JR東日本カップ2020 第94回関東大学リーグ戦 第8節 | ||||
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早大 | 3 | 2-0 1-0 |
0 | 順大 |
【得点】 (早大)12’ 小倉 陽太、21’ 梁 賢柱、84’ 丹羽 匠 |
立正大に快勝した前節から中2日。延期となっていた関東大学リーグ(リーグ戦)第8節が行われ、早大は順天堂大と対戦した。試合は12分、CKからMF小倉陽太(スポ1=横浜F Cユース)のヘッドで早大が先制すると、21分にはMF梁賢柱(スポ4=東京朝鮮高)がPKを沈め、2-0で前半を折り返す。後半は攻勢を強める順天堂大の前に守備に回る時間が増えたが、最後まで集中した守備を継続。終了間際には途中出場の丹羽匠(スポ2=ガンバ大阪U18)にも得点が生まれ勝負あり。快勝でリーグ戦3連勝を飾った。
PKで今シーズン5ゴール目をあげた梁
中2日という厳しい状況の中、「しっかりとリカバリーをし、この試合に勝つために最高の準備をしてきた」(MF鍬先裕弥、スポ4=東福岡)という早大。順天堂大の戦前の予想とは異なる4-4-2の布陣に対して前線から強度の高いプレッシャーで対応し、試合の主導権を握る。すると試合開始早々の12分、左サイドを起点とした攻撃からCKを得ると、DF柴田徹(スポ2=湘南ベルマーレU18)の右足から放たれたインスイングのクロスにニアに飛び込んだMF小倉がピンポイントで合わせ幸先よく先制に成功する。さらに20分には相手の右SBにボールが渡った瞬間、プレスの強度を一気に強め相手にプレッシャーを与えると相手GKのミスを誘いFW加藤拓己(スポ3=山梨学院)がPKを獲得。このPKを梁が落ち着いてゴール左隅に流し込み追加点。効率よく得点を重ね、2点リードで前半を折り返した。
後半開始直後は2点ビハインドの順天堂大が攻勢を強め、ボールを保持する時間が続く。しかし「主将を中心にスライドや球際について声を掛け合うことができた」というGK山田晃士(社4=浦和ユース)の振り返りの通り、最終ラインからの組み立てに秀でる相手に対しても臆せず、体を張った守備で得点を許さない。49分にはDF監物拓歩(スポ2=清水エスパルスユース)の縦パスが高い位置でカットされPA内に侵入されるピンチを招いたが、MF田中雄大(スポ3=神奈川・桐光学園)が素早いカバーを見せ相手に得点を与えず。最終ラインだけでなく、チーム全体の守備意識の高さを感じさせた。
貴重なダメ押しゴールを奪った丹羽
その後は連戦の疲労からか判断面、技術面の両面でのミスが見られたが、積極的なベンチワークとチーム全体としての「前向きにボールを入れようという意識」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)で対応。終了間際の84分にはMF植村洋斗(スポ1=神奈川・日大藤沢)が敵陣内でボールを奪うと一気速攻。中央でボールを受けた田中は左サイドを駆け上がってきた丹羽にパスを供給。ボールを受けた丹羽が落ち着いてゴール右隅にシュートを流し込み3点目。疲労がたまる時間帯にも関わらず、相手ゴール前に5人が集まる厚みのある攻撃を見せ、順天堂大の息の根を止めた。
リーグ再開からこの日までの11日間で4試合をこなす過酷な日程の中、3勝1敗という好成績を残している早大。4連戦の初戦(対駒大、●0-1)で浮かび上がった課題を見事に短期間で改善し、その後の3試合では11得点無失点という圧巻の成績を残している。しかし休む間もなく、3日後には専修大との対戦が待っている。15日間で5試合という超過酷日程ではあるが、最終戦を勝利し4連勝で締めくくりたい。
(記事 稲葉侑也 写真 青山隼之介、橋口遼太郎)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 山田 晃士 | 社4 | 浦和レッズユース |
DF | 3 | 柴田 徹 | スポ2 | 湘南ベルマーレU18 |
DF | ◎5 | 杉山 耕二 | スポ4 | 三菱養和S Cユース |
DF | 22 | 監物 拓歩 | スポ2 | 清水エスパルスユース |
DF | 26 | 鈴木 俊也 | 商2 | 東京・早実 |
→HT | 6 | 大西 翔也 | スポ3 | 浦和レッズユース |
MF | 4 | 鍬先 祐弥 | スポ4 | 東福岡 |
