逆転勝利でアミノ杯初戦突破!

ア式蹴球男子
アミノバイタルカップ2020 第9回関東大学トーナメント大会 兼 全国大会予選
早大 2-1
0-0
城西大
【得点】
(早大)34’鍬先 祐弥、45+2’梁 賢柱
(城西大)7’大塚 尚明

総理大臣杯全国大学トーナメント(総理大臣杯)への切符をかけた戦い、アミノバイタルカップ(アミノ杯)が開幕した。トーナメント方式のため、負ければ大学日本一への道が閉ざされてしまう一戦必勝の大会だ。初戦の相手は埼玉県大学リーグに所属する城西大。開始早々にセットプレーから先制点を献上してしまうが、MF鍬先祐弥(スポ4=東福岡)のゴールで同点に追いつく。さらにはPKをMF梁賢柱(スポ4=東京朝鮮)が確実に沈め、逆転勝利で2回戦へとコマを進めた。

キャプテンマークを巻いてのプレーとなった阿部

先週末に行われた関東大学リーグ戦の早慶戦(●0−1)では、終始試合を支配しながらゴールネットを揺らせず。FKでの一発に泣くこととなった。「ゴールをこじ開ける」(梁)という強い意識のもと臨んだこの一戦。慶大同様に5−4−1のシステムを採用し、自陣で守備ブロックを形成する城西大の守備を崩し切れるかがテーマの試合となった。開始早々に試合は動いた。7分、ゴール正面でFKを与えてしまうと、早大のクリアしきれなかったボールは城西大選手の元へ。ヘディングシュートが山なりの軌道を描きながらゴールに吸い込まれ先制点を与えてしまう。

「難しいゲームになることは試合前からわかっていた。すぐに切り替えて積極的に攻撃を仕掛けようと考えていた」(DF阿部隼人、社4=横浜F・マリノスユース)。先制点を奪いさらに守備に重きを置く城西大に対し、セカンドボールをことごとくMF小倉陽太(スポ1=横浜F Cユース)が回収。ロングボールもDF工藤泰平(スポ4=神奈川・日大藤沢)、監物拓歩(スポ2=清水エスパルスユース)が跳ね返し続けた。とめどない波状攻撃で守備ブロック打開の糸口を探し続けると34分、工藤のフィードから抜け出した梁がゴール前に鋭いクロスを送り込む。走り込んだMF鍬先祐弥(スポ4=東福岡)が落ち着いて流し込み、ついに得点を奪うことに成功した。

落ち着いてPKを沈めた梁

さらには45+2分、鍬先がPKを獲得すると「鍬先のためにという気持ちでゴールにねじ込んだ」と、梁がこのプレーで負傷した鍬先に捧げる一発。前半のうちに逆転をして試合を折り返す。後半も終始早大ペースで試合は進んだ。両サイドを大きく使って揺さぶりをかけ、最終ラインからは工藤、監物が正確なロングフィードを供給。さらなる得点を狙った。ゴール前まで侵入することは多々あったものの、城西大の懸命な守備を前に追加点を上げることはできず、試合はそのまま終了した。ただ、固い守備を崩しての逆転勝利という大きな手応えを掴んだ一戦となった。

「我々がいい状態になればなるほど、相手が引いて守ってカウンターという構図は当然想定される」(外池大亮監督、平9社卒=東京・早実)。今年のア式は、強い。それゆえに警戒し、この先の対戦チームは慶大や城西大のようにリトリートを用いた、現実的な戦い方で臨んでくることも十分に考えられる。しかし、手をこまねいているわけにはいかない。「あの敗戦(早慶戦)がチームにとって、いろいろなことを気づかせてくれる敗戦だった」(梁)。悔しい敗戦をバネに早大はさらに一段階、成長する局面を迎えている。

(記事、写真 橋口遼太郎)


