全日本総合選手権の本戦がスタート。それぞれが実力を出し切った試合に

バドミントン

 全日本総合選手権(総合)の本戦がいよいよ開幕した。早稲田からは小野寺雅之(スポ3=埼玉栄)、大林拓真(スポ2=埼玉栄)、緑川大輝(スポ1=埼玉栄)、吾妻咲弥(スポ3=福島・富岡)、吉田瑠実(スポ1=埼玉栄)の5人が出場。
 小野寺・岡村洋輝(日本ユニシス)組の男子ダブルス、大林のシングルス、緑川・齋藤夏(ACTSAIKYO)組のミックスダブルスは見事2回戦進出を決めた。吾妻・吉田組の女子ダブルスは、健闘むなしく初戦敗退。吾妻は小野寺とペアを組みミックスダブルスにも出場したが、勝ち進むことはかなわなかった。勝ち進んだ三人はあすの2回戦に臨む。

★粘りの返球を見せるも格上相手に敗北/女子ダブルス

相手のスマッシュにも負けずレシーブした吾妻・吉田(左)組

  吾妻・吉田組は昨年度の全日本総合で優勝を果たした福島由紀・廣田彩花組(アメリカンベイプ岐阜)に挑んだ。序盤は互いに点を取りあうが、イレブンを先取されると流れは一気に相手ペアへ。世界ランキング2位の実力を持つだけに、そう簡単には点を決めさせてくれなかった。相手の球を返球することはできても、得点につながる1本を打つことができない。第1ゲームを9-21で終えることとなった。続く第2ゲームは四方に動かす相手のプレーに苦しめられ、そのままゲームセット。二人のダブルスでの挑戦はここで幕を下ろした。
 格上の対戦相手に敗北を喫したものの、決して二人の調子が悪かった訳ではない。「普段男子の球をレシーブする練習をしているのでそこの部分ではあまり怖い球っていうのはなかった」と吾妻が振り返るように、相手のスマッシュにも何度も対応。日ごろの練習を生かした、二人の粘り強さが感じられる試合となった。女子主将を務める吾妻と、上級生になる吉田。この全日本総合での経験を生かし、これからの女子チームを引っ張る存在となるだろう。

(記事 渡邉彩織、写真 山本小晴)

★『自分たちのプレー』がカギとなったミックスダブルス。主将ペアは初戦敗退に終わる/ミックスダブルス

二人で声を掛け合いながらプレーをした

 ミックスダブルス本戦に出場したのは、小野寺・吾妻組と緑川・齋藤組の2組。小野寺・吾妻組は岡村・星組(日本UNYSIS)との対戦となった。小野寺にとっては、普段ペアを組んでいる岡村との戦いだったが、「特に何も考えていなかった」と語ったように、ネットを挟めば敵同士。ミックスダブルスの経験値が上回る相手に対して、小野寺が積極的に前衛に入り、定石とは異なるものの個々の力を生かしたスタイルで応戦した。12本、11本で敗れてしまったが、「楽しく終わることができた」と試合後に吾妻は話し、二人のミックスダブルスはここで幕を下ろした。
 一方の緑川・齋藤組はきょうも順調に点数を重ねて2-0。きょうまでの3試合、失点は最小限に抑え、その理由を「自分たちのプレーができている」(緑川)と分析した。あすは同じB代表に選出されている浦井(丸杉)・宮浦(ヨネックス)組が相手だが、『自分たちらしさ』をもって試合に臨めばおのずと勝利は見えるだろう。

(記事、写真 山本小晴)

結果

▽男子シングルス

大林拓真〇2-1(16-21、21-9、21-14)小野寺(淑徳巣鴨中学高等学校教職員)



▽男子ダブルス

小野寺雅之・岡村洋輝(日本ユニシス)〇2-0(21-8、21-15)河村・川本(埼玉栄高)



▽女子ダブルス

吾妻咲弥・吉田瑠実●0-2(9-21、7-21)福島・廣田(アメリカンベイプ岐阜)



