重くのしかかった失点。ゴール奪えずリーグ戦3連敗

ア式蹴球男子
JR東日本カップ2019 第93回関東大学リーグ戦 第20節
早大 0-1
0-0
法大
【得点】
(法大)27’竹本大輝

 前節終了時点で降格圏に沈む流通経大との勝ち点差は1。是が非でも勝ち点が欲しい早大は関東大学リーグ戦(リーグ戦)第19節、目下リーグ戦2連敗中と調子を落とす法大と対戦した。序盤から一進一退の攻防が続いた中、27分に中盤でのボールロストから失点。1点のビハインドを背負ったことでゴールへの勢いを増した早大であったが、チャンスこそつくりながらも得点が奪えない。そのまま時計の針は進み0−1で手痛い敗戦を喫した。

サイドからの攻撃でチャンスを量産した倉持

 早大は前節からスターティングメンバーを4人変更。2戦連続ゴール中のFW梁賢柱(スポ3=東京朝鮮)や攻撃的なMF山下雄大(スポ1=千葉・柏レイソルU18)らを起用し「攻撃面で相手を上回る」(蓮川雄大チームマネジャー、スポ4=FC東京U18)ことを狙った。開始早々に梁の大きなサイドチェンジからチャンスが生まれると、10分にはFW加藤拓己(スポ2=山梨学院)の体の強さを生かしたポストプレーから梁に決定機。このシュートはミートできず法大GKに阻まれるも、新たにスタメン起用された選手が躍動を見せる。一方守備では加藤とMF栗島健太(社4=千葉・流通経大柏)で法大最終ラインからのパスコースを限定。法大両サイドバックにパスが入るや否や対面するMF倉持快(人2=神奈川・桐光学園)、梁が猛然とプレッシングを行うことで自由なビルドアップを許さない。しかし24分のゴール前の混戦から梁、栗島、最後は山下がシュートを放ったシーンに代表されるように、ゴール前まで迫るもののなかなか得点が奪えず。すると26分、攻撃に転じようとした矢先、中盤でボールロストし数的不利な状況に。人数のかかったカウンターに対し早大DF陣も必死の対応を見せるも、切れ味鋭いMF竹本大輝(3年)のドリブルに独走を許しそのままゴールへ流し込まれた。先制点を許した早大は攻勢を強める。31分にDF鍬先祐弥(スポ3=東福岡)、加藤、栗島の流れるようなパスワークからゴールに迫ると、42分には山下のくさびのパスを栗島が落とし、再び山下が受けシュートを放つも法大ディフェンスを打ち破ることができない。

コートを広く見てボールを供給する山下

 1点ビハインドで迎えた後半、山下の狙い澄ましたロングパスなども交えながら得点を狙うが、決定的な場面を演出することができない。時計の針が進むにつれ、焦りからか強引な突破を図りボールを失う場面も増えた。ただ局面ではDF工藤泰平(スポ3=神奈川・日大藤沢)、DF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)が質の高いカバーリングを見せ、法大もゴール前での精度を欠いたことで追加点は与えない。64分にFW杉田政宏(スポ2=名古屋グランパスU18)、70分にはMF西堂久俊(スポ1=千葉・市立船橋)を投入し前線への圧力を強めた早大に訪れたビックチャンスは73分。縦パスを受けた杉田がフリックでディフェンスラインの裏へボールを送り込むと、いち早く加藤が反応しGKと1対1となる。しかしタイミングよく飛び出したGK山岸健太(4年)を前に、放ったシュートは無情にもゴール右へ逸れてしまう。同点ゴールは生まれることがないままに試合終了のホイッスルが吹かれた。

 「結果がすべて」と試合後大桃は口にした。ここまで長らくシーズンを戦ってきた中で、『内容はよかった』ものの勝ち点を取りこぼす試合を幾度となく繰り返してしまったのが現実である。もはや、『内容はよかった』といってはいられない。是が非でも勝ち点という結果を残さなければならない時期が来ているはずだ。『歴史的残留』と『2部降格』のはざまにある早大だが、今節流通経大も敗れたことで、まだ自力での1部残留を決めることができる状況。「やってきたことは間違っていないと思う」という大桃主将の言葉は「過程が合っているかは結果でしか証明できない」という蓮川チームマネジャーの言葉とつながるだろう。結果が伴わないまま終わるわけにはいかない。『歴史的残留』を果たすために残り2試合、早大はプライドをかけて戦う。

