【特集】第67回全日本大学選手権大会前 選手コメント集② 4年生編

ア式蹴球男子

 あす15日、全日本大学選手権(インカレ)の2回戦が行われる。関東第1代表として同大会に出場する早大は、2回戦から登場。味の素フィールド西が丘で、北海道第1代表の北海道教大岩見沢と対戦する。そこで今回は、リーグ戦優勝に特に大きく貢献した18選手にインタビュー取材を行い、3年ぶりの優勝を果たした関東大学リーグ戦について振り返っていただくとともに、シーズンの集大成となる大会を控えて抱く思いを語っていただいた。本記事では、4年生の8選手の声を紹介する。
※この取材は12月6日に行われたものです

(取材 守屋郁宏、森迫雄介、石井尚紀、堤春嘉)


FW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)

◆岡田優希(おかだ・ゆうき)

1996年(平8)5月13日生まれ。170センチ、67キロ。神奈川・新城高出身。前所属・川崎フロンターレU18。今季リーグ戦では21試合出場、15得点5アシスト。1部リーグ得点王とベストイレブンを受賞。来期のJ2・FC町田ゼルビア加入が内定。


――そろそろ関東大学リーグ戦優勝の実感も湧いてきた頃だと思いますが、いかがですか

いや、もう実感が湧く前にインカレになっちゃったんで(笑)。まあでも、自分たちの代で1つ実績は出せたのかなと思いますね。もちろんチームもそうですけど、優勝したという1つの名声をつくれたのかなと思います。

――本日が再始動2日目とのことですが、チームの状態はいかがですか

まだまだですね。きのう立ち上げて、きょうはゲバ(※ゲバルト、紅白戦の意)やりましたけど、まだまだなのかなと思います。インカレで日本一を目指せるとか1勝できる、リーグ戦とは全く違う1勝になると思うので、まだそこに対して向かっていくチーム状態ではないですね。だからこそ新たな取り組みもありますし、気持ちを新たに、また一から積み上げてるところですね。

――リーグ戦では優勝しましたが、アミノバイタル杯や総理大臣杯といった、トーナメント戦では悔しい結果に終わりました、そういった面でも色々な考えや思いがあるのですか

トーナメントではどうしても失点数が関係してくると思います。そういうところでいくと、うちの今のリーグ戦の失点数は下から半分くらいで、得点をダントツで取ってる分勝てていますけど、失点数に絶対的に向き合っていかなければいけないのはあると思います。その上で攻撃面では得点数は多かったので、そこから更にコンビネーションを高めるとか、より個人がレベルアップするとか、攻守においてそれぞれ課題があるので、それぞれに向き合えるように取り組んでいます。

――優勝を決めた後、3年生以下で臨んだ試合と4年生のみで臨んだ試合がありましたが、そういったプロセスを経たことで得られたものは何でしょう

新たな変化としてそういった条件の中で戦い抜いたことはポジティブに捉えられると思います。ただ、そこでの状況が、インカレではどうかというのに結びついてこないし、そこで4年が負けたから、3年が勝ったからというのは関係ないのかなとは思います。それもあくまで1つの要素として取り組まなければいけないのかなと。

――春からの自身のプレーを改めて振り返って

前期入る前に考えてたよりも色々な面で成長したかなと。自分が大学4年のシーズンにはこうなるだろうと思っていた姿よりも何倍も成長したのかなと思っています。色んな、ケガだったりチーム状況がありましたけど、その中でもゴールという結果だけを出してきたので、その点に関して色んな取り組みを、自分の得点王として結果で出せたので、そこに関しては全く違う姿に成長したかなと思いますね。

――他大学の有力なストライカーを抑えての得点王受賞です

多分得点王になったのはキャリア初なんですよね。自分が得点王になればチームは優勝すると思っていましたし、得点王になるのが四年間の目標だったので、達成できたのはよかったですね。色んな事を試行錯誤して、挫折から立ち上がってきて、それが1つ結果になったので、良かったです。

――重要な場面での得点が多く、勝負強さが際立っていましたが、そういった部分を自分の中ではどう評価していますか

僕なりのキャプテン像として、それがキャプテンだと思ってやってきています。歴代とは違うキャプテンだったと思うんですけど、声を出したり、言葉とかで引っ張るというよりも、先頭で態度とか結果で示していくキャプテンであろうと思っていたので、そういう意味で重要な局面でゴールを決められたのは、自分が思っていたキャプテンというものに対して結果を出せたかなと思います。

