帝塚山学院大に力及ばずストレート負け 現体制最終戦となる

女子バレーボール

 現体制での最終戦となる全日本大学選手権(全日本インカレ)。早大が対するのは、先日、関西大学バレーボールリーグで1部昇格を決めた帝塚山学院大学。序盤はボールをつなぎ食らいつくも、相手の速いトスワークや堅守に攻撃を決め切ることができずセットを落とす。次セット以降も関西特有のバレーボールスタイルにのまれリズムを作れない。4年生の思いを胸に最後まで諦めずにボールを追うが、各セット一歩及ばずセットカウント0-3(11-25、13-25、14-25)でストレート負けを喫した。

 神戸彩有(文構4=長野・松本県ヶ丘)の安定感のあるサーブレシーブから西崎梨乃(スポ1=大阪国際滝井)のブロックの間を縫う鋭いスパイクで上々のスタートを切る早大。その後も秋重若菜主将(スポ3=大阪・金蘭会)を中心に点を重ねるが、相手の緩急をつけた攻撃に苦戦しリードを許す。ボールを上に上げることは出来ても決め切ることができず、7-15と大きくリードされる。この状況に奮い立つ早大。秋重はハイセットからクロス方向に強烈なスパイクを決め、大松未羽(スポ1=沖縄・首里)はライトからナイスコースに決めるなど、スパイカー陣が躍動する。山崎葵(社2=岡山・就実)や神戸彩有(文講4=長野・松本県ヶ丘)が堅実な守りでスパイカー陣を援護するも、セッターを中心とするコンビバレーに苦戦を強いられる。最後はレフトからのスパイクを上げるも、つなぐことができず11-25でセットを先取された。

エースの秋重

 続く第2セット、序盤は一進一退の攻撃を繰り広げるが、ブロックアウトを狙われブレイクを許す。8-11とリードを許す早大だが、西崎のクロススパイクから相手のミスで3連続得点し、同点に追いつく。ここから巻き返しを図ろうとするが、相手は巧みなトス回しで速攻とサイド攻撃を効果的に決めリードを広げられる。点数を取っても痛恨のサーブミスで、勢いに乗り切れない。山崎が必死のディグでリベロとしての役目を果たし、毎回長いラリーが続くが、自陣のスパイクミスも増え1点が遠い。早大はその後加点することができず、11連続得点を許し、13-25でセットを落とした。

 後がない第3セット、背水の陣で挑む早大。駆け出しからミスが出るものの、両者一歩も力を緩めることのない白熱したラリーの中、エースの秋重は痛烈なダイレクトアタック、バックアタックをストレートコースに決め、チームに活気をもたらす。このまま流れを引き寄せるかに思われたが、堅いブロックに攻撃を阻まれ、苦しい戦況が続く。秋重の相手選手の位置を的確に判断してのフェイント、西崎のサイドライン際に鋭く決まるAクイックなどで抗戦するが、序盤のミスが大きく響き、虚しくも14-25とこのセットも奪うことができず、セットカウント0-3でストレート負けを喫した。

丁寧にレシーブをする山崎(右)

 試合終了後、エンドラインに並ぶ選手たちの表情は誰一人として晴れやかなものではなかった。結果だけでなく内容を見ても選手たちにとって満足のいくものではないはずだ。しかし、この1年を振り返ると、3年生キャプテンの秋重を中心とする類を見ない新体制のチームで発進し、春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)では1勝9敗でリーグ最下位。この結果に多くの選手が落ち込んだことだろう。その悔しさを胸に夏にはフォーメーションを変え、メンバーを変えながら試行錯誤し、秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)では、リーグ3勝6敗で7位。3勝の内の2勝は春に一度も勝てなかったチームに勝利することができた。これは紛れもなく彼女たちの成長であり強さである。「毎日1番近くで選手たちの頑張りを見ているからこそ、それが形になって結果に表れればそれが一番嬉しい」と弓立桜子主務(法4=大阪・天王寺)が語るように、彼女たちの粗削りだからこそのがむしゃらなプレーはコート外にも感動や喜びを生み出し、応援する気にさせる。4年生は他の学年に比べ競技年数が短い選手が多く、インタビューでは各々が4年間の苦悩を語っていたが、それでもここまで情熱を注いでバレーボールを続けてこられたのは早大女子バレーボール部特有の心地よさがあったからではないだろうか。後輩たちは先輩方の情熱を胸に、新たな早大女子バレー部の歴史を紡いでいく。

