相馬、名古屋のJ1残留に大きく貢献!確かな爪跡残す

ア式蹴球男子

 1日、明治安田生命J1リーグの最終節・名古屋グランパス対湘南ベルマーレがパロマ瑞穂スタジアムで行われた。互いに勝てば自力でのJ1残留が決まる大一番に、特別指定選手として名古屋グランパスに帯同しているMF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)が先発出場。相馬は前半限りでベンチに退いたものの、チームは後半に元ブラジル代表FWジョーの2得点で引き分けに持ち込み勝ち点1を獲得。他会場の結果により、J1残留を決めた。また、同クラブ所属のMF秋山陽介(平30スポ卒)は先発フル出場を果たした。

 8月にJ1デビューしてから、コンスタントに出場機会を得てきた相馬。自身最大の武器である鋭いドリブル突破で、日本トップクラスのDFたちを翻弄(ほんろう)し、計3アシストを記録した。風間八宏監督にキック精度の高さを買われてプレースキッカーを任されるなど、残留争いに身を置く名門クラブの中で着実に地位を確立させていく。先発デビューを飾った第28節・セレッソ大阪戦では、53分に頭で殊勲の決勝点を決め、自ら祝砲を挙げた。最終節までに相馬が出場した8試合でチームは全勝。『不敗神話』が囁かれるようになり、サポーターの心をわしづかみにした。

積極的に突破を狙う相馬

 そんな中迎えた最終節、クラブの命運がかかる正念場で、相馬は3—4—2—1の右ウイングバックとして先発出場。1学年先輩の秋山とともに両翼を担った。最初の見せ場は6分。右サイドでFKを得ると、相馬がゴール前にふわりとしたボールを供給。混戦の末にMF小林裕紀が右足を振り抜くも、惜しくも枠の左へ外れてしまう。その後もセットプレーでいくつか好機を生み出すも得点には結びつかない。するとマッチアップ相手のマークに苦しみ始め、突破力を生かせないまま、次第にサイドで孤立。「過去に湘南にも練習参加していたので、ある程度対策はされていたと思う」。手の内を知る湘南守備陣に苦しめられ、持ち味を発揮しきれないまま前半限りでピッチを後にした。チームは前半で2点のビハインドを負ったものの、67分と75分に立て続けに得たPKをジョーがきっちり沈め、勝ち点1を獲得。試合終了後、ほどなくしてスタジアムに吉報が届き、土壇場でJ1残留を決めた。

残留圏浮上の知らせが届くと、真っ先に秋山のもとに向かった

 試合後には残留決定を喜びつつも、「個人的には少し悔しさが残る」と振り返り、さらなるスキルアップの必要性を改めて認識。「サッカーの神様が『来年はもっと頑張らなければいけないよ』と伝えてくれたのかな」と、現在地を冷静に見つめ直す姿を見せた。しかし、一時は最下位に沈んでいた名門を残留に導いた立役者が、この現役大学生であることに異論を挟む余地はないだろう。名古屋の救世主としてJリーグのファンに強烈な印象を与えた相馬。「世界と戦える選手になりたい」と語る『ワセダの韋駄天』が、早大の大学日本一に欠かせないピースであることは疑いようがない。

(記事 森迫雄介、写真 守屋郁宏)

結果

▽12月1日
明治安田生命J1リーグ第34節
名古屋グランパス2-2湘南ベルマーレ
※名古屋グランパスはJ1残留

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コメント

MF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)

――今日の結果で残留が決まりました。今の気持ちは

自分の出場時間の通り、個人的には少し悔しさが残る試合でしたが、チームの勝利が一番なので残留できてよかったし、来年もJ1で戦えるのでワクワクしています。

――スタメン出場を果たしましたが、相手の厳しいマークに抑えられる場面が目立ちました

そうですね。過去に湘南にも練習に行っていたので、ある程度対策されている部分があったと思いますが、その中で自分のスキルを上げていかないといけないなと思いました。

――途中交代で退くという経験は名古屋で初めてだったと思いますが

夏から特別指定選手として出させていただいて、ある程度得点したりアシストしたりと活躍してきた中で、一番最後の試合で、残留も決めながらも途中交代したということで、サッカーの神様が「来年もっと頑張らなければいけないよ」ということを伝えてくれたのかなと思います。

――この経験を来年以降、どのように生かしたいですか

J1で中心選手となって得点やアシストといった結果にこだわるとともに、2年後の東京オリンピックにも呼ばれて世界と戦えるような選手になりたいです。