関東学生選手権2日目は男子ダブルスと女子シングルスの1回戦が行われた。男子ダブルスでは新ペアを含む5組が出場。新しく組んだ渡部将伍(教3=東京・早実)・田中瑛大(スポ2=神奈川・湘南工大付)組と本戦初出場の小林大修(文構3=東京・早実)・藤岡凌大(文構2=東京・早実)組は負けてしまったが、他の3組が初戦を突破した。一方の女子シングルスでは団体戦でサポートや応援などに回っていた非レギュラー陣を含む13人の選手が出場。レギュラー陣と非レギュラー陣で明暗が分かれるかたちとなり、5人が2回戦へと駒を進めた。
新たなペアで挑んだが敗れた渡部・田中組
渡部・田中組は今大会が初のペアリング。試合は第1、第2セットともに相手の中川舜祐(法大)の強力なサーブやリターンに押され、先にリードされてしまう。そこからお互いの長所であるストロークで盛り返したが、ペアリングの浅さはぬぐいきれず、ストレート負けとなった。丹下将太(教3=東京・早実)・高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)組は序盤から大きな声で試合を作る。しかし小さなミスが重なり、第1セットはタイブレークを死守するも、第2セットを落としてしまう。相手のサーブ、リターンも良く、気持ちが沈みかけるが、「声を出そう」と切り替えた10ポイントタイブレークの第3セットはエンジンを再点火。10-4で意地を見せて勝ち切った。その丹下・高畑組が気にかけていたのが、2つ隣のコートで戦った小林・藤岡組だ。互いに鼓舞し合い、しっかりとコミュニケーションを取りながら試合を進める2人。しかしストロークが浅くなると、ボレーヤーにチャンスを与える場面も多く、持ち味を十分に生かせずに敗北となった。吉野郁哉(スポ2=兵庫・西宮甲英)・山口柚希(スポ1=鹿児島・鳳凰)組は終始楽しんでプレーし、前衛で次々とボールを仕留めて6-2、6-1と相手を圧倒した。増田健吾(社3=東京・早実)・池田朋弥(スポ2=愛知・誉)組も安定したプレーで流れを渡さない。明るい雰囲気で6-0、6-3と危なげなく勝利した。
石川琴実(社3=神奈川・白鵬女)と渡邉優夢(社1=兵庫・相生学院)の同士討ちは白熱した試合に。第1セットは渡邉優の下がらずにボールの跳ね際を打つようなワンテンポ速いストロークに石川の対応が遅れて渡邉優が獲得。しかし、第2セットは渡邉優の球が浅くなってきたところを石川が攻めて勝負は第3セットへ。10ポイントタイブレークは両者譲らず9-9までもつれたが、最後はミスなくプレーした石川に軍配が上がった。押川千夏(社3=福井・仁愛女)は第1セットこそボール何個分かのわずかな差のミスが続いて取られたが、第2セットからは調子を取り戻す。第3セットはどちらに転ぶか分からない展開となったものの、なんとか取りきり初戦を勝利した。安藤優希(スポ3=東京・日出)は全日本大学対抗王座決定試合(王座)でダブルスに出場した慶大の大川美佐と対戦。試合は序盤から互いに譲らない展開となる。安藤の力のあるストロークでリターンゲームは獲得できるものの、サービスゲームをなかなか取りきれない。逆サイドのライン際といった厳しいコースにストロークを決められて粘りきれない展開が続く。5-7で第1セットを落とし、第2セットもタイブレークに突入。なんとか第3セットに持ち込みたかったが相手に攻めきられ、悔しい惜敗を喫した。
豊島舞(スポ4=大阪・大商学園)は今回の夏関が最後の個人戦。今日の試合では相手に左右に振られて自分の流れを作りだせなかったが、最後の舞台を予選から勝ち上がった本戦の舞台で終えることができた。谷美七海(スポ1=愛知・誉)はラリーの中で先に打たれるとすぐに粘りきれなくなるポイントが目立ち、終始相手のペースのまま1-6、1-6で敗れた。松田望愛(文構3=東京・早実)は第1シードの山崎郁美(亜大)との対決。重く鋭いストロークに苦しみ、コントロールが乱れ、ネットやサイドアウトが多発。第2セット序盤、丁寧に点を重ね、3ゲームを連取するが流れはつかみきれず、0-6、3-6で敗戦となった。渡邉早和子(社3=愛媛・新田)は一球一球を丁寧に処理。相手の際どいコースのショットにも、細かいフットワークで対応していく。しかし相手の攻め込むスキルが勝り、4-6、3-6。勝つことはできなかった。
齋藤優寧(スポ1=岡山学芸館)は刺さるような打球で効率よく試合を展開。しかしチャンスを生かせずスコアは拮抗(きっこう)。次第に相手の調子が上がり、一方齋藤は足の指を気にする場面も。ボールを追いきれなくなり、5-7、3-6と突き放されてしまった。松田岬(スポ3=東京・淑徳)は相手のサーブに苦しむ。諦めない強い気持ちでボールを拾い、松田らしい積極的な攻めでポイントを取り、相手を焦らせる場面もあった。しかし決め球のミスも目立ち、1-6、3-6と、勝利には届かなかった。バラエティ豊かなショットで相手を前後左右に翻弄し、苦しい体勢からのショットの正確さが光った神鳥舞(スポ2=東京・早実)と、回り込みフォアなど余裕を持って攻め込み、緩急のあるボール運びで冷静沈着にプレーした吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)はともに余裕を持って勝利した。梶野桃子(社1=京都外大西)は粘り強い走りでロングラリーを制する。対戦相手が途中棄権し、ゲームカウント2-1で終了した。
同士討ちを制した石川
