例年8月に行われる関東学生選手権(夏関)が新型コロナウイルスの影響を受けて延期となり、11月15日から本戦が始まった。初日は男子シングルスと女子ダブルスの1回戦。前日に愛媛県で行われた全日本大学対抗王座決定試合(王座)から戻ったばかりというハードスケジュールの中、男子シングルスは9人中6人が、女子ダブルスは5組中3組が2回戦に駒を進めた。
小久保との同士討ちを制した田中
先に試合が開始したのは男子シングルス。「いつも以上のパフォーマンスがなかなか発揮できなくて」と話す第1シードの丹下将太(教3=東京・早実)は序盤からミスが続き、自身のペースをつかめない。そのまま、第1セットを4-6で落としてしまう。切り替えて望んだ第2セットは丁寧なコース分けで相手を揺さぶり、冷静に対処。6-1で圧倒するが、10ポイントタイブレークの第3セットは相手の手の中に。競り合ったが、8-10で敗北となった。また、小久保蓮(スポ3=愛知・名古屋)と、田中瑛大(スポ2=神奈川・湘南工大付)の同士討ちは、一進一退の攻防が繰り広げられ、10ポイントタイブレークの第3セットへ突入。小久保は王座からの連戦による疲労を抱えながら善戦したが、最後は調子が良く自分のテニスを展開できた田中に軍配が上がった。小林大修(文構3=東京・早実)は唯一無二のテニスで試合を自分の流れにするも惜しくも敗戦。前後に揺さぶるゆったりとしたフォアハンドのスライスと、コンパクトなテイクバックで素早く繰り出されるバックハンドを武器にロングラリーを続けた。互いに熱くなる場面もあった2時間以上に及ぶ戦いを、粘り勝つことはできなかった。
終始自分のペースで試合を展開し、最後も打ちきって勝利した第2シードの高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)、安定したショットで危なげなく勝利した渡部将伍(教3=東京・早実)は効率よく試合を制した。攻めの姿勢を貫き、最後はサービスゲームで勝利を決めた山口柚希(スポ1=鹿児島・鳳凰)、声援が少ない中でも声を出して自身を鼓舞した池田朋弥(スポ2=愛知・誉)、粘り強くラリーし、相手のミスを誘い勝利を収めた藤岡凌大(文構2=東京・早実)もそれぞれ2回戦へと勝ち上がった。
続いて行われた女子ダブルスは新たな組み合わせを試行。神鳥舞(スポ2=東京・早実)・安藤優希(スポ3=東京・日出)組は王座の疲れが残り、試合を思うように展開できない。清水里咲(駒大)のボレーに苦しみ、第1セットを1-6で落とす。第2セットは、ダブルスの多くが前衛と後衛の2人で分担して戦うところ、2人とも後衛に下がり、ストロークで辛抱強く戦う作戦に出る。ゲームを先制し流れをつかんだかのように思えたが、甘い球を全て強く叩き込まれる。ダブルスとしてのテクニックを十分に発揮した相手に、タイブレークの末6(5)-7で第2セットを落とし、敗北となった。松田望愛(文構3=東京・早実)・松田岬(スポ3=東京・淑徳)組は粘り強くラリーするものの、相手の勢いに押され第1セットを落とす。第2セットはフォーメーションに変化をつけたが、流れを引き込むことができず、接戦の末に敗退した。
押川千夏(社3=福井・仁愛女)・吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)組は後衛がストロークで攻め、甘くなったところを前衛がボレーで決めるなど、息の合ったプレーで勝利。テニスを心から楽しんでいるかのような表情で戦い抜いた渡邉優夢(社1=兵庫・相生学院)・足立理帆(社3=埼玉・山村学園)組と安定した技術で相手を突き放した石川琴実(社3=神奈川・白鵬女)・齋藤優寧(スポ1=岡山学芸館)組は、それぞれ6-1、6-2と6-2、6-2で快勝した。
新しいペアリングで挑んだが敗れた安藤・神鳥組
王座の余韻も抜けきらないうちに始まった夏関。この試合を引退の場として選んだ4年生以外の学年にとっては次なる目標への出発地点となる。既存のレギュラー陣はもちろん、なかなか成績を伸ばせられないでいる選手たちの突き上げにも注目だ。今大会でさまざまな収穫があることを期待したい。次の試合日程は17日(水)。男子ダブルスには5組、女子シングルスには13人が出場する。
(記事 田島璃子 写真 田島璃子、横松さくら)
結果
男子シングルス
▽1回戦
●丹下将太 [4-6、6-1、8- 10] 小高拓海(駒大)
〇渡部将伍 [6-1、6-3] 庄子大慎(青学大)
○藤岡凌大 [7-5、6-4] 須崎洸介(日体大)
