連載第３回には、齋藤光星（スポ３＝静岡・加藤学園）と下田将大（スポ３＝三重・四日市中央工）をお迎えする。柔道部生活も３年目に突入。この早慶対抗戦（早慶戦）を終えると最上級生としてチームを率いることになる。次世代を担う二人は、早慶戦にどのような気持ちで臨むのか。
※この取材は１０月２２日に行われたものです。
「上級生になって後輩のことを考えるようになった」（齋藤）
今季を振り返る齋藤
――まず、今季の個人戦の結果について振り返っていただいてよろしいでしょうか
齋藤 ・・・全然良くないです（笑）。２回戦負けで本当に申し訳ないというか、全然ダメでした。下級生が頑張っていた中、自分は団体戦でなんとか盛り返したというか先輩の威厳を保てたなあと思っています。
下田 ・・・同じです。
齋藤 ずるい（笑）。違うじゃん（笑）、対談じゃないじゃん（笑）。
下田 まだ全国大会に出ていないので、悔しいというか焦りが大きいですね。
――団体戦の方は振り返っていかがでしたか
齋藤 団体戦は一応全部出られて、東京（東京学生優勝大会）ベスト８に貢献できたのはうれしかったですね。東京と全国（全日本学生優勝大会）では日大戦で気持ちが入っていてしかも同じ相手と対戦だったのですが、２連敗を喫してしまったので、もう少し対策を練られたらな、反省を生かしきれていないかな、と思いました。
――それぞれの立場から見て、今年はどんなチームだと思いますか。強みなどがあれば教えてください
下田 今４年生が強いんですよね。４年生が断とつで強い人が集まっていて人数も多くて、４年生に引っ張ってもらっているチームかなとは今のところ思います。
齋藤 その通りで、今の４年生にチームを引っ張ってもらっている部分がすごく大きいと思うので、逆に来年が心配というか、不安な気持ちになります。
――過去２年間の早慶戦を振り返っていただいて、印象に残っていることはありますか
齋藤 １年生で初めて出たときの早慶戦が自分の中で１番印象に残っています。２０人対２０人の勝ち抜き戦で最後大将同士になるというのはすごく力が拮抗（きっこう）しているということなので、見ているほうとしても面白かったです。
下田 自分は１年生のときケガで出られていなくてサポート側として見ていたのですが、大将戦になって面白かったです。昨年の早慶戦は強くて全国でも活躍する２人をどう止めるかということがカギになっていたのですが、それに対して２人目の段階でうちの選手が投げたり押さえ込んだりして勝てました。昨年は勝てるかどうか不安があったので、そこで勝てて自分もチームの一員として出られたので嬉しかったですね。
――過去２度早慶戦を経験して、慶大はどんなチームだと思われましたか
下田 後藤隆太郎（慶大）という世界を取っている選手が１人いるのですが、その人をどう止めるかがカギになると思いました。その人のワンマンチームというわけではなくて周りもしっかりしてるのですが、その人がずば抜けているので、早大側からしたらそこをどうするかという感じです。
――早大の作戦としては現段階でどう戦っていきたいですか
下田 ことしは大将に後藤隆太郎がくると思うので、それまでにどれだけ貯金ができるかに懸かっていると思います。できればほとんどの人が１回勝って次引き分けて、また次の人が１回勝って引き分けでやっていけば良いと思うので、早大側としてはそういう戦い方をしていきたいです。
――昨年は総力戦だったと思うのですが、ことしもそのようなスタイルでいくのですか
齋藤 そうですね、後藤隆太郎さえ抜けてくれれば・・・（笑）。昨年後藤を取ってくれた長谷川先輩（公輝、スポ４＝新潟・三条）が出ると思うので、また取ってくれると信じています（笑）。
――お二人は今３年生ですが、３年生になって１、２年生の時から変化したことはありますか
齋藤 自分は下級生の時は自分だけ強くなれば良いと思ってがむしゃらに柔道をしていたのですが、上級生になって後輩のことを考えるようになりました。トレーナーに「お前そういうところが足りない」と言われたので・・・（笑）。もうちょっとちゃんと後輩を指導しろと言われたので（笑）、教えていかないといけないなというのを３年になって痛感しました。
下田 そんなに変わっていないです（笑）。まだまだ先輩たちに頼っている部分が大きいですね。大きくは変わっていないのですが下の学年の選手たちが活躍してくれているので、それは結構刺激になっています。
二人の素顔に迫る
笑いの絶えない対談となった
――この対談の組み合わせは「次世代を担うスポーツ推薦対談」というくくりになっております。お二人が早大に入ったきっかけなどを教えていただけますか
齋藤 自分は先輩が誰もいなかったのですが、早稲田のOBの方が高校の時の東海大会にいらっしゃったのがきっかけです。
下田 僕はちょうど自分が入ったときのキャプテンが同じ高校出身の人なのですが、その人が同じ高校から初めて早大に入ったので少し興味はありました。自分は高１の頃から早稲田の監督に声をかけてもらっていたので、進路選択の時期がきてとりあえず第１希望はすぐに早大に決めました。
――お二人が初めて出会ったときのことをお聞きしたいのですが、どのような印象がありましたか