男子ダブルスは新たなペアリングで臨む組もあり、今大会は新体制に向けた試金石となる。現状のペアリングでどこまで実力を発揮し、勝ち進めるか注目だ。女子シングルスは強敵との対戦で実力差を感じさせる試合が多かった。この冬でその差をどこまで埋められるか。明日の試合は男女で単複ともに2回戦が行われる。連戦が続いてハードな日程だが結果を残すべく一つ目の山場に向かう。
(記事 山床啓太、田島璃子 写真 山床啓太)
結果
男子ダブルス
▽1回戦
●小林大修・藤岡凌大 [3-6、2-6] 山口駿・植木海音(駒大)
〇丹下将太・高畑里玖 [7-6(5)、1-6、10 -4] 町田晴・副田温斗(明大)
○増田健吾・池田朋弥 [6-0、6-3] 石原圭起・杉畠志治(東農大)
●田中瑛大・渡部将伍 [4-6、4-6] 中川舜祐・村田雄飛(法大)
○山口柚希・吉野郁哉 [6-2、6-1] 青木響真・仲間舜(日大)
女子シングルス
▽1回戦
〇石川琴実 [3-6、6-4、11 -9] ●渡邉優夢
●豊島舞 [0-6、0-6] 千原菜歩(山学大)
〇吉岡希紗 [6-0、6-4] 山田梨香子(駒大)
●松田望愛 [0-6、3-6] 山﨑郁美(亜大)
〇梶野桃子 [2-1(RET)] 西尾萌々子(筑波大)
●齋藤優寧 [5-7、3-6] 吉川ひかる(亜大)
〇神鳥舞 [6-3、6-4] 児山心美(亜大)
●谷美七海 [1-6、1-6] 狐塚理子(山学大)
●安藤優希 [5-7、6(4)-7] 大川美佐(慶大)
○押川千夏 [3-6、6-1、11 -9] 谷本ひなた(駒大)
●渡邉早和子 [4-6、3-6] 塚田結(筑波大)
●松田岬 [1-6、3-6] 大河原悠(東国大)
コメント
渡部将伍(教3=東京・早実)・田中瑛大(スポ2=神奈川・湘南工大付)
――王座が終わってすぐの大会ですがここまでの調整はいかがでしょうか
渡部 シングルスに関しては王座で試合をしていたので、多少感覚があってそこは大丈夫でしたが、ダブルスはずっとシングルスしかやってきていなくて、ぶっつけ本番というところがあったので、あまり自信はないまま臨んだ感じになりました。
田中 僕は王座に選手として行ったは行ったのですが、サポートに回ってという感じだったので、あまりテニスはできませんでした。それでもその中で時間を見つけて体を動かせる時に動かしていたので、動きは問題なかったのですが、普段よりかは練習量が少なくて、ダブルスとかもあまり合わせられる時間もなかったという感じです。
――ペアリングはいかがでしょうか
田中 思ったより組みやすいというか、やれることがお互いに限られてくるのでそれを死ぬ気でやって泥臭くやる感じが僕は結構、気に入っているというか。そんな感じです。
渡部 僕とかもあまりボレーとかは苦手でストロークで打っていくしかないので、そういう意味ではこれだけやって勝つか負けるかというように明確化できているのでやりやすいです。
――今日の試合は振り返っていかがですか
渡部 相手の中川君がシングルスで強いですし、ダブルスも上手だったので、ペアの村田くんの方にボールを集めてミスを誘おうとしたのですが、どうしても中川くんのストロークが良くて自分たちのサービスの時も中川くんに先に攻撃されてしまったりして、なかなか後手後手に回って自分たちからなかなかいいポイントが取れませんでした。僕たちのプレーもやることはやったし、悪くはなかったと思いますが、うまく打開策がなくてそのままズルズルといってしまったなと思います。
田中 序盤から相手の調子が良くて、結構ノリノリで入ってくるという時にこっちから押し返したりというアクションがあまり起こせなかったから、相手主体で試合が回ってしまっていたのかなという感じになっていて。やれることはやれていたと思いますが、もうちょっとできることはあったと思うし、もうちょっとこっちがアグレッシブに行きたかったです。
――第1、第2セットともに追い上げる場面がありましたが、そこはストロークで押せていたのでしょうか
田中 思いきってという感じですね。
渡部 あまりよくわからないのですが、セカンドセットとかはペアの村田くんが少し勝ちを意識して緊張していて、変なミスも増えていて。それに加えて僕たちも最後は追い込まれていたので、というところでうまくいきましたが、最後もファーストセットの時も中川くんのサーブで押しこまれて、リターンのクロスラリーになっても中川くんに押しこまれすぎて村田くんの方に強いボールを打てないから、ボレーも決められないという、技術的にまだまだ足りてないところがありました。
――田中さんはおとといの同士討ちについて振り返っていかがですか
田中 同士討ちということで緊張もしていましたが、自分の中ではドローが出た時から勝ちたいと思っていて。僕は王座とか早慶戦とかでメンバーに入れてもらえているのですが、思ったような結果が出せていないので、みんなに認められるような結果が出したいというか、結果が一番大事な時期になってくるので死ぬ気でやりました。
――シングルスに向けて意気込みをお願いします
渡部 王座では緊張とかもあってなかなか自分のプレーができなかったのですが、今大会は一応シードでもそういうのも関係なしにして、一戦一戦自分のプレーを貫いて、頑張っていきたいです。
田中 僕ももっとチームで存在感を出していきたいと思っていて、一戦一戦が大事になってくると思うので、まずは目の前の相手だけに集中して明日も死ぬ気でやりたいと思います。