2勝7敗で春季リーグ戦は閉幕。入れ替え戦へ

女子バレーボール

 平山璃菜主将(スポ4=東京・文京学院大女)の渾身のスパイクが、相手ブロックに当たり、早大側のコートに突き刺さる。第3セットのマッチポイントを奪われ、早大の敗北が決定したこの瞬間、平山は悔しそうに、仲間へはにかんだ表情を見せた。春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)、1部というハイレベルなステージで勝負をしてきた早大の最終戦の相手は、東女体大。富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)や森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)などスパイカー陣がプレーを盛り上げるが、相手の攻撃を防ぎ切れないまま試合は展開。セットカウント0-3(13-25、23-25、9-25)で春季リーグ戦は幕を下ろした。早大は27日、入れ替え戦へ挑む。

 「本来の自分たちの良さを出せないまま終わってしまった」(加納茉未副将、社4=北海道・札幌大谷)。その言葉通り、主導権は相手に握られたまま、試合は進んで行く。相手の素早い移動攻撃に翻弄されてしまうのだ。そのため狙いを定めたサーブで相手を崩して、返ってきたボールをレフトやセンターへ上げて強力なスパイクを打つ、という早大が得意とする形に持ち込むことが難しい。序盤から相手に連続得点を献上し、3-8まで差が開いてしまった。するとここで森のフェイント攻撃と、富澤のパワフルなスパイクで得点を量産することに成功。流れをつかんだと思われた。しかし、やはり相手の動きを止めることができず、そのまま8連続得点を許し、第1セットを明け渡してしまう。

富澤は、いまや完全にチームの主力だ

 このままではいけない、と気を引き締め直して挑んだ第2セット。先制点を奪うと5-2まで徐々にリードを広げる。しかし、またもや相手の移動攻撃を皮切りに連続得点を許し、あっと言う間に勝ち越されてしまう。ここで粘って勝機を見出したい早大は、中川知香(スポ3・神奈川・橘)や及川香菜(スポ4=宮城・古川学園)がボールを懸命に拾い、攻撃につなげる。すると、きのうの試合では不調であった平山もスパイクを決め、チームの歯車がかみ合い始めたのだ。しかし、早大らしいバレーができてきたと思った矢先、再び相手のスパイクで流れを断ち切られてしまう。早大はその後も必死に食らいつき、23点まで追い上げを見せたが、惜しくも第2セットも奪うことはできなかった。第3セットに突入した後も、相手の攻撃を封じることは依然としてできなかった。「相手にやりたい放題にやられてしまった」と平山は振り返った。冒頭から4連続で得点を奪われると、焦りからか自身のミスも目立ってきた。2回目のタイムアウト後に、スパイカー陣が中心として攻撃を畳みかけるが、及ばず。最後は平山の攻撃がシャットアウトされ、試合は終了した。

『早大のバレー』を次こそ

 4月に開幕し、延べ9試合の長丁場であった春季リーグ戦も今試合で終了だ。早大の成績は2勝7敗。この数字には、女子バレーボール部が戦い抜いた1か月半の記憶が刻み込まれている。きょねんの秋季関東大学リーグ戦では1勝も挙げることができず、『1部での1勝』を掲げてきた早大。1部の強豪相手にバレーが通用しないのではないかと壁にぶつかった前半戦。そして、待ちに待った、念願の初白星。そこからチームはどんどん勢いづいて行った。終盤は惜しくも負けてしまう試合が続いたが、多くの収穫と課題、そして自信を得た。早大は来週、1部と2部の入れ替え戦へ臨む。「自分たちのバレーも通用する」と確信したこのチームならば、おのずと勝利は付いてくるだろう。

(記事 鎌田理沙、写真 喜田村廉人、藤原映乃)

セットカウント
早大 13-25
23-32
9-25

東女体大
スタメン
レフト 及川香菜(スポ4=宮城・古川学園)
レフト 富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)
センター 佐藤夢菜(文4=埼玉・狭山ヶ丘)
センター 森佳央理(スポ2=群馬・高崎女)
ライト 平山璃菜(スポ4=東京・文京学院大女)
セッター 芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大)
リベロ 中川知香(スポ3=神奈川・橘)

最終結果

9位 2勝7敗(セット率0.455)

※1部リーグの下位2チームが、入れ替え戦に回る

※早大は1部リーグ9位のため、入れ替え戦では2部リーグ2位の国士舘大と対戦する

コメント

平山璃菜主将(スポ4=東京・文京学院大女)

――きょうの試合を振り返って

入れ替え戦がどうこうとか先を考えずに自分たちのバレーをしようということで臨んだ試合だったのですが、最後自分が決められずに終わってしまったし、この春季リーグを通して自分が主将としてチームを勝たせてあげられなかったです。

