早大女子バレーボール部には、チームに欠かせない頼れる3年生コンビがいる。セッターの芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大)とリベロの中川知香(スポ3=神奈川・橘)だ。昨季からコートに入り、堅実なプレーと持ち前の明るさで自身のポジションを確固たるものとした二人。上級生として迎えた春を振り返っていただいた。
※この取材は7月3日に行われたものです。
「勝つしかないと思っていた」(芹澤)
春季リーグの、青学戦での勝利を振り返る芹澤
――二人での対談は初めてですが仲は良いですか
中川 良いです…。びっくりした(笑)。
芹澤 (笑)。
――春リーグ(春季関東大学女子リーグ戦)を振り返っていかがですか
芹澤 9位ということで結果としては残らなかったのですが、チームとしては去年よりもレベルの高い試合ができたと思います。
中川 友希も今言っていたのですが、この間の秋に比べたらチームとして良い形はできたと思います。でもやっぱり1部で勝ちきれないという部分の課題が見つかったので、秋以降につなげられるような良いリーグになったと思います。
――青学戦での初勝利を振り返っていかがですか
芹澤 勝つしかないと思っていたので、みんな盛り上がってたし、とても良い雰囲気でできたということと、今までやってきたことが発揮できた試合だったのかなと思います。
中川 同じになっちゃうんですけど(笑)青学戦の前まで1勝もできなくて秋とずっと同じ結果が続いていて、リーグ戦は勢いもあると思うので、ここでなんとか勝たなくてはいけないとみんなが思っていて、それで一つになれたかなと思います。
――印象に残っている試合や場面はありますか
芹澤 1部で最初に勝てた青学戦がリーグの中では一番印象に残っています。
中川 嘉悦戦?青学の後だよね、嘉悦戦って。
芹澤 うん
中川 やっぱり青学もそうだったんですけど、チームにすごい勢いがあって、練習試合でも五分五分のチームだったんですけど青学の時は4セットで、嘉悦戦の時は1セットも取られることなく勝てたので嘉悦戦かなと。
――入れ替え戦の時に試合後中川選手が涙されている姿が印象的だったのですが、あの時はどういう気持ちでしたか
中川 なんかもう、自分その日あんまり調子が良くなくて、でも拾えないのにみんなが決めてくれたので感動しちゃって泣いていました(笑)。
――スタメンに1〜4年生の全学年がいる中で、3年生になって変わったこと、意識したことはありますか
中川 う〜ん…。変わったこと…?
――去年の対談で3、4年生は引っ張っていき1、2年生は盛り上げるとおっしゃっていましたが引っ張る意識などは出てきましたか
中川 でも去年に比べたらね、
芹澤 比べたら、少し(笑)。
中川 よく喋ることとか
芹澤 声をかけることとか
中川 内容とかも少し
芹澤 でも自分たちは多分、知香 もそうだと思うのですが、1、2年生の時の気持ちを忘れずに盛り上げていこうっていうのはちょっと意識してやっています。
――芹澤選手は試合前の円陣や気合入れで率先して声を出し、走り回る姿が目立ちましたがチームのムードメーカー的存在なのですか
中川 (笑)どうなの?ムードメーカーなの(笑)?