下田 初めて試合をしたのが同じ東海圏内なので東海ジュニア（全日本ジュニア体重別選手権東海地区予選）という大会でした。自分は齋藤のことを全然知らなかったのですが、試合をして秒殺されて、「なんやこいつ」と思いました（笑）。そうしたら次の年になってもまたいたので「同じ学年か」、と思って（笑）、またそうしたらこいつも早大を受けるらしいと聞いて、「まじかよ」と（笑）。
齋藤 自分は最初に会ったのはそれではなくて、その前に団体戦の東海大会のときに１回見ていて。「なんだこのいかつい奴は、むちゃくちゃ怖っ」と思いました。
下田 は（笑）？
齋藤 むっちゃ怖かったの、あの時。坊主で。
下田 みんな坊主やんけ（笑）。
齋藤 違うじゃん、お前は違ったよ１人だけ（笑）。こいつむっちゃ強いし、怖いし、どんな奴なんだろうと思いました。そしてさっき言っていた大会で当たりました。
――オーラが違ったのですか
齋藤 オーラが違いましたね。全然違いました。怖かったです。めっちゃ強そうでした。絶対やりたくないなあと思いました。
――実際初めて試合されたときは、お互いの柔道の印象などはいかがでしたか
下田 内股一発で終わって１５秒ぐらいでやられてしまいました。
齋藤 そのときはあまりどういう柔道かよく分からなかったのですが、その後国体の予選で１回やって、こういう柔道なんだと分かりました。もっと背負いとかではなくてオーソドックスに固めてくるのかと思ったのですが、意外ときれいでうまい柔道をしているなあと感じました。
下田 投げる力がやばい（笑）。力技がすごいですね。
――今３年生の中で流行っていることなどはありますか
下田 齋藤の一発芸（笑）。
齋藤 違いますね（笑）。同じ学年というよりは先輩や後輩といるときのほうが多いので、同じ学年で流行っているということはあまりないですね。あるとしてもたぶん部全体や寮全体で流行っているということになると思います。
――では部全体や寮全体で流行っていることはありますか
下田 ないな・・・（笑）。ポケモン（ＧＯ）も終わったしなあ。
齋藤 でも結構みんなゲームをやっている人が多いですね。モンスト（モンスターストライク）とか。携帯ゲームなど各部屋でゲームをしている人が多いです。みんなゲーマー。
――ゲーマーが多いのですね
齋藤 印象悪いな（笑）。違うな。トレーニングが流行っていますよ（笑）。
下田 そう、トレーニングトレーニング（笑）。
齋藤 ウエイトトレーニングが流行っています（笑）。体を鍛えています。
――オフの日は何をして過ごされていますか
齋藤 自分は勉強です。要領が悪いので・・・（笑）。オフの日は・・・寝ちゃうよね？（笑）
下田 オフの日は寝ます。オフの日の前の日にゲームをしたり映画を見たりして夜更かしをしてしまいます。映画を見て１、２時ぐらいになって寝たら、次の日オフだから（起きる時間が）１０、１１時ぐらいになって、ご飯を食べに行って、お腹いっぱいになって気持ちよくなって昼寝します（笑）。
――まったりとしたオフを過ごされているのですね
齋藤 他の部はオフが月曜のところが多いのですが日曜がオフなので、丸１日何もなく授業もなく結構ゆっくり休めます。
「４年間勝ち通したい」（下田）
その目はまっすぐ早慶戦を見据えている
――今回３年生として早慶戦を迎えますが、下級生の頃と気持ちの違いはありますか
下田 とりあえず勝ちたい。１年生からずっと勝っているから、４年間勝ち通したいとは思っています。
齋藤 その後の祝勝会が怖いな・・・（笑）。まだ勝ったことしかないので、負けたときの雰囲気や対応がどうなのか怖さがあります。
下田 そんな変わらないよ。
齋藤 変わらない？え？知ってるの？
下田 見に行った。
齋藤 俺らが高３の時に負けたの？
下田 負けた。
齋藤 あ、そうなんだ。そんな変わらないんだ。・・・まあでもそれが怖いです（笑）。だから気持ちとしては特には変わらないです。勝ちたい。
――早慶戦ではここを見てくれ！というご自身のアピールポイントを教えてください
齋藤 左右の技と言いますか、左も右も技を結構使うので、そういう技に注目してもらえたら良いかなと思います。
下田 自分は投げ技もあるのですが、どちらかというと寝技を得意としています。相手がつぶれたら（寝技に）いくと思うので、そこに注目してほしいですね。
――最後に改めて意気込みをお聞かせください
齋藤 絶対勝ちます。
下田 たくさん抜きます。齋藤より活躍します（笑）。
齋藤 ずるくない？（笑）
――ありがとうございました！
（取材・編集 藤岡小雪）
勝利への強い思いがうかがえる色紙になりました
◆齋藤光星（さいとう・こうせい）（※写真左）
１９９６年（平８）１月１８日生まれ。身長１７２センチ。静岡・加藤学園高出身。スポーツ科学部３年。「自分は黒いけれど焼いていない」という齋藤選手。屋根に登って焼いている部員さんもいらっしゃるそうです。白い道着に映えますね！
◆下田将大（しもだ・ゆきひろ）（※写真右）
１９９５年（平７）９月２１日生まれ。身長１７３センチ。三重・四日市中央工出身。スポーツ科学部３年。高校１年生の時から早大進学を考えていたという下田選手。早慶戦では、その「早大」の名を背負って輝く姿に期待です