MF | 8 | 田中 雄大 | スポ3 | 神奈川・桐光学園 |
MF | 25 | 小倉 陽太 | スポ1 | 横浜FCユース |
→HT | 28 | 丹羽 匠 | スポ2 | ガンバ大阪U18 |
MF | 13 | 杉田 将宏 | スポ3 | 名古屋グランパスU18 |
→81分 | 14 | 植村 洋斗 | スポ1 | 神奈川・日大藤沢 |
MF | 9 | 梁 賢柱 | スポ4 | 東京朝鮮高 |
→36分 | 19 | 倉持 快 | 人3 | 神奈川・桐光学園 |
FW | 10 | 加藤 拓己 | スポ3 | 山梨学院 |
→57分 | 18 | 鈴木 郁也 | 社4 | F C東京U18 |
◎=キャプテン 監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実) |
関東大学リーグ戦1部 順位表 | ||||||||||
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順位 | 大学名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 | |
1 | 明大 | 31 | 13 | 10 | 1 | 2 | 29 | 12 | 15 | |
2 | 早大 | 27 | 12 | 9 | 0 | 3 | 34 | 8 | 26 | |
3 | 駒大 | 20 | 12 | 6 | 2 | 4 | 26 | 22 | 4 | |
4 | 国士舘大 | 20 | 13 | 6 | 2 | 5 | 20 | 18 | 3 | |
5 | 桐蔭横浜大 | 20 | 12 | 6 | 2 | 4 | 18 | 16 | 2 | |
6 | 順大 | 20 | 12 | 6 | 2 | 4 | 18 | 18 | 0 | |
7 | 法大 | 17 | 13 | 4 | 5 | 4 | 21 | 19 | 2 | |
8 | 慶大 | 15 | 13 | 4 | 3 | 6 | 14 | 20 | −6 | |
9 | 立正大 | 13 | 9 | 4 | 1 | 4 | 13 | 12 | 1 | |
10 | 筑波大 | 11 | 11 | 3 | 2 | 6 | 14 | 24 | −10 | |
11 | 中大 | 6 | 12 | 1 | 3 | 8 | 10 | 27 | −17 | |
12 | 専大 | 4 | 12 | 1 | 1 | 10 | 13 | 34 | −21 | |
※第13節終了時点 |
コメント
外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)
――駒大戦以降、得点にこだわるというテーマを持って試合に臨んでいました。今節の順大戦にはどんなことを意識して試合に入りましたか
個人的に順大は鬼門というかすごく力があるというか。学校的にも医学部があったり、スポーツを研究したり追求したりという部分がサッカーにも落とし込まれている印象でした。ある意味淡々とというか、しっかりとポジションをとって、能力の高い選手たちが揃っていて。熱いチーム、というわけではないですか非常にしたたかというようなチームだと思っていました。我々が単純にゴールを攻めるという事だけでは解決しないと考えていました。まず1つは順大のそういった部分をしっかりとリスペクトして、相手を知るということ。仁という言葉があるように、順大はこうして成り立っているというところから、こういう背景でこういう取り組みをしてこれだけの歴史と伝統を作り上げているというところをしっかりとみんなで共有をしました。その上で我々はどこで上回れるのかというところを確認しました。数字上も前回前々回とゴールを取れていますが、その理由は接点の部分、球際やセカンドボールの部分の勝率が駒大戦よりもかなり上がっていました。そこが一つの基盤でした。そこに加えて自分たちの熱量、思いの部分をしっかりと発揮する。そして我々が昨年逆転負けをして、この間慶大も逆転負けをしているように、順大は逆転勝ちを収めていることも多いので、隙がなくというところ。90分最後までやるというところを最後まで絶やさないというところが今日の試合への入り方でした。
――前節西堂(久俊、スポ2=千葉・市立船橋)選手が活躍した中で今節はベンチ外でした。コンディションの問題ですか
