極的に選手交代も行いながら試合をコントロールし、２－０で危なげなく初戦を突破した。28日に行われる3回戦の相手は、日大に決定している。

 

見事なクロスで２点目をアシストしたＭＦ宗形みなみ（スポ１＝マイナビ仙台レディースユース）

 

　第44回全日本女子サッカー選手権大会（皇后杯）、ベスト16に散ったア女。敗戦に落ち込む暇もなく、たった9日のインターバルを挟んで今季最後のコンペティションとなるインカレが幕を開けた。試合のペースを握ったのはア女。６分にＣＫを獲得すると、ＤＦ井上萌（スポ４＝東京・十文字）のインスイングのボールが、キーパー前の際どいエリアにドロップ。ニアサイドに詰めていた浦部がヘディングで押し込み１－０。初戦への不安を吹き飛ばす、貴重な先制点となった。攻撃の手を緩めないア女は27分、宗形が左サイドタッチライン際でボールを受けると、中にコントロール。素早く右足であげたクロスに、走りこんできた築地がファーポスト前で頭で合わせ点差を２点とした。さらに35分、ＦＷ髙橋雛（社４＝兵庫・日ノ本学園）のフリックにＦＷ吉野真央（スポ４＝宮城・聖和学園）が飛び出し、そのままネットを揺らす。さらなる追加点かと思われたが、ギリギリのラインブレイクに笛が鳴り３点目とはならなかった。

 

得点を喜ぶア女イレブン

　完全に試合の流れを掌握したア女は、ハーフタイムにＭＦ白井美羽（スポ２＝ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ）を投入。さらに56分、今季開幕からケガにより公式戦出場がなかったＤＦ後藤若葉（スポ３＝日テレ・メニーナ）が、途中交代で約８カ月ぶりにピッチイン。「８カ月空いたというのが未知すぎて、逆に緊張せずリラックスして入れた」と、前回大会決勝以来となる公式戦出場を振り返った。最終ラインの心強い「砦」の帰還に沸くア女だったが、主導権を握りつつも際どいピンチも迎える。24分にはワンツーパスで中央を突破されるが、ＤＦ夏目歩実（スポ３＝宮城・聖和学園）が素早く体を翻しすんでのところでシュートブロック。夏目は終了間際の44分にも鋭いタックルでチームのピンチを救った。その後は反撃の機会を与えず２－０のままタイムアップ。後半途中からのシステム変更に些少の戸惑いも見せたア女イレブンだったが、前回王者の貫禄を見せ初戦突破を決めた。

 

守備で違いを見せた夏目。今季の稼働率を考えても、その体のキレは瞠目に値する

 

　チャレンジャーとして挑んだ皇后杯の９日後に、前回王者として挑むインカレ初戦を戦うという大きなギャップを乗り越えたア女。後藤史監督（平２１教卒＝宮城・常盤木学園）は「本人たちが一番難しさを感じたと思う。とにかく初戦はしっかり勝ち切ることが最優先事項なのでまずは良かった」と振り返った。シーズンの締めくくり、４年生にとっては最後の大会となるこの舞台。泣いても笑っても、このメンバーで戦う大会はこれで最後だ。「全員良い準備ができるように、自分も声を出して頑張っていきたい」（浦部）。再びあの王冠を目指すべく歩き出したア女の足取りは、決して揺るぐことなく西が丘を目指す。

 

久しぶりの公式戦出場となった後藤。約40分間のプレーでクオリティの高さを存分に示した

（記事　大幡拓登、写真　前田篤宏、大幡拓登）