あと一歩が遠く、届かない1セット

女子バレーボール

 開幕戦の第1セット以来、セットを取ることさえできていない早大。この日は、秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)9位と同じく苦しんでいる順大と対戦した。2セットを先取され迎えた第3セット。一時大幅なリードを奪うも、終盤突如崩れ逆転を許す。セットカウント0-3(20-25、17-25、19-25)。5試合連続のストレート負けに、選手たちは肩を落とした。

 攻撃力では明らかに相手を上回っていた第1セット。特に、ここまでスパイク決定率リーグトップを誇る佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘)が、得意の速攻と移動攻撃で相手コートを脅かす。さらに、その佐藤の2段トスに反応した中川知香(スポ3=神奈川・橘)がスパイクを決めるなど、先週から続く急造フォーメーションへの適応も垣間見えた。しかし、またしてもセットを取り切れない。18-17。ここからダブルコンタクト、連係ミス、ホールディングといずれもミスで得点を献上し、逆転された。まさに自滅。秋季リーグ戦を通してのチームの課題と言えるだろう。続く第2セットも打開策が見つからないまま、勢いづいた相手の攻撃にのまれ明け渡してしまう。

下級生ながら頼もしいプレーをする富澤

 沈みかけていたチームを声で鼓舞したのは、最上級生の佐藤だった。「誰よりも自分がチームを盛り上げなければいけない」(佐藤)。その言葉を体現すべく、プレーで、態度で後輩たちを引っ張った。主力の4年生二人を欠くコート。二人の努力をそばで見続けてきた同級生が、その二人の悔しさを力に変えている。全力で汗を流す4年生の姿を見て、下級生も黙ってはいられない。森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)、富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)が得点を量産し、点差を広げていく。課題であったブロックとスパイクレシーブも機能し、一時は18-13と大きくリードする。久々のセット奪取が見えてきた。しかしここから早大が挙げた得点はわずか1点。またもミスから崩れ、二度の6連続失点でひっくり返された。

最上級生の佐藤がチームを引っ張る

 直近の4試合、コートの外からチームを見つめている平山璃菜主将(スポ4=東京・文京学院大女)。コートで戦う4年生に対しては「申し訳ない」と漏らしながらも、「もっともっと活躍してほしい」と、勝利にこだわる主将としての心も忘れてはいなかった。それとともに、慣れないポジションをこなす一人一人の努力をひしひしと感じている。「みんなに思い切り楽しんでやってもらいたい」(平山)。残り3試合、苦境を全員で乗り越え、笑顔で戦い
抜く。

コートの外からチームを見守る平山

(記事、写真 川浪康太郎)

セットカウント
早大 20-25
17-25
19-25

順大
スタメン
レフト 中川知香(スポ3=神奈川・橘)
レフト 富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)
センター 佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘)
センター 森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)
ライト 加納茉未(社4=北海道・札幌大谷)
セッター 芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大)
リベロ 飯田友美(商1=長野・諏訪清陵)
コメント

平山璃菜主将(スポ4=東京・文京学院大女)

――勝ちたかった順大戦でしたが、振り返って

開幕戦で東海から1セット取って、そこからずっとストレート負けが続いていて、順大も同じように秋苦しんでいる中で、もちろん勝ちたい一戦でした。この一週間なんとなくチームが締まらないというか、バラバラになってしまっていたのですが、そこをもう一度みんなで頑張ろうということで臨みました。全部が全部悪いわけではないのですが、なにかうまくいかない部分があるのかなと思います。

――第3セットでは一時5点をリードする場面がありました

今まで試合してきて、リードする場面すらあまりない中で取れた5点のリードを守り切れないというのは、自分たちの力不足だと思います。どうしても止まってしまうローテーションだったので、そこをどう切り抜けてどう守り切れるかということが次への課題になりました。

――チームは開幕6連敗となりましまが、チーム状況、雰囲気はいかがですか

今週の週初めのようにバラバラになってしまう場面もあったのですが、下級生は特に、4年生が二人けが人出ている中で、なに一つ文句言わずに慣れないポジョンや新たな試みに挑んでくれているということは自分自身感じています。もちろん負けは続いているのですが、自分たちは失うものはなにもないし、思い切ってやるだけだよねという話は常にしています。