早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 上川 琢 スポ3 湘南ベルマーレユース
DF 大西 翔也 スポ3 浦和レッズユース
→89分 杉山 耕二 スポ4 三菱養和S Cユース
DF 17 工藤 泰平 スポ4 神奈川・日大藤沢
DF 22 監物 拓歩 スポ2 清水エスパルスユース
DF ◎2 阿部 隼人 社4 横浜F・マリノスユース
MF 33 島崎 元 スポ2 川崎フロンターレU18
→65分 19 倉持 快 人3 神奈川・桐光学園
MF 鍬先 祐弥 スポ4 東福岡
→HT 28 丹羽 匠 スポ2 ガンバ大阪U18
MF 25 小倉 陽太 スポ1 横浜FCユース
MF 田中 雄大 スポ3 神奈川・桐光学園
→54分 14 植村 洋斗 スポ1 神奈川・日大藤沢
MF 梁 賢柱 スポ4 東京朝鮮
FW 10 加藤 拓己 スポ3 山梨学院
→76分 13 杉田 将宏 スポ3 名古屋グランパスU18
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――先週の慶大戦は厳しい敗戦となりました。この1週間どんな準備をしてきましたか

逆に慶大との試合で、ある意味あれだけゲームを支配できたというか、コントロールできた。相手のプレーをさせなかったというゲームは意外と無いものです。そういう意味では慶大を意識したことでできたことがありました。ただ意識しすぎたことで失ってしまったものがあるとしたら、それはゴールです。我々がいい状態になればなるほど、相手が引いて守ってカウンターという手立てで早大に向かってくるという構図は当然想定されてきます。そういう意味では我々はそういうステージまで来たのではないかと考えています。だからこそ今度はそういう状況からどうやってゴールを作り出していくかという点にフォーカスし直す必要があります。そういった1週間を過ごしました。

――梁選手もインタビューで、引いてくる相手にどうやって点を取るかというのが今節のテーマであった、と語っていました。具体的にどんな声がけをしましたか

まずはどういったポジショニングをとり、どういった心構えで臨むかという点です。こうやって攻めれば点が取れる、ではなくて点を取るためには何をするか。考え方のステージ、ステップの踏み方を間違えないようにしようと伝えました。例えば引いてくるから外からクロスを入れよう、となるとそのやり方をするために選手が動き出してしまいます。しかし実際は外からでも中からでも点を取ることが目的です。そういった判断をし続けることで相手が楽になってしまう、守備に慣れてきてしまうこともあります。縦にボールを入れることや厳しいゾーンに入っていくこと、そういう姿勢を見せなければゴールは生まれないという話をしました。チームとしての状態はいい状態というか、しっかりと整理ができて中でここに臨めたのではないかと思います。

――早々に失点をしてしまい、相手がどんどんと自陣に引いてしまう展開になりました。

起こりうるとしたらああいった形(セットプレーから)の失点くらいではないかなと考えていました。こういった展開もあるなと感じましたが想定はできていました。例えば上川がスタメンになり、島崎や小倉もスタメンに起用しました。そういった中で、彼らの中でそれがひとつの経験になると考えれば、難しい状況になったからこそ生まれたものもあったと思います。そういった中で鍬先などが厳しいゾーンに侵入していったことでPKを得たり、実際鍬先は自分自身でゴールを奪いました。そして彼のプレーしたゾーンはペナルティエリアの中でした。チームとして点を取るためにはそういったエリアに入っていくということが必要と話した中で、この結果は一つの成果だと考えています。その面は評価をしています。

――所属するリーグで考えれば格下ともいえる相手でした。難しさもありましたか

どうしてもうけて立ってしまいますし、相手としては失うものなく向かってきます。試合の構図がああいったものになってしまい、ゲームコントロールしづらい部分もあって、いつものリーグ戦と違い難しさもあります。ただこれも当然大会のレギュリエーションですし、そこをどう勝ち上がって行くか、引き分けがない中でどう勝ち上がっていくかというのが重要でした。我々の中ではしっかりスイッチを切り替えてやらなければならないなと感じていました。

