慶大に敗れ準優勝 王座につながる一戦に/女子慶大戦

庭球男子

 大学日本一を決める、全日本大学対抗王座決定試合(王座)の関東予選である王座出場校決定トーナメント。決勝の相手は、因縁の相手である慶大。劇的勝利となった先週の筑波大戦にて、王座の出場権とともに勢いをつかんだ早大は、優勝をかけた一戦に臨んだ。結果としてはダブルス1-1、シングルス0-5の大敗となったが、王座に向け、各々が収穫を得た1日となった。

 

D1でフルセットの末に勝利した石川・神鳥組

 早大は先週とオーダーを変え、ダブルスの2本に挑んだ。D2の前田優歩(社3=沖縄尚学)・齋藤優寧(スポ1=岡山学芸館)組は平田歩・大川美佐組を相手に2-6、2-6と敗北。ケガをした吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)と代わり、今大会初出場となった齋藤はまだ1年生。果敢にボレーで攻め、力を見せつける。しかし、ペアとしての準備が十分にできず、甘い球を見逃さない相手にミスを重ねてしまった。D1はここまでのトーナメントで負け知らずの石川琴実(社3=神奈川・白鵬女)・神鳥舞(スポ2=東京・早実)組。佐藤南帆・永田杏里組との対戦となった。第1セットは石川のネットプレーがうまく決まらず1-6で落としてしまう。しかし第2セットの1本目、石川のボレーが決まると流れは早大に。途中、神鳥の気持ちが途切れる場面もあったが、石川のプレーと声かけで流れを取り戻し、第2セットをタイブレークの末に獲得する。10ポイントタイブレークの第3セットも、チームメイトの応援を力に粘り勝ちし、シングルスへと望みをつないだ。

 シングルスはメンバーを変えず、順番のみを変更。S5に入った渡邉優夢(社1=兵庫・相生学院)は、サイドラインギリギリに切り込むストロークの精度が持ち味。多様なボールで攻め込むが、片手バックの相手の回転に頭を使わされる。中盤から徐々に集中力が途切れ、思うような試合運びとならず3-6、1-6で負けとなった。S4の梶野桃子(社1=京都外大西)は先週の筑波大戦勝利の立役者。体の全てを使い、高い打点から叩き込むストロークやひとつひとつ丁寧に拾う粘り強さは、相手を苦しめるのには十分だったはずだ。第1セットで初めてブレークに成功したのは梶野だったが、その後試合の空気は一転。ブレークを返され、第1セットを5-7で終える。雰囲気を変えようとトイレットブレークを挟むが、相手の調子は好調のまま。その後は流れをつかめず、粘り続けるも2セット目を3-6で落とし、敗北となった。

 残るシングルス、3つ全てを勝たなければ早大の勝利はない。続くS3の押川千夏(社3=福井・仁愛女)は体を大きく使ったストロークで深く鋭い球を相手コートに送る。相手の球が上がったところをスマッシュで鮮やかに決めきるスタイルで、第1セットを2-0とする。しかしその後、ボール1個分のバックアウトや白帯に当たるネットなど小さなミスが増え、タイブレークの末、6-7(1)。第1セットを取ることができたのは慶大だった。メディカルケアを受けながら丁寧に試合を運んだが、焦りも拭えず。第2セットも3-6で落とし、早大のトーナメント準優勝が確定した。

 S2の安藤優希(スポ3=東京・日出)は力強く攻撃的なフォアが光り、第1セットを6-3で勝ち取る。両校の応援が響く中、プレッシャーを力に変えることのできる安藤はこのまま流れをキープするかと思われたが、第2セットの流れは慶大の手の中に。安藤にとってバックハンド側となるアドバンテージサイドに深くストロークを切り込まれ、足が間に合わず、上がったボールが相手にチャンスを与えてしまう。相手のミスを誘う球で粘り続けるが、1-6で勝負は第3セットへ。左右に振られる中、果敢に攻めるが、あと一歩及ばず7-10となった。

 S1には神鳥が出場。ダブルスでも対戦した佐藤を相手に、チーム全員の応援を力にコートに立った。落ち着いて始まった第1セットは第1ゲームをいきなりブレーク。次のゲームも取り2-0とするが、相手のコンパクトなテイクバックから繰り出される、コースの読みづらいストロークに振り回される。負けじと神鳥もフォアハンドのストレートや角度のきついショートクロスで相手に触れさせない球を返す。互角のせめぎあいが続き、強い気持ちで戦った神鳥が第1セットを奪った。しかし、やはりそう簡単に勝たせてくれる相手ではない。トイレットブレークを挟んで迎えた第2セット。流れは完全に慶大にあった。相手のサーブやストロークのスピードが上がり、押される中でミスも増え、0-6で第2セットはあっさり終わってしまう。最後の勝負、第3セットは一時、4-2とリードを奪う。しかし、その後は相手のライン際に突き刺さる強烈なストロークに苦しみ、逆転負け。強敵相手に善戦したが、及ばなかった。