芹澤 そういうわけじゃないんですけど、去年も声出しの「よー」ってかけ声をやっていて、まあ先輩からもう行けっていう、そういうアレ(指示)があるのでやっています(笑)。
――昨年の対談では、2人で喜び方を考えているとおっしゃっていましたが、今年はどうですか
中川 ことしもだよね。
芹澤 ことしも試合前にこういうことをやろうっていうのを話して、チームが時々焦っている場面とか雰囲気が良くない時に、その喜び方を出して盛り上げようっていうのは続けてやっています。
――中川選手は東日本(東日本大学選手権)では急遽ライトに入りましたがその時の心境をお願いします
中川 チームのメンバーが揃わないっていう部分でライトをやったんですけど、どの場所になっても自分の役割は守備的な面で変わらないと思っていたので自分の役割を全うするしかないという気持ちでやりました。
――サーブが上手い印象がありましたが元々得意なのですか
中川 最後にサーブを打っていたのが高校時代セッターだった時なのですが、そんなに決めていた印象もなく(笑)。そんなに自分の中では良いイメージを持っていなかったんですけど、たまたま1日目はちょっと良かったかなと思います
――普段リベロだからこそアタッカーをやって何か感じたことはありますか
中川 普段は練習するだけのブロックとかサーブも含めて、今回東日本でライトをやったことによって、ブロッカーの気持ちや、サーブを緊迫して打っている場面でどういう声かけをしてもらったらサーバーが打ちやすいかとかが分かったので、これからリベロに戻って24対24とかで緊迫している場面でこっちにサーブ権がある時に声かけをもっと工夫していけたらいいなと思います。
――早慶戦から浅野選手(泉里、文3=岐阜)がレフトに入るなど様々なアタッカーにトスを上げることになりましたが苦労はありましたか
芹澤 それぞれアタッカーによってタイプが違うしトスの高さや速さが違うので、そういう部分では今までバレーをやってきた中でも苦労というか悩んでいるところは多いです。東日本でスパイカーの選択肢を増やせるトスを上げるという目標を自分の中で立てていて、すごいできたわけではないのですが、少しでもスパイカーの選択肢を増やせるように頑張ろうというふうにやっていたので、苦労というか悩んでいたところはあります。
「練習前と試合前に写真を撮らないと決めています」(中川)
冗談をまじえた楽しい雰囲気で対談は進んだ
――コートの中でのお互いの印象を教えてください
中川 友希はチームがどんな状況でもずっとニコニコしていて、悪い雰囲気になっていても喜んだりしてその雰囲気を止めてくれるような選手です。
芹澤 逆に知香は、ここぞという時にいいディグ(スパイクレシーブ)を上げてチームを引き締めるような印象があります。
――春リーグを通して変わった部分はありましたか
芹澤 3年生になって、上が4年生だけということもあって、去年よりも伸び伸びプレーができているかなと思います。
中川 ことしから上級生になって、去年は先輩が作っているチームでやっているという感じだったのですが、春リーグや東日本を通して、自分たちがチームを作るという意識は高くなったと思います。
――コートの外でのお互いの印象はいかがですか
芹澤 ずっと喋っています(笑)。ずっと自分のこと喋っています。
中川 喋るの好きなんですよね(笑)。友希は…たまにギャグ線狙ってくるんですよね。例えば、同期とかで面白い芸人の動画を見ている時に、「つまんない」みたいな感じなんですよ(笑)。
芹澤 面白くないんですよあんまり、芸人さんが。
中川 自分が言ったギャグに自分でツボってます(笑)。静かそうに見えて、意外とうるさいです。
芹澤 (中川は)うるさくて、うるさいです。
一同 (笑)。
――チームをまとめている平山璃菜主将(スポ4=東京・文京学院大女)の印象はいかがですか
芹澤 すごく要領がいいなといつも思っています。私生活も関わりがあるのですが、時間の使い方がうまいなと感じています。
中川 練習中とかに、チームの引き締まりがないと感じた時に一言言ってチームを引き締めてくれるので、頼もしいです。
――森佳央理選手(スポ2=群馬・高崎女)、富澤結花選手(スポ1=東京・文京学院大女)ら後輩の活躍についてはどのように感じていますか
芹澤 自分が2年生の時にコートに入った時は、先輩にトスを上げるのが精一杯で余裕が持てていなかったのですが、あの二人には余裕が見えるというか、プレーが堂々としていてすごいなと思います。
――チームメートの中での推しメンはどなたですか
芹澤 東日本でリベロで出ていた、1年生の飯田友美(商1=長野・諏訪清陵)です。私服が結構被るんですよ。私服の系統が似ていて、かわいいです。小動物みたいな感じです(笑)。
中川 アナリストの森昌美(文構2=神奈川・大和)です。おとなしそうに見えて、ガツっと言うし、面白いし、サバサバしてるし、すごくいい子です。練習も一緒にしていて、データとかもその日中に送ってくれたりだとか、仕事も早いです。