〇田中瑛大 [6-4、3-6、11 -9] ●小久保蓮
○山口柚希 [6-4、6-4] 平井健太郎(法大)
〇池田朋弥 [6-3、6-3] 中野龍一郎(日大)
●小林大修 [3-6、0-6] 山内一輝(日大)
〇高畑里玖 [6-1、6-1] 菅谷拓郎(慶大)
女子ダブルス
▽1回戦
●安藤優希・神鳥舞 [1-6、6(5)-7] 清水里咲・谷井涼香(駒大)
〇渡邉優夢・足立理帆 [6-1、6-2] 本田恵琉・長谷川優衣(山学大)
●松田望愛・松田岬 [5-7、3-6] 児山心美・冨永栞(亜大)
〇押川千夏・吉岡希紗 [5-7、6-2、10 -7] 千原菜歩・狐塚理子(山学大)
〇石川琴実・齋藤優寧 [6-2、6-2] 石川裕莉那・日野有木子(日体大)
コメント
丹下将太(教3=東京・早実)
――試合を振り返っていかがですか
まず負けてしまったので悔しい気持ちです。
――今大会にはどのような目標を立てて挑みましたか
もちろん単複優勝を目標に望んだのですが、やっぱり連戦の中で多少疲れもあって、いつも以上のパフォーマンスがなかなか発揮できなくて、気持ちの面で少し落ち込んでしまったと試合を通して感じました。
――今大会に向けた調整はいかがでしたか
スケジュール的には土曜日に試合が終わって日曜日のお昼くらいに帰ってきて、今日試合があるというかなりタフなスケジュールだったと思いますが、僕以外にもそういう選手は何人かいて、その中で勝たないといけない試合だったと思います。そこで勝てなかったのはまだまだかな、まだやりきれていないところがあると思いました。
――今後に向けた抱負をお願いします
今大会はまだダブルスが残っているので、ダブルスは優勝目指して頑張りたいと思います。インカレインドアは12月にあるので、そこでは単複日本一を目指して頑張りたいと思います。
小久保蓮(スポ3=愛知・名古屋)
――試合を振り返っていかがですか
後輩との試合で負けられない感じだったのですが、相手の方が今日は良くて、最後は勢いで押されてしまったかなと感じました。
――今大会にはどのような目標を立てて挑みましたか
今回は王座後ということもあったのですが、自分のシードのところまでは絶対に行って、そこからは上位を目指そうかなと考えていました。
――直前まで王座がありましたが、今大会に向けた調整はいかがでしたか
調整はあまりできなくて。昨日帰ってきたので。連戦だったんですけど、連戦の中でも勝たないといけなかったかなと思います。
――今後に向けた抱負をお願いします
インカレインドアもありますし、インカレインドアはしっかり勝って、最上級生になるので部員を引っ張って行けるような存在になれればいいかなと思います。
――試合を振り返って今の気持ちを教えてください
安藤 まだ王座から帰ってきたばかりで疲労とかもあったのか分かりませんが、自分でも整理できないくらい上手くいかなくて、ラケットも振り切れないし、それを受け入れるほどの余裕も無かったというか、何でか分からないです。相手もすごく強いペアだったのですが。神鳥サイドだけ結構ポイントを取れていたのですが、自分のボールで結構ミスしたりとか相手にポーチされたり。試合中にクリアな状態で気持ちを整理しながらできなかったので、今は悔しいというよりも、どうしたら良かったのかまだ今でも整理がつかないです。
神鳥 正直、王座が終わって夏関に集中してシフトチェンジできていたかって言われると、できていなかった部分があったし、勝とうと思って入ったのですがなかなか夏関に対しての気持ちの強さとかは持てていなかったのかなと思います。ポイントを取っても流れが来るというわけではなかったし、最後までペアリングも練習で1回少しだけやっただけで、全然ペアリングできていなかったのもあって、なかなか難しかったです。コンディションが難しかった。コートも全然違くて、状況が難しかったので、言い訳にはしたくないのですが、そういうところもあったのかなと思います。
――途中、後衛を2人に切り替えましたが、どのような意図があったのでしょうか
安藤 第1セットで上手くいかな過ぎて、簡単なミスをしてしまったりだとか、私は元々ポーチにあまり出られないのですが、来たボールも結構ミスしたりとかしてしまって。後ろは自信があったので後ろで相手とゆっくりラリーしようという考えでやって、2バックの形をとりました。
――明後日のシングルスへの意気込みをお願いします
安藤 気持ちを切り替えて頑張りたいと思います。
神鳥 同じくです。