▽ミックスダブルス

吾妻・小野寺●0-2(12-21、11-21)岡村・星(日本ユニシス)

緑川大輝・齋藤夏〇2-0(21-13、21-8)三浦・大迫(丸杉)


コメント

小野寺(スポ3=埼玉栄)・岡村洋輝(日本ユニシス)

――きょうの相手はお二人の高校の後輩で、向かわれる立場というのはいかがでしたか

小野寺 相手は向かってくるんですけど、そこは引かずに、自分たちの勝ちたいっていう気持ちを出しました。向こうよりも、勝ちたい気持ちも、負けられないっていう思いも強かったので、それが上回ってああいうかたちになったのだと思います。

岡村 後輩なので、負けられないというのが一番強くて。緊張したんですけど、実力通りに力を出せれば負けないので、相手の気持ち以上に入れば大丈夫だと思って入りました。よかったと思います。

――差をつけて勝利できたのはその気持ちの部分が大きいということでしょうか

小野寺 そうですね。

――2ゲーム目は相手も食らいついてくるプレーが見られましたが、きっちり点差を広げられた要因は

小野寺 最初は向こうも緊張していたと思うんですけど、普通にやっていたらああいうかたち(2ゲーム目、相手ペアがシャトルに食らいつく)になると思います。でもそこで、自分たちの何でもないミスが少なかったです。そこらへんは差を広げたところだと思います。

岡村 そうですね。(小野寺と)同じで、1ゲーム目も向こうが緊張していなかったらそういうプレーになっていたと思います。2ゲーム目は相手が食らいついてくる中で、あっちの方がサーブ周りのミスが多かったのかなと思います。ちょっとしたミスがこっちの方が少なかったです。

――ベスト4というのはお二人にとって、越えたい壁だと思うのですが、何か今大会において目標はありますか

小野寺 ベスト4を目指しているんですけど、何が起こるか分からないので、1戦1戦やっていかないと、と思います。まだ明日もあるので、もう1回二人で話し合って、また明日勝ったら次の日って、先のことを考えずに、手前の1試合を二人で頑張りたいと思います。

岡村 同じですね(笑)。1戦1戦。去年はベスト4だったので、できればそれ以上を目指したいんですけど、1戦1戦いきたいです。

大林拓真(スポ2=埼玉栄)

――今大会は前々から照準を合わせていた大会だと思うのですが、どのようなことを意識して練習はされましたか

 インカレ(全日本学生選手権)では万全の状態で臨めなくて。大会となると万全な状態で臨むのは難しいんですけど、調子を上げるとかじゃなくて、基本的なこと、それができないままインカレに臨んでしまいました。今回は総合前に遠征もなくて、結構実業団の練習に参加させてもらったり、早稲田で練習したり、練習することが多かったです。それで調子を上げていこうと思っていました。自分の中ではいつもの総合よりはしっかり準備して臨めたと思っていたんですけど、緊張とかアップ不足で1ゲーム目を取られてしまいました。勝ったんですけど、自分の中では納得のいく試合ではなかったです。また明日頑張ろうと思います。

――第1ゲームを取られ、その後の試合では優位に立てている場面が多かったと思うのですが、切り替えられた要因は

 結構、全日本総合の1回戦はあんまりで、去年も1回戦で高校生相手に2ゲーム目を取られてしまいました。すごく緊張するタイプで、ナショナルのことも考えながらの1回戦だったので。1ゲーム目取られてから、負けてもいいやじゃないですけど、そういうのは何も考えず、勝ち負けを考えずに、自分の持てる力を全部出そうと思いました。その結果、やっぱりラリーするっていうところだと思いました。作戦とかではなくて、最低限のことをやりました。

――開き直った結果、良い方向に向かった、と

 そうですね。

――第2ゲームの中盤アクシデントで試合が中断されましたが、自分のペースを乱されることはなかったですか

 海外の試合でも、相手が足が痛いとかでレフェリーを呼んで試合を止めることもあるんですけど。アクシデントにしてはちょっと長すぎましたね。でも、2ゲーム目と同様で、何も考えないで最低限のことをしようと思いました。ミスらずラリーしようっていうのを心がけてやったから点差も縮められずに勝てたんだと思います。

