下位陣を中心とした活躍で初戦を突破! 王座進出がかかった筑波大戦へ/女子山学大戦

庭球男子

 新型コロナウイルスの影響により開催が中止となった関東大学リーグ(リーグ戦)に代わって、全日本大学対抗王座決定試合(王座)の出場校を決める、王座出場校決定トーナメントが開幕した。早大は初戦で山学大と対戦。戦績的に見て、向かってこられる難しい立場であったが、シングルスの下位陣を中心に勝ち星を積み上げて4-3で勝利。シードの筑波大が待つ準決勝へと駒を進めた。

 

ダブルスで1勝目を持ち帰った石川・神鳥組

 ダブルスは8月の全日本学生選手権優勝ペアである石川琴実(社3=神奈川・白鵬女子)、吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)組を崩し、早慶対抗試合(早慶戦)の時と同じオーダーで臨んだ。2本取ってシングルスに勢いをつけたかったが、簡単には勝たせてくれない。D1の前田優歩(社3=沖縄尚学)、吉岡組は、相手の勢いのあるプレーに押された。0-3から3ゲーム全てで40-40のポイントを取って追いついたものの、第1セットを落としてしまう。第2セットは2ゲームを連取して流れをつかんだかと思われたが、後半に追い上げられる。相手の積極的なボレーにストロークが阻まれ、競ったかたちでゲームを取れても、その直後にあっさりと取られてしまうゲームが多く、流れに乗れずに敗戦を喫した。同時進行で試合に入っていた石川・神鳥舞(スポ3=東京・早実)組は序盤から鋭いストロークで相手を攻め、試合を優位に進めた、前衛での動きもいい反応を見せ、相手に隙を与えず6-3、6-3と危なげなく勝利。落とせない試合できっちり1勝目を持ち帰り、1勝1敗でシングルスの試合につなげた。

 ダブルスに続き、シングルスの3、4、5番手が同時に試合に入った。まずS5に入った渡邉優夢(社1=兵庫・相生学院)が仕事を果たす。早慶戦に続き、確実に勝利が求められる場所での起用となったが、パワーアップした姿を見せた。序盤から速いテンポのラリーが続いたが、深く突き刺さるストロークでほとんどチャンスボールを与えずに相手を圧倒。わずか2ゲームしか与えず、チームに勢いをもたらす2勝目を挙げた。S4に起用された押川千夏(社3=福井・仁愛女子)は後ろに下がらず、積極的に強いストロークを左右に打ちにいき、甘い球をどんどん仕留めるかたちで第1セットを1ゲームしか与えずに獲得する。第2セットは相手の粘り強いプレーに苦戦したが、攻めきって4-4から2ゲームを連取し勝利。「チームに勢いをつけよう」(杉田主将)と起用された2人が確実に2本を取り、早大の勝利に王手をかけた。渡邉優と同じくルーキーの梶野桃子(社1=京都外大西)は鋭いストロークを厳しいコースに打ちにいき、前に出てのボレーなども決めて攻撃的なプレーを見せる。互いにブレークし合う展開から先に相手にサービスゲームを取られて3-4とされるが、直後に3ゲームを連取して第1セットを獲得する。しかし、第2セットは相手の粘りの前に思うように攻め手が決まらず2-6で落とすと、第3セットでは足をつってしまい、惜しくも敗れた。

 3勝2敗となりプレッシャーのかかる場面で早大の勝利を確定させたのは安藤優希(スポ3=東京・日出)だった。第1セットこそ5ゲーム連取など6-1で獲得するが、第2セットは第4ゲームにブレークを許してしまう。しかし、深いストロークの打ち合いに負けずに相手の猛攻をしのぎ、すぐさまブレイクバック。相手も焦りからか攻めにいってのミスが増え、強烈なストロークを決めてポイントを重ねて見事勝利。準決勝進出を決める1勝をもたらした。エース対決となるS1に起用された神鳥は、第2セットから惜しくも決められないでいた、厳しいコースに突き刺さるストロークをことごとく決めフルセットの試合に持ち込む。しかし、第3セットは互いにサービスポイントをキープする展開から再び惜しいショットが続き、相手に突き放されて惜敗を喫した。