彼も怪我明けで戻ってきて初めてのゲームでした。少し疲労もあるでしょうし、チーム全体として順大を相手にどれだけ我々の個々の特性を出せるかということを検討した中で彼は今節はメンバー外でした。彼自身とも話をしながらメンバーを組みました。
――スカウティングでは順大は4ー1ー4ー1のワンボランチで来るということや、背番号3番の三國スティビアエブス(順大)が途中から入ってくることがスカウティングできていたのではと思います。しかしツーボランチで相手は臨んできて、試合中にはワンボランチへの変更もありました。
4ー1ー4ー1で来るのではと思っていました。しかしツーボランチにしていました。早大はボールを握れるチームなので、順大も人数をかけてボールを握りにきたのではと思います。我々としてはどれだけ前からプレッシャーをかけて行けるかというのが大事で、前半から出すことができました。そしてセットプレーから先制点を取ることができたので、狙い通りというかしっかりと相手に勢いを示すことができたのではと思います。また三國スティビアエブス選手が早めに入ってきましたが、そこもゲームプランにありました。あまりこちらとしては慌てることはありませんでした。
――ここ3試合無失点が続いています。
山田や杉山を中心に、ゲーム自体をコントロールしています。また今日の試合中には、前の選手にボールが収まらず僕が叱咤したときに山田が、俺のキックが悪かったと声をかけているシーンもありました。すごく周りが見えているというか、冷静に周りを分析しているように思います。そしてなりよりも自分事化できる。アイツが言われているからアイツが直せばいいんだ、ということではなく、そこに関わった選手からそういった言葉が出てきたこと。そこは本当に素晴らしいと感じました。我々のビジョンである究極の当事者意識を持つということを4年生が中心となって体現してくれているなと思います。今日は前半で怪我をしてしまう選手がいましたが、彼の思いも背負ってみんなでやろうという言葉がハーフタイムにありました。そういった繋がりや反応みたいなものは格段に上がってきているという手応えがあります。</p
――後半攻撃で圧力を掛けられなくなってしまう時間がありました。原因はどこにあったと分析しますか
なにより順大のそもそものポゼッションの力や個々の能力の高さが大きな要因だと思います。ただ我々も交代選手をできるだけ早く投入しました。技術や判断という部分で相手にボールを渡してしまう場面もありましたが、ただみんなが前向きにボールを入れようという意識が非常にありました。そういったところは非常によかったのかなと思います。
――負傷交代もありましたが、選手の疲労感の高まりはありますか
それは今日に限ったことではないです。ただみんなたくましく戦っていると思いますし、監物や大西など出たり出なかったりという状況でもフィット感があるなと感じています。
――ここ1週間、Jリーグではファンが悲しむような出来事もありました。サッカーを通じて選手たちをどのように人として大きく、たくましくしていくのかという外池監督のビジョンを改めて聞かせていただきたいです
今日、まさに試合前のミーティングでその話をしました。我々はJリーグではないですが、一サッカー人として、また早稲田大学ア式蹴球部という組織の一員として、凄く今そこが問われていると思います。当然個々人の一つの行動ということもありますが、もう一つはやはり情報共有であったり、そのタイミングといったところも課題としてあるのではないかと感じました。例えば我々は一度コロナウィルス感染症の影響でリーグ戦を延期せざるを得ない状況となりました。当然みんな試合はやりたいです。ただ色々な状況であったり環境を受け入れて、連盟を含めて共有をしながらジャッジを仰ぎました。自分たちができる情報発信、情報共有をしっかりとやると。それはずっとこのシーズン始まってから徹底していました。僕がア式蹴球部に来てから、より情報発信が活発化しています。情報発信は自分たちの価値を生みますが、当然リスクを生むものでもあります。それゆえに情報管理の大切さをとらえる必要があります。しっかりとその両面をとらえてこそ、価値にすることができます。これからの時代、情報を遮断して生きていくような世界ではないですし、特にサッカーは世の中に認めてもらっているからこそこういった環境があるわけです。だからこそしっかりと勇気をもって、良いことだけを伝えるのではなく、勝ったことだけを伝えるのではなく、正しくとらえられるような発信をする必要があります。自分たちがやっていることを多くの人たちに届け、巻き込めるような、そういうパワーを持っているスポーツをやらせてもらっている価値はそこにあると思います。そこを改めてみんなと共有しました。それはJクラブだから、大学リーグだからということは関係なく、十分そこをとらえて生きていかなければならない、社会の一員であるという事に改めて向き合っていこう、という話をしました。
