順大相手に粘りのバレー 敗れるも確かな手応えを得る

女子バレーボール

 10月9日は体育の日である。運動をするのにもってこいのこの祝日に、秋季関東大学リーグ戦(秋リーグ)7戦目が行われた。ここまで1勝もできていない早大は順大と対戦。序盤から早大の攻撃で点を稼ぐ場面が多く見られ、ここ数試合なりを潜めていた得意の粘りのバレーも復活。第3セットでは開幕戦以来のセット奪取を果たす。しかし第2、第4セットでは開始直後の大量失点によって流れを作れず、セットカウント1-3(26-28、16-25、25-21、17-25)で敗北。負けはしたものの確かな手応えを得てこの3連戦を終えることとなった。

 あと1点が取り切れなかった。第1セットは、順大のレフト高橋(1年)のスパイクに苦しめられ、リードされてから始まった。ここ数日は立ち上がりで先行されたまま挽回できないというセットが多かったが、この日は違った。中川知香副将(スポ4=神奈川・川崎橘)と富澤結花(スポ2=東京・文京学院大女)のスパイクで同点に追いつくと、センター浅野泉里(文4=岐阜)がライト方向からスパイクを決め、逆転。その直後に連続失点を喫すも、またも富澤が猛攻を仕掛け相手をそのまま行かせない。高いブロックへの対抗策としてブロックアウトを取る戦法が功を奏し、24点目を先に挙げたのは早大だった。しかしこのセットを取らせまいとレフトから猛攻を仕掛ける順大、これをしのぎ切れない早大。「勝ち切れないことが自分たちの弱さ」(芹澤友希主将、スポ4=茨城・土浦日大)と悔しい失セットを喫した。肝心な場面での粘りが必要になりそうだ。

この日スパイクで19得点を挙げた富澤

 続くセットでは相手のミスに助けられてローテーションが回る場面もあったが、やはりそれだけでは流れを奪えない。依然として勢いのある相手に押されるままに点差が開き、このセットも落とす。また早大はストレート負けか――そんな雰囲気が会場に立ち込める。しかしここで芹澤がキャプテンとしてチームにこう呼びかけた。「楽しんでやろう、全員で戦おう」。この言葉に奮い立った早大は反撃を開始。最初のサーバーであった富澤がサービスエースを決めると、続けとばかりに中川がスパイクを連打する。守りの面では河治えみり(社1=北海道・旭川実)の好レシーブがさえ、中川や富澤らスパイカーにつなげていく。粘り粘って点を取るワセダバレーが早大に貴重な1セットをもたらした。この勢いのままもう1セット奪いたいところだったが、第4セットでは序盤から粘りが発揮されず。そのままスコアが並ぶことはなく、このセットは順大のものに。出だしから粘っていくことが必須であると痛感した敗戦であった。

粘り強く何度もスパイクを打ち込む中川

 これで開幕7連敗。去年の秋リーグと同様に負けが込んでいる。しかし芹澤は、「去年よりも雰囲気は落ちていないし、気持ちの切り替えはできている」と前向きだ。実際きょうの第3セットで早大のコンセプトである粘りのバレーが見られるようになるなど、選手たちは着実に1部に順応してきている。きょう浮かんだ課題を克服し、来週こそ連敗を打ち止めてほしい。

(記事 坂巻晃乃介、写真 川浪康太郎)

セットカウント
早大 26-28
16-25
25-21
17-25

順大
スタメン
レフト 中川知香(スポ4=神奈川・川崎橘)
レフト 富澤結花(スポ2=東京・文京学院大女)
センター 浅野泉里(文4=岐阜)
センター 森佳央理(スポ3=群馬・高崎女)
ライト 井上裕利恵(スポ1=岡山・就実)
セッター 芹澤友希(スポ4=茨城・土浦日大)
リベロ 河治えみり(社1=北海道・旭川実)
コメント

芹澤友希主将(スポ4=茨城・土浦日大)

――第1セットはあと1点というところまでいきましたが、振り返って

あと1点を取れないというのが1部リーグでは難しい部分だと思うのですが、そこで気持ちを出すことでその1点を取れるので、本当に紙一重の勝負だと思います。勝ち切れないことが自分たちの弱さなので、これから気持ちを強く持って戦いたいです。

――第3セットは開幕戦以来のセット奪取となりました

セットが始まる前に、楽しんでやろう、全員で戦おうということをみんなに伝えました。これまでは真面目に喜んでいただけだったのですが少し変えてみたりして、そういうところが粘りにつながって雰囲気もよくなったと思います。

ーー現在の各アタッカー陣の調子はいかがですか

自分たちのスパイクで点を取りにいくというよりは、粘って粘ってレシーブ力で戦うチームなので、スパイクまでにつなぐ1本目やトスの精度を高めていけば、もっとスパイカー陣を生かせると思います。