スターティングイレブン

 

(記事 橋口遼太郎 写真 大山遼佳、森迫雄介)


早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 31 上川 琢 スポ2 湘南ベルマーレユース
DF 鍬先 祐弥 スポ3 東福岡
DF ◎3 大桃 海斗 スポ4 新潟・帝京長岡
DF 17 工藤 泰平 スポ3 神奈川・日大藤沢
DF 牧野 潤 スポ4 JFAアカデミー福島
MF 27 山下 雄大 スポ1 柏レイソルU18
MF 10 金田 拓海 社4 ヴィッセル神戸U18
MF 25 倉持 快 人2 神奈川・桐光学園
→71分 18 西堂 久俊 スポ1 千葉・市船橋
MF 栗島 健太 スポ4 千葉・流通経大柏
→65分 杉田 将宏 スポ2 名古屋グランパスU18
MF 35 梁賢柱 スポ3 東京朝鮮
→82分 11 神山 皓亮 商4 栃木・真岡
FW 加藤 拓巳 スポ2 山梨学院
◎=キャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
明大 55 20 18 46 11 +35
桐蔭横浜大 40 20 12 34 20 +14
立正大 33 20 10 38 22 +16
法大 32 20 28 19 +9
筑波大 30 20 30 24 +6
中大 30 20 26 27 -1
順天堂大 28 20 22 26 -4
専大 23 20

11 36 50 -14
駒大 21 20 11 17 37 -20
10 早大 18 20 12 22 36 -14
11 流通経大 17 20 13 20 34 -14
12 東洋大 15 20 13 17 30 -13
※第20節終了時点
コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――きょうの試合の位置付けを教えてください

位置付けは目の前の一試合一試合に対して勝ち点3を含めて自力で自分たちがまだ残留できるということで、目の前の試合の勝利を目指すということでした。

――結果はいかがでしたか

本当に我々が狙いとしているゲームをつくる、守備ベースというのはできていました。自分たちが攻めて得点のチャンス常にを伺えるような状況に勇気をもってやっていくことに関しては中央のときよりも示せていた思うし、ゲームプランとしては非常によくできていたとは思います。

――山下選手などメンバー変更がありました

彼の前線やサイドへのボールの供給というのは一つ我々にとってのテンポだったりスイッチになるところを期待して試合に送って、彼もその意思を持ってプレーしていたと思います。

――試合内容はいかがでしたか

こういうふうにして攻略しよう、こういうふうにして自分たちの姿勢を示そう、表現しようということはよくできていたと思うし、それに関しては良い評価をしています。

――結果にこだわりたいと仰っていましたが

結果にこだわってこそのパフォーマンスだったと思うんですけど、ただこのちょっとしたところで綻びをつかれてしまったというのと、一つのチャンスを決め切るというところですね。チャンスは作れているし、ピンチも防げていましたけどそこのところはやり切れていないというところは向き合っていかないといけないなと思います。

――チームとして厳しい状況です

僕は落ちている実感はないですけど、ただ事実上勝てていないのでね。法政さんに引けを取らない試合をしてくれたとは思いますし、前期の試合に比べれば良くはなってきていると思います。正念場というか、まさに背水の陣だとは思いますけど、それも含めてやることは毎試合変わらないです。状況が変わってくる中でそれを捉えて戦っていきたいです。チームとして示せる姿をしっかり見せていきます。

――次節は単独首位の明大です

勝ち点云々と言うよりも、目の前の試合に勝つということを意識していきたいです。まだまだ我々にもチャンスはありますし、まだ2試合も残ってあるのでそこにしっかり向き合っていけるように環境をもう一度つくっていきたいと思います。

DF大桃海斗主将(スポ4=新潟・帝京長岡)