――1つ1つのショットの精度が高かったように思うのですが

 攻撃して、特にラウンドからスマッシュをストレートで打って、相手がクロスに上げてやられる場面が多かったです。ずっと調子が良くなくて、国際大会でも全然勝てなくて。自分は、ラリーして攻撃するっていうのがプレースタイルなので、攻撃の部分は総合まで意識して練習していました。それが今の試合ではうまくいかなかったです。うまくいかないなりに、ラリーして攻撃して考えようと思っていました。1ゲーム目は全然いいショットがなかったですし、四隅を狙ったり、2ゲーム目から落ち着いてできたかなと思います。

――今大会の目標は

 あしたの相手は、こないだの韓国の大会でけがで棄権している相手で。先輩でもありますし、自分よりも格上なので、きょうみたいに焦って1ゲーム目を取られることは考えなくていいと思います。自分の今持っている力を出し切って勝てるか、もちろん勝ちにこだわるんですけど、それよりも自分が今できるプレーを全部できるように頑張ります。

緑川大輝(スポ1=埼玉栄)・齋藤夏(ACTSAIKYO)※囲み取材より抜粋

――1回戦を突破しましたが、いかがですか

齋藤 とりあえずよかったです。自分たちのプレーも出せました。

緑川 今回の大会はシャトルが全然飛ばなくて。自分らは多分飛ばない方が強いので、やりやすかったです。自分たちのやりやすい感じだと思います。調子良くできているので、このまま明日も頑張りたいです。

――シャトルが飛ばない方がやりやすいというのは

緑川 自分らは力とかパワーがあるわけではないので、やっぱりスマッシュが速いとレシーブの面で少しぼろが出ちゃって。そういった面では、飛ばないので、ラリーが続くというのがあります。

――あすの対戦相手は同じB代表のペアですね

齋藤 合宿の練習でもよくやっているので、お互いのやり方は分かっているので、全力でプレーします。プレッシャーとかはないので。

緑川 次のペアは攻撃力があって、運動量もすごいので、自分らもそれに負けないようにスピードを上げていかないといけないと思います。レシーブとかサーブ周りもすごくて。でも、サーブ周りで勝てれば自分たちが有利に立てるので、サーブ周りをしっかりするのと、攻めていないと勝てないので、守りに入らないようにうまく回したいと思います。

――この1年で一番の収穫は

緑川 初めて大人の選手とやって、まだまだフィジカルが足りないなとかこの1年やってきたので、それが今になっていい感じに来ていると思います。これから来年になって、強い相手にはなっていくと思うんですけど、自分たちらしさをもって頑張りたいです。

――「自分たちのプレー」とよくおっしゃっていますが、それを自分で分析すると

緑川 やっぱりコンビネーションが自分らはすごくいいと思います。夏が前衛で抜けた球を自分がカバーして、夏が止めやすいところに自分が打っています。今はすごく体が動くので、そういうところに打てています。多分攻めのかたちですね。今の試合も相手が全然攻められなかったと思うので、攻めさせないというのが、自分たちの良いところじゃないですかね。なんとなく多分、二人とも調子良くやっていて、自分も視野広くやれていて、空いているところが見えるので。この調子でいけば、きつい試合にはなると思うんですけど、勝てたらいいなと思います。

――ここまで快調に勝ち進めた要因は

緑川 自分らのプレーができているのが一番だと思います。自分らが負けているときって、いつも以上に攻められていて。レシーブの面では甘い部分があるので、相手に攻められると、厳しくなっちゃいます。それができていないときに、負けたり、勝っても苦しい試合になったりしているので、そういったのを出さないことですね。自分らしくやれていればあんまり出ないと思うので、しっかり前半から足を動かして頑張ります。

小野寺雅之(スポ3=埼玉栄)・吾妻咲弥(スポ3=福島・富岡)