――ブロックとスパイクレシーブ(ディグ)の出来はどう感じていますか

高さのあるチームが相手だとブロックはなかなか難しいのですが、そこをディグで補える部分はたくさんあるし、落とさないことが勝ちにつながると思うので、ディグをもっと強化していきたいです。

――負けが続いている中、チームの雰囲気はいかがですか

去年も勝てない状況が続いていたのですが、去年よりも雰囲気は落ちていないし、気持ちの切り替えはできているので、切り替えを大事にしてまずは1勝できるように来週もチーム力を出していきたいです。

中川知香副将(スポ4=神奈川・川崎橘)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

第1セットで勝ち切れなかったということと、自分自身は高いブロックにシャットされてばっかりでした。これからも高いブロックの所と当たるので、改善点が明らかになったので、もっと練習して行かなくてはなと思いました。

――高いブロックに対してブロックアウトを取ることを意識してると思うのですが、きょうはそこについては

まだまだ全然取り切れてない部分があるので。調子の上がっている時は取れていると思うんですけど…もっと取れたらいいと思うので。積極的にブロックアウトを使っていきたいと思います。

――第1、第3セットの好調の要因となったものはなんですか

レシーブも粘れていましたし、スパイクも何回も何回も打って自分たちの攻撃で点数が取れていたのが良かったと思います。第2、第4セットは相手に押されていて、自分たちが(点を)取れなくて、相手のミスに助けられてローテーションが回っていくということが多かったので。第1、第3セットでは自分たちのコンセプトである粘りが発揮できてたのが良かったと思います。

――きょう浮かんだ課題などはありますか

最初の方に私がレセプションで狙われていて。ちゃんとAキャッチが返ってなかったというのがありました。高いブロックに対するブロックアウトの練習と、そのレセプションをもう1度課題にしたいと思います。

――来週の試合に向けて意気込みをお願いします

2部から上がってきて失うものも無いし、がむしゃらにやっていくだけだと思うので。下尅上じゃないですけど、思い切りぶつかって当たって行きたいと思います。

富澤結花(スポ2=東京・文京学院大女)

――きょうの試合を振り返って

3連戦で疲れていたとは思うのですが、よく声も出ていたし、粘れていたし、いい試合ができたと思います。

――第3セットは開幕戦以来のセット奪取となりました

序盤から走れていたことが今までのセットではなかったことだし、そのまま勝ち切れたことはよかったです。

――きょうも何度もスパイクを決めていましたが、調子はいかがですか

友希さん(芹澤、スポ4=茨城・土浦日大)とトスが合うようになってきていて、まだ修正する部分はあるのですが、体育館が変わっても、週が変わっても合うように頑張りたいです。

――最近はバックアタックを試みる場面も見られますが

前が苦しい時に後ろからも攻撃できたらいいなと思うのですが、自分が崩れた時にバックアタックを上げることもできない状態になることがあるので、1本目をしっかり返すことを意識していきたいです。

――守りの面はいかがですか

きょうは詰めすぎてしまった部分があったので、改善できるところは改善して、上げられるように頑張ります。

――いまだ勝利のない状況ですが、ここまでを振り返って

開幕戦は調子がよくて、そのあと自分たちの思うようなプレーができないことが続いていたのですが、この3連戦は全体的に調子が上がってきていると感じたので、来週と最後の週も最後まで頑張りたいです。

――次戦の相手は強豪の東海大ですが、どんな準備をしたいですか

すごく拾ってくるし、ボールが落ちないし、勢いのあるチームだと聞いているので、自分たちも負けないように勢いを出していきたいです。

河治えみり(社1=北海道・旭川実)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

相手と違って高さが無い分、サーブとレシーブを武器にしてやっていくということだったんですけど。レシーブの1本目が甘かったり、サーブも大事なところで攻めきれなかったりして。要所の1点を相手に取られてしまったのが敗因だと思います。

――きょうのご自身のレシーブについてはいかがですか

大事なところであまり良くなかったです。最後スパイカーが狙われてたと思うんですけど、そこでカバーの対応とかが甘くて。すぐサイドアウトが取れなかったというのが良くなかったかなと思います。

――監督からはディグが強みであると聞きましたが、きょうはそこについては

きのうよりは拾えてましたけど、持っていくという面では持っていき切れてなかったとは思います。

――第1、第3セットは粘れていたように見えましたが、粘りという点についてはどう思いますか

粘りのバレーはどんどんできて来ていると思います。

――きょう浮かんだ課題などはありますか

最初にも言った通り、高さが無い分サーブと1本目のレシーブの精度を上げていくことが課題だと思います。

――では来週の試合に向けて意気込みをお願いします

しっかり後半戦を勝ち切れるように、全員で一本一本繋いで頑張っていきたいと思います。