全日本学生室内選手権(インカレインドア)は最終日を迎えた。早大は男子シングルス、男子ダブルス、女子ダブルスがこの日の決勝まで勝ち進んだ。男子シングルスの白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)、男子ダブルスの丹下将太主将(教3=東京・早実)・白石組はフルセットの末敗れ準優勝に。女子ダブルスの神鳥舞(スポ2=東京・早実)・齋藤優寧(スポ1=岡山学芸館)組は初のペアとしての大会で見事に優勝を果たした。
惜しくも敗れた白石
最初に行われたのは男子シングルス決勝。相手の田口涼太郎(近大)には全日本学生選手権(インカレ)の準々決勝で敗れ、連覇を阻止されている。今回もインカレインドア連覇をかけての一戦となった。第1セット序盤は前に出てくる相手に対応し、持ち味の守りからラリーを組み立て、相手のミスを誘う。そして、第3ゲームで長いラリーを展開し相手に決めきらせずにブレークする。しかし、直後の第4ゲームで前後に揺さぶるも、前に出てきたところを抜かれ、相手の強い攻めを止められずブレークバックされてしまう。このまま相手に流れが傾き3ゲーム連取されて迎えた第7ゲーム。ここをブレークすると苦しみながらも5-5まで持ち込み、強気の攻めを見せ続け第11ゲームのブレークに成功する。次のゲームも長いラリーが続く展開となったが、最後は一気の攻めで押し込み、「少ないチャンスをものにできた。どっちが勝ってもおかしくない第1セットをぎりぎり取り切れた」(白石)となんとか第1セットを獲得した。しかし、続く第2セットでは終始相手のペースとなり、ポイントをなかなか奪えずに1-6で落としてしまう。そして迎えた第3セットでは、第3ゲームで果敢に前に出たところをクロスに抜かれてしまいブレークを許すと、その後はブレークポイントを奪ったりデュースまで持ち込んだりするものの、相手の勢いと冷静なプレーに対応しきれず、あと1点が遠かった。結局ブレークを守り抜かれ第3セットを落とし、フルセットの末にインカレインドア連覇とはならなかった。
丹下・白石組もフルセットの末に敗れた
次に男子ダブルスの決勝が行われた。相手は昨年度のインカレインドア、そして今年のインカレでダブルス優勝を果たした藤原智也と1年生ながら着実に頭角を現してきている下村亮太朗の慶大ペア。序盤は力強さを見せいきなりサービスエースを2本決めるなど1ポイントも奪われずに第1ゲームをキープする。さらに、第2ゲームでは白石の鋭いリターンが2回決まり、あっさりとブレークに成功。その後は相手に粘られ強打で抜かれる場面もあったものの、サービスからゲームを優位に進め6-3で第1セットを獲得した。しかし、第2セットでは強烈なサービスが持ち味である慶大の下村亮太朗のサービスを止めきれず崩される展開に。さらに早大のサービスにも対応され始め、強いリターンを返され第2ゲームをブレークされてしまう。「僕のサービスゲームでキープできなかったことがキーとなってしまった」(丹下)と流れが慶大に変わり、5ゲームを連取され結局1-6でこのセットを落としてしまう。なんとか流れを引き戻したい第3セットだったが、中盤の勝負所でサーブミスやネットなど流れを取り戻せない時間が続く。6-9から強気の攻めで8-9まで持ち込んだものの、最後は下村のサーブから藤原智也にボレーを決められ、激闘の末惜しくも優勝とはならなかった。
初優勝を果たした神鳥・齋藤組
女子ダブルス決勝の相手となった清水里咲・谷井涼香組(駒大)は、先日の関東学生選手権(夏関)を制し勢いに乗っている。早大からは今大会で初めて組む神鳥・齋藤組がインカレインドア王者を狙う。第1セットは両者サービスキープで迎えた第3ゲームはロブの応酬となり、相手を奥へと追い込んだところへ齋藤のボレーが決まるなど流れを引き寄せブレークする。しかし直後、相手の鋭いストレートのストロークで前衛を抜かれ、流れを掴みきれずに、神鳥のサービスゲームをブレークバックされてしまう。両ペアのサービスキープ後の第7ゲームで、長いラリーを粘り相手のミスを誘い再び清水のサービスゲームをブレークする。しかし続く第8ゲーム、こちらも再び神鳥のサービスゲームをブレークされる。このまま一進一退の攻防が続き試合はタイブレークに。「緊張したが、強気のプレーができた」(神鳥)というように、バックハンドからのストロークが決まるなど5-5から2連続でポイントを奪い、第1セットを獲得した。接戦をものにできたことはメンタル面でも大きく左右し、第2セットは、「自分たちらしいプレーができた」(齋藤)と第3、第7ゲームをブレークする。体力的にも厳しくなった相手に対し、しっかりとラリーを続け、最後はマッチポイントを取ってからゲームが取れずに足踏みもあったが、直後のゲームをブレークし初めてのペアでうれしい初優勝を決めた。