――結果的に逆転勝利を収めました。評価を教えてください

得点こそが大事と考えていました。ビハインドになったことによってに点を奪わなければならない状態になったことは、僕はよかったのではないかと考えていて、チームとしても2点を取ることができた、ということも我々が慶大との試合の中で獲得できなかったものを獲得できたというひとつの結果であったと思います。やはりそういった状況を作れれば、選手がゲームを正常化させる力はあったと考えていました。追加点は欲しかったですが、落ち着いてゲームを進められていたと思うので、この手応えを持ってさらにステージを上げられるような試合にしたいと考えています。

――中1日で次の試合がきます。起用やマネジメントの部分を教えてください

試合の中で少し怪我をしてしまった選手がどうなるかという点もあります。疲労もあると思います。ただ、その点は相手も一緒なのでここに来ているメンバーでしっかりと整えてやれればなと思っています。

――今日は島崎選手がスタメン起用となりました。期待したプレーはどんなプレーですか

彼は数ヶ月前にトレーニングマッチでショッキングな怪我をしてしまいました。すごく選手としてそういった怪我をしてしまうのは難しい面もあったかと思います。ただそこを乗り越えて、先週のトレーニングマッチではチームとして着実に積み上がっている中で個人としても非常にいいものを示していました。チームとしてもそういった選手、そういった取り組みができている選手には、ある程度の水準に達しているのであればチャンスを与えたいなと考えています。それによる周りの効果もあるということも含めて起用しました。彼は本来サイドバックの選手ではありますが、十分やれるかなと考えていました。練習試合でもサイドハーフで起用したところ非常に前向きに取り組んでいました。そういう姿勢こそが我々にとっては大事だと考えていて、与えられたものだけではなく常に変化であったり状況に合わせて対応する力であったり。そういうものが常に色々なものを繋ぎ合わせてくれると思います。彼が今日試合に出て、勝利した試合の中にいたというのは意味があったと考えています。

――杉田選手も怪我があった中で今日の試合に出場しました。

天皇杯予選、中大との試合で途中から出てきて決定期を逃してしまうこともあり、彼もショッキングな出来事がありました(笑)。そう考えると島崎もそうでしたが、すごく明るさを取り戻して、すごくトレーニングでもいいものを見せていました。やはり人がうまくいかない時であったり、難しい状況から回復したり。そこから飛躍しようと取り組む姿勢はとても大事だと考えています。そしてそれをチームとして共有しながら、組織として成長をしていきます。個人の成長をいかにみんなが掛け合わせられるか、そういったチームにしていきたいと考えています。杉田も勢い余ってというプレーがありましたが、そういう部分が出るのもよかったと思いますし、十分に期待ができるプレーを見せていました。彼もピッチに戻ってきた、公式戦のピッチに立ったという点は非常に意味があることでした。そういう右肩上がりのチームとしてのベクトルをチームとしてしっかりと捉えながら次のゲームも取り組みたいです。

――今日はスーツではなくジャージでの指揮になりました。その心境を教えてください

「今日なんでジャージなんですか。手を抜いているんですか(笑)」と学生たちにも言われました。いい意味で意識しているというか、学生たちにもそこの変化がつたわっていましたし、自分自分としてもこの大会は違う大会と捉えていますし。そういった空気感や変化を自分も気付きたいし、人の変化にも気付きたいし、僕は当然それに気付くべきポジションですし。学生たちにもそついったものには気付いてもらいたいし。やはりそうやって選択肢が生まれることで、違うものを見ることで、それこそスーツの何がよかったのかなということもそうですし。常にスーツを着ていればこの人はそういう人だ、ということで終わってしまいますが、違うものを見るとやはりスーツの方がよかったよねという考えも生まれます。常にそういった部分に問いうというか、問題提起のようなものをしていきたいと思っています。もちろん自分なりのルールというか、自分なりの基準を決めてやっていましたが。ただこの大会はそれで行こうと考えていますし、リーグ戦はもとに戻るかと思います。ただこの大会で優勝してしまうともう戻せなくなってしまうかもしれません(笑)。基本的にはそういった考え方でやっていました。