――1年生の時にインカレでベンチ入りしていたとのことですが、当時の心境はどういったものでしたか

あの時は出る土俵に立ってなかったというか、ピッチに立つのがすごく遠かったですね。ベンチに入るのと出場するのとでは、また1人抜かなきゃいけなかったので。あの時は(ベンチに)入るのでいっぱいいっぱいでした。でも今はその姿から考えると格段に成長したし、違う姿になっているので。

――その成長した姿で再びインカレに臨むことになりました。

だからこそ結果を残したいと思いますし、その姿から自分が実感しているものを、日本一と得点王という成果によって、また1つステージを上がりたいです。

――この大会が同期のみなさんと戦う、大学生活最後の戦いになりますが、何か思うところはありますか

うーん、何でしょうね…。まだわからないですね。最後になって「あぁ、終わるんだな」ってなるんだと思います。まだそこまでしんみりしてる雰囲気もないし、インカレは4年生の活躍なしには勝ち取れないと思うので、まだそれは早いと思いますね。

――リーグ戦でもそうだったように、岡田選手には目標までの道筋を見据えて試合に臨む印象がありますが、インカレに対して描いているビジョンは

それは昨日チームに対しても言ったところで、インカレ王者になる、日本一になるというのは関東大学リーグを制した姿よりも、1つステージを上げなければいけないという話をしました。1つの結果としてリーグ優勝はしましたが、1試合1試合を見ればギリギリの戦いも多かったですし、一歩間違えれば負けていた試合も多かったので、自分たちが優勝したということではなく、そこにあるプロセスに対してしっかり向き合おうという話をしました。だからこそ、一つひとつの練習だったり、練習試合でもそのプロセスを大事にしようと言いました。1試合の前の一日一日を精一杯やるだけかなと思います。

――最後にインカレでの目標をお願いします

目標はもちろん日本一と、僕自身は得点王です。でも多分、そういうのは、リーグ戦でもそうだったように、一つひとつ積み上げていった先にあると思います。チームは日本一を獲るというところから逆算して動いているので、それが結果としてどうなるかすごく楽しみです。


MF高岡大翼副将(社4=広島皆実)

◆高岡大翼(たかおか・だいすけ)

1995年(平7)7月22日生まれ。171センチ、64キロ。広島皆実高出身。今季リーグ戦では5試合出場。


――優勝が決定してから時間が空きましたが、改めてリーグ優勝についてどのように感じていますか

自分たちの代で優勝できたというのはすごくうれしいし、一つ歴史をつくれたことをうれしく思っています。自分たちの代というのは、1年生のときに1部優勝して、2年生で2部に降格してしまって、3年生は2部で優勝してというのがあったんですけど、最近では2部に落ちたりして強い早稲田というものをなかなか見せられていなかったし、全国大会に出ることも少なかったので、今年一年は新体制にもなって、強い早稲田を取り戻そうと、本当にみんなで色々考えてやってきました。それが一つ結果として実を結べたということはすごくうれしかったです。

――こだわって入学した早稲田で最終学年での優勝です。その分喜びも大きかったのでは

そうですね、僕自身が浪人してまでここにこだわって来た理由もありますし、そういう浪人した一年があったからこそ、今年一年自分たちの代で結果を残せたことがすごくうれしかったです。最後、優勝が決まった時は結構劇的な決まり方だったので、なかなか実感が湧かなくて、ピッチ上ではあんまり涙もできないくらいびっくりしたという感情が大きかったんですけど、帰りのバスの中で色々考えてたらちょっと涙も出てきたり(笑)。色んな人から連絡が来たり、早稲田が優勝したという記事を見て、そこでようやく「あぁ優勝したんだな、頑張ってきて良かったな」っていうのはすごく思いました。

――副将を任されたシーズンでした。いかがでしたか

今まで古賀さん(古賀聡前監督、平4教卒=現・名古屋グランパスU18監督)が7年間務められていたそこの土壌があったことと、新体制になって外池さんという今までのやり方とは真逆のようなやり方をする監督が来て、僕自身ワクワクした感じも大きかった反面、今年大丈夫なのかなっていう不安もありました。でも、そこは副将という立場で全体のバランスを取るというのはすごく意識してきて、みんなの顔だったり空気感をしっかり感じ取って、4年生の中でだったり、スタッフに話をしたりだとか、環境が変わった中でも、そういうチームの一体感をつくり出すことができたというのは、僕が意識してきたことでした。そこの部分に関しては一年間良かったかなと思います。

