新しい『ワセダのバレー』を目指し、再出発

女子バレーボール

 1部昇格への道を絶たれ、下位4チームで行われる順位決定リーグに進むこととなったワセダ。モチベーションの低下は否めないが、ここで戦いを止めるわけにはいかない。次の目標に向けて気持ちを新たに、きょうの立大戦に臨んだ。ここまでいまだ勝利がない立大に対して色々な戦術を試しながら戦い、得点を積み重ねていく。多くの選手が出場し、経験値を得ながら3-0(25-10、25-20、25-23)のストレート勝ちを収め、再出発の船出を飾った。

ストレート勝ちで4戦ぶりの勝ち星を挙げた

 「いま自分たちが置かれた状態でベストを尽くす」(黒木麻衣主将、スポ4=大阪国際滝井)。夢がついえようと、相手がどこであろうと、理想のバレーを追い求めて戦う選手たちの士気は下がっていなかった。第1セットの序盤から6連続ポイントで主導権を握ると、エース唐木沙彩(スポ3=千葉・柏井)のサーブが猛威を振るう。3本のサービスエースを含む6連続ポイントで大差を付け、余裕を持って第1セットを奪うことに成功した。

 この試合の焦点はただ勝つことではない。勝敗よりもいかに自分たちのかたちを作って試合を支配できるかが重要だった。ワセダの持ち味は厚い選手層をもとに繰り広げる全員バレー。チャンスを見つけてはセッターの黒木もスパイクを打つ攻撃的姿勢で立大に襲い掛かる。頻繁にメンバー交代を行い、様々な選手を試しながら勝利を目指した。

サーブ、スパイクと持てる力を発揮した唐木

 すると第3セット途中、ワセダは思い切った布陣へ切り替える。普段はセッターを務める黒木をコートに残し、1年生セッターの芹澤友希(スポ1=茨城・土浦日大)を投入したのだ。「(データバレーを)覆す何かを求めていかないと勝ち続けるのは難しい」(黒木)。練習はしていなかったと言うが、黒木は突然のアタッカー起用にも与えられた役割をこなすことに集中。おしくもスパイクを決める機会は訪れなかったが、持ち前のスパイク力を生かすための新たな戦術に期待が高まる試合となった。

 「自分たちのバレーはまだ完成していない」。そう語る平山璃菜(スポ2=東京・文京学院大女)はライトに加え、センターとしてもプレーできるマルチな選手。能力の高い選手が集まっているからこそ、戦い方によって発揮できる力は変わってくる。今後の目標は、全日本大学選手権(インカレ)までに各々が最も生かされる場所を探し、適材適所で戦える理想のかたちを作ること。1部昇格はできなくとも、個々の能力の高さを考えれば伸びしろは十分。新しい『ワセダのバレー』を模索し、インカレで勝負できるチーム作りを進めていく。

(記事 中澤佑輔、写真 小川朝熙)

セットカウント
早大 25-10
25-20
25-23

立大
スタメン
レフト 唐木沙彩(スポ3=千葉・柏井)
レフト 加納茉未(社2=北海道・札幌大谷)
センター 佐藤夢菜(文2=埼玉・狭山ヶ丘)
センター 関根早由合(スポ3=神奈川・橘)
ライト 平山璃菜(スポ2=東京・文京学院大女)
セッター 黒木麻衣(スポ4=大阪国際滝井)
リベロ 中川美香(スポ4=神奈川・大和南)
コメント

黒木麻衣主将(スポ4=大阪国際滝井)

――下位リーグでの戦いとなりましたが、いかがでしたか

正直なところ、気持ちを切り替えられていない選手もいるも思うし、現実を受け入れられないというのも事実ではあります。でも試合は続いていく中で、いま自分たちが置かれた状況の中でベストを尽くすことがこれから先私たちの目標であり、やらなくてはいけないことだと思うのでこのままチームが崩れて終わってしまうのではなくて、ここから立て直して次は全カレに向けてがんばるぞっていう3戦になればいいかなというふうに一応私は切り替えているつもりです。

