24年ぶりの屈辱 宿敵に完敗でトーナメント優勝を逃す/男子慶大戦

庭球男子

 王座出場校決定トーナメントはいよいよ最終週。すでに先週の試合で全日本大学対抗王座決定試合(王座)出場を決めている早大は、トーナメント優勝をかけて最大のライバルである慶大との決勝戦に臨んだ。春の早慶対抗試合(早慶戦)では、7-2で下している相手だったが、この日はダブルスで1勝2敗と負け越しスタート。そして、シングルスでもなかなか白星を積み重ねられず、終わってみれば2-7と完敗。準優勝という苦い結果に終わった。早慶戦で早大が敗れたのは1997年の秋以来、24年ぶり。まさかの敗戦で長年続いてきた早慶戦の連覇は途絶えてしまった。

 

D1対決に敗れた畠山・増田組

 ダブルスで先に1勝を手にしたのは早大だった。D2の白石光(スポ3=千葉・秀明大秀明八千代)・池田朋弥(スポ2=愛知・誉)組は序盤から勢いに乗ってプレー。サービスゲームでは両者の強力なサーブからボレーを決めて立て続けにポイントを奪う。リターンも冴えわたり、第1セットは相手に1ゲームしか与えずに獲得した。第2セットは5-0から積極的に攻めてきた相手に4ゲームを奪われたが、最後は池田のサービスゲームで締め、見事ストレート勝ちを収めた。

 しかし、ここから早大は苦戦することになる。D3の試合は早大が提出したオーダー用紙に記載されていた名前の漢字が間違っていたという理由でペナルティが課せられ、まさかの0-3からのスタートに。第1セットはこの差が響いたかたちで、4-6で落としてしまう。第2セットはリターンから積極的に攻めて第2、第6ゲームでブレークに成功。6-3で獲得して迎えた第3セットは、12ポイント目で丹下のボレーが決まり、ミニブレイクバック。その後、9-8とマッチポイントを迎えたが、あと1点を取りきることができず、惜敗を喫した。D1の畠山尚主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)・増田健吾(社3=東京・早実)組はここまで2連敗中の羽澤慎治・藤原智也組と対戦。第1セットは相手の息の合ったプレーに押され、1ゲームも取ることができずに奪われる。第2セットは互いにゲームを取り合う展開に。3-4からは畠山・増田ペアの前に出ての攻撃のかたちが決まったことや、相手のミスもあり2ゲームを連取。しかし、その後はネット際の攻防でポイントを奪われ、第3セットに持ち込むことはできなかった。ダブルスはこれで負け越しとなり、シングルスの試合に入った。

 早大の勝利のためにはシングルスの6試合で勝ち越しが必要である。まずはS3、それに続いてS6、S5の選手が試合に入った。S5で起用された高畑里玖(社2=兵庫・相生学院)は試合序盤、ミスでポイントを取りきれずにデュースが長くなるゲームが続く。互いにゲームを取り合って競り合ったが、第1セット中盤以降からは相手を引き離した。得意のフォアハンドをコートの隅に打ち込んでいき、ポイントを重ねる。流れに乗ってストレート勝ちを収めた。

 しかし、S6の山口柚希(スポ1=鹿児島・鳳凰)、S3の小久保蓮(スポ3=愛知・名古屋)は敗戦。山口は第1セット、強力なファーストサーブを入れ、早い段階でネット際に詰めてくる相手に苦戦した。決め球のミスが多かったこともあり、2-6でこのセットを落としてしまう。第2セットはサービスゲームで鋭いストロークを決めて、互いにキープし合う展開となる。そのままタイブレークに突入。両者1歩も譲らない展開が続き、先に山口がセットポイントを握ったが、決めきることができなかった。小久保は第1セットはつなぐ球と強く打ちにいく球をしっかりと分けてプレー。第8ゲームで初めてブレークに成功し、このセットを6-4で獲得する。第2セットも序盤は粘り強くラリーしたが、中盤からは相手の速い球と気迫に押されるように。粘りきれなくなって第2セットを落とすと、第3セットも序盤からリードを許してしまい、逆転負けを喫した。

 2勝4敗となりあとがない早大。残りのシングルスの3人に全勝が求められたが、勢いに乗った慶大を止めることはできなかった。S2の丹下は今年の全日本学生選手権(インカレ)決勝で敗れた相手である藤原と対戦。先に仕掛けられて奪われるポイントが多く第1ゲームから早くもブレークを許してしまう。そのままリードを保たれて第1セットを落とすと、第2セットも第2ゲームにブレークされる苦しい展開。終盤は意地を見せてフォアハンドで果敢に攻めるも逆転には及ばず。ストレート負けを喫し、早大の負け越しが決まった。エース対決に臨んだS1の白石は羽澤と対戦。得意としている相手であったが、この日はチームの勢いに乗った羽澤に押されるかたちとなった。積極的に前に詰めてくる相手にボレーを次々と決められる。ブレークしてもすぐにブレイクバックされて波に乗れず、4-6、4-6で敗れた。S4の渡部将伍(教3=東京・早実)は第1セットで4-5からタイブレークに持ち込む。タイブレークでは気迫を出し、深いストロークで相手を押して6連続ポイント。このセットを獲得した。しかし、第2セットは5ゲーム連取など、相手に押されて奪われてしまい勝負は第3セットへ。他のコートの試合が終わり、応援が集まる中、互いにポイントを取り合う緊迫した展開が続く。そして8-9となりそこから粘りを見せたが、1歩及ばず14-16で敗れた。

