守備陣崩壊。後期開幕戦大量6失点で敗北

ア式蹴球男子

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)の後期が開幕した。前期を9勝1分1敗、2位との勝ち点差8と他を圧倒して首位で折り返した早大。後期の初戦の相手は総理大臣杯で優勝し勢いに乗る明大だが、早大としても勝ってリーグ戦優勝に向けて勢いをつけたいところだ。しかし6失点でまさかの大敗を喫し、早大は総理大臣杯に続く公式戦2連敗となった。

 早大は4-1-4-1の布陣を採用。立ち上がりは積極的に攻めたが、10分に右サイドからのクロスをDF工藤泰平(スポ2=神奈川・日大藤沢)が一度は弾くも、詰めていた明大FW村田航一(4年)に流し込まれて早くも先制されてしまう。その後もピンチは続き明大MF安部柊斗(3年)の強烈なミドルシュートをGK小島亨介(スポ4=名古屋グランパスU18)がセーブするなどして耐える。しかし34分、右サイドからファーサイドへのクロスを村田が頭で落とし、明大FW狩土名禅(2年)に決められて追加点を許す。38分にも得点を許すと、早大はMF藤沢和也(商3=東京・早実)に代えてFW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)を投入。しかし「前半から中盤で負けて、試合を優位に運べなかった」(鍬先)と試合後に話すように、固いブロックを敷く明大を前に攻めあぐね、前半をシュート0で終えた。

先制を許して以降、失点が止まらなかった

 工藤に代えてDF冨田康平(スポ4=埼玉・市浦和)を投入し、フォーメーションを変更して後半に臨んだ早大は52分、「まだ3点差。まずは1点をとりにいって、そこからもう1度戦いにいこう」とハーフタイムに仲間を激励した岡田が、MF相馬勇紀(スポ4=三菱養和SCユース)から中央でパスを受け、エリア外からミドルシュートを決めて1点を返す。主将のゴールで反撃の狼煙を上げたように思われたが直後の53分、右サイドを崩されてすぐに3点差へ戻されてしまう。さらに6分後に5失点目を許してしまい勝利が遠ざかる早大は、FW梁賢柱(スポ2=東京朝鮮高)の投入で得点を狙いにいくが、なかなか相手ゴールをこじ開けることができない。88分、最後まで攻撃の手を緩めない明大に6点目を与えてしまう。早大に反撃の兆しも見えないまま試合終了の笛が鳴った。

岡田主将が得点するも、流れを引き寄せるには至らなかった

 総理大臣杯での嫌な雰囲気を払拭するためにも、後期リーグ戦初戦を勝利で飾りたかった早大だが大量6失点での敗北。鹿屋体大戦(●3-4、延長)とこの試合で、計10失点での公式戦2連敗となった。「ここが底」と外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)と岡田主将はそろって口にしたが、「こういった時をどう乗り越えていくかというのが取り組みとしての醍醐味だと思う」(外池監督)と話すように、この大敗から学ぶことは多くあるはずだ。早大にとって次節・桐蔭横浜大戦は絶対に負けられない正念場となる。

スターティングイレブン

 

(記事 河合智史、写真 守屋郁宏)


JR東日本カップ2018 第92回関東大学リーグ戦 第12節
早大 0-3
1-3
明大
【得点】
(早大)52’岡田 優希
(明大)10’,38’村田 航一、34’狩土名 禅、53’小野 雅史、59’小柏 剛、88’佐藤 凌我
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 小島 亨介 スポ4 名古屋グランパスU18
DF 杉山 耕二 スポ2 三菱養和SCユース
DF 17 工藤 泰平 スポ2 神奈川・日大藤沢
→HT 冨田 康平 スポ4 埼玉・市浦和
DF 大桃 海斗 スポ3 新潟・帝京長岡
DF 牧野 潤 スポ3 JFAアカデミー福島
→60分 20 梁 賢柱 スポ2 東京朝鮮高
MF 鍬先 祐弥 スポ2 東福岡
MF 14 藤沢 和也 商3 東京・早実
→39分 10 岡田 優希 スポ4 川崎フロンターレU18
MF 金田 拓海 社3 ヴィッセル神戸U18
MF 栗島 健太 社3 千葉・流通経大柏
MF 11 相馬 勇紀 スポ4 三菱養和SCユース
FW 武田 太一 スポ3 ガンバ大阪ユース
◎=ゲームキャプテン
監督:外池大亮(平9社卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
早大 28 12 27 19 +8
明大 21 12 26 13 +13
法大 21 12 19 16 +3
順大 19 12 24 15 +9
専大 19 12 13 19 -6
筑波大 18 12 20 16 +4
駒大 17 12 24 21 +3
流通経大 17 12 18 22 -4
桐蔭横浜大 14 12 16 18 -2
10 東京国際大 13 12 14 21 -7
11 東洋大 12 12 13 20 -7
12 国士舘大 12 10 12 26 -14
※第12節終了時点
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コメント

外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)

――後期開幕に向けてどのような準備をしてきましたか

鹿屋体大戦の負け方が少し尾を引いていて、この明治戦に向けて10日間くらいはあったんですけど、なかなかうまく向き合えなくて、なんとか明治さんの強みを消せるようにという対策と意思統一はやってきたんですけど、明治さんが落ち着いていたし、(総理大臣杯優勝という)一つの成果からくる安定的な力を予想以上に随所に出されて、うちとしては受けに回らざるを得ない状況になってしまったかなと思います。

