「1本差」で明暗分かれ無念の敗戦

弓道

 平成28年度東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)初戦を白星で飾った早大は、昨年1本差で黒星を喫した宿敵・東大と対戦。序盤は早大のペースとなるが、徐々に差を詰められると最終立で逆転を許す。最終的中を114-115とし、奇しくも2年連続で同じ相手に1本差で敗れるという屈辱を味わった。

 1立目の初立から早大の射が光った。3人が皆中を出すなど、東大の9中に対し14中とリードを奪う。弐ノ立を終え5本差をつける順調な滑り出しとなった。2立目も的中を重ね、優位に立ったまま迎えた3立目。初立の大前を任されたルーキー渡邊顕士(社1=東京・日体荏原)が集中力を切らさず的を射抜きこの日2度目の皆中を出す。清水雄貴(人3=東京・早稲田)や中村浩太郎(創理3=東京・芝浦工大高)も高的中を披露し13中。弐ノ立は大前の竹沢剛(社1=北海道・札幌第一)から大落の大久保侑主将(スポ4=岩手・福岡)までの流れるような射で14中とし、この時点でトータル72-65。この勢いのまま勝利へ突き進むかと思われた。

高的中を出しチームを引っ張った中村

 流れが変わったのは4立目。ここから東大の猛追が始まる。東大が弐ノ立で14中をたたき出すと、安定した的中を見せていた廣瀬智紀(人3=静岡・清水東)が4射1中と苦しむなどプレッシャーに押され思い通りの射ができない。落前までの3人が何とか留め矢を詰め大久保主将の的中が期待されたが、ここを外し9中に終わる。「集中力の部分で、何か欠いている選手が多かった」(大久保)という言葉の通り、ここ一番での精神力の弱さが露呈したかたちとなった。91-92と薄氷の差で迎えた最終5立目。初立は早大が11中、東大が14中でついに逆転されてしまう。弐ノ立では大久保主将が皆中を決めるも11中に終わり、東大が10中以上を出せば敗戦という窮地に立たされた。東大は全員が3射目を終えた時点で6中。落前までが留め矢を詰め、勝負の行く末は大落の一射に委ねられた。その場の全員が固唾(かたず)を呑んで見守る中、大落が放った矢は無情にも的に吸い込まれ、早大の逆転負けで白熱した戦いに終止符が打たれた。

安定した的中数を見せる清水

 「自分がワセダを引っ張っていけるような的中を出していけたらいい」と頼もしい言葉を残した竹沢ら1年生が結果を残し収穫もあったのは確かだ。しかし、中盤以降は本領を発揮することができず、またしても「あと1本」届かなかったきょうの試合。悔しい敗戦となったが、来週には「因縁の相手」(大久保)と位置付ける中大との一戦が控えている。気持ちを切り替え、悲願の1部復帰へ向けた再スタートを切る。

(記事 川浪康太郎、写真 滝沢凛)

※平成28年度リーグ戦は平成27年度に行われます。

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結果

初立

大前 渡邊顕士(社1=東京・日体荏原) 20射16中

弐的 幸明千尋(スポ1=東京・城北)    16射10中

   手塚達也(政経4=東京・早大学院) 4射3中

落前 清水雄貴(人3=東京・早稲田)   20射16中

大落 中村浩太郎(創理3=東京・芝浦工大高) 20射17中

弐ノ立

大前 竹沢剛(社1=北海道・札幌第一)  20射14中

弐的 倉持洵(スポ2=東京・国学院久我山) 8射3中

   岡本裕太(先理1=東京・早大学院)  12射7中

落前 廣瀬智紀(人3=静岡・清水東) 20射14中

大落 大久保侑(スポ4=岩手・福岡)  20射14中

コメント

大久保侑主将(スポ4=岩手・福岡)

――率直にきょうの勝敗を分けた要因はどこにあるとお考えですか

色々な試合の流れなどもあるとは思うのですが、見ていて相手の方が上手く中てているなと思ったので、そこの実力差というのが、流れは無視して光景だけ見たときに要因になってしまったのだと思います。

――きょねん敗れた東大相手でしたが、どのような気持ちで臨みましたか

きょねんも自分たちが崩れて負けてしまった感じがあったので、ことしは崩れないようにしていけたらなと思いましたしそういった声かけをしていたのですが、崩れる以前の問題があったかなという印象でした。

