全日本学生選手権（インカレ）は大会５日目を迎えた。強い日差しが降り注ぐ中、男女シングルス・ダブルス全ての準々決勝が開催され、早大からは男子シングルス１人、ダブルス１組、女子シングルス２人、ダブルス４組が登場。男子シングルスからは丹下将太主将（教４＝東京・早実）、女子シングルスからは神鳥舞（スポ３＝東京・早実）、そして女子ダブルスからは３組のペアが明日の準決勝に駒を進めた。
★丹下が準決勝進出を決める 池田・高畑組は悔しい敗戦（男子）
ストレート勝ちで準決勝進出を決めた丹下
丹下将太主将（教４＝東京・早実）は慶大の白藤と対戦。第１セットは、力強いショットを武器に相手に思うようなプレーをさせず、６－１で先取する。続く第２セットは、第５ゲームまで互いのサービスゲームを奪い合うブレーク合戦となった。それでも丹下は第６ゲームをキープすると勢いそのままに４ゲーム連続奪取。この試合をものにし、準決勝進出を決めた。
池田・高畑組は闘志を前面に押し出して戦い抜いた
池田朋弥（スポ３＝愛知・誉）高畑里玖（社２＝兵庫・相生学院）組が臨んだダブルス準々決勝。第１セット、先にリードしたのは池田・高畑組だった。その後逆転を許したものの、タイブレークまで持ち込み、再逆転。第１セットを獲得する。第２セットも互いにゲームを取り合う展開となったが、ミスが重なる時間帯があり、４－６でこのセットを落とす。10ポイント制のタイブレークで行われる最終第３セットも互いを声で鼓舞しながら戦った2人だったが、池田が「あの１本を入れていれば勝てていたのかな」と語ったスマッシュミスが最終盤で出てしまい、悔しい敗戦となった。
★シングルスでは神鳥、ダブルスでは３組が準決勝へ（女子）
神鳥は鮮やかなフォアで試合を決めた
女子シングルスはサウスポーの２人が残った。吉岡希紗（スポ４＝三重・四日市商）は第４シードの山崎郁美（亜大）と対決し、敗北。強く深いストロークの応酬が続くが、劣勢の場面での立て直しがうまい山崎に対してリズムが作れず、第１セットを落とす。続く第２セットは前に出て果敢に攻め、３－４の場面で２ゲームを連取し、５－４に持ち込むなど山崎を圧倒するゲームも。しかし、バックハンドのストロークやボレーを筆頭にミスが増え、今度は相手に２ゲームの連取を許し、第３セットに持ち込めず、敗退となった。 神鳥舞（スポ３＝東京・早実）は関西ナンバーワンの中村天音（関大）と戦い、フルセットの末、勝利。精度の高い中村のフォアハンドに苦しみ、第１セットこそ１ー６で落とすが、徐々に神鳥らしい攻めの球が炸裂する。展開の早いラリーを制し、チャンスを決めきる場面が増え、最後は鮮やかにフォアを叩き込んで勝利した。
笑顔で戦い抜き、早大対決を制した松田・安藤組
女子ダブルス、松田岬（スポ４＝東京・淑徳）安藤優希（スポ４＝東京・日出）と渡辺早和子（社３＝愛媛・新田）渡辺優夢（社１＝兵庫・相生学院）の早大対決は、４年生ペアの松田・安藤組が勝利した。ロブラリーから始まった第１セットは、互いにゲームを取り合う展開に。渡辺早のボレーや松田のサーブが光る中、「意識してしまった」という渡辺優の動きに迷いが生じ、渡邉早・渡辺優はこれまでの試合に比べ、わずかに連携が乱れる。松田・安藤組がゲームを連取し、第１セットを勝ち取った。第２セットもポイントは拮抗（きっこう）する。そして、ゲームカウントが５－５になった場面。ベンチでも笑顔を絶やさず、思い切ったプレーをした安藤・松田組が流れをつかみ、ベスト４進出を決めた。試合後のインタビューで、お互いのことを「お姉さんのような存在」（渡辺優）「頼もしい存在」（渡辺早）と答えた渡邉早・渡辺優組。プレーでリードした渡辺優と、凛々しい声掛けでリードした渡邉早は、ベスト８で敗退となった。
（記事・写真 佐藤豪、田島璃子）
結果
男子シングルス
▽準々決勝
◯丹下将太[６－２、６－３]白藤成（慶大）
男子ダブルス
▽準々決勝
●池田朋弥・高畑里玖[７－６（５）、４－６、８－10]町田晴・副田温斗（明大）
女子シングルス
▽準々決勝
●吉岡希紗[２－６、５－７]山崎郁美（亜大）
◯神鳥舞[１－６、６－２、６－２]中村天音（関大）
女子ダブルス
▽準々決勝
◯斎藤優寧・神鳥舞[６－０、６－１]大坪花・星野桃花（東京国際大）
◯松田岬・安藤優希[６－４、７－５]●渡辺優夢・渡辺早和子