神鳥・齋藤組の女子ダブルス優勝で今年最後の大会となるインカレインドアは幕を閉じた。神鳥にとってはシングルスベスト4、ダブルス優勝と快進撃が続く結果に。男子は惜しくも単複準優勝と最後は悔しい結果に終わったが、ジュニアの頃から組む丹下・白石組は今大会が初の全国大会決勝の舞台。「楽しくダブルスできた」(丹下)と語った。新体制となり初の全国の舞台で各選手が課題や収穫を見つけ、結果を残した。来年の早大庭球部にも大きな期待が膨らむ。
上から女子ダブルス優勝の神鳥・齋藤組、男子ダブルス準優勝の丹下・白石組
(記事 森山裕介 写真 山床啓太)
結果
男子シングルス
▽決勝
●白石光 [7-5、1-6、4-6] 田口涼太郎(近大)
男子ダブルス
▽決勝
●丹下将太・白石光 [6-3、1-6、8-10] 藤原智也・下村亮太朗(慶大)
女子ダブルス
▽決勝
〇神鳥舞・齋藤優寧 [7-6(5)、6-3] 清水里咲・谷井涼香(駒大)
チャンピオンスピーチ
神鳥 まず初めに今大会を開催してくださった学連の皆さま、関係者の皆さま、本当にありがとうございました。次に決勝戦を戦ってくださった清水・谷井組、ありがとうございました。最後になりましたが連日、朝早くからサポートしてくださった石井監督、ありがとうございました。自分は個人戦の全国大会で初優勝することができてすごくうれしいです。この結果に満足することなく来年も頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
齋藤 まず初めに大会を運営してくださった関係者の皆さま、ありがとうございました。連日、朝早くからサポートしてくださった弥起さん、ありがとうございました。決勝で戦ってくださった清水さん、谷井さん、ありがとうございました。自分はダブルスの全国大会で決勝に行くのが3回目で、これまでの2回は準優勝と悔しい思いをしてきたので、3度目の正直をここで達成することができてとてもうれしいです。これからはシングルスももっと頑張ってさらに上を目指して頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
コメント
神鳥舞(スポ2=東京・早実)・齋藤優寧(スポ1=岡山学芸館)
――優勝おめでとうございます! 優勝を決めてのお気持ちは
神鳥 素直にうれしいです!
齋藤 まさかだったので本当にうれしいです!
――初のペアリングで頂点に立てたことに関してはどう思いますか
神鳥 自分自身、後輩と組むのが人生で初めてでいつもは先輩に引っ張ってもらって試合をしていて、今度は逆の立場だったのですが、すごく頼もしくて全然引っ張るとかではなかったです。ペアリングとかもあまりしていない中でこんないい結果を残すことができてすごくうれしいです。
齋藤 逆に初めてだから何も考えずに思いきりできたのかなというのはあるので、組めて良かったと思いました。
――相手は夏関で優勝しているペアでしたがどのようなことを考えて試合に臨みましたか
神鳥 自分は夏関でそのペアに当たっていて、ちょっとは特徴とかはわかっていたのですが、そんなに気にすることなく自分たちのプレーをやろうと話していました。
齋藤 夏関で優勝して勢いがすごくあるペアでどんどんシード選手にも勝っているペアでしたが、自分たちも誰も勝つと思っていなかったところで勝っていたので、自分たちが思いきりやっていけば大丈夫だろうという話をして試合に入りました。
――第1セットを振り返って
神鳥 第1セットはタイブレークということもあって、本当にどっちが取るかわからない状況でした。タイブレークに入った時は緊張もしたし、やはり第1セットを取れるか取れないかで大きく変わってくるなとは思っていたので、その中で強気のプレーをできたかなと思います。
齋藤 すごく苦しい時間が長く続きました。それでもタイブレークになった場面で舞さんがすごく引っ張ってくださって、強気なショットも何本も打ってくださって、自分にとって勇気づけられました。だから第1セットを取れて勢いに乗っていけたのが勝因かなと思います。
――第2セットを振り返って