――春からのご自身のプレーやパフォーマンスを振り返っていかがですか

なかなかスタメンで出ることができなくてベンチにずっといたりだとか、最後ちょっと出たりだとか、たまにはスタメンで出ることはできましたけど、プレーの面ではなかなか直接的にチームをけん引して引っ張っていったりということはできませんでした。そこの部分では、やっぱり一サッカー選手としては悔しい部分も持っているので、インカレでは自分が勝負を決めて優勝に導きたいという気持ちはあります。

――出場数こそ大きくは伸びなかったものの、ベンチにいたり途中から出てくる高岡選手の存在がチームにとって大きかったり試合を上手く締めてくれていたのではないでしょうか

そう言っていただけるとうれしいです。周りの人がそういうふうに感じてくれるような選手になるというのは、自分がなかなか(出場)機会がない中でもすごく意識していたことですし、自分がベンチにいる意味とか、なんでメンバーに入っているのかとか、ただ試合に出るだけじゃなくて、ベンチの士気を高めたり、最後の試合を締め切る部分で自分が出ていくことでみんなに安心を与えたりだとか、そういうふうに周りに思ってもらえるようなことは心掛けていました。

――インカレが同期と戦う最後の試合、そして学生生活最後の試合となります。インカレへの思いや意気込み、どのように戦っていこうと考えているか聞かせてください

日本一を獲ったことがないので、まずは優勝したいという率直な思いです。今年関東リーグで優勝しましたけど、自分たちが強い早稲田を本当に取り戻すとなると、やっぱり日本一を獲らないといけないし、関東王者としてそういう姿勢で臨みたいというのはあります。でも、今年みんな言ってますけど、まずは謙虚に、謙虚に一試合一試合戦うというのが自分たちの良さだし、何となくこのままいけるだろとか優勝できるじゃないかとか思ったときはいつも結果が出てないので、一試合一試合相手に向かって謙虚に戦っていって、それが一個一個積み重なって最後決勝で勝てればいいかなと思います。


蓮川雄大チームマネージャー(スポ4=FC東京U18)

◆蓮川雄大(はすかわ・ゆうだい)

1996年(平8)5月12日生まれ。183センチ、73キロ。東京・江北高出身。前所属・FC東京U18。今季は負傷の影響もあり、チームマネージャー職に専念し、リーグ戦の試合出場はなし。


――関東大学リーグ戦優勝から時間が空きましたが、改めて優勝を振り返っていかがですか

今年一年、新チームになってから取り組んできたことであったり、新たな取り組みが一つ成果として表れたので、4年生としてホッとしています。同時にTM(チームマネージャー)としてチームに関わっていて、選手の成長などをよりスタッフに近い立場で感じられたのは貴重な経験ですし、なかなか選手をやっている場合では感じられないことなのかなと思っているので、自分にとって素晴らしい経験になったと感じています。

――このチームが優勝できた要因はどこにあると思いますか

やはり一番はチームとして1試合にどう向かっていくのかというのを明確に(できたこと)、分析であったり選手のモチベーションであったり、そういうところが、目の前の1試合に向けてのエネルギーがすごく大きかったので、それはBチームにいる選手も同じで、全員が次の公式戦、また次の週の公式戦に向かっていくというのが(できていました)。火曜日のミーティングも全員でやりますし、週中のスカウティングミーティングも、可能な時は全員でやりますし、全員が一つの方向に向かってやっていけたというのが、一番大きな要因かなと思います。

――大桃選手にお話を聞いた時に、外池監督が何か変化を加える時に、蓮川選手が選手との間に立ってくれたことが大きかったとおっしゃっていましたが、それについてはどう思われますか

結果が出たので、結果的に自分がやってきたことだったり、ここまで自分が培ってきた経験を選手に伝えたことがプラスに働いたこともあると思います。でも、やはり選手である以上、自分は本来ならば選手としてピッチに立って勝利に貢献しなければいけない立場であったと思うし、それができなかったのはある種自分の実力不足だと思っているので、そこに対して満足感は全くないですね。

――インカレ開幕まで10日を切りました、再始動2日目とのことですが、チーム状態はいかがですか

しっかり4日間オフを挟んでリフレッシュした状態で集まっていますし、選手も総理大臣杯に苦い思いというか、本当にあの結果を繰り返さないというのを全員が感じてると思うので、15日の初戦に向かって、全力で一丸となってやっていけてるのかなと。今週は戦術だったり、チームを初戦に向けてより強固なものにしていく機会があるので、そこに向けて自分も関わっていきたいです。

