スーパールーキー小林雅、インカレ初優勝!

庭球男子

 猛暑の岐阜で、連日開催されてきた全日本学生選手権(インカレ)もついに最終日。学生日本一を決める決勝戦を迎えた。早大からは男子シングルスに小林雅哉(スポ1=千葉・東京学館浦安)が出場。中大の望月勇希を相手にフルセットの激戦を制し、1年生ながら初優勝を果たした。男子ダブルスは今大会第1シードの小堀良太主将(スポ4=東京・大成)・坂井勇仁(スポ2=大阪・清風)組がここまで順調な勝ち上がりを見せてきたが、決勝では慶大ペアの勢いを止めることができず。昨夏の関東学生選手権、全日本学生室内選手権、今春の関東学生トーナメントに続く四つ目のタイトル獲得はかなわなかった。

 「気力で勝ち取りました」(小林雅)と語る通り、まさに死闘であった。決勝の相手は同学年でジュニア時代から何度も対戦している望月勇希(中大)。序盤から相手のパワフルなショットに翻弄(ほんろう)されながらも、粘り強いラリーで応戦し、タイブレークの末第1セットを奪った。しかし、第2セットは立て続けにサービスゲームをブレークされ、4-6で落としてしまう。栄冠の行方はファイナルセットへ持ち越された。次第に足が止まりはじめ、ミスが目立つようになる。1-3とリードを奪われる苦しい展開となるが、部員、コーチ陣の声援が小林雅を後押しした。「応援の力のすごさを改めて実感しました」(小林雅)と語るように、力を取り戻した小林雅はそこから5ゲームを連取する。優勝を決めた瞬間、「信じられないという気持ちでした」(小林雅)と振り返るように、小林雅はラケットを落とし、立ち尽くした。1年生でのインカレ男子シングルス優勝は19年ぶりの快挙。プレーしている選手だけでなく、まさにチーム全員で、最後は気力でタイトルを勝ち取った。

優勝の瞬間、喜びをかみしめる小林雅

 女子部と合わせての単複四冠に期待がかかる中、行われた男子ダブルス。今大会第1シードとして臨んだ小堀・坂井組は危なげなく決勝まで駒を進めた。頂点を争う相手は逸崎凱人・畠山成冴(ともに慶大)組。試合開始早々、審判のジャッジに首をかしげる場面が続き、相手に流れを持っていかれてしまう。相手ペアのサーブアンドボレーを中心としたスピーディな攻撃についていけず、第1セットを1-6で落とした。第2セットは調子を取り戻すも、互いに譲らないシーソーゲームに。「セカンドセットでこっちにチャンスが来ていたが、そこで突き放すことができなかった」(坂井)と語るように、粘り強く応戦してくる相手に差を広げられず、タイブレークにもつれ込む。ファイナルセットに持ち込みたい早大ペアであったが、タイブレークでは相手の集中力が勝り、惜しくも敗北。小堀主将の最後のインカレで有終の美を飾れず、苦杯をなめた。この結果に坂井は悔しさをにじませつつも、「一週間後から始まるリーグ(関東大学リーグ)でリベンジのチャンスが来ると思う」と意気込む。この悔しさをバネに、主将ペアのリベンジに期待したい。

インカレは2位に終わった小堀・坂井組

 土橋登志久監督(平元教卒=福岡・柳川)以来となるインカレ四連覇への期待がかかる小林雅だが、「四連覇に挑戦するチャンスがもらえただけ」(小林雅)とあくまで謙虚だ。『勝って兜の緒を締めよ』、強いワセダの秘訣はここにあるのかもしれない。小堀主将は今週末から始まるリーグに向けて、「チーム一丸となって優勝したい」と強く語った。4年生の集大成となる日本大学対抗王座決定試合での連覇を目指す早大庭球部の活躍から、今後も目が離せない。

(記事 松澤勇人、写真 熊木玲佳)

結果

▽男子

シングルス決勝
○小林雅哉7-6(1)、4-6、6-3望月勇希(中大)

ダブルス決勝

●小堀良太・坂井勇仁1-6、6-7(3)逸崎凱人・畠山成冴(ともに慶大)

チャンピオンスピーチ

小林雅 まずはじめに、この大会を運営してくださった学連の皆さま、ありがとうございました。そして、最後まで応援・サポートしてくださった両親、コーチ陣の先生方、先輩方、ありがとうございました。優勝することができてとてもうれしいです。苦しい場面もありましたが、先輩方やコーチ陣の皆さまの支えのおかげで、この舞台を戦い抜くことができました。ありがとうございました。らいねんもこの舞台で戦えるように頑張りたいと思います。ありがとうございました。