神鳥 第1セットを取ったことによって、やはり相手は気持ち的にも来ていたと思うし、自分たちはもう思いきってやれたというところはありました。最後は勝つ寸前でマッチポイントもあって、その中でそのゲームを取れなかったりして、やはり優勝するのはそんなに簡単じゃないとは思いましたが、それでも最後まで2人で強気のプレーをできたのが良かったかなと思います。
齋藤 第1セットを取っていい勢い、流れに乗っていけたというのもありますが、自分たちらしいプレーが第2セットに入ってやっとできるようになったかなと思っているので、第2セットはすごくいい内容だったと思います。
――今大会のダブルス全体を振り返って
神鳥 まずはエントリーリストが出るまで予選(からの出場)かもねという話をしていた中で、本戦と決まった時にまず1個勝ちたいねと話していました。上を目指しすぎず、1個1個ちゃんと戦えたことが優勝につながったかなと思うので、良かったです。
齋藤 本当にまずは1個というところからスタートしていました。1個ずつ勝つごとにお互いにペアリングも良くなっているのを実感していたし、自分的にもだんだん自分が動けているなとか思いきりよくなってきているなとかを実感できたので、ダブルスは全体的に自信を持てる大会になったかなと思います。
――神鳥選手はダブルス優勝、シングルスベスト4と戦績を伸ばすことができましたが何か原動力みたいなものはありましたか
神鳥 そんなに何かあったわけでないですが、大学に入ってからシングルスでベスト4に入っていなくて、ベスト4を目指してやっていた部分はあったので、その目標に向かって1個ずつできたかなと思います。
――今大会で一番自信がついたことは
神鳥 一番は結果というところで、この結果が自信につながりました。あとは相手のミスとかでポイントを取ったというよりかは自分たちからという部分で、自分たちのプレーをして優勝することができたというのが大きくあるので、そこは自信を持って全国でも戦えるんだということを証明できたかなと思います。
齋藤 自分はボレーなどでまだ課題がたくさんありますが、自分のストロークでどんどん相手を押していって前で決めてもらうというかたちがすごくたくさんありました。最近はあまり試合でいい結果というか自信につながるようなことがなかったのですが、今回のダブルスですごく自分のストロークが自信を持ってできるようになったかなと思います。
――今回の優勝という経験を今後どのように活かしていきたいですか
神鳥 今回はダブルス優勝、シングルス3位ということで次の目標は単複優勝というのを掲げてそれに向けてこれから頑張っていきたいと思います。
齋藤 自分はダブルスにしか出られなかったのですが、ダブルスは優勝したとは言え、まだ1年生でこれからまだまだ長い学生生活なので、変に気負わずに逆に自信に変えてもっと頑張っていけたらいいなと思っています。もちろんシングルスも忘れずにもっと頑張ってしっかりと結果を残せるように頑張りたいと思っています。
――来年に向けての抱負をお願いします
神鳥 来年はインカレで単複優勝することと、チームとしても自分も上級生になるということもあって、本当にテニスで引っ張っていけるようにするという部分で、団体戦でちゃんと単複1本ずつ持って帰ってくるということもしていきたいと思います。
齋藤 今年はけがとか体調不良に悩まされた1年で、自分的にも苦しい1年間でしたが、最後の最後にこのように努力が実ったというか、頑張ってきた甲斐があったなと感じました。来年からはけがをしないでずっとテニスに打ち込める環境を自分でしっかり整えて、さらに結果を残せるように頑張っていきたいと思います。
白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)
――シングルスは準優勝という結果に終わりましたがこの結果についてはどのように捉えていますか
優勝だけを望んで挑んでいた大会でした。その中でもどの選手も強い中、まずは決勝まで上がれたということで1個の通過点を突破できたのは良かったと思います。インカレのリベンジと連覇がかかっている試合でしたが、別にそれを意識しすぎて緊張したとかではなくて。インカレで田口に負けた時よりもリラックスした状態だったし、プレッシャーもそんなに感じていなかったので、半々ですね。よくやったなという気持ちもあります。第3セットは4-6でどっちが勝ってもおかしくないし、最後まで諦めずチャンスもあったし、それでも最後は田口に押しきられたということは勝負で仕方がないことなので。そういう日もあると思うので、そんなに深く落ち込んでいるとかではなくて、出しきったかなという感じです。