(記事 帖佐梨帆、写真 芦刈れい)

セットカウント
早大 11-25
13-25
14-25
帝塚山学院大
スタメン
レフト 秋重若菜(スポ3=大阪・金蘭会)
レフト 神戸彩有(文構4=長野・松本県ヶ丘)
センター 徳山奈々美(スポ3=兵庫・加古川西)
センター 西崎梨乃(スポ1=大阪国際滝井)
ライト 大松未羽(スポ1=沖縄・首里)
セッター 南里和(商3=東京・女子学院)
リベロ 山崎葵(社2=岡山・就実)
コメント

秋重若菜主将(スポ3=大阪・金蘭会)

――試合を振り返っていかがでしたか

 4年生にとって最後の試合だったので、花を持たせてあげたかったんですけど、今日は全員動きが良くなくて、後悔が残る試合になってしまいました。

――リーグ戦では戦うことがないチームでしたが、やりづらさや印象はどうでした か?

 やりづらさはありました。関西のチームは、関西独特のバレー展開があるので、そこについていけていないし、バレー経験の差とか、いろいろあったのでそれが出てしまったのかなって思います。

――今日はいつもよりラリーも続いていて、ブロックフォローやカバーもできていたように見えましたが、敗因はどこにあると思いますか?

 一つは自分がマークされている中で打ち切れる場面が少なかったっていうのと、もう一つは 相手のフェイント攻撃に対して最後まで対応しきれなかったのが敗因かなって思います。

 

――現体制での試合は最後になりますが、4年生の方々にどんな言葉をかけたい ですか?

 自分がキャプテンに3年生でなって、4年生はすごい不安とか心配があったと思うんですけど、信じて託してくれたのに最後勝ちきれなかったのは本当にごめんなさいって言いたいです。ですが、謝ったら4年生、優しいので謝らないでって言ってくれると思うので。本当に最後まで一緒 に戦ってくれてありがとうございますっていう気持ちでいっぱいです。

――あと1年ありますが、どんな選手になりたいですか?

 この負けは自分にとってすごく大切な負けだと思うので、敗因として自分が打ち切れなかったことって言ったんですけど、エースとして打ち切れない場面を来年のインカレでは全部打ち切ろうと思います。背中で引っ張れるエースになります!

――キャプテンとしてはどんな チームにしていきたいですか?

 今年は、4年生が少なかったのもあって一致団結という感じではなくて下級生、上級生、バ ラバラとしてしまったところがあったので、一つのチームで各自の良さを活かせるチームにしたい です。全員が輝けるチームにしたいです。

――最後に来年に向けて意気込みをお願いします

 本当に4年生が最後まで頑張ってくれて、4年生にいい顔して終わらせてあげることができなかった分の悔しさを春リーグ、秋リーグ、いろいろな試合にぶつけて自分にとっても最後のシー ズンになるので、一つ一つ悔いのないように頑張りたいです。

神戸彩有(文構4=長野・松本県ヶ丘)

――試合を終えた率直な感想は

 まだ次の練習とかあるのかなという様な、まだ現実を受け入れられないという感じですね。

――この試合をもって引退ということになりますが、今日の試合はいかがでしたか

 いろいろ帝塚山学院の対策はしてきたんですけど、まずは自分たちが今までやってきたことを出し切ろうという話をして、今までの練習の成果を出そうという話から試合に入っていったんですけど、やっぱりなかなか相手の速いサーブであったりとかスパイクに対応しきれなくて、圧倒されてしまって弱気になってプレーしていた部分だったりとか、全員でボールを追いかけられていなかったりとか、足が止まってしまったり…。自分たちのプレーを出し切るという目標を達成することはできなかった試合かなと思います。