 

丹下はインカレ決勝のリベンジとはならなかった

 終わってみれば2-7と完敗というかたちに。ダブルスで負け越し、シングルスもなかなか勝利をつかめず、気づけば相手の勢いに飲み込まれていた。畠山主将は「どこかで心に油断があったのかな」と敗因を分析したうえで「全員がもう少し勝ちにこだわる必要がある」と試合を振り返る。この日は第3セットまでもつれた試合は全て敗戦。どちらに転ぶかわからない試合を落としてしまい、慶大に勢いを与えてしまった。今後も絶対王者として相手を迎え撃つ立場にある早大は、相手につけこむ隙を与えないことが重要になるだろう。早慶戦の連覇は止まった。しかし、大切なのはそこから連敗しないことだ。今後は王座でも慶大とあたる可能性が高い。そこでリベンジができるかどうか。大目標である王座16連覇に向けて、今こそ再出発の時だ。

(記事 山床啓太 写真 横松さくら)

結果

●早大 2―7 慶大


▽男子ダブルス
D1● 畠山尚・増田健吾 [0-6、5-7] 羽澤慎治・藤原智也
D2○ 白石光・池田朋弥 [6-1、6-4] 成耀韓・高木翼
D3● 丹下将太・高畑里玖 [4-6、6-3、9- 11] 白藤成・下村亮太朗


▽男子シングルス
S1● 白石光 [4-6、4-6] 羽澤慎治
S2● 丹下将太 [3-6、3-6] 藤原智也
S3● 高畑里玖 [6-4、3-6、5- 10] 成耀韓
S4● 渡部将伍 [7-6(4)、3-6、14 – 16] 白藤成
S5○ 小久保蓮 [6-3、6-2] 伊藤竹秋
S6● 山口柚希 [2-6、6(6)-7] 下村亮太朗

コメント

畠山尚主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)

――トーナメント準優勝という結果についてどのように受けとめていますか

新しい試合方式だったり、このように学連の方や大学関係者の方が大会を開いてくださったので、まずは王座に出場できて良かったなと思っています。でも負けてしまったので、そこは素直に悔しいなと思います。

――今日の敗因はどのように考えていますか

負けてしまった選手も勝った選手も、どこかで心に油断があったのかなと思います。ずっと早稲田は勝っていたのですが、どうにかなるだろうみたいな思いが少しでもあったのかなと思います。

――ダブルスは0―3からスタートとなった試合もありましたが、全体を振り返っていかがですか

慶応さんも強いので、ダブルスで先行してシングルスに繋げるというのが理想の形だったのですが、それができず、そこは素直にダブルスの実力向上が必要だなと改めて感じました。

――ご自身の試合を振り返っていかがですか

羽澤選手と藤原選手とは3回目の対戦になって、相手はインカレも優勝してすごく自信を持ってプレーしてきて。第1セットはスコアの通り手も足も出なくて、セカンドセットは何とか食らいついて惜しい場面もあったのですが、やはりそこで取りきれないというのが弱さかなと思います。

――シングルスの結果を振り返っていかがですか

やはりダブルスの結果や、ふわふわしてしまった部分がシングルスの人にプレッシャーをさらに与えてしまったのかなと思っていて。誰が勝つか全く予想はできませんが、全員がもう少し勝ちにこだわる必要があるのかなと思います。

――相手が勢いに乗っているように見えましたが、試合全体を通してどうでしたか

前回の早慶戦では大差をつけて勝つことができていたのですが、やはりその悔しさをバネに早稲田との団体戦に臨んできているなと感じていました。僕たちとしても跳ね返したかった部分はあるのですが、それができるだけの実力を練習で積み上げられなっかたのが敗因でもありますし、そこは慶応さんがずっと練習してきて早稲田に勝ちたいという思いがすごく強かったのかなと思います。

――王座に向けてチームとしてどのような改善が求められると考えますか

テニスの技術もそうですが、やはりサポートであったり普段の練習態度であったりテニス以外の部分を一つ一つ見直していかないといけないと思っています。3週間しかありませんが、しっかり反省点を挙げて、もう1回チーム一丸となって全員が王座優勝という目標に向かって頑張っていきたいと思います。

――改めて王座への意気込みをお願いします

今回は負けてしまいましたが、王座ではしっかりとリベンジして王座優勝できるように頑張りたいと思います。