MF梁賢柱(スポ4=東京朝鮮)

――先週の早慶戦は手痛い敗戦となりました。1週間どんな準備をしてきましたか

あの敗戦がチームにとって、いろいろなことを気づかせてくれる敗戦だったのではないか、とチームの中では話していました。今回アミノ杯、前節の慶大のようにリトリートして守備を固めて一本のチャンスを仕留めに来ると考えていたので、今週はゴールをこじ開けるというのを意識して取り組みました。

――早い時間帯に先制点を奪われてしまいました。このゲーム展開はチームとしてはいかがでしたか

少し失点して焦りはありました。しかし、いつもと変わらず自分が点を取ってやるという思いでした。また今日のテーマである得点を奪う、という点では得点を奪うだけではなく、得点をさせる、そういった雰囲気をつくるということを大切にしていこうと考えていました。失点は想定外でしたが逆転できてよかったです。

――先制点を奪い、さらに守備的になる相手に対し逆転をすることができたのはチームとして好材料でしたか

はい。

――今日は2部のチームとの対戦、ランクだけで見るならば格下チームとの対戦でした。難しさはありましたか。

いいチームだなと思いました。少し慶大に近い、引いてワンチャンスをモノにするという部分がありました。かなり難しかったですが、勝ててよかったです。

――鍬先選手のゴールのアシストの場面を振り返ってください

やはり前節、また今節も自分のストロングであるドリブルを警戒されていました。前節は何もできませんでした。今週のこの一戦のために、自分の武器であるドリブルを残しておく、使わずに相手の背後を狙うということを意識していました。結果的にあのようなクロスにつながり、鍬先選手がよく決めてくれたなと感じています。感謝しています。

――ご自身もPKを落ち着いて沈めました。あの場面を振り返ってください

鍬先選手がああやって体を張ってくれて、PKを取ってくれました。鍬先のためにという気持ちでゴールにねじ込みました。

――中1日で次の試合がやってきます。チームとしてどんな準備をしますか

中1日ということで準備もなかなか出来ないだろうと考えています。できることを最大限やって、リカバリーという体の部分や、メンタルの部分をしっかりとケアして、加えて今日出た課題の部分を修正して次の試合に臨みたいと思います。

DF阿部隼人(社4=横浜F・マリノスユース)

――今日はキャプテンマークを巻いてのプレーでした

普段と変わらずにプレーできたと思っています。ただ、早稲田大学のキャプテンマークを巻くというのはすごく大事なことですし、自分がチームを勝たせるという思いは今まで以上に強かったです。

――いつも以上にピッチに声が響いていたように感じます。キャプテンマークを巻いたことによるものもありましたか

それもひとつでした。加えて慶大との試合の際にノーゴールで終わってしまい負けてしまったので、自分がもっと味方を動かして得点につなげるというところを意識していました。その分声が出ていたのかなと感じます。

――早い時間帯からビハインドの状況となりました

難しいゲームになることは試合前からわかっていました。失点してしまった際には落ち込む選手もいましたが、すぐに切り替えて、自分たちは得点力があるチームだと思っているので、積極的に攻撃を仕掛けていこうと考えていました。

――いわば格下チームとの対戦になりました。難しさはありましたか

相手の特徴や強みがわからない分の難しさはありました。

――かなり厳しくくる場面もあったかと思います

厳しいプレッシャーはありましたが、それでも関東1部の選手たちのプレッシャーを日々受けているので、やれるという手ごたえがありました。プレッシャー回避というところをうまくできたのではないかと思っています。

――結果的に逆転勝利を収めました。

勝というところが今シーズンは重要です。自分たちは日本一を目指しているので、こういう試合も難しい試合ではありましたが勝ててよかったと思っています。

――次の試合が中1日でやってきます、チームとしてどんな準備をしていきますか

気を張らずに、しっかりとチーム一丸となって勝利を目指したいです。