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コメント

小堀良太主将(スポ4=東京・大成)・坂井勇仁(スポ2=大阪・清風)

――決勝戦を終えた今の率直な気持ちをお聞かせください

小堀 優勝を狙ってきていたので、決勝で負けてしまって、悔しい気持ちでいっぱいです。

坂井 悔しいんですけど、1週間後から始まるリーグ(関東大学リーグ)でリベンジのチャンスが来ると思うので。しっかり準備していきたいと思います。

――相手のペアの印象はいかがでしたか

小堀 サービスゲームに関してはファーストサーブが入っていて、隙がないなと。タ 攻撃力もあって、守備力もあって、バランスが取れている良いペアだなと思いました。

坂井 僕は何回も対戦したことがあって、どういうペアかというのは分かっていました。ファーストセットはジャッジでもめて、流れを持って行かれてしまって。セカンドセットでこっちにチャンスが来ていたのですが、そこで突き放すことができなかったのがきょうの敗因だと思います。

――今大会全体を振り返って

小堀 僕は4年で最後のインカレ(全日本学生選手権)だったので、全力でやっていて。決勝まで来れたのは良かったのではないかなと思います。最後優勝したかったですけど、決勝まで進めたので最低限のことはできたかなと感じています。

坂井 単複でもう一つ、二つ勝ち上がりたかったというのが本音です。今の実力をしっかり受け止めて、リーグまで練習に励んで、リーグ、王座(全日本大学対抗王座決定試合)を連勝で終えれるように頑張りたいと思います。

――リーグに向けての意気込みをお願いします

小堀 しっかり切り替えて、チーム一丸となって優勝したいなと思います。

坂井 個人戦と団体戦はまた別なので、チームの力を借りて、何としてでも勝ちをもたらしたいと思います。

小林雅哉(スポ1=千葉・東京学館浦安)

――優勝おめでとうございます!今の率直な気持ちをお聞かせください

1年生対決ということで、緊張はしていなかったんですけど、勝ててすごくうれしいです。勝った瞬間は信じられないという気持ちでした。

――ご自身初のインカレ(全日本学生選手権)でしたが、どのような意気込みで今大会に臨みましたか

インカレ優勝を目標にしていました。初戦から危ない試合が続いて、でもなんとか勝ちにこだわるテニスができてよかったと思います。

――決勝まで、まさに破竹の勢いで勝ち上がってきましたが、これまでの勝因は何だと思いますか

諦めない気持ちは常に持っていて、それを絶やすことなく持ち続けられたのが良かったのかなと思います。勝ち上がるにつれて相手もどんどん強くなっていく中で、自分も徐々にペースを上げていくことができました。

――決勝は同学年の望月勇希選手(中大)との対戦となりましたがどのような対策をしましたか

ジュニアの頃から何度か当たったことがあってストロークがすごくうまい選手だというのはわかっていたので、自分が浅い球を打って簡単にやられてしまわないように、深くしっかりとラリーをつなげることは常に意識しました。

――3時間を超える、まさに死闘となりました。ご自身ではどのように振り返りますか

すごく長かったです(笑)。それに加えて暑さもあったので、正直もっと(長く)やってるかと思ったんですけどね(笑)。ファイナルセットは頭がぼーっとしていて、大丈夫かなと心配になりました。とにかく自分で声を出して、気力で勝ち取りました。

――他の部員やコーチ、OBの方々などの応援が印象的でしたが、声援は力になりましたか

やはり先輩方やコーチ陣の応援はすごく力になります。特にポイントを簡単に落としてしまったときに、しっかりと声をかけてくれるというのは僕にとっては本当に力になりました。これは他の選手も同じだと思います。応援の力の凄さを改めて実感しました。

――今大会を通じて成長を感じた点は

成長したとは言い切れませんが、気持ちの面では一段と強くなれたかなと思います。

――1年生でのインカレ優勝ということで、土橋登志久監督(平元教卒=福岡・柳川)以来となる四連覇が期待されると思います。今後について意気込みをお願いします

僕は土橋監督が成し遂げた四連覇に挑戦するチャンスがもらえただけなので。まずはらいねん、今大会で足りなかった課題などをしっかりと一年後までに練習して、またこの舞台に戻ってきたいと思います。