悔やんでも悔やみ切れない敗戦、今季初の連敗

ア式蹴球男子

 ここ4試合勝ちから遠ざかっているワセダ。優勝のためにはなんとしてでも勝ち点3が欲しい中迎えたこの試合の相手は因縁の相手、慶大。前半鮮やかなゴールで先制を許すと、ボールを全くキープできない時間帯が続く。0-1で迎えた後半、前掛かりになった足元をすくわれ、パスミスから痛恨の2失点目。終了間際にPKで1点を返すも一歩及ばず。因縁の相手に悔しすぎる敗戦となった。

この苦境から目を背けてはならない

 試合開始早々から高さを生かし、ロングボールを放り込んでくる慶大に対しGK後藤雅明(スポ4=東京・国学院久我山)のパンチングなどでなんとかゴールを割らせないが、嫌な雰囲気が会場を包み込む。迎えた15分、細かいパス回しから慶大に目の覚めるようなミドルシュートを決められてしまう。追う展開となり、ここから切り替えて戦いたいワセダだったが、ボールキープのできない時間帯が続く。30分、MF秋山陽介(スポ3=千葉・流通経済大柏)のボールにFW中山雄希(スポ4=大宮アルディージャユース)が合わせたシュートが惜しくもクロスバーの上に抜けるというシーンがあったものの、チャンスらしいチャンスをつくれないまま前半を折り返す。

PKを沈めチームを鼓舞するMF鈴木裕也(スポ3=埼玉・武南)

 何が何でも追い付きたい後半。49分、秋山が倒されてFKを獲得する。絶好のチャンスを迎えたが、MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)の精度の高いボールに誰も合わせることができず流れを引き戻すことができない。しかし、DF木下諒(社3=JFAアカデミー福島)やDF熊本雄太(スポ3=東福岡)が最終ラインから自ら切り込んでいき、積極的な攻撃参加を見せるなど良いかたちも増えてきていた。そんな矢先、DF飯泉涼矢(スポ3=三菱養和SCユース)のパスミスから慶大に大きな1点を献上してしまう。追い付こうとしていたワセダにとって痛すぎる2失点目となった。大型FW武颯(スポ3=横浜F・マリノスユース)を投入し、なんとか1点をもぎ取ろうとするワセダ。MF小林大地(スポ4=千葉・流通経大柏)がドリブルで持ち込み、武にボールを集めるがあと一歩のところでゴールに結びつかない。もどかしい時間が続く中迎えた80分、鈴木裕が後ろからファールを受けてPKを獲得すると、自ら冷静にゴール左に蹴り込み、土壇場で1点を取り返す。試合終了間際には相馬がロングスローを連続で投げ込み怒涛(どとう)の攻撃をするもここで無念のホイッスル——。1-2、永遠のライバル相手に屈辱の敗北となった。

攻守両面で光った木下

 詰めかけた多くの観客を前に、挨拶をする選手たちの目には光るものがあった。しかし、この敗戦に沈んでいる時間はない。「メイジに勝たないと絶対に優勝はない」(相馬)。多くの選手が試合後この言葉を口にした。次戦の相手は首位争いのトップを走っている明大。崖っ淵に立たされたワセダの逆襲に期待したい。

(記事 篠原希沙 写真 大森葵、栗村智弘)

関東大学リーグ戦第9節
早大 0-1
1-1
慶大
【得点者】(早)85鈴木裕(PK)(慶)15,66田中
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 後藤雅明 スポ4 東京・国学院久我山
DF ◎新井純平 スポ4 浦和レッズユース
DF 熊本雄太 スポ3 東福岡
DF 飯泉涼矢 スポ3 三菱養和SCユース
DF 12 木下諒 社3 JFAアカデミー福島
MF 平澤俊輔 スポ4 JFAアカデミー福島
→64min. 14 鈴木裕也 スポ3 埼玉・武南
MF 11 小林大地 スポ4 千葉・流通経大柏
MF 相馬勇紀 スポ2 三菱養和SCユース
MF 秋山陽介 スポ3 千葉・流通経大柏
FW 中山雄希 スポ4 大宮アルディージャユース
FW 17 岡田優希 スポ2 川崎フロンターレU-18
→69min. 15 武颯 スポ3 横浜F・マリノスユース
◎はゲームキャプテン
監督 古賀聡(平4教卒=東京・早実)
関東大学リーグ戦1部リーグ順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
筑波大 17 16 +9
明大 15 15 +6
慶大 15 15 16 -1
法大 13 +3
順大 13 15 16 -1
日体大 13 11 -2
早大 12 11 11
桐蔭横浜大 12 10 10
駒大 11 12 12
10 専大 11 15 16 -1
11 流通経大 11 11 -5
12 国士舘大 15 -8
※第9節暫定※下位2チームは2部自動降格
コメント

DF新井純平主将(スポ4=浦和レッズユース)