――4立目の弐ノ立では9中に終わりましたが、その原因は何でしょうか

自分自身もあまりチームを引っ張れていなかった4回目でしたので、自分自身にも要因があるのですが、全体として4回目というのは立にも慣れてくる回数なので、集中していればいつも通りの射というのはおそらくできるとは思うんですよね。ただそこの集中力の部分で、何か欠いている選手が多かったのかなという印象です。

――5立目はプレッシャーのかかる場面で皆中を決めましたが、手応えはありましたか

1年生の時から最後まで諦めるなというのはよく言われていましたし、今回の試合自体も自分自身があまり引っ張れていない状況だったので、とにかくここは最後まで諦めずに相手にもプレッシャーをかけるという強い決意を持って立に臨んだ結果として4が出てくれたのかなとは思います。

――チームメイトへの声かけも多く見られましたが、主将としてどのような言葉をかけられましたか

引いている部員の子たちのクセとかはだいたい頭に入っているので、ここでこういった声かけをしてそれ通りに引いてくれれば、悪い矢は出ないだろうと思っていました。とにかく早い段階で良い流れを作りたかったので、前で引いている人たちを中心にここではあまり流れを崩したくないという場面では声をかけていました。言葉の内容としては、迷わずに強く引けといった言葉が多かったと思います。

――そのような中、下級生の活躍も目立ちました

下級生自身が試合に出てくれるということは非常に嬉しいのですが、まだまだきょねんのレベルに比べると出ているだけというような印象なので、今後もっと個人個人の立の的中を伸ばしていけるようになり、それが試合で出せた時に初めて褒めてあげたいと思いますが、今は試合でもう少し中てられる子だと思ってるんですがあまり伸びてないのが現状なので、そこに関してのコメントは今のところはないかなと思います。

――次の試合への意気込みを聞かせてください

毎年、中大とは競射をやったりとかで因縁の相手というような印象なのですが、まずは自分たちの今回できなかったことを相手にとらわれずにやって、その結果として的中がついてきてくれて相手に勝てれば良しですし、あとはそれ以外の面で、相手に劣る部分が見つかれば、まだまだシーズンは続くのでそこは直していかなければならないです。中大との試合だけにこだわらずに、そこにこだわってしまうと、勝てば良いのですけど負けたときに次の試合にも悪い影響が出てしまうと思うので、とにかく相手を意識せずに自分たちがきょうまでできなかったこと、きょうまでできたことをどちらもできる状態を作り出せる練習をしたいですし、そういった試合にしたいです。

清水雄貴(人3=東京・早稲田)

――ご自身の調子はいかがでしたか

第一週の試合ではわりと良い感じでこられたのですが、少しきょうは矢が出てしまったのが目立ったなと思います。

――きょうの試合を振り返っていかがですか

チーム全体として1回ごとにあと1本詰められるところがなかなか詰められずに、それが3回目で一回良い流れになったのですが、それが続かなくて流れに乗り切れずに、最終的に向こうのチームの勢いに圧されて、負けてしまったと思っています。

――今後の展望をお聞かせください

まだ試合は2試合残っていますし、その2試合しっかりと勝っていけば、順位決定戦にいって、また勝てば入れ替え戦にいけますので、ここであまり負けにこだわらずに、しっかりと前を見て、良い流れであと2試合乗っかっていけるように、チームとして頑張っていきたいと思います。

竹沢剛(社1=北海道・札幌第一)

――初めての東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)ということで緊張はありましたか

前回の試合に比べるとやはり緊張しました。少し甘く見ていた相手というか、正直少し下に見ていたので余裕を持っていこうと思ったら逆にそれで固まってしまった部分があってうまく引けない部分が多かったです。

――ご自身の的中についてはどのように捉えられていますか

実力相応の部分が多いので練習などでも試合では外すだろうなというような矢がたくさん的に中ってしまっていたので、もう少し練習から試合を意識した射をしていけたらなと思います。

――試合中に修正した部分はありますか

焦って引きすぎている部分があったので、弓手と妻手の真っ直ぐ均等に引くっていう意識を積みました。

――きょうの試合の流れはどのように捉えられていますか

やはり三立目で少し差をつけたといって油断していたせいか後半の二立で一気に的中が下がってしまって、結局そこで東大が良い的中を出してきたというところで、それも逆に焦りにつながったのではないかなと思います。今後はもっと相手に捉われないようなコンスタントな射をしていけるようにしていけばもっと良いチームになると思います。

――今後の意気込みをお願い致します

自分がワセダを引っ張っていけるような的中を出していけたらいいなと思います。