――インカレの時には連覇にかかるプレッシャーということを仰っていましたが、今回はそれがなかったということでそれはどのような要因からなのでしょうか
やはり1回負けているというところで、第1シードですがもうチャンピオンじゃないので、そこで気負いはなかったです。もうプロになると決めて臨んでいる大会ですし、先を見据えているというのもあります。もちろん出るからには優勝を目指していますが、学生大会だけにこだわらず、別にこれで終わりじゃないという気持ちになっているのが大きいかなと思います。もう通過点にしていきたいし、そういったところでそんなにプレッシャーはなかったと思います。
――今日の試合の第1セットを振り返って
第1セットは2-4ダウンから7-5というかたちで取りきることができて。正直押されていましたし、先にブレークされて2-4でしたが、サーブアンドボレーを混ぜたり、少ないチャンスをものにできました。それでもどっちが勝ってもおかしくない第1セットをぎりぎり取りきれたという感じですね。
――第2セットを振り返って
やはり第1セットは「取った」という感じでした。いい感じで取ったというよりは正直、取っただけという心境でした。流れには乗りたかったですが、別に7-5で取ったからこのままいけるとは思っていなかったです。そういったところでまた先にブレークされて、今度は田口が第1セットのようにはならないようにしようという気持ちで1-3のサービスゲームですごく集中してきたし、そこが大きかったです。1-4で離されると向こうもノンプレッシャーで打ってくるし、強かったです。もう完全に田口の2セットという感じでした。
――第3セットは振り返って
先にブレークされたのは第2セットの流れが良くなくて、それがつながったと思います。それでも合間のサービスゲームで向こうのブレークチャンスも何度もある中で1-3になってちゃんと我慢して2-3にして、2-4になって3-4にして、3-5も4-5にして。ファイトはしていました。もう1個離されないように全力で努力はしましたし、リターンゲームをブレークするためにいろいろな策を練ったし、それでやってきたブレークチャンスを取りきれなかったというのは、正直これは仕方がないと思います。何かがあったら取れていたかもしれないゲームばかりだったので、田口がそこで恐れずに攻めてきたというのもあるし、本当に死力を尽くしたという感じです。やることはやりました。それで最後の4-6(になったゲーム)は田口にリスペクトというか5-4のサービスゲームであそこまでしっかり攻めてこられて、優勝が決まるサービング・フォー・ザ・マッチであそこまでしっかり攻めてミスせず決められたらもうこっちはナイスプレーと称えるしかないです。それでもずっと望みを持って、いつかチャンスが来ると信じ続けてやりきれたというのは良かったと思います。
――今回のインカレインドアの経験を今後どのように活かしていきたいですか
欲を言えば優勝で終わりたかったですが、ここまで単複決勝まで進んだということで体力的な面でも成長していると思うし、単複第1シードということで決勝まで行くというのは最低限のノルマだと思っていたので、それはクリアできたかなと思います。シングルスで負けてしまったそういう日だったというところですね。ついていなかったし、相手の方がいいプレーをしたというだけなので、このインカレインドアは総合的に見て良かったと思います。インカレの時とは全然、精神状態が違いました。インカレの時は本当にきつくて、テニスも結果も微妙という感じで、攻めれていないし、ここを攻めないから負けたんじゃないかとか、結果以上に自分のテニスに対して不満が残る大会でした。それでも今回は攻めれたし、サーブも良かったし、ファイトしたし、次につながる大会だったかなと僕は思います。明らかにインカレよりはテニスは良かったと思います。2021年、やりきったなという感じです。
――来年は4年生としての1年であると同時にプロを見据えての1年になると思いますが、来年に向けて抱負をお願いします
部活では最上級生ですが、僕は部に関しては何もすることはなくて、主将と副将がそういうのをやってくれるので、僕はまたテニスを頑張ってチームに貢献するということだけです。そこは選手としてサポートに感謝の気持ちを持って、最後まで負けていてもファイトするというのと絶対に勝つという気持ちを持ち続けるというのを、別に4年生になって偉いからといって変えていいものではないので、そこは忘れないで。プロに関しては来年もたくさん大会に出ます。オンライン授業というのをいいことに今年はすごかったと思います。大学生活で一番出ました。それを全試合ファイトしたというのと今年最後まで終われたのはなにより自信にしていいと思います。今年はプロになるというのを宣言した年だったので、来年はそれをかたちにしていくというか、それに備わった実力を身に付けないと、プロになりますと言って満足してもただかっこつけているだけなので。本当にプロになれるのかと思っている人たちをぎゃふんと言わせるというか、宣言したからにはそれなりの覚悟と実力を身に付けられる1年にしたいと思います。