――いまの気持ちをお聞かせください

自分が主将としてチームを勝たせることができなかったというのが正直なところです。

――慶大戦ということで、チームも特別な思いがあったのではないでしょうか

いままでの結果や順位とかは全く関係なくて、早慶戦は特別なものでどんなかたちでも勝つということだけを意識して臨みました。

――慶大のプレーの印象はいかがでしたか

エネルギーを自分たち以上に感じましたし、自分たちよりもやることを徹底していたから(ワセダは)結果として負けてしまったのだと思います。

――勝敗を大きく分けた差はどのようにお考えでしょうか

ケイオーは守るべきところを守って、決め切るところを決めた、そういう差なんじゃないかなと。最初の失点も含めてまだ守れるところが失点につながっていたり、チャンスも多くあった中で結果につなげられていないというところでそれが大きな差なんじゃないかと思います。

――次節も重要な早明戦となります。意気込みをお聞かせください

この状況に一喜一憂する暇はないので、勝ちだけを目指してやっていくしかないです。もう一回自分たちの強みを磨き掛け続けることと、あしたから真摯にやるべきことはたくさんあるので、勝つためだけを意識させて、次の早明戦に必ず勝利する環境をチーム全体でつくり上げるように、そして勝てるようにやっていきます。

MF小林大地(スポ4=千葉・流通経大柏)

――試合を終えて、率直にどういった気持ちですか

これまで定期戦も含めてケイオー相手に11勝1敗と圧倒できていて、それを後輩たちに継承しなければいけないという責任があったのですが、負けてしまって。ものすごく悔しい気持ちです。

――この試合にはどういった気持ちを持って臨みましたか

ゴールであったりアシストであったり、自分がそういう直接スコアを動かすプレーをして試合を決めてやろうという気持ちでした。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

全く自分が満足できるようなプレーができなくて…。仲間に対して本当にに申し訳ない気持ちしかないです。

――一番の敗因は何だと思われますか

勝ちたい気持ちは一人一人あったとは思うんですけど、それをプレーに乗せられなかったというか、ピンチの場面での甘さとか、やってはいけないミスだとか、そういうのが負けにつながってしまったと思います。

――リーグ戦残り2節、どういった気持ちで臨みたいですか

メイジも筑波も上位にいるチームなので、絶対に自分たちが直接叩いて、少しでも首位に近づけるようにしたいです。

MF平澤俊輔(スポ4=JFAアカデミー福島)

――いまの率直なお気持ちは

慶大に負けてしまって、これが現実というか、これが自分たちの力だなということを突きつけられたなということをすごく感じています。

――早慶戦ということでどのような意気込みで試合に臨みましたか

チーム状況もありつつ、本当にここで勝たないといけないという思いでした。勝つしかない状況だったので、そういった意気込みで臨みました。

――全体的に試合を振り返って

立ち上がりから自分たちがプレッシャーを掛けて、そこは良かったと思うのですが、一つ外された時に対応し切れずに失点してしまったなと感じています。一つの対応のミスだったかもしれませんがそこを突かれてしまったので、先制点に関しては悔しい内容でした。

――実際に戦ってみて慶大の印象はいかがでしたか

ボールを動かしてくるというイメージはあったのですが、その中で戦ってきたというか、球際の部分でファイトされたと思います。いままでだったら自分たちが勝っていたのですが、慶大の気持ちの部分で自分たちに対するエネルギーが大きかったので、悔しかったですね。

――平澤選手自身は積極的な攻撃参加も見られましたが意識などはしていましたか

そうですね。攻撃の部分は個人としても課題で、その中でチャレンジしていきたいという部分がありました。そういった意味で積極的に狙いにいったつもりでしたけど、いくつかチャンスがあった中でこういった大事な試合で決め切れるか決め切れないかというところが、こういった結果につながってしまうと思います。まだまだ自分の力が足りないなと感じました。

――途中交代となりましたがどのような思いでベンチから見ていましたか

交代した直後に失点してしまいましたが、点を取りにいかなければいけないという状況は変わりませんでした。そういった中で、前向きな声掛けや得点に向かわせる声掛けをしようと思って意識していました。

――交代して入った鈴木裕也選手のプレーはどのように見ていましたか

裕也は攻撃に強みを持った選手で、自分のドリブルでゴールに向かっていける選手ですし、精度の高いパスも出せる選手なので、自分と代わって入ったことで攻撃的な時間帯は増えたと思いますし、裕也はすごく良いプレーをしてくれました。3年生としてすごく頼もしいプレーヤーです。

――この敗戦を次にどうつなげていきますか

もうつなげるというよりは、結果として勝つしかないというのは変わらないので、何がなんでもというところを4年生が出さない限り下はついてこないと思うので、そういった部分を出せるように意識してやっていきたいと思います。

――次節の早明戦に向けて意気込みをお願いします

明大にも絶対に負けてはいけないですし、状況などは関係なく、勝ちにいかないと自分たちの目標としているところには、次の試合に負けたら本当に途絶えてしまうと思うので、何がなんでも勝つということを意識してやっていきたいと思います。

DF木下諒(社3=JFAアカデミー福島)