 

早大の勝利を確定させた安藤

 負ければ終わりのトーナメント戦でまずは初戦を突破した早大。チャレンジャーとして向かってくる山学大に対して「気持ちの強さ」(杉田主将)で4勝3敗と勝ちきった。取った試合を見るとD2、S2、4、5とやはり下位陣での強さを見せたかたちとなった。今後もこのかたちで戦っていけるかが勝敗の鍵となるだろう。王座進出がかかった次戦の相手はおととしの王座優勝校であり、豊富な戦力を有する筑波大となる。「一戦、一戦を楽しんでみんなで勝っていきたい」(杉田主将)。チャレンジャー精神を持って、2年ぶりとなる王座の出場権獲得がかかった大一番に臨む。

(記事 山床啓太 写真 田島璃子、森山祐介)

結果

〇早大 4―3 山学大


▽女子ダブルス
D1● 前田優歩・吉岡希紗 [3-6、4-6] 鈴木沙也伽・狐塚理子
D2○ 石川琴実・神鳥舞 [6-3、6-3] 芝田詩歩・本田恵琉


▽女子シングルス
S1● 神鳥舞 [4-6、6-3、6- 10] 千原菜歩
S2○ 安藤優希 [6-1、6-3] 鈴木沙也伽
S3● 梶野桃子 [6-4、2-6、2- 10] 原田真美子
S4○ 押川千夏 [6-1、6-4] 渡邊寧々
S5○ 渡邉優夢 [6-1、6-1] 木塚有映

コメント

杉田栞主将(社4=埼玉・山村学園)

――4-3という結果でしたがこの結果を統括していかがでしょうか

早慶戦ではチャレンジャー精神で勝利することができましたが、今回は向かってこられる立場だったところがどうしてもぬぐえなくて。そこでのプレッシャーが選手にももちろんかかっていましたし、私たちも感じるところがあって、戦い方が難しかったなというのは正直なところあります。結果的に4-3という差のないような結果になりました。それもファイナル10ポイントのタイブレークという新しい試合形式の中での団体戦で難しさを感じて、正直本当にどっちに転ぶかわからない試合の中、山学さんは気持ちの強さというところがチームの特徴でもあるので、そういうところに押されてしまった場面はありました。その中でも、今年は王座に行きたいという気持ちが強いチームになってきていて、気持ちの強さで山学に対抗するためにはこっちも気持ちの強さを持つ必要があるというのをテーマに今まで練習もやってきたので、そこの成果が出て1本を取りきれたというのが、やはり勝因だったのかなと思います。

――ダブルスは1-1でしたが振り返っていかがですか

ダブルス1の方で相手の勢いがすごかったというのがあって、私はもう一方のコートにいたのですが、こっちまで声が届いてくるくらい勢いがあって、それに対してこっちは受け止めてしまったという部分は正直ありました。個人戦と違うペア同士で組んでいたこともあって、ペアリングのところでも自信がなかったところも正直あったのかなというのはあります。ダブルス2で隣のコートの雰囲気を見て感じるところもあったとは思いますが、自分たちが取らなければという強い覚悟でダブルス2もやっていましたし、ダブルス1も最後までしっかり諦めずに戦い抜いて、勢いに負けずに気持ちを出して戦えていたので雰囲気としては、ダブルスはいいかたちで終われたのかなと思います。

――下位のメンバーを中心に勝ち星を取れていましたが、この部分についてはどのように考えますか

山学戦というところでシングルス下位層を取っていきたいと話していて、最近勢いのある選手を下位層に出して、そこでチームに勢いをつけようと挑ませていました。そこでの成果がしっかり出て、特にシングルス5の方も差をつけられて勝利してチームに勢いをつけて、安藤とかにつなげられたのでそこはいい作戦だったかなと思います。