◯吉岡希紗・石川琴実[６－２、６－１]神山優香・安井友菜（中京大）
渡辺早和子（社４＝愛媛・新田）渡辺優夢（社２＝兵庫・相生学院）
――試合を終えての率直な気持ちは
渡辺早 悔しいです。
渡辺優 私も、悔しいです。
――インカレでここまで行きたい、という目標は立てていましたか
渡辺早 正直、ダブルスに関しては、お互い、上を目指すとかは本気で無くて。優夢との試合を１試合でも多くできるように自分が頑張ろうと思っていました。ペアを組み始めてから、組みやすくて、上を目指していきたいなという気持ちはあったんですけど、そんなに高望みしていなかったというか。眼の前の１試合を楽しんで楽しんで。１試合でも多くできるようにと頑張っていたら、ここまで来たという感じです。
渡辺優 私もなかったです。早和子さんとの（ペアは）最後の試合だと分かっていたので、組ませてもらったからには、最後の最後まで１試合でも多く試合ができるようにと思っていました。後悔のないように、というと、すこし後悔は残ってしまいましたが。
――相手も早大の松田・安藤ペアでした
渡辺早 正直本当に複雑な気持ちで。自分は相手２人とも同期で、４年間、楽しいことも苦しいことも一緒に経験してきた仲で、お互い最後の個人戦って分かっていて。こんな舞台でできるのはすごくありがたい話で。真剣に勝負に向き合ったからこそ、負けたあとには悔しかったですね。楽しもうとは思っていましたが。
渡辺優 すごくお世話になっている先輩の２人で。意識しすぎずやろうと思ってはいたんですが、実際のコートに入ってみたら、思い通りに行かない部分もありました。
――ダブルスのペアとして、お互いにどのような存在でしたか
渡辺早 楽しかった！ すごく、普段からおかしな子なんですよね。コートの中でも、いい意味でも悪い意味でも、「そんな動きするんだ」とか、「そんなプレーするんだ」というのがいろいろあり過ぎて組んでいて楽しかったです。良い方向に行けば、すごく良くなっていったのも実際に感じました。最初の頃に比べると、今日はすごく伸びて、ダブルスができるようになったので、頼もしかったです。あと、心強かったです。優夢だからこそ自分も楽しくできたました。プレーで引っ張ることはできないんですが、声掛けとか、そういうところで頑張ろうと思っていて。それに優夢は一生懸命応えてくれて、本当にありがたかったです。
渡辺優 お姉さんみたいな存在です。
渡辺早 本当に思ってる？
渡辺優 名字が一緒なんですけど、
渡辺早 関係ないでしょ（笑）。
渡辺優 自分ができていないところはちゃんと言ってくれる数少ない先輩ですし、プレーも、後ろでストロークをしながら（渡辺早の）前でのプレーをかっこいいなと見ていて。自分も、「早和子さんみたいにできるようになりたいな」、「頑張ってついて行こう」と思える存在でした。
池田朋弥（スポ３＝愛知・誉）・高畑里玖（社２＝兵庫・相生学院）
――試合を終えての率直な気持ちは
池田 最後のスマッシュミスで勝敗が決まってしまったのかなと。それまでにもミスはあったのですが、やはりあの１本を入れていれば勝てていたのかなと思うので、練習から一球に集中してやっていく必要があるのかなと思います。
高畑 悔しいです。今回は春関に出れていないということもあって、朋弥とのダブルスは今年初めてで。練習もせずに臨んだ試合だったので、もっと早く負けるかなとは思っていたのですが、１回戦から2人で気合いでなんとか誤魔化してここまできて、最後チャンスはあったので、もっと準備しておけばなという後悔はあります。
――今回のインカレに向けてダブルスの目標は立てていましたか
池田 準備はできていなかったのですが、優勝、最低でもベスト４を目指してきました。なので今日は特に勝ちたい試合でした。
高畑 目標というのは正直立てていなくて。1試合ずつ、1試合でも多くできればと思っていました。
――今後へ向けての意気込みを聞かせてください
池田 10日後くらいからリーグ戦が始まって、それが終わったら夏関、王座と続いてゆっくりしている暇はないので、リーグでも全勝して、王座でも全部勝てるように練習していきたいと思います。
高畑 怪我がだいぶ長引いているので、まずは問題なくコートを走れるようにしたいです。リーグ、夏関、王座と続くので、特に王座は記録が続いているので、しっかりと勝って、歴史的な記録を残したいと思います。