丹下将太主将(教3=東京・早実)・白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)
――準優勝という結果でしたがこの結果についてはどのように捉えていますか
白石 僕と丹下で組んで全国の決勝に行ったのはジュニアの頃を含めて初めてでそこに関しては良かったと思いますが、やはり第1シードで臨んでいる大会というのと、ダブルスのタイトルを取れるのも残り少ないというのを考えると、もったいないかなと僕は思っています。今日は僕が負けムードを呼んでしまったというか、シングルスの流れがダブルスにも影響して、そういう雰囲気を漂わせてしまったかなと。それでもファイトしたので仕方がない結果かなとは思います。
丹下 一言で言うとすごく悔しいです。今まで組んできて優勝に手の届く、優勝がすぐそこに来ていたので、最初で最後のチャンスではないですが、逃してしまったなという印象です。やはり学生大会も今大会を入れてあと2回しかないと思うので、今日はすごくチャンスだったと思っています。その中で勝たなければいけないというプレッシャーもありましたが、本当に悔しいですね。それに尽きます。
――今大会は第1シードで優勝候補として臨んだ大会だったと思いますが、実際にプレーしていてプレッシャーを感じる部分はありましたか
白石 いや、プレッシャーはなかったですね。正直、第1シードと名がついて臨んでいるだけだと僕は思っていたので。インカレインドアに出るぐらいの16ペアは本当にどこも強くて、僕はただ上にドローが載っているぐらいの感覚だったので、そこに対してのプレッシャーはなかったです。
丹下 僕もプレッシャーはそこまで感じてはいなかったです。優勝経験も少ないですし、戦績を残しているペアは他にもたくさんいたので、むしろチャレンジャー精神というか向かっていくという意気込みで臨んではいました。
――今日の試合の第1セットを振り返って
白石 入りが良かったです。2ゲーム目にすぐブレークして、下村(亮太朗、慶大)のサービスゲームでブレークできたのは大きいし、それの流れで1ブレークのままいけました。5-3の丹下サーブでブレークポイントもあってキーだったと思いますが、そこをしっかり取りきれて、最初の流れのまま逃げきれたという感じでした。
丹下 第1セットはかなりいいパフォーマンスで戦えたと思います。白石も言ったように最初に早い段階でブレークできて、ずっとリードした状態を保って戦えていたので、特に悪いところは見つからなかったと思います。
――第2セットで相手に流れがいってしまいましたがその要因は
白石 全く逆ですね。先にブレークされてたぶんリターンゲームで向こうはノンプレッシャーで来るし、第1セットで僕らがそういう精神状態でできていたのが、次は最初にブレークされてしまったことで向こうにいってしまったという、それだけかなと思います。
丹下 やはりキーゲームは僕の2ゲーム目のサービスゲームで取れそうだったのですが、キープできなかったというところが、第2セットを落とした要因でもあり、今日の試合を決定づけた1ゲームだったと試合を終えて感じています。やはりダブルスは勢いが大事だと思うので、先に主導権を握られてリードされてしまったというのが、本当に第2セットは顕著に出てしまったと思います。
――第3セットは振り返って
白石 そうですね、第3セットは……。本当にあまり覚えていないんですよね。逆ゾーンというか、体がピークでした。第3セットが普通にあるより10点の方がチャンスはあったのですが、僕のダブルフォルトが5-6であったり、リターンミスも多かったり、向こうの方がたぶん簡単なミスが少なかったですね。10ポイントは普通のセットとは違ってダブルフォルトとかリターンミスとか1個のミスが勝敗に響くので、それで向こうの方が少なかったです。藤原(智也、慶大)も良かったし、下村も何かするよりたぶん入れることに徹していたし、8-10でしたがその差だと思います。