――コート内に2人リベロがいるんじゃないかと思わせるほど、レシーブの良さが際立った試合でしたが、内容を振り返っていかがでしたか

 やはり相手もスカウティングをしっかりと行ってきていて、サーブレシーブだったら自分が1番弱点だということを相手は分かっていて、狙ってきているのは分かっていたので、そこはしっかりと覚悟を持ってやろうという気持ちはあったんですけど、なかなかすべてをAパスに返すことはできなかったのが悔しかったです。

――同期の選手やスタッフにかけたい言葉があったらお聞かせください

 同期に関しては、4年間特にこの1年間は楽しいことがほぼなくて、しんどいことだったり苦しいことだったりがすごくあって、精神的にしんどい部分がたくさんあったんですけど、同期4人だからこそここまでやってこられたので、本当に感謝しています。

――後輩にかけたい言葉はありますか

 このチームは私たちが主導というよりかは後輩のみんなが引っ張ってきてくれたからこそ成り立ったチームでもあるので、頼りっぱなしで申し訳ないというのと、私たちのために最後まで一緒にバレーをやってくれてありがとうという感謝の気持ちでいっぱいです。

――来年の新チームにはどのようなことを期待しますか

 自分たちのプレーができず終わってしまったという悔しさがあるので、どんな相手だろうと自分たちが今まで積み重ねてきたことを全力で発揮できるように頑張ってほしいなと思います。

―― 最後に4年間の早稲田でのバレーボールを振り返った感想を教えてください

 正直しんどいことしか思い浮かばないです(笑)。でも、やっぱり大学でなにか一つのことに熱中してやれるというのは体育会系ならではだと思うので、しんどかったこともあったけど、いろいろ得たものもたくさんあると思うので、そこに重きを置いて、やってて良かったなって思えるようにこれから頑張って行きたいなと思います。

弓立桜子主務(法4=大阪・天王寺)

――4年間を振り返っていかがでしたか

 楽しかったです。数え切れないぐらい泣いて悩んで本当に色々あったんですけど、私は高校までちゃんとした部活をやってこなかったので、なにかにこんなに真剣に取り組んだのは初めてだったので、全部含めて、一言で、4年間、今は本当に楽しかったなと思います。

――コート外から見る早大バレー部の特色はどういった点でしょうか

 やっぱり1番は、本当に多種多様な経歴を持つ部員が集まっているところだと思います。全国大会で優勝した人や一般受験で早稲田に入ったような人が同じコートでプレーしているチームはなかなか無いと思います。

――選手のサポートがメインだったと思いますが、特にやりがいを感じた部分はどこですか

 1番はやっぱり結果が出たときです。毎日1番近くで選手達のがんばりをみているからこそ、それが形になって結果にあらわれればそれが1番嬉しいです。あとは選手から私の声掛けやサポートに感謝のことばをもらえる時は本当に嬉しいです。力になれていたのかなと思えます。

――逆に大変だったことはなんですか

 逆に、選手がコートのなかで必死でもがいている時苦しい時も、選手達を信じて叫ぶことしかできなくて、特に最後の試合では、その自分の無力感というか、すごく痛感して、試合が終わった時は本当に苦しかったです。

――同期の選手にはどのような言葉をかけたいですか

 私たちの代は、競技歴の浅い選手が多くて、その中で4年生という立場と責任があって、特に最後の1年は思うように自分を出し切れなくて悩んだり辛い日が多かったと思うので、最後まで一緒にがんばってくれてありがとうと。おつかれさまと伝えたいです。

――来年以降のバレー部にはどのようなことを期待しますか

 最後の試合は、本当に悔しかったです。試合になると最後は叫ぶしかなくて、マネージャーとして主務として、他になにができたんだろうってずっと後悔すると思います。後輩達には同じ想いをしてほしくないとすごく思いました。サポートの子達には自分で点をとれないからこそ、もどかしさとか悔しさが絶対あると思います。そんなに偉そうなこと言えないですけど、選手も、サポートの子達のそういう想いや、応援し支えてくださっているOBOGの方や全ての方の想いを背負って、早稲田を背負ってコートに立っているということを忘れずに、強くなっていってほしいと思います。