――最終戦を前に、チームの雰囲気はいかがでしたか

後のことを考えずに目の前の1点をというチームとしての意気込みはあったのですが、ゲーム序盤から相手にやりたい放題にやられてしまいました。もちろんいいプレーもあったのですが、何もできずに終わってしまったなという感じです。

――そんな中、落としはしたものの第2セットではいいバレーが見られました

第2セット序盤から、もう一度丁寧に1本目から自分たちの余裕を作ってしっかり攻撃を展開していこうという中で、それが中盤まではできたかなと思います。終盤の大事な場面で焦りから基本的なことができなかったのはあります。

――ご自身はきのうに比べて好調に見えましたが

きのうは正直ボロボロで自分なりに気持ちを切り替えてきたつもりだったのですが、4年生として、主将としてまだまだ軸になれてないですし、チームが苦しい時に背中で引っ張れるようなプレーができませんでした。

――春季リーグ戦を通して、チームの課題はどこにあると感じましたか

いろいろあるのですが、一番は気持ちだと思います。実際試合をしてみて、アタックはかなわない相手ではないと感じました。自分たちで決めたことを徹底するとか、自分たちのコンセプトである『粘りと決定力』はまだ軸としてぶれぶれなのでをさらに強化していくといったことはもちろんですが、チームが一つになってみんなで戦うという気持ちの部分が大きいかなと思いました。

――一方、1部での2勝は自信につながりましたか

秋は1勝もできなくてという中で、1部で2勝できたことは収穫でもあるし、入れ替え戦では春季リーグで悔しい思いをした分をリベンジできるように来週に向けて頑張りたいです。

――来週の入れ替え戦に向けて取り組みたいことは何ですか

1週間しかない中で反省点もたくさんあるのですが、そこを振り返っていては前に進めないと思うので、1週間でしっかり自分たちのいいイメージを持って雰囲気を作って、いい状態で試合に臨めるようにしたいです。

加納茉未副将(社4=北海道・札幌大谷)

――試合を振り返っていかがですか

昨日からあまり流れが良くなくて、その中でしっかり気持ちを切り替えようと全員で臨んだ試合でした。でも思ったよりも歯車が合わないというか、本来の自分たちの良さを出せないまま終わってしまったので悔しい気持ちです。

――自分たちの良さが出せなかった要因についてはどうお考えですか

プレーの面ではブロックとレシーブの兼ね合いが出来ていなかったです。やはり良い時はブロックとレシーブの関係が上手くいって、サーブでも攻めることができて、相手をレフトに絞ってディグをして、という感じに出来ているんですけど、きょうはそれが曖昧なばかりに相手の好きなように攻撃されてどうしようもないことになってしまっていたので、それがプレーの面での敗因だと思います。後は、1点を取った時に流れを引き寄せられるような喜びができていなかったというのがすごく大きいと思っています。やはり自分自身が乗れていない時でも周りが喜べば自然と乗ってくると思いますし、そういうところが足りなかったかなと思いました。

――第3セットの途中から及川選手と交代という形で出られましたが、監督からの指示などがあっての出場だったのでしょうか

いや、自分から行きました。やはり流れを変えたいというのもありましたし、「ここで行かなきゃ」と思って行きました。

――きょうまでに調整や改善してきた点はありますか

前の試合が終わってから1週間練習する期間があって、その中で順天大と東女体大に対する対応はしていました。きょうの試合に関しては、ライトのブロード攻撃が多いので、そこのブロックとレシーブの位置取りをしっかりやっていこうという形で練習してきました。

――春季リーグ戦全体を振り返っていかがですか

序盤のゴールデンウィーク明け前は、「1部では勝てない」というような雰囲気の中で試合をやってしまっていたんですが、2週間の調整を挟んでゴールデンウィークが明けてからは、雰囲気も良くて良い試合が展開できたと思います。取れた2勝というのも自分たちの中では大きいと思うんですけれど、試合によってすごく波があって、流れが悪くなると悪いまま終わってしまうというサイクルができてしまっていたので、これから入れ替え戦もありますし、その後に東日本インカレもあるので、「自分たちの雰囲気は自分たちで作る」というような雰囲気作りをまず4年生からしっかりとやっていきたいです。

――春季リーグ戦を通しての課題や収穫はありましたか

収穫という点では、やはり勝てたことが大きかったなと思います。2勝とはいえ私たちにとってはすごく大きなもので、勝ち癖というわけではないですけれど、勝つことができるという自信が生まれたのでそこは大事にしてやっていきたいなと思います。課題としてはサーブで攻めることができないと相手を崩すことができなくて、思うような攻撃に持っていけないというのがあると思います。たとえそこで崩れてもブロックとレシーブの関係がしっかりしているかどうかとか、レシーブで粘るためにはそこが大事だと思うので、これからの練習で徹底してやっていきたいです。