丹下 第3セットも常に相手にリードされている展開が続いてしまったのが、落としてしまった要因かなと思っています。自分たちが先行した場面が本当に最初の1ポイントだけだったと思うので、そこで連続していいプレーが出せなかったのが、良くなかったかなと思います。その分、相手は安定して常に落ちることなく、やることをやるというか。スーパープレーみたいなものも多少はありましたが、それが連続しているわけでもなくて、リターンをしっかり返すことであったりファーストサーブをしっかり入れるということを相手が徹底してやってきた感じでした。
――今回の勝敗を分けたところはやはり第2セットということになるのでしょうか
白石 もちろんそうですね。まあでもダブルスがおもしろいのは第1セットをどんな取り方をしようが、一気に流れが変わるというのがシングルスと違うところで、本当にサービスゲームが有利で1ブレークの差で一気に精神状態が変わってしまうというのは、ダブルス特有のものだと思います。第2セットをもうちょっと競って落としていたら最後の10ポイントは違ったかもしれないし、一気に離されすぎてしまったというところで、別に0-1のブレークが悪いとは全然思っていなくて、もう1個離されてしまったのが良くなかったと。0-3から0-4になったのですが、それを1ブレークのままついていけば10ポイントも変わってきたと思うので、その1個離された時に我慢強くできなかったというのが今日の敗因かなと思います。
丹下 第2セットの僕の最初のサービスゲームが本当にキーだったかなと僕は思っています。白石も言ってくれたように、ダブルスは本当に勢いが大事なので、1ゲーム、1ポイント、1つのプレーで流れがガラッと変わるスポーツというか。本当にシングルスとは違うスポーツと僕は結構考えているのですが、それを今日の負けで改めて実感したというか、この負けから学ばないといけないかなと思います。身をもって感じたという感じです。
――このペアで今大会を戦って振り返っていかがですか
白石 団体戦では組んでいなくてインカレとインカレインドアは組むというのはたぶん珍しいパターンだと思うのですが、他の部員にもわがままを言ってこのペアになっているので、ジュニアからというのもあるし、なんとか優勝したいという思いで組んでいました。大学から組んだ池田(朋弥、スポ2=愛知・誉)とかと比べたら慣れはあるし、組みやすいというのはやはり感じました。今後は団体戦で組む可能性もあると思うので、早慶戦で慶応とやるとなっても今日のペアの可能性も十分あります。シンプルに楽しかったです。
丹下 試合は負けてしまって悔しい思いをしましたが、ダブルスを戦うということに関しては自分の今まで以上のパフォーマンスというか、自分の持っている力を100パーセント出せたと思うし、白石と組んだからこそそれができたと思うし、今回もここまで勝てたと思うので、ペアには感謝しています。そして、勝てなかったですが、楽しくダブルスできたので、そこに関しては良かったと思います。
――このペアとしての今後のダブルスの抱負をお願いします
白石 とりあえず団体戦で組む可能性がある中で、まだまだやらないといけないことが白石・丹下には山ほどあるので、そこをしっかり練習で。正直、団体戦で組んでいないし、王座(全日本大学対抗王座決定試合)が終わって夏関があって、僕は(夏関の期間で)昭和の森(オープン)に出ていて、(2人での)練習を1日ぐらいしかやっていないでインドアに来ているのでそこかなと思います。だから決勝に行ったのが「すごい!」という感じにしていいと思います。組むのがインカレぶりだったし、もっと練習していけば結果はついてくると思います。
丹下 残すところ1大会しかないので、そこで最後は勝って笑って終われるようにしたいなと思います。白石と組む可能性が高いですが、ペアが誰になろうが最後に求められるのは結果だと思います。勝って笑って終われるように、技術的な課題も見えたので、しっかりそこに取り組んで悔いなく終われるように頑張りたいと思います。
――丹下選手は主将としてチームをどのように引っ張っていきたいか、主将しての抱負をお願いします
丹下 まずスローガンとして『完全燃焼』というのを掲げているので、テニスにもそうですが、勉強や人間関係全てにおいて全力で僕含めて部員全員が取り組んでいきたいなと思っています。最終的な目標は王座17連覇ということなので、その過程でつらいこともたくさんあると思いますが、それでもチーム全員で鼓舞し合って最後は勝って笑って終われるようにしたいと思います。そして妥協せずにみんなで鼓舞し合って向上していけるようなチーム作りをしていきたいと思います。