――やはりチームの中で、アミノバイタル杯や総理大臣杯で結果を出せなかった悔しさはくすぶっていますか

はい、もちろんです。全員が、特に4年生が口に出していますし、そういう経験があったからこそ、インカレにどう向かっていけばいいか(考えています)。自分も総理大臣杯を戦うにあたってスケジュールの管理とかを担っていたのですが、あれじゃ良くなかったのかなとか、どこが悪かったのかなどをしっかり考えて、今回はこういうスケジュールで行きましょうっていうのを外池さんとも相談したので、そこに向けてどう準備していくか、選手へのコンディションも考えてやっていくのかというのを考えるのが大事なのかなと思います。

――同期のみなさんと戦うのは、これが最後になります

長くても2週間と2日程度、初戦で負けてしまえばあと1週間ほどで終わってしまうので。このメンバーとやれるのは最後になりますし、僕は直接試合には関われないですが、同期もそうですし、4年についてきてくれた下級生たちにも最後のTMとしての姿を見てもらいたいです。そこはより厳しく接していくところもありますし、選手に対してもコミュニケーションを取っていきたいと思っているので、自分も最後、22日に同期と笑って優勝というかたちで終われたらなと思っています。まあそれでも目の前の一戦一戦というのが、前回の教訓でもあるので、まずは15日の試合にしっかり向かっていきたいです。


GK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)

◆小島亨介(こじま・りょうすけ)

1997年(平9)1月30日生まれ。183センチ、79キロ。愛知・東海学園高出身。前所属・名古屋グランパスU18。U21日本代表。今季リーグ戦では21試合出場。リーグMVP、1部リーグベストイレブン、特別賞を受賞。来期のJ1・大分トリニータ加入が内定。


――優勝が決定してから時間が空きましたが、改めてリーグ優勝についてどのように感じていますか

今年リーグ戦を終えて、チームに修正力があったなというのは一番感じています。1-6で負けた試合とかもあった中で、次の週へ向けてどう改善していくのかというのが、個人としてもチームとしても、次の週のトレーニングから修正しようというみんなの共通意識と強い意志がありました。本当に次の週の試合は修正できたという局面が多くありましたし、その中で結果も付いてきたので、本当に今年のチームは修正力があったなと思いますね。

――リーグ優勝できた要因は何だと思いますか

やっぱりゴール前のところでゴールを決め切る力と、体を張って守り抜く力というところが今年のチームには本当にありました。接戦で落とした試合は少なかったですし、それを自分たちのものにできたというのは今年のチームの強さだったのかなと思います。

――春からのご自身のプレーやパフォーマンスを振り返っていかがですか

終盤になるにつれて体のキレだったり試合勘というところも積み上がってきたので、具体的に言えば筑波戦だったり東京国際大戦だったりというのは、自分としても最後の局面のところでゴールを守ることができました。プレー面もメンタル面も含めて、全てが終盤にかけて向上していった感じはありました。

――シーズン前に掲げた「今シーズンを通してトップチームの試合に出続ける」という目標をを見事達成し、優勝決定までチームに貢献し続けました

去年とかはケガが多かったので、代表活動とかも含めてではありますけどチームを離れる時間が多かった中、なかなかシーズンを通してチームに貢献できなかったというところがありました。今年は全試合出るという気持ちで、チームに直接的に貢献しようという覚悟を持っていたので、それを達成できました。プラス結果も付いてきたというのは、すごく自分としても自信になりました。

――U21代表としても活躍し続けた1年でしたが、そこでの経験はどのようにア式にフィードバックされていきましたか

もちろん自分のプレーの姿で見せるというというところもそうですし、プロの選手がどういう取り組みをしているのかとか、難しい試合状況の中でどういうプレーを選択していくのかといったところはとても参考になる部分なので、試合の中でも局面局面に応じて伝えるということは意識してやっています。

――今シーズンは守備においては失点の多い試合もありましたが、そこに関して悔しさはありますか

結果としては良くはなかったので、悔しい気持ちはあります。ただ一つ言えるのは、我慢強く守ることができてチームの勝利を手繰り寄せることができたというのは間違いなくあったので、そこは自信にはなりました。でも、結果を見てみれば失点数は多いので常に危機感は持ちながらやっていました。