――中3日で次の試合が訪れます。意気込みを聞かせてください
今日こうやって勝ち点3を東伏見に持ち帰ることができました。この3日間のインターバルを使って、新たなパワーを掘り起こして、またチーム一丸となって勝ち点3を積み上げられるように取り組んでいきたいと思います。
鍬先祐弥(スポ4=東福岡)
――中2日でしたがどんな準備をしてきましたか
しっかりリカバリーすることを全員で意識して、コンディションにばらつきなどあったのですが、この試合に勝つために最高の準備をしてきました。
――順大に対して警戒していたことや、意識していたことはありますか
後ろからボールを握って組み立てることに長けているチームなので、そこを逆にとって自分たちは前から圧をかけてショートカウンターするという狙いはありました。
――早い時間帯に先制点を奪うことができましたが、そのときのチームの雰囲気はいかがでしたか
ここ最近、点数も入れることが出来ていて、しかも早めの時間帯で得点出来ていたので、もっと点を取りに行こうという前向きな姿勢がチーム全体として出ていたかなと思います。
――後半は、相手にボールを保持される場面が多くなりましたが、どのような意識でプレーしていましたか
2点リードしている状況だったので自分たちが優位に試合を進めていたことに変わりはなかったですが、順大もそこをひっくり返す力はあるので、そこはリスペクトしつつ持たせるところは持たせて、隙あればショートカウンターという感じで臨んでいました。
――中3日で次戦ですが、意気込みをお願いします
連戦最後ということでやるからには勝ちたいですし、連戦続いてきて、きょう負傷者が出てしまった点は残念ですが、怪我には最大限注意してみんなで勝てるように最高の準備をして臨みたいと思います。
山田晃士(社4=浦和レッズユース)
――中2日での試合でしたがどのような準備をして臨みましたか
まずは、回復を第一としてそれがチームとして出来るように、また個々人が回復の中で、それだけでなくて積み上げられることがあると思うので、そこに向き合いながら過ごしていました。
――攻撃のビルドアップの面で意識していたことはありますか
1つは、ノッキングをしないことと、もう1つは失点に絡むようなミスをしないことを意識していました。
――後半、リードしていながらも相手がボールを保持する場面が多くなっていたと思いますが、ピッチ内では、どのような雰囲気を感じていましたか
主将の杉山を中心に、スライドであったり、球際であったり、ハードワークを重視する声を掛け合いながら、もちろん戦術的なものもそうですけど、いいプレーに対しては全員でいい反応をしますし、足りてない部分に関しても声がけをしていたので、そのような面でつながりはあったと思います。
――きょうもビッグセーブがありましたが、ゴールを守ることに関して意識していることはありますか
確実なことを確実に出来ればなと思ってやっています。また、ディフェンスがかなり体を張ってくれていて自分のところに来るときには大体主導権がキーパーにある状態なのでその中で出来ることは最大限にやるということを意識してやっています。
――3戦連続の完封となりましたが、いかがですか
まず、0というスコアを東伏見にいる仲間や応援してくださる方々に届けられることが非常に嬉しく思います。0というスコアは、私たちがミッションとして掲げている明日への活力になる、の中の1つになっているのでそこは継続していきたいです。また、ディフェンス陣が体を張って守っていることに感謝を感じています。
――中3日で次の試合です。意気込みをお願いします
まずは、リカバリーをして、次の舞台で最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするのが1つです。また、もちろん相手は違いますが同じ試合は1つもないと思いますし、現状維持だけでは成長がないので、何かもう1つ積み上げることが出来たなというものを表現できるようにチーム全員でふるまっていければなと思います。