――この試合に臨むにあたってどのようなことを考えていましたか

チームとしては最近勝ちのない状況だったので、この1戦に懸ける思いを確かめ合って、自分たちが勝てない中で、過去を振り返るんじゃなくていまをしっかり大事にしようと言っていた中で負けてしまって、いま頭の中で整理できていないんですけど、悔しいです。

――戦ってみての慶大の印象はいかがですか

速さを出されて、サイドを展開されて、時間を掛けずに速い攻撃で崩されたというのが印象的で、後ろの方で回されているのは怖くなかったんですけど、前に勢いよく来られた時に後手を踏んで1失点目にみたいになってしまっていたので速さを出されたところが嫌でしたね。

――マッチアップした選手の印象はいかがですか

彼は足も速いですし、縦に来るドリブルが得意なのでしっかりビデオを見てスカウティングした上で色々な対策を考えていて自分の所でやられないようにとは意識していたんですけど、速さを意識するあまり、しっかり前から当たれなかったので、もっとボール際に寄せて接点をもっと作っていかないとだなと思いました。

――積極的な攻撃参加をされていました

攻撃は自分の持ち味であるとは思っているので、前に関わっていく姿勢であったり、クロスを前半3本くらいあげたんですけど、そこの質が低くて点につながっていないのが現状なので、自分がもっと点に絡んでいく、クロスの質を固めるというのを突き詰めて自分が直接的に点に絡むことでチームを勝利に導かないといけないと思っているのでそうしていきたいと思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

集中応援ということで多くのお客さんが見にきてくれるので、いまのチームの現状を引きずることなく、前だけを見て戦っていかないとだと思っているので。明日からの1週間、バチバチした練習をして自分たちのレベルを高めて明大に打ち勝つという気持ちでやっていきたいと思います。

MF鈴木裕也(スポ3=埼玉・武南)

――きょうは早慶戦となりましたが、どのような気持ちで試合に臨みましたか

いまのチームが4戦連続勝ちなしで、前期優勝という目標からしたらどうしても勝たなければならない一戦だったので、早慶戦ということもありましたけど、いつもと同じような気持ちで臨みました。

――そうした状況の中で、敗北してしまいました

ただ悔しいという言葉に尽きます。

――慶大の印象はいかがでしたか

特別な印象はないんですけど、早慶戦ということでいつもの相手以上に気迫を感じました。

――後半は慶大を押し込んでいました

自分は途中から交代で入って、入った瞬間に失点してしまったので。自分が得点できたのは良かったんですけど、それを勝ちに結び付ける力がないというのが現状なので、そこに向き合っていきたいと思います。

――PKのとき、どのようなことを考えて蹴りましたか

途中交代でチームに貢献できていないので、ここで決めてチームがこのPKをきっかけに巻き返せればいいなと思って蹴りました。

――1点を返した後の雰囲気はいかがでしたか

同点に追い付いて勝ち越すっていう雰囲気が中にあったかなって思うんですけど、1本のシュートや1本のパスにまだまだ課題があるなって率直に感じたので、そういった部分を練習で高めていかないと今後勝っていくことができないので、こだわってやっていきたいなと思います。

――今節の敗北で、5戦連続で勝ち星を逃してしまいました

これで落ち込むんじゃなくて、自分たちを見つめ直す良いチャンスだと捉えて、まだ残っている2節、全部勝たないといけないと思うので、きょうの負けを次の試合の勝利につなげられるようにやるだけだと思います。

――次節は強豪の明大との対戦です

早慶戦と同じように早明戦も勝たないと。メイジもいま上位ですし、直接対決で勝たないと優勝から離れてしまうので、絶対に勝てるようにやっていきたいと思います。

MF相馬勇紀(スポ2=三菱養和SCユース)

――早慶戦で初のスタメンとなりましたが、どのような思いで臨みましたか

スタメンということで、素直にうれしかったことと、出ていない人の分と、4年生のために戦おうという気持ちで挑みました。

――試合の全体的な振り返りをお願いします

自分の長所であるスピードを生かしたドリブルであったりといったところを出せたことは良かったと思うのですが、得点に直接絡むアシストだったりゴールができなかったのは課題があるのかなと思いました。

――最後ピッチにうつ伏せになっていましたが、どのような気持ちだったのですか

負けていたので、取るしかないという気持ちで全員で攻めていたのですが、点が入らなくて悔しかったです。

――ハーフタイムはどのようなことを話していたのですか

ワセダの強みである自分たちでボールを奪って攻めるということが前半はあんまりできていなかったので、立ち直ってもう一回自分たちの強みを出して戦おうということを話していました。

――ケイオーの印象は戦ってみていかがですか

技術的な戦いというよりは気持ちのぶつかり合いだったので、きょうは負けてしまったのかなと思います。

――この結果はどのように受け止めていますか

自分たちは全然勝てていなくて、単純に力不足だと思います。下を向いている暇はないので、後は戻って練習するだけだと思っています。

――次の早明戦に向けた意気込みをお願いします

相手は首位のチームで、メイジに勝たないと絶対に優勝はないということで、ここから背水の陣として上に食らい付くだけなので、チャレンジャーとして絶対に勝ち点3を取りたいと思います。