――とはいえ1部リーグでのベストイレブン、特別賞、そしてMVPを見事受賞されました

本当に3つも賞をいただけて光栄です。ただ、3つの賞を獲れたというのは個人だけの力じゃないと思いますし、失点数だけ見たらたぶん普通はありえないことだと思うので、接戦になったのもチームが点を取ってくれたということがあったので、そこで自分が生きたというのがこういう結果につながったのかなと自分としては感じます。でも、ここで満足はできないですし、無失点の試合を多く重ねていきたいというのはあるので、そこは今後も意識していきたいです。

――インカレが同期と戦う最後の試合、そして学生生活最後の試合となります。インカレに向けての意気込み、どのように戦っていこうと考えているか聞かせてください

もう人生最後の大学サッカーになるわけで、本当に同期の存在は自分としては大きくて、この四年間、同期に育てられてきたと言っても過言ではないので、やっぱり大学サッカーの集大成、同期との集大成というところを含めると最後に結果を出して終わりたいなというのはあります。まず足元から一試合一試合勝つことを全員が意識して取り組んでいきたいなと思います。


DF小笠原学(社4=青森山田)

◆小笠原学(おがさわら・がく)

1996年(平8)4月28日生まれ。164センチ、58キロ。青森山田高出身。今季リーグ戦では11試合出場。


――優勝という結果についてどんなことを感じていますか

自分たちが1年生の時に、4年生が優勝の景色を自分たちに見せてくれました。その時、自分たちは補助学、ボールボーイをやっていて、なかなか直接的にリーグ戦の舞台を見れてはいなくて、優勝したときに脇から見ていてという感じだったんですけど、でもその瞬間には凄まじいものがあって、脳裏にそういう印象が残っていました。自分たちの学年ミーティングとかでも、「後輩にああいう景色を見せてあげるのが自分たちの責任だよね」とずっと話してきた中で、こういう結果を残せたというのは、率直にうれしいなと思います。

――優勝の要因としては何があったと思いますか

やっぱり今年外池監督が来たというのが、自分的には大きいなというふうに思っています。それは古賀さんがどうという話では全然なくて、古賀さんはチームに対して、自分に対して向き合わせるという点を常に言ってくれる方で、外池さんはそれと対照的にチームだけではなくて社会の中で自分たちはどういうことをしなきゃいけないんだということを言ってくれました。どっちの視点も教えてくれる人がいて、経験できたというのが自分たち4年生だったと思うし、どっちも知っているからこそ、古賀さんと外池さんの合わさった点の中で、これが良いという点を自分たちが監督やスタッフと模索してきたことが結果に出たと思うし、それがすごく良かったと思います。

――新人監督という役職もあり、そのこれまでのア式の良さを共存させるという点は意識してやってきていたんですか

そこは結構、自分がキーになるかなと始めのときにも思っていました。かと言って自分が全てを縛りすぎるというのも、部員の良さが出ないというところで、外池さんともそこの探り合いは結構話していて、二人の中で最低限の妥協点、ここだけはぶらしてはいけないというところを話しながら、それをチームに還元してきました。最後のとりでのような自負を持って、4年生みんなの力も借りながらやってきたという感じですかね。

――ご自身の一年間のプレーについて振り返って

3年生の時とは比べ物にならないくらい、格段にのびのびとプレーができたなというのがあって、その要因としては新人監督という役職が生かしてくれたのかなと思っています。その役職を与えてくれたのは岡田なんですけど、もちろん自分との葛藤とかもあるけど、それと同時に自分だけの視野ではなくて、チームに対しての見方もできたし、その中で自分は何をしなきゃいけないのかということを考えてきました。3年生までよりも、もっと対チームというところに意識が向かったことで、自分のプレーも変わってきたのかなと思います。

――公式戦初出場から始まった1年だったと思いますが、主力としてチームに貢献したという感覚もあるのでは

いや、あまり自分ではそんなに貢献できたというのはなくて、目に見えるようなプレーとかもできていないし、自分の中でも一選手である限りはそこは求めていきたいところですし、幸いまだインカレという舞台が残っているので、ピッチ外で貢献したとかではなくて、プレーで貢献できたというふうに言えるように最後の締めをしたいと思うので、そこまで持っていきたいなと思います。

