見せつけた王者の意地 慶大相手にリベンジを果たし前人未到の王座16連覇を達成!/男子決勝

庭球男子

 これが王者の意地だ。全日本大学対抗王座決定試合(王座)はついに決勝を迎え、早大は最大のライバルである慶大との大一番に臨んだ。10月の王座出場校決定トーナメント(トーナメント)決勝では24年ぶりとなる早慶戦での敗戦を喫し、悔しさを味わった早大。今回の決勝も強敵相手に一筋縄ではいかなかった。ダブルスでは勝ち越しスタートを決めたものの、シングルスの先に入った3試合で2本を落とし、3勝3敗と追いつかれる。暗雲が立ち込めたが、S6の池田朋弥(スポ2=愛知・誉)が勝利してあと1勝に。そして最後を託されたS2の白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)、S1の丹下将太(教3=東京・早実)が激闘を戦い抜き、2人続けて勝利。慶大相手にリベンジを果たし、王座16連覇を達成した。王座の連覇は1977年から1991年にかけて園田学園女子大が記録した15連覇が最高記録であり、16連覇は史上初。早大が史上に残る新たな歴史をつくり上げた。

 

フルセットの末に大事な1勝目を持ち帰った丹下・高畑組

 前回の早慶戦では負け越しで相手に勢いを与える要因の一つになったダブルス。今回も接戦となったが前回の再現は阻止した。まずはD3の丹下・高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)が1勝目を持ち帰る。序盤から互いにサービスキープし合う堅い展開の中、セットカウント1-1に。そして迎えた第3セットは一度ブレイクバックされたがリターンから積極的に攻めて2つのブレークを奪い、大事な1勝目をもたらした。

 D1の畠山尚主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)・増田健吾(社3=東京・早実)組は羽澤慎治・藤原智也組と対戦。第1セットから精度の高いロブや前に詰めた2人の間を通されるショットに苦しみ、相手のサービスゲームを攻略できず、このセットを落としてしまう。しかし、第2セットは早めの動き出しで第2ゲームでブレイクバック。勢いに乗ったプレーで反撃ののろしをあげたが、攻めきることができずセット後半に再びブレークを許して敗れた。

 D2の白石・池田組はトーナメントからここまで無敗。この試合でもその力を発揮した。第1セットを6-2で獲得すると、第2セットは互いにサービスゲームをキープし合う展開に。ゲームカウント4-4で先にブレークされたが、そこから3ゲームを連取して勝利。これによってダブルスでの勝ち越しが決まり、早大に有利な状況となった。

 

シングルスで確実に1勝目を持ち帰った高畑

 続くシングルス。先にS5、S4、S3の試合が入った。S5の高畑は得意のフォアハンドを果敢に打っていく姿勢で第2セット中盤まで流れに乗る。しかし、徐々に相手も思いきりよく打ってくるようになり、ゲームカウント4-0からまくられる。そして5-5になってしまったが、最後はなんとか攻めきってシングルスの1勝目を挙げた。

 しかし、ここから苦戦を強いられることになる。S3の小久保蓮(スポ3=愛知・名古屋)は相手の強力なファーストサーブを前になかなかブレークできない展開に。第2セットからは徐々にラリーも長くなり、粘りのテニスを見せたが5-5の第11ゲームでブレークされ、敗戦を喫した。S4の渡部将伍(教3=東京・早実)は第1セットをタイブレークの末に獲得したが、第2セット中盤から流れを奪われる。ネット際に詰めてもロブでかわされるなど、攻めきれない展開が続いた。フルセットの末に敗れ、これで全体の勝敗は3-3とどちらに転ぶかわからない状況となった。

 残る3試合はS6とS2、そして少し遅れてS1が入った。その中で先に勝利をもたらしたのはS6の池田。相手が気迫を出してプレーする中、第1ゲームでのブレークを得意のサービスゲームでなんとか守り抜き第1セットを獲得。第2セットもブレイクバックされた直後にブレークし、ストレート勝ちを収めてチームに王手をかける4勝目をもたらした。

 やはりこれがエースの宿命なのか。早大の運命は白石、丹下の2人に託された。S2の白石は緊迫したラリーが続く中で第1セットをタイブレークの末に獲得する。しかし、第2セットはナイター照明が点灯する中のプレーとなり、相手の球への反応が遅れて0-6とあっさり奪われてしまう。丹下は集中してラリーを続けてチャンスボールを待ち、第1、第2セットともに先にブレークされても直後にブレイクバック。ポイントが決まるたびに叫ぶ闘志のこもったプレーはじわじわと藤原を、そして慶大を追い詰めていった。