――きょうはお二人とも二試合目でしたが疲労の方はありましたか

小野寺 全然ないです!2試合目もああいう感じだったので疲労はないですね(笑)。

吾妻 そんなに疲労がどうだからってことは全然なかったですね。

――相手は小野寺選手とダブルスで組む岡村選手でしたが、どんなことを考えて試合に臨みましたか

小野寺 特に何も考えていなかったですね。あっちがミックスでは格上だったので。

吾妻 練習すれば良かったね。練習もしていないんですよ。

小野寺 そうですね。緊張とかも何もなかったですね。楽しむだけでした。

――小野寺選手が前衛に入る場面が多くみられましたがそれは戦略ですか

小野寺 いや、僕たち何も戦略練っていないので(笑)。もうただただ本能的にですね。

吾妻 前に入っていくんですよ(笑)。

小野寺 ダブルスやると前に入っちゃうんですよ。本当に作戦とかは僕たち考えていなかったので、もうただ楽しくやれたらいいなって感じでしたね。

――吾妻選手は小野寺選手が前に入っていくことに関していかがでしたか

吾妻 絶対自分が打つより、前に出てくれたほうが強いので。逆にもう早く決めてって感じでした。

――吾妻選手にとって今回のミックスダブルスの試合で全日本総合の最後の試合となりました

吾妻楽しく終わることができたので良かったかなと思います。

吾妻咲弥(スポ3=福島・富岡)・吉田瑠実(スポ1=埼玉栄)

――相手は世界ランキング2位の福島・廣田組でしたがどのような気持ちで試合に臨みましたか

吉田 こっちが調子悪い訳ではなくて。

吾妻 もう挑戦するしかないっていう気持ちで臨みました。

――吉田選手は昨年も同じ相手と対戦されていますが、何か変化などはありましたか

吉田 向こうが本当に強くなっていましたね。穴がもとからそんなにあるわけではなかったですが、本当にもう何もなくて。どうすれば点数を取れるのかわからなくて、やっぱりすごいなと感じました。

――全日本学生選手権(インカレ)から強化してきた点はありましたか

吾妻 特にこれっていうのは無くて…。

吉田 合わせ続けるっていうのを。

吾妻 そうですね。コンビネーションを大事にしてきました。そのくらいですかね。

――今回の試合では相手のスマッシュにも粘り強くレシーブする場面が見られました

吾妻 普段男子の球をレシーブする練習をしているのでそこの部分ではあまり怖い球っていうのはなかったので返せたのかなという風に思います。

吉田 レシーブ面よりも足でしたね。動かされた感じだったので、次はそこを直せたらと思います。

――今回は長いラリーが多かったですが、あと一歩取り切れなかった要因は何だと思いますか

吾妻 やはり大学生とやっている時のラリーよりもはるかにもっと長かったダブルスでしたね。大学の中で我慢はできていましたが、社会人とやった時に我慢が全然足りなくて。そういうところができなかったのが、1つの点数を取り切れなかった原因なのかなと思います。

吉田 そうですね。

――相手と対戦して一番やりにくかったことは何ですか

吾妻 自分は攻められたときにクロスとかに引っ張ってもそれも上から止められるっていう。大学生と対戦するときは結構落とされるなどするので、自分たちでは一呼吸おけるのですが、そこがなかったです。あとは攻め続けられる場面が多かったので、そこはどうしようもできなかったと思います。

吉田 たまに自分たちがいい球を打って崩したとしても、向こうの立ち直りが早くて。攻め続けるっていうよりも、1本攻める球のタイミングなどがわからなかったです。

吾妻 ほぼ決まらないよね(笑)。

吉田 ここに打ったらここに来るっていうのがだいたいあるのですが、それがことごとく外れました。大学生とはやはり違いますね。

――今大会を通しての収穫はありましたか

吾妻 もっと球に対応できないのかなと思っていました。でも対応はできたのですが、そこから点数につなげることができなかったです。そこが自分たちの課題であると思うので、もっと戦術的に何パターンかあれば良かったのかなと思います。

吉田 同じくです。