――やはりリーグ戦の終盤、し烈なポジション争いもあって出場数を伸ばせなかったという点では、悔しさは残っていますか

もちろんありますね。牧野と冨田のコンディションも良くて、チームに対する役割というのも二人は明確に持っていたので、その中に自分が割っていくためには、今のままの役割ではたぶん必要とされないし、もう一個上の役割を出せないとチームとして求められないのかなと思っています。やっぱり自分は途中から出るということが多くて、出る時には外池さんに試合の流れをしっかり見極めて、締めたり、流れを変えたりという役割を求められていたと思うんですけど、そこにプラスして自分が守備のところで1対1で打ち勝つとか、攻撃に出ていって良いクロスを上げて得点に関わるとか、そういう目に見える結果のところまで持ってこないと、出るというところには至らないのかなと思っています。

――インカレは同期とともに戦う最後の大会であり、ご自身にとってはサッカー人生に区切りをつける大会になりますね

正直、あと2週間くらいでサッカーをやめるという実感はなくて。それが良いのか悪いのかはわからないですけど、全然ないんです。でも、一日一日が本当に大切になってくるなというのはすごく思っていて、やっぱり一日でも後悔とかを残せば、それこそ選手の選考にもつながってくるし、自分の中にもこれから後悔が残ると思うので、先というよりも一日の練習というのにこだわりを持って、全力で取り組んでいきたいと思っています。

――大会で示したいことはどんなことですか

最終的にはプレーで目に見える結果をだすというのが一番です。でも、まずはその過程の中でも自分がやれることとしては1回の練習に対して取り組む姿勢のところで、球際で負けないとか、最後のところで体を張るとか、そういうところは自分が示すべきだと思うし、自分ができるところだと思うので、そこは(試合に)出る出ないに関係なく、やっていきたいなと思っています。


DF冨田康平(スポ4=埼玉・市浦和)

◆冨田康平(とみた・こうへい)

1996年(平8)6月9日生まれ。176センチ、68キロ。埼玉・市浦和高出身。今季リーグ戦では15試合出場。来期のJ2・京都サンガFC加入が内定しており、特別指定選手としてJ2リーグ2試合出場。


――優勝されてから日数が経過しましたが、改めて振り返られていかがですか

自分たちの代は降格も昇格も経験していて、優勝した瞬間というのも、あの瞬間で優勝するなんて思っていなくて、勝った時も優勝のための1勝という位置付けでした。その前の週に筑波と試合をしていて、(筑波大が)勝ち点を落とすとは思っていませんでしたし、そういう意味では次で勝って優勝を決めようという気持ちでいたので、あの結果を知った瞬間は実感が全く無かったです。でも、これまで一緒につらい状況を乗り越えてきた同期の小笠原や蓮川が涙しているのを見た時に優勝したんだなと感じて、自分たちがやってきたことが一つ結果になったんだなと感じた瞬間でした。

――昇格1年目で優勝できた要因はどこにあると思われますか

今年は監督が代わったことを始めとして、体制であったり、チームとしてのかたちに変化があったと思いますし、いい意味で変化させることができました。大切な部分を残しつつもチームの中で変えたらいいなということを良い方向に変化させて、チームの力に変えられたのかなと思います。

――大量失点の試合もありましたが、DFとしてはいかがでしたか

全体を通してあれだけ失点をした年は例年ではないですし、ディフェンス陣としての責任は感じていました。後期の2試合だけで12失点をしてしまったのは間違いなく自分たちの責任だと思いますし、今DFで出ている4年生が自分と小笠原なので、自分たちが気持ちで引っ張らなければいけない部分があったと思います。その中で、大桃や杉山や工藤などの下級生が自分たちの責任という捉え方をしてくれていたおかげで、一人一人が責任を感じて変えなきゃいけない部分を変えて、次につなげられたのかなと思います。

――7月には『もっと必要とされる存在に』というお話もありました

去年を振り返ると後期からスタメンで出るようになって、出始めてからは12試合スタメンでフル出場することができたんですけど、今年は年間を通じてケガだったりパフォーマンスが上がらなかったりということも含めて、全試合にスタメンで出るということはできませんでしたし、出たときもチームの勝利に直結したと思える試合があまりなかったです。そういう点で今シーズンは不完全燃焼というか、『こいつがいないと駄目だな』という存在にならなければいけないと思いました。自分自身が悔しいまま終わってしまったので、そこはまだまだ目指さなければいけないところだと思います。

――そのような状況でご自身で良かった点はありましたか

自分の持ち味はスピードを生かした攻撃参加で、そこから攻撃した後に戻り切れるところだと思うので、そこはチームを通じても自分が一番やっているという自信がありますし、ディフェンスも攻撃もやりつつ、さらに厚みをどちらに対しても持たせるところはやれていた部分ではあるんですけど、もっと結果につなげることができれば良かったと思います。