――選手層が厚くなった中で勝てないチームの現状はどう捉えていますか

たぶん、みんな層が厚くなっていることも力が付いてきていることも実感してはいると思うんですけれど、それと同時に他もレベルが上がっているので対相手ってなった時に自分たちのいいところを出せないで終わったりとか、向こうにかき回されちゃったりとか。それってまだ結局本当の力にはなっていないのだなと感じるそういうリーグだったなと思っています。個人としてみたらいいと思いますが、6人で戦わなければいけないのでそうなった時に調子がいいとか悪いとかをカバーし合えるだけのチーム力がまだ付いていないのかなというふうには思いますね。

――精神的な面も課題があるのですか

そうですね。それはかなり大きいと思います。下の子なんかは特にみんなすごいスパイクが打てたり、いいサーブを持っていたり力があるので、それを100%とはいかなくても80、90ぐらいは出せるような環境をつくることが私たち4年生の仕事だと思っています。それができなかったのが反省であり、これからの課題です。

――黒木主将がアタッカーに入るかたちは普段から練習していたのですか

やってないです(笑)。めちゃくちゃ久しぶりにやりました。データバレーが進んでいるので2巡目になってくると1回目の試合の時に何が決まってたとか、こういう攻撃はあるとかないとかが読まれてくるので、そこを覆す何かを求めていかないと勝ち続けるのは難しいです。このリーグももちろんそうですし、インカレ(全日本大学選手権)も厳しくなってくるので、そこで私ができないと言うのではなくて監督に求められたことは全力でやるしかないなっていうふうに受け止めています。

――セッターの時のツーアタックを見ていると、黒木主将がアタッカーをやるのもありな気がします

今季は特にツーのマークがあんまりなくてすごい決まってるなというふうに自分でも感じているのでスパイカーでいくかはわからないですけど、それで何ローテかだけでも回せたらチームがちょっとでも楽になるのであればありなのかなと自分でも思っています。

――その時、セッターには代わりに芹澤選手が入りましたが、コートで見ていていかがでしたか

そうですね。正直私が1年生の時よりは全然上手だなと思うので彼女自身レベルも高いし、実際に私よりうまいなって思うこともいっぱいあるんですけど、まだこのチームでの経験がないので、多少のぶれだったりとかミスっていうのは1年生であるっていうことも含めて周りがカバーしていくものなのかなっていうふうに捉えています。きょうはちょっとぶれた部分もありましたけれどそれは全然問題なく、もっと思い切りやらせることが大事だなと思います。

――今後に向けて、いまのお気持ちを教えてください

1番の目標はこのチームで結果を残していくこと、1部に上がることだったのでそれはできませんでしたが、このチームは層が厚くてすごいいいチームだと思うし、まとまって力が出せた時ってすごく強いと思います。そこをもっと自信に変えて、常にそういう力を出せるチームにあと3戦でしっかりなって、全日本インカレに向けてまたきょうが再スタートなのかなというふうに監督もおっしゃっていたので、前向きな気持ちで頑張っていけたらと思います。

平山璃菜(スポ2=東京・文京学院大女)

――残念ながらきのうの試合で下位リーグに決定してしまいましたが、きょうの試合はいかにして気持ちを切り替えて臨まれましたか

きのう試合が終わったあとはみんな結構落ち込んでいて会話もなかったのですが、まだ試合が残っている以上、自分たちの目標はあくまでも勝負どころでつながれるチームなので、残りの3戦で突き通そうという気持ちできょうは来ました。

――振り返ってみてきょうはその姿勢がどのように作用しましたか

きょうは相手が相手だったので、ストレートで勝つことはできましたけど、やっぱり自分たちのバレーというのは、まだ完成していないのかなと思います。

――現在のチームの状態もまだ思うようにはいっていないということでしょうか

そうですね。このリーグを通してまだまだ成長できるのではないかなと思っています。

――そのうえで意識している自分の役割はありますか

守備でも攻撃でもバランスよく安定感のある選手になることを自分の目標としています。

――上位とのチームとの差はどこに感じましたか

相手がどうのこうのじゃないと思うので、自分たちのやりたいバレーがどこまで思いを持ってできるかの差だと思います。

――残りの試合でどこまで持っていきたいとお考えですか

いまのメンバーでできる最後のリーグ戦でもあるし、4年生にとっては最後のリーグ戦なので、下位リーグには決まってしまいましたがしっかり笑顔で終わりたいと思います。