――現在は試合に出られない状況が続いていますが、主将としてコートの外からどんな言葉を掛けていますか

自分の役割というのは、もちろん具体的なプレー面の指示やアドバイスを出すことだと思うのですが、自分自身コートに入っていて、連続失点などで相手に押されている状況で下を向いてしまう場面があったので、チームがそういう状況になった時に上を向かせられるような声掛けをすることが一番の仕事かなと思っています。

――主力の4年生が二人欠けている中、他の4年生がチームを引っ張っていますが、そのことについてはどのように感じていますか

自分が抜けて、副将である加納(茉未、社4=北海道・札幌大谷)は主将が抜けた分引っ張らなければいけないということを感じているだろうし、佐藤(夢菜、文4=埼玉・狭山ヶ丘)もけがした二人の気持ちも背負って、自分がなんとかしなければいけないと思って頑張ってくれています。そこは負担をかけてしまっていて申し訳ないと思うのですが、でも自分がコートに立てない分、もっともっと活躍してほしいなという思いもあります。期待という意味も込めて、頑張る4年生の姿を見て後輩たちがついてくるということが秋季リーグ戦のあり方だと思うので、二人にはしっかりコートの中で引っ張ってもらって、自分はコートの外でチームを支えるという役割ができたらいいなと思います。

――一方、下級生の活躍についてはどう感じていますか

自分がけがをして、いろいろ思うところはあると思うのですが、なに一つ文句言わずに、「4年生の最後のリーグだから、4年生のために」という思いで頑張ってくれていることは、プレーもそうですしいろんな場面から感じています。その思いに応えなければいけないと思っています。

――秋季リーグ戦も残り3試合となりましたが、これからチームとしてどんなことに取り組んでいきたいですか

もちろん結果も大事なのですが、なによりみんなに思い切り楽しんでやってもらいたいですし、せっかく春ああいう思いをして、夏苦しい練習をしてきたので、残り3試合、後悔だけは残らないように納得のいく試合を笑顔でやってもらいたいです。

佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘)

――きょうの試合を振り返って

きょうはどうしても勝たなければいけない試合だったのですが、4年生が不甲斐ないせいで負けてしまって、悔しかったし、もうちょっとやれたかなという後悔が残ってしまう試合でした。

――ご自身のスパイクはいつも以上に調子が良いように見えましたが、いかがですか

このリーグは今までの自分としてはすごく調子が良いのですが、まだまだ勝負どころで決めきれなかったり、安心してトスを上げてもらえなかったりと、自分への信頼が築けていないと感じています。練習でもっと呼んで、決めていって、勝負どころで上げてもらえるようになりたいと思います。

――ブロックやレシーブの調子はいかがですか

自分は背が高いのでブロックはチームで一番できなければいけないのですが、ミスにつながってしまう部分が多くて、そこは一番改善しなければならないところだと思います。レシーブも私はそこまでうまくないので、完璧にセッターに返すことは難しいかもしれませんが、気迫で上に上げればみんながカバーしてくれることは分かっているので、なんとか上に上げられるようにしたいです。

――第3セットでは、5点リードしている場面から6連続失点を喫し逆転されましたが、その要因はなんですか

4年生の不甲斐なさが出た部分だと感じています。あのセットは取れたセットだったのですが、取れなかったということは、4年生の連続ミスが出て責任感のないプレーをしてしまったことが要因なので、ああいったことは二度とないように確認や練習を積んでいきたいです。

――4年生二人がけがで抜けているという中で、精神的に意識していることはなんですか

二人はとても努力家で、今までずっとチームをプレーで引っ張ってきてくれた子たちなので、その分自分が点数を取らなければいけないということと、誰よりも自分がチームを盛り上げなければいけないということは感じています。まだまだ足りないなと思いますし、二人の悔しい思いを自分がコートの中で証明しなければいけないなと思います。

――最後に、来週の試合に向けた意気込みを聞かせてください

本当に苦しい状況になって、まだ1勝もできていないので、まずは1勝を挙げるために、チーム全体でデータを活用したり、対策練習をしたりということを、もっと質の良いものにしていかなければいけないと思います。