――これからのインカレではどのように臨んでいきたいですか

自分自身インカレに出場することが初めてですし、全国大会に出たのは今年の総理大臣杯が初めてだったんですけど、あの試合も途中出場で1回戦で負けてしまって、やり切れた気持ちは全然なかったので、個人的にもインカレという全国大会は燃えますし、トーナメントを勝ち上がって優勝したいという純粋な気持ちがあります。負けたら終わりで、大学でサッカーをするのもこれが最後なので、自分がやり切って、『こいつが出ていて良かったな』と思われるような終わり方をして、次につなげられたらなと思います。

――やはり今の代で臨む最後の大会は思い入れが強くなりますか

あまり恥ずかしくて言いたくないんですけど…(笑)。4年間楽しいこともきついことも一緒にやってきた仲間なので、多分みんなも感じていると思うんですけど、日に日に自分たちがサッカーを一緒にやる時間というのも減ってきているので、全員でそれぞれの立場やかたちでやり切って笑顔で終われたらなと思います。

――最後にインカレでの目標をお願いします

どのポジションで出ても自分がやるべきことはありますし、チームから求められていることも間違いなくあるので、それをやった中でどれだけ自分の持ち味を出して、それを勝ちにつなげられるかというのが問われている部分だと思いますし、それをどれだけやれるのかが自分が出る意味だと思います。直接チームを勝たせなくてもゴールを守るとか、球際で負けないという細かい部分からチームを引っ張っていける存在になって、最終的には直接的な結果でもチームを勝たせることができたらいいと思います。


MF秋葉遼太主務(文4=東京・駒場)

◆秋葉遼太(あきば・りょうた)

1996年(平8)10月28日生まれ。173センチ、68キロ。東京・駒場高出身。今季リーグ戦では3試合出場。


――優勝されてから時間がたちましたが、改めて振り返られていかがですか

関東の一番下から始まったので、前期は『なんで勝てているんだろう』というのがあったんですけど、一個一個謙虚に分析をしてやっていった結果、最後に優勝で終えられたと思います。後期は1位で折り返したこともあってプレッシャーがあったんですけど、1位で終えられたのでホッとしました。

――分析というお話もありましたが、優勝できた要因はどこにあると思われますか

長期的に優勝を目指すというよりも、一戦一戦のプロセスを大事にして、1週間次の相手に向けて、分析もそうですし、チームとしてテーマを決めてどのように戦っていくのかをやっていて、それを部員一人一人が徹底したからこそ、勝ち点を積み重ねることができたと思います。

――秋葉選手はリーグ戦の明大戦での大敗後にチームの立て直しに貢献されたと思います

入学した時から関東リーグに出場するというのは目標でしたし、3年生から主務に就いたんですけど、そこはぶらさずにやっていたので、プレーヤーとして試合に出させてもらったのは自分としては一つの結果が出たかなと思っています。特に自分が出た時はチームが難しい状況で、1-6で明治に負ける前の夏からずっとAチームに帯同していたので、感じるものをプレーで示そうという思いで試合に出ました。

――主務というポジションから見て今年のリーグ戦はいかがでしたか

今年は外池さんになって情報発信や企画などのピッチ外のことを学生主体でやることが多くて、自分もマネジメントのところで外池さんに信頼して任せてもらえる部分がありました。リーグ戦を通して大学サッカーがどうすれば注目されるかを自分だけではなくて部員一人一人が考えていて、ピッチ外のことをピッチ内に落とし込むことができていたので、いい循環が生まれていたと思います。

――周りの方から『スーパー主務』と呼ばれていたことはどのように感じていますか

自分が1年生の頃の主務の方々は素晴らしい方ばかりだったんですけど、どうしても裏方というか、言い方が悪くなるんですけど、雑用というイメージがありました。主務はチームの中で一番重要なポジションですし、大学サッカーでももっと注目されていいポジションだと自分は思っていたので、自分が試合に出ることであったり、チーム外の活動をすることを通して、みんなからそのように言ってもらえて、主務というポジションの大切さを外部の人にも知ってもらう機会があったので良かったと思います。

――現体制で臨む最後の大会であるインカレに対する思いはいかがですか

自分たちが1年生の頃も関東リーグで優勝してインカレですぐに負けてしまって、最後に負けて終わってしまうとリーグ戦優勝の喜びも半減してしまうので、最後は勝って終わりたいです。今年は日本一を取ることを目標にやってきて、総理大臣杯では負けてしまったので、同期が大好きですし、後輩にも何かを残したいので、自分たちがやってきたことを出せる集大成の舞台で、ピッチ内外を問わずチームに貢献して、日本一を取りたいと思います。