――この一戦はどのような位置付けでしたか

残り3試合という中で流通経大が勝ち点1差で迫っているので、相手どうこうではなく自分たちが勝ち点を積み上げられるかが非常に大事な試合でした。結果的に勝ち点を取れなかったのは非常に…。言葉にするのが難しいですね、悔しいと言うのも違いますし。とにかく勝ち点が欲しい試合でした。

――90分間の中で見れば、早稲田ペースで進められた時間が長い試合でした

前半から自分たちのかたちとしてサイドから良いかたちは生まれていたと思います。けれど1つのミスで失点してしまうとか、決定機を決めきれないのは今シーズン始まってからの課題として挙がっているのに改善できていなくて、1つのミスで失点してしまう弱さ、脆さが出てしまい、チャンスを決め切れない勝負弱さが出てしまいました。内容が良ければいいなんて話では全くないと思いますし、結果がすべてなので。きょうに向けてやってきたことは間違っていないとは思うので、その積み重ねをやらなければいけないと思います。

――内容と結果が伴わない試合が続いています。原因は何だと思いますか

チームの約束事は実行できているとは思いますが、結局得点を奪う場面でもゴールを守る場面でも、個人で結果を残せる選手がまだまだいないというのが現状です。そこの責任感のは一人ひとりが感じないといけないし、キャプテンである自分がああいうミスを守り切れないというのは課題だと思うので…。一人ひとりそういった思いは持っていますし、向き合い続けるしかないです。

――今季も残すところ2試合、次戦は圧倒的な強さで関東を制した明大と戦うことになります

やることは変わらないです。降格という現実が近づいているのは間違いありませんが、そこで変に固くなってネガティブなマインドになって足が動かなくなるよりは、ポジティブに、言葉にするとおかしいですがバカになって、試合に臨むべきだと思います。ただ試合までの過程では、チーム内でお互いに求めることは求め合って、個人がそこに向き合っていくしかないです。そういう空気を自分がつくっていくことと、試合ではやってきたことを自信を持ってできるように取り組んでいかなければいけないと思います。

蓮川雄大チームマネジャー(スポ4=FC東京U18)

――この一戦の位置付けを教えてください

前節の中大戦で負けて(●2-3)流通経大が勝ち点1差まで追い上げてきている状況ですけれど、あまり相手を意識せずに(準備していた)。自分たちが掲げた後期勝ち点15獲得まで、残り3試合で勝ち点7というところだったので負けが許されない試合でした。先制しながら7分間で3失点してしまった前節の反省点や原因を首脳陣とスタッフの方と話し合って、メンバーも多少入れ替えて臨みました。

――スタメン起用された選手のパフォーマンス含め、采配自体は当たっていることが多かったと思います

コンディションが良かったので梁と倉持をスタメンに起用して、サイド攻撃を早稲田の武器として(打ち出していこうと狙っていた)。牧野と鍬先の(両サイドバックの)ところで守備のバランスを取りつつ、山下含めて攻撃面で相手を上回っていこうという狙いがありました。

――前半は良い流れで進められていたにも関わらず、事故のような失点でリードを許しました

あの局面で守り切れないところに勝てない要因があると思いますし、前後半通じてチャンスを得点につなげられないことが下位に沈んでいる一因だと思います。正直何が原因かというのは明確なものは見つかっていないのですけれど、結果を出すためには過程が大事ですし、その過程が合っているかは結果でしか証明できないというもどかしさがあります。けれど今まで積み重ねてきたものをさらに上積みしていくしかないですし、質をさらに高めたトレーニングをしていくしかないかなと思います。

――プロセス自体には自信があると

そうですね、向かっている方向は間違っていないし、ここで疑ってしまうとチームが悪い方向に進んでしまうのではないかと感じているので、今やっていることを、チームを、仲間を信じて戦っていくしかないと思います。

――残すところ2試合、次節は圧倒的な強さを誇る明大戦です

きょうの試合もそうでしたけれど、負けられない戦いが続きますし、相手どうこうではなく、自分たちが勝ち点6を取るために何ができるかというのを、選手スタッフ含めて、チーム全員で考えてやっていくしかないと思います。あとは積み重ねでしかないと思うので、相手が明治であろうと同じ人間なので不可能はないと思いますし、この1週間で最高の準備をしていきます。