 

ポイントを決め応援の方に向かって盛り上げる白石

 両校の応援がコート脇に並ぶ中、緊迫した接戦が続きついに歓喜の時が訪れた。白石は第3セットも先に2ゲームを落としたが、応援と一緒に盛り上がり、気持ちを高めていく。相手がメディカルタイムアウトを取るなど、体力的にもきつくなる中、第4ゲームでブレイクバックに成功。ラリーがつながるようになり、そのまま流れに乗って勝利をつかみ取った。ゲームが決まった後、白石は応援に駆け寄り、メンバーと歓喜の輪をつくった。そしてその直後に丹下も5-4で迎えた相手のサービスゲームをブレークして試合を決めた。インカレ決勝、トーナメント決勝と連敗していた藤原相手の勝利。最後のポイントが決まった瞬間、丹下も喜びを爆発させた。

 

試合を決め、喜びを爆発させる丹下

 前人未到の王座16連覇を達成した早大だが、ここまでの道のりはとても順風満帆と言えるものではなかった。インカレでは17年ぶりの無冠、早慶戦では24年ぶりの敗戦。これまで偉大な先輩たちが紡いできた記録の数々を途切れさせてしまった。それでも王座だけは譲らなかった。選手として王座を経験している選手が4人いた慶大に対して、早大は白石の1人だけ。それでも経験豊富で本当に強い難敵に対して、壮絶なプレッシャーがかかる中、勝ちきることができた。王者の意地を示し、大記録を成し遂げた早大。この先はどのような歴史をつくり上げていくのだろうか。誇りを胸に、早大はこれからも突き進む。

 

前人未到の王座16連覇を達成した早大

(記事・写真 山床啓太)

結果

〇早大 6―3 慶大


▽男子ダブルス
D1● 畠山尚・増田健吾 [3-6、4-6] 羽澤慎治・藤原智也
D2○ 白石光・池田朋弥 [6-2、7-5] 佐々木健吾・成耀韓
D3○ 丹下将太・高畑里玖 [6-4、3-6、6-3] 白藤成・下村亮太朗


▽男子シングルス
S1〇 丹下将太 [6-4、6-4] 藤原智也
S2○ 白石光 [7-6(7)、0-6、6-3] 羽澤慎治
S3● 小久保蓮 [4-6、5-7] 白藤成
S4● 渡部将伍 [7-6(5)、4-6、3-6] 下村亮太朗
S5○ 高畑里玖 [6-3、7-5] 伊藤竹秋
S6○ 池田朋弥 [6-4、6-2] 成耀韓

コメント

畠山尚主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)

――優勝おめでとうございます! 今の率直なお気持ちはいかがですか

4年間ずっと王座優勝ということを目標にやってきたので、それが叶って本当にうれしいです!

――胴上げされていましたがどのような気分ですか

歴代の主将の方とか4年生の方が胴上げしてもらっていて僕も胴上げしてもらいたいなと思っていて、実際そこから見る景色は最高でした。

――今日の試合を振り返っていかがでしょうか

本当にダブルスも難しいというか厳しい試合が多かったのですが、しっかり勝ちきってくれたことと、シングルス陣もすごい接戦の中で、最後のS2、S1、あと池田と高畑がしっかり取ってくれたので、本当に心強い後輩に囲まれて良かったです。

――増田さんと組む最後の試合でしたが振り返っていかがですか

僕は育成層だったので、その時から組んでくれていてこの3年間、いろいろなことがありましたが、最後に増田と試合ができて本当に良かったと思います。

――この4年間を振り返っていかがですか

入学した時はそんなに大きな戦績もなくて、レギュラーの強い方もいっぱいいる中で、僕もいつか王座の舞台で戦いたいと思ってずっとやってきましたが、それが実際に叶って最後、王座優勝というものをもらって本当に後輩には感謝しかないです。

――後輩たちへのメッセージをお願いします

僕たちが16連覇できたのもみんなのおかげなので、来年以降も17連覇に向けて全力で頑張ってもらいたいなと思います。

コメント全集は後日掲載いたします