MF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)

◆相馬勇紀(そうま・ゆうき)

1997年(平9)2月25日生まれ。165センチ、66キロ。東京・調布南高出身。前所属・三菱養和SCユース。今季リーグ戦では20試合出場、9得点11アシスト。1部リーグアシスト王とベストイレブンを受賞。来期のJ1・名古屋グランパス加入が内定しており、特別指定選手としてJ1リーグ9試合出場、1得点3アシスト。


――関東制覇についてどう感じていますか

自分たちの代は1年生の時に、「個性がない」「弱い代」と言われてきました。それでも、学年の19人それぞれ一人ひとりの良さを、もしかしたらピッチ内であまり活躍できる選手が多くなかったかもしれないですけど、そうだとしても色んな部分でそれぞれが貢献して、それが優勝につながったので、こうして総括してみると本当に良いラストイヤーにできたかなと思います。

――激動の4年間だったと思います。当事者として優勝、昇格を経験されてきましたが、今年の喜びはやはり格別ですか

そうですね。やっぱり自分の代ってうれしいものですね。でも、自分も1年から試合にこそ出れてはいるけど、仲間とすごくぶつかってしまってうまくいかなかった時期もそうだし、あまり結果を出せてなかったり、2年の時とかはよく怒られましたし(苦笑)。表向きは1年から出て充実して最後終わったということになりますけど、その裏にいろんなエピソードがあってその積み重ね、総和がこの優勝につながったのかなと思います。

――ピッチ内外において、優勝の要因はどこにあったと感じますか

今年は監督とかスタッフが新しく変わって、『日本をリードする存在になる』とビジョンも新しくなって、外池さんの良さは絶対に優勝につながったと思います。でも、その中で自分たちは古賀さんの3年間を経験してきていて、特にピッチ外の部分はそこで学んだものが本当に多くて、それが今年合体したことで優勝できたのかなというふうに思います。そこは特に新人監督の小笠原くんが本当に、試合に出たり出なかったり難しい中で練習にも100パーセントで取り組みつつ、絶対にワセダとしてぶらしてはいけない部分は雰囲気としてはなくなったけど個人として持ち続けていて、一人の尊敬できる素晴らしい選手だと思いますね。

――得点とアシストともにリーグの中でも上位の数字を残しました

納得はしてないですね。満足したらそこで成長が止まるんだろうなと自分はいつも思っていて、サッカーをやってきてまだあまり納得したことはないです。でも、ひとつ収穫として、後期はアシストが減ったんですけど、得点が増えてきたことがあります。これは蓮川とかからペナルティエリア内にもっと入れということをずっと言われ続けて、それを実践した結果がつながってきたと思うし、それがJリーグの試合に出た時にも出ていて、こぼれ球をヘディングで決めるなんて今までのサッカー人生で絶対になかった部分が現れたので、成長という部分はあると思いますね。

――ただ、アシスト王の獲得は目標とされてきた部分だったと思いますが

そうですね。それでレコードを超えたいとも言っていました。長澤さん(浦和レッズMF長澤和輝、当時は専大)が出した記録(17アシスト)を超えたかったので、そこにいけなかったのは悔しいですけど、成長した良い部分にフォーカスしようかなと思います。

――インカレに対してはどういう思いを持って臨みますか

自分は高校で、国体とクラブユースで2回日本一をとっているんですけど、日本一の光景って言葉に表現できない感情が生まれるというか。あの感情をみんなとまた感じたいという思いもありますし、自分はまだインカレに出たことがないので、1年の時は中足骨を骨折して試合に出場できなかったので、1回出たいという思いもあります。でも別に、ここまで来たら同期とかではなく、ここからは学年関係なくチームになってくると思うので、2018シーズンのワセダの全員で戦いたいという感じですね。

――大学の集大成であると同時に、今後のプロ生活につながる大会になると思います。何か個人として具体的な目標は設定しますか

インカレに限らず、試合に出るときに常に考えているのは結果を出すということで、それはどの舞台で出ても変わらないと思っています。大学だからプロよりも少しレベルが落ちていっぱい取れるとか、そういうことは全く思っていないですし、それぞれの舞台での難しさがあるので、そのそれぞれに適応して結果を、特にアシストと得点というところにつなげていきたいです。

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