 

惜しくも敗れた安藤

 チャレンジャーとして、慶大に正々堂々と立ち向かっていった早大。結果として勝った試合はダブルスの1本のみだったが、どの試合も力の差は僅かだった。チームのために最後まで粘り続け、実力以上の力をも発揮する選手は泥臭くも美しい。そしてそのような姿勢の中で得られた経験やバネとなる感情は、間違いなく勝者より敗者の方が大きいはずだ。今チームの集大成である王座までは残り約3週間。実際にコートに立つメンバーだけでなく部全体が一丸となり、最終調整が始まる。

(記事 田島璃子 写真 山床啓太、高橋優輔)

結果

●早大 1―6 慶大


▽女子ダブルス
D1〇 石川琴実・神鳥舞 [1-6、7-6(4)、10 -6] 佐藤南帆・永田杏里
D2● 前田優歩・齋藤優寧 [2-6、2-6] 平田歩・大川美佐


▽女子シングルス
S1● 神鳥舞 [6-4、0-6、5- 10] 佐藤南帆
S2● 安藤優希 [6-3、1-6、7- 10] 平田歩
S3● 押川千夏 [6(1)-7、3-6] 永田杏里
S4● 渡邉優夢 [3-6、1-6] 今田穂
S5● 梶野桃子 [5-7、3-6] 堤華蓮

コメント

杉田栞主将(社4=埼玉・山村学園)

――今日の試合を迎えるにあたって部員たちにどのようなことを話していましたか

相手が慶応ということでかなり意識していて、前回の春の早慶戦も下馬評ではあちらに分があると言われている中での勝利になって、そこからチームがいい流れに乗って今回の早慶戦を迎えました。それでも自分たちはあくまでもチャレンジャーだし、変にプレッシャーとして捉えることなく慶応のことをリスペクトしながら、本気でぶつかっていこうと。関東1位でいい流れに乗って王座に向かっていけるようにみんなで最後、トーナメントの集大成として頑張りましょう、ということを伝えていました。

――ダブルスの試合を振り返っていかがですか

ダブルスは吉岡(希紗、スポ3=三重・四日市商)のけがのこともあり急遽、前田(優歩、社3=沖縄尚学)・齋藤(優寧、スポ1=岡山学芸館)があまりペアリングの練習をしていなかった中での試合になりました。その中でもいいプレーをしていて、スコア以上にいい内容だったのではないかという手応えはありました。吉岡が今後どうなるかわからないですが、ダブルスの層の厚さも強化していきたいチームの課題でもあるので、そういったところでの希望の光も見えたのかなと思います。石川(琴実、社3=神奈川・白鵬女)・神鳥(舞、スポ2=東京・早実)がインカレの優勝ペアを破って1勝を挙げてくれたのが今日のチームの一番の収穫でした。2人はトーナメント全勝というかたちで終われているので、経験値も上がってきています。今後もプレッシャーとして捉えることなく、チームの要として自信を持って王座に臨んでいってほしいなと思います。(

――シングルスの試合は振り返っていかがですか

シングルスは全て負けてしまったという結果だったのですが、本当に全てどちらに転ぶかわからない展開の試合が多くて。結果として1-6になってしまったということはすごく悔しい思いではあります。慶応側は春の早慶戦から足りないところを全部補ってきて、修正してきたなと感じました。どっちに転ぶかわからない展開でしたが、粘り強さであったり体力であったり、気持ちの面の強さなどで、やはり勝負強かったのは慶応だなということが表れたシングルスだったかなと思います。その中でも全員、気持ちを出してプレーできていましたし、課題も個々に見つかるような試合内容だったので、今後修正していきたいと思います。

――慶応とは王座でもあたる可能性がありますが、そこではどのような戦いをしていきたいですか

早慶戦が春、秋で1勝1敗ということでどちらがこの年の早慶戦を制するかという、1勝1敗で回ってきた早慶戦が王座という舞台になればいいなと思っています。私たちは失うものはなにもないということもありますし、チャレンジャーとしてやってきたので、これまでの経験や悔しさをすべて王座に持っていって、慶応をリスペクトしながら思いきり戦っていければなと思います。

――王座に向けての意気込みをお願いします

選手もサポートもチーム全体としての課題ももちろんあるのであと3週間、しっかりと一日一日を大切にして修正していきたいなと思います。あとは王座奪還という目標に去年の王座の開催の叶わなかった分も含めると2年分の思いがつまっていて、私たち4年生も1年生の時以来の王座優勝の景色が見たいと思いながら部活を頑張ってきたので、その思いを全部持っていって、王座奪還という目標を最高のかたちで実現できるように頑張っていきたいなと思います。