――試合前のゲン担ぎやルーティンはありますか
中川 全部言うと時間がないくらいたくさんあります。前の日から始まるのですが、まず近くにある神社に行くんですよ。そして、試合の日の朝は必ずハヤシライスを食べます。そのあとセブンイレブンに行って、ポカリと、レッドブルーと、トロピカーナのオレンジジュースと、カレーパンと、シャキシャキレタスサンドと、梅干しのおにぎりと、干し梅と、チョコと、缶コーヒーを買って、会場に着いたら、梅干しのおにぎりは必ず食べて、オレンジジュースも一口は飲んで、カレーパンも一口は食べるというルーティンです。全部試合の前に食べ切るというよりは、どれも口にしないと落ち着かなくて、シャキシャキレタスサンドは試合後と決めています。あとポカリとレッドブルーを混ぜて試合中に飲んでいます。ポカリをラベルのところまで飲むと、ちょうどレッドブルーと混ざるんですよ。着るものとかも揃えています。
芹澤 自分は逆になくて、その日によって全然違うのですが、音楽を聞くと調子が悪いので、音楽は聞かないようにしています。
中川 あと二人のルーティンなのですが、写真を撮った日はお互い調子が悪いというジンクスがあるので、練習前と試合前に写真を撮らないと決めています。自分が忘れてカメラを向けると(芹沢は)逃げます(笑)。
――部員同士では普段どのような話をしていますか
芹澤 ドラマの話はよくします。前回どうだったよねとか振り返ったりします。
中川 あとは…まれに恋バナとか(笑)。
――最近まで代表戦も行われていましたが、普段バレーを観戦することはありますか
芹澤 ないです。
中川 全部見ているわけではないのですが、今回の全日本では高校の4つ上の先輩が試合に出ていたので、家ではテレビがついていました。
――バレー人気が高まってきていますが、お二人の考えるバレーの魅力とは
芹澤 みんなでつなぐことですかね。気持ちの面でもプレーでも、つなぐということが、やっていてすごいなと思います。
中川 ほかの球技はボールが床に落ちてもいいのですが、バレーは自分たちのコートに落としたら相手に点数が入ってしまうので、いかにみんなで点数を取っていくかという面白さが魅力かなと思います。
――秋リーグに向けて具体的に取り組みたいことはなんですか
芹澤 東日本の決勝を見に行ったのですが、(優勝した)東北福祉大が、筑波大でも余裕がないくらいの速いコンビバレーをしていてすごいなと感じて、秋リーグに向けてもっとコンビの幅を増やして東北福祉大に近づけるような攻撃的なチームを作り上げていけたらと思います。
中川 個人的なことなのですが、去年の秋リーグで1部のスパイカーに対応しきれない面が多くあったので、自分のディグで盛り上げて、友希が言っていたように、自分が攻撃の幅を広げるようなレシーブを上げていきたいなと思います。チームとしては、今まで1部で勝ち切れないということがあるので、全体的に精度を上げて、当たり前のプレーを当たり前にやっていければいいかなと思います。
――秋リーグの個人としての目標はなんですか
中川 自分は毎回課題になっているのが、調子のいい時と悪い時の差があることなので、その差を埋めることです。安定感のある選手になれればいいなと思います。
芹澤 気持ちの部分で調子に差が出てしまうことがあるので、精神的にもしっかりして同じような状態をいつも作っていけるようにすることと、東日本で立てたスパイカーの選択肢を増やすという目標を継続させていきたいです。
――最後に、秋リーグ(秋期関東大学女子リーグ戦)に向けた意気込みを聞かせてください
芹澤 ことしはスパイカーが多いと思うしレベルも上がってきている状態で、秋に結果を残すしかないと思っているので、この夏のトレーニングでチーム力を上げて秋でしっかり勝てるように頑張っていきたいです。
中川 周りのワセダの印象は入れ替え戦ギリギリの1部の下のチームという感じだと思うのですが、春1部のチームに勝てた部分もあって、勝つって楽しいなということが分かったので、秋は内容とかではなく結果を出せるように頑張りたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 川浪康太郎、杉山睦美)
二人で『W』ポーズをしてくださいました。かなり大きいです!
◆芹澤友希(せりざわ・ゆき)(※写真右)
1996(平8)年1月13日生まれ。身長162センチ。茨城・土浦日大出身。スポーツ科学部3年。どんな時でも笑顔を絶やさない芹澤選手ですが、セッターとしてバレーを語る目は真剣そのもの。強力スパイカー陣を生かした攻撃的なトスが、勝利のカギを握ります!
◆中川知香(なかがわ・ちか)(※写真左)
1995年(平7)7月5日生まれ。身長169センチ。神奈川・橘出身。スポーツ科学部3年。一つ一つ丁寧に答えてくれた中川選手。芹沢選手との仲の良さが伝わってきました。試合前には前日から始まる数多くのルーティーンがあるそうです!