――具体的なアプローチとしては

もう一度謙虚に、自分たちがやってきた『チャレンジャーとして相手をリスペクトして、謙虚に一枚岩になってやりきる』というところは確認してきました。でも、一度染み付いてしまっているものが脆さとなって出てきてしまったなと。『自分たちはやればできる』という過信になってしまったというところは否めないし、『総理杯もたまたま今回はそうなってしまっただけだ』と良い意味で切り替えてしまったことが、明治さんのような強い相手としっかり対峙できなかった要因かなと思います。

――2試合で10失点。大量失点が続いているのは前期にはなかったことですが

まさにコンビネーション、うちが強みとしていたチームとして守備をするという点でも、連携としてつながりきれていないなと思いました。これはどうしても前期の遺産があって、『なんとかなるだろう』というどこかしらに過信、幻想を持っているのかなと感じます。12チーム中11チームは「前期はうまくいかなかった」、うちだけが「うまくいった」というような感覚の中で夏を過ごしてしまったというのは大きく反省としてあります。やっぱりサッカーは相手があることなので、相手となる他の大学たちは完全に打倒ワセダで来ているし、そこはある程度想定はしていたんですけど、ここで公式戦の場で露呈してさらけ出してしまったということは、1回(チームを)ぶっ壊せるということだと思うので、そこを含めて次に向かいたいなと思います。

――2戦連続で少しショッキングな敗戦を喫したことになります。どのように立て直していきますか

実際、前期が終わったときに『どこかでぶっ壊さなきゃいけないだろうな』という思いは、危機感として持っていました。それもあってアミノバイタルでどんどん新しい選手を起用していたんですけど、結局総理杯といい今回といい、そこに関して踏ん切りをつけられなかったというか。前期のメンバーが戻ってきてそれでやっているという事実があるので、それが『このメンバーが出ていたら』みたいな形で拠りどころになってしまっているところがありました。前期を戦っていく中で、いろんなところに変化を加えてきたところが、(今は)自分たちの中の成功体験によって、逆に受け入れづらくなってしまった、『立ち返る場所は成功していた自分たち』みたいな感じになったのが、こういう甘さを露呈する原因になったかなと。まあ逆にこれだけ完敗したので、岡田も言っていましたけど「本当にここは底」というか。やっぱり1年間チームを動かしていく上で、僕にとっても初めての経験ではありますけど、こういった時をどう乗り越えていくかというのが取り組みとしての醍醐味で、ある意味チャンスだと思いますし、夏にしっかり鍛えられたメンバーもいるので、もう一回しっかり総力でやっていきたいなと思います。

FW岡田優希主将(スポ4=川崎フロンターレU18)

――総理大臣杯の結果を踏まえて、今日の明治戦へはどのように準備してきましたか

ああいう形で負けて、自分たちの隙とか甘さを再認識し、だからこそ前期から積み上げてきた謙虚さとか『DRIVE』していくという姿勢をもう一度チームの中に浸透させて、それを土台に、初心に帰ってやろうと思ってこの試合を迎えました。

――ベンチでは戦況をどう見ていましたか

最初の立ち上がりは良い感じで5分くらいは張り合っていたと思うんですけど、10分で失点して、そこからなかなか修正しきれなかったりとか戦意喪失しているような印象を受けたので、ちょっとこれはマズイなと思っていましたね。

――監督からは交代時に指示はありましたか

指示っていうよりも、僕に求められている役割というのはもう監督が何も言わなくても分かっているので、この状況をひっくり返していくということとシュートを狙っていく、その二点を感じていました。

――ハーフタイムにチームで状況整理などはしましたか

そうですね、そこは1回整理して、まだ3点差なんでまず1点を取りにいって、そこからもう1度戦いに行こうという話はしました。

――今日の試合の敗因はなんですか

まず敗因というよりも前提として、ピッチに立つということに関しての甘さが出たと思うし、サッカー選手としてピッチに立っている以上、最低限というか、分析とか戦術がどうこう以前の部分で戦えていなかった部分が多く、そこが敗因になる前の段階でそもそも足りていなかったなと思います。

――次の試合は正念場になってきますが、どういった準備をしていきたいですか

終わった時にも言ったんですけど、ここがいちばん底で、ここから積み上げていくしかないというところで、前期がどうだったとかどういうメンバーとかじゃなくて、ピッチに立って戦えるメンバーというのをもう一度競争の中で集めて勝ちを取りにいく、そういう体制をつくって次の試合に向かいたいなと思います。次の試合も、勝つとか負けるとかいうよりも、そこのベースの部分を取り戻すことが一番大事だと思うので、そこを意識してやりたいなと思います。

MF鍬先祐弥(スポ2=東福岡)

――総理大臣杯覇者の明大に対し、どのような準備をしてきましたか

夏の王者ということで、自分たちは初戦敗退していますし、チャレンジャー精神で挑みました。

――どんなゲームプランを設定しましたか

明治の中盤2枚に対して、自分たちは3枚で数的に上回ってゲームを優位に進めようと思っていたんですけど、結果的に前半から中盤で負けて、試合を優位に運べなかったと思います。

――今お話にあったように、きょうの試合では中盤でのせめぎ合い、ボールの奪い合いで相手に分がありましたが、何が原因だったのでしょうか

予測や走ること、球際の強さといった一つひとつのことですが、全部明治さんに上回られたので、自分たちも何もやってこなかったわけではないですが、取り組みが甘かったと思います。

――攻撃面でも相手のブロックを崩すのにかなり苦労していました

ブロックを敷かれた後の攻撃のバリエーションがあまりにも少なく、単調な攻撃に終始していたので、そこはまた練習からコミュニケーションを取っていく必要があると思います。

――次の桐蔭横浜大戦は絶対に負けられない試合になります

きょうの敗戦をいい意味で忘れ、次勝つためにあしたから全力でやっていきたいと思います。