――渡邉優選手や梶野選手などルーキーの戦いぶりについてはどのように見ていますか

本当に心強くて、部内の誰よりも練習する2人なので、地道な努力の成果というか底力が試合の中でも垣間見えるなというのがありました。梶野は最後、惜しくも体の限界が来てしまって敗れてしまいましたが、今後の希望につながるいい戦いぶりだったなと思いますし、渡邉優夢も早慶戦の時に比べて遥かに頼もしい存在になっていて、私自身もうれしいです(笑)。

――次は王座進出のかかった筑波大戦となりますがそこに向けてのチームとしての意気込みをお願いします

(筑波大は)おととしの王座の優勝校で、私たちの目指すべきチームだと思いますし、間違いなく今回はチャレンジャー精神で、私たちも楽しみに臨めるところはあります。一戦、一戦を楽しんでみんなで勝っていきたいというのもありますし、本当にこの大会自体、開催していただけているのが当たり前のことではないというのをみんな感じているので、感謝の気持ちも持ちながら、しっかりぶつかって王座の出場権を獲得できればなと思います。

安藤優希(スポ3=東京・日出)

――シングルスの2番手での出場となりましたが、試合を終えてみていかがですか

今回私は(ランキングに基づいたルール上)1番手か2番手でしか出られない状態でした。今までは下で出ることが多かったのですが、上で出るとレベルが高くなってきて、ちょっと無理しないと勝てなかったり、ちょっとふわっとしたときにそこをつかれるような事が起きたりします。今日もセカンドセットちょっと危ない状態になりました。そういう状態で勝てたのはすごくよかったです。

――安藤選手の勝利で早大全体の勝利が確定しましたが、意識した場面はありましたか

ありましたね。私か神鳥の片方が勝てば勝ちでしたが、ふたりとも落としたら負けというのがプレッシャーで。あと、ファイナルセットが10ポイントタイブレークなので、セカンドセットの危ない場面で、「これを落としてファイナルセットに入って、それを落として、隣の神鳥も負けたらどうしよう」などと考えてしまいました。プレッシャーでしたが、自分がちゃんとやらないといけない、と前向きに持っていけたのでそれは良かったです。

――ファーストセットはどのように分析されますか

ファーストセットは、出だしはゲームの中で競っていたが要所要所でポイントが取れてゲームを離せたので、自分の流れに持って行けてすごくよかったと思います。

――筑波大学との戦いに向け、意気込みをお願いします。

一昨年リーグで負けて、早稲田の女子は王座に行けませんでした。次戦を勝てば王座に行くことができるので、一昨年の悔しさを晴らせるようにチームみんなで頑張りたいと思います。

押川千夏(社3=福井・仁愛女子)

――シングルス下位での出場でしたが、どのような気持ちで試合に臨みましたか

ポジション的なことで言うと、下位でしっかり取りきることが団体戦では重要になってくるので、自分が絶対に下位で1本取ってくる思いで試合に入りました。

――第1セットではストロークの調子が良かったと思いますが、振り返って

第1セットは自分の調子が良くなかったわけではないですが、相手も大事なところでミスがあるなど助けられたところもあって良いスコアで取れたと思います。

――2セット目は粘られましたが振り返って

本当にその通りです。2セット目に入って相手の返球率が高くなって、自分も焦りが出てしまったり、集中力が途切れそうになったりともう少し無駄の無いプレーをしなくてはいけないという反省点がありました。

――今シーズンの調子はいかがですか

普段の調子は全然良くないです。部内戦でも勝てないことが多く、普段の練習で自信がつくことがないのですが、早慶戦など大事な試合に出させてもらって1本取ってくることができている点はいいと思います。

――次戦の筑波大への意気込みをお願いします

次で王座に出場できるか決まる大事な一戦で、今日よりも厳しい戦いになることはわかっています。あと1週間一人ひとりが準備して今日の課題を調整し、もう一度気持ちを入れ直して臨みたいです。