――最後に入れ替え戦への意気込みをお願いします。

きょうの雰囲気では絶対に勝てないと思うので、1週間しっかりみんなと話し合って雰囲気良く練習して、4年生の最後の秋季リーグ戦を1部で戦えるようにしたいです。後輩に1部という舞台を見せるためにも、しっかりやっていきたいです。

中川知香(スポ3=神奈川・橘)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

個人的にも自分が盛り上げてあげることもできなかったし、チーム的にも自分たちのバレーが全然できていなかったのです。

――中川選手にとってやりにくい相手のプレーはどのようなものですか

自分たちがサーブで崩せててアタッカーを絞れている状態で、ブロッカーがどこを止めるのかはっきりしているように前後の関係が明確になっているときが一番やりやすいです。相手のセッターがどこにでもトスを自由に上げられる状況になってしまうとブロッカーも絞りきれないし、レシーバー自身も絞りきれない部分があるのでそういう展開になると厳しいかなと思います。

――春リーグ(春季関東大学リーグ戦)では1部に昇格してから初勝利を挙げることができましたが、得た収穫は何でしょうか

今回の自分の中での目標が調子の良い悪いの差を埋めようと思っていたんですけど、その課題がまだ克服できていないので来週しっかり勝って、また秋に1部で戦えるように1週間調整してやっていきたいです。

――入れ替え戦に向けて意気込みをお願いします

入れ替え戦はまだどこと当たるかわからないんですけど、相手どうこうではなくて自分たちのやりたいバレーをして、ぜったい1部に残って、秋、またここで試合ができればなと思います。

芹澤友希(スポ3=茨城・土浦日大)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

最終戦ということで自分達も気合を入れていたんですけど、なかなか上手く行かない部分もあって、自分達のバレーができなかったなって思います。

――きょうはサイドへの配球が多かったようですが

ブロックのポジション的にも、サイドに飛ばした方がいいと思ったので、サイドを生かしきれるようなトスを上げようって自分の中で決めていました。

――きょうのスパイカー陣の調子については

スパイカーが決めきれないのは自分の責任だと思うし、きょうも全然決めきれずポイントを稼げないっていうのは自分の責任だと思うので、入れ替え戦でアタッカーを活かしきれるようにトスを少しでも磨いていきたいなと思います。

――入れ替え戦に進むことが決まりましたが

きょねんは1勝もできなかったんですけど、ことしは2勝してて、きょねんよりは成長できたと思うんですけど、あと一本があとちょっとのところで上げきれないとか決めきれないとか、ちょっとしたことが足りないと思うので、そこをすこしずつ詰めて、この1週間でどれだけ詰められるかだと思うので、あとは楽しんで入れ替え戦勝つしかないと思うので、頑張りたいと思います。

――センター攻撃の使い方については

基本的に、速攻は(ブロックを)1枚にしようって思っているんですけど、最初の方に使うとか、そういう工夫はしました。

――今後への意気込みをひとことお願いします

まずは入れ替え戦に勝つことを前提にして、その後の東日本インカレとか、秋リーグでまたチームが一回り大きくなれるように、練習も積んでやっていきたいと思います。

富澤結花(スポ1=東京・文京学院大女)

――富澤選手はおケガをされていましたが、きょうの調子はいかがでしたか

ずっと痛いのですが、「きょうは最後だから、痛くなってもいい」と思って全力でやりました。

――きょうも打数は多めでした。スパイクの調子はいかがですか

いつもよりは気合が違ったので、良かったかなとは思います。

――試合についてはストレート負け、スコアのほうも振るいませんでしたが

やはり最初に走ることができないのと、相手センターからの移動攻撃を何度も何度もやられてしまった場面があり、対応し切れなかった部分がたくさんありました。そういうところを、試合でちゃんと対応して、スパイクをレシーブして取っていかないとああいう結果になってしまうと思います。ですので、入れ替え戦では初めて見るチームと対戦すると思いますが、対応力を上げて頑張りたいと思います。

――相手センターからの攻撃が何回も決められてしまいましたが、ブロックはいかがでしたか

ブロックは良かった部分があると思います。最初にチームでこうして行こう、と決めたことができていたと思います。でもレシーブとの位置関係が全然できていなかったと思うので、もう一度確認し合ってやりたいです。

――富澤選手は春季関東学生リーグ戦(春季リーグ戦)で大学の試合デビューとなりましたが、振り返ってみていかがですか

毎週毎週試合があるということに慣れておらず、1週目はすごく疲れてしまいました。でも最後のほうは毎週試合があるということにも慣れました。大学バレーと高校バレーって力の強さなどが全然違って、大学バレーにもっと慣れなければいけないし、筋トレとかちゃんとやらなければと思いました。

――次は入れ替え戦に挑むことになりますが、意気込みを

絶対勝たなくてはいけないと思うので、しっかり喜んで、